長谷敏司の本

あなたのための物語

あなたのための物語 長谷敏司

とても重たい小説でした。 ずっと死について描かれていましたが、それも哲学的ではなく、ひたすらあがき続ける主人公、サマンサの姿でした。 人工知能を有したロボットのことがメディアで話題になっている今、この小説はとてもタイムリーなように感じました。 SFは未来のことを描いているジャンルですが、いつかは現実がSFに追いつく日がきます。 この小説に描かれている未来も、もしかしたら、そう遠いものではないのかもしれません。

伊藤計劃トリビュート

伊藤計劃トリビュート 王城夕紀

ページ数のボリューム感に感動した…気に入ったのは「未明の晩餐」「ノット・ワンダフル・ワールズ」「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」

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あなたのための物語

あなたのための物語 長谷敏司

尊敬もへったくれも無い、生々しくて痛々しい「死」の描写から始まる。 主人公のサマンサの周囲や社会、死に対する抵抗《プロテスト》な生き様が、余計に読んでいて精神にハードパンチしてくる。 『小説を書くためだけに開発された仮想人格』の「ワナビー」はサマンサのために、彼女を喜ばせるために、膨大なサンプルを吸収して小説を書く。 では、人類は誰のために、何のために太古から小説を書いて来たのか? 別に小説でなくても良い。漫画でもイラストでも彫刻でもアニメーションでもクリエイトするものなら何でも良い。 需要と供給のあるビジネスだから?それだけでは無いはずだ。 作中の言葉を借りれば「自己愛」なのかも知れない。 サマンサに「恋」したワナビーは、たった一人の読者の彼女のために愛を込めて、小説を書く。 コンピュータのお決まり文句の「何かお役に立てることはありますか?」が《彼》の愛の言葉であった。 サマンサの死に対する抵抗と怒りの狭間で、仮想人格のワナビーの愛の言葉が紡がれる。それが余計に痛々しい。人工物であるが故に。 そして、サマンサとは対照的に《彼》の死は儚くも美しい。 では一体、そもそもこの作品は誰のための物語なのだろうか?

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My Humanity

My Humanity 長谷敏司

書下ろしの『父たちの時間』。霧状の核廃棄物ナノマシンが独自の爆発的な進化を遂げ、人類を凌駕する瞬間。シンギュラリティを迎える時は絶望か。それとも希望なのか。

AIと人類は共存できるか?: 人工知能SFアンソロジー

AIと人類は共存できるか?: 人工知能SFアンソロジー 人工知能学会

どれもドチャクソ面白いです(語彙力無し)。
特に「政治」をテーマにした長谷敏司『仕事がいつまで経っても終わらない件』が好きです。
“AIが人間の仕事を奪うのではないか?”
とよくテレビで取り上げられていますが、この作品は
“寧ろAIのバージョンアップとアップデートのせいで、人のプログラミングの仕事がいつまで経っても終わんねーよ!”
という切り口でひじょ~に興味深いのです。

BEATLESS

BEATLESS 長谷敏司

「人間は、人体と環境と道具の総体である」 人は”目の前の存在”のどこを見て”ヒト”か”モノ”かを判断しているのか・・・ モノには”こころ”は無いが、そこに総体としての意識があるのなら、それは合わせて”こころ”と呼んでも良いんじゃないかと思いました。 いわゆるアンドロイドモノというテーマの中で、考えられる問題を片っ端から検証してくれたと思います。特にSFでは意外と重要な”世界を経済で回す”話も圧巻でした。 タイトルの通り、鼓動の無いモノと人ととを取り巻く、”意味”と”かたち”をこれでもかと追求した作品。

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