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性悪猫

性悪猫 やまだ紫

1960年代末にデビューし、成人女性向けマンガという今では当たり前のジャンルを切り拓いた女性漫画家、やまだ紫。彼女がガロで連載し、その凄みを展開したのが本作。 いわゆる「ネコ漫画」とは一線を画した内容。鋭く繊細な感性で紡ぎ出される一語一句は、詩的で美しくもハッとさせられる。 ネコの日常の中にある様々な喜びや葛藤は、そのまま人間の私たちのそれと重なる。 歳を取ってフとした時に読み返したくなる、そしてこどもたちにもプレゼントしたくなる大切な一冊。 あと山田紫が描く猫、可愛いし凛としてるし素敵。

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇 リチャード・H. スミス

同期一番の出世頭が大口顧客を怒らせた! 人気タレントがセクハラ疑惑で降板? ああかわいそうに、でも少しだけ(そう、ほんとにほんの少しだけ!)笑みがこみ上げて来たりはしませんか、よくないことだと知りつつも。自分もそういう感情を抱いたことを白状せざるを得ないけど(それも頻繁にというのがまた救いがない)、そういう感情をドイツ語でシャーデンフロイデという。日本語だとネットでいうメシウマというところ。 人間社会に限らず、競争に満ち満ちているこの世においては、シャーデンフロイデは、競争の中で自分が相対的に優位に立ったことに対して人間が感じる快い感情であるらしい。しかし、そうした快感も、妬みを覆い隠すような形で正当化されてしまえば凄惨な犯罪へと容易に転化するという。例えば、ナチスのユダヤ人虐殺のような。にわかには信じ難いけれど、ユダヤ人は劣った存在などではなく、優秀であるからこそ排斥すべきであるという理屈は明らかに妬みから生まれたものだろう。 明日は我が身と思いながら、自戒の念を抱きながら読む本。

笑う猫には、福来る 猫の手屋繁盛記

笑う猫には、福来る 猫の手屋繁盛記 かたやま和華

大好きな猫の手屋繁盛記の第五弾。3編からなる書き下ろしです。 四角四面の石頭で融通の利かない宗太郎が猫の手屋として人々と交わっていくにつれ、猫の形ではあるが人として成長してゆく。 今回もほんわりと温かい猫の懐のようなお話です。

じゃ、また世界のどこかで。

じゃ、また世界のどこかで。 近藤大真

大好きなフォトグラファーの近藤大真さんが世界一周をしていた時の旅行記です。 もともと世界一周している最中にブログを日々更新されていたのですが、それがまとまって一冊の本になっていて、素敵な写真もたくさん掲載されています。 彼の書く文章が本当に読みやすくて面白くて好きなんです。私はブログを欠かさず読んでました笑 そして写真のセンスが本当にいい!世界に興味がなくたって!旅に興味がなくたって!フルカラーのこの本1400円なんて絶対破格だから!ぜひ買ってみてほしい!写真が好きな人、旅が好きな人はもちろん絶対好きだと思うけど、そうじゃない人も、きっと明日が明るくんじると思うから。ぜひ手にとって見てほしいです。

内部の真実

内部の真実 日影丈吉

1944年。日本の植民地であった台湾で一人の軍人が死んだ。陸軍曹長と一等兵の間で起きた、色恋沙汰の果ての決闘騒ぎ。その結果としての死で片付けられる単純な出来事のはずだった。が。ありがちな密室殺人もののように幕を開けるが、日影丈吉お得意の民間伝承、純文学ネタがあちこちで暴発。人間関係も物語も錯綜し、あれよあれよというまに、パパイヤの濃厚な香り漂う亜熱帯を我々もさまようことになります。日影作品、ここのところ一年に一冊のペースで再刊されており嬉しい限り。

幽霊船

幽霊船 リチャード・ミドルトン

再読。確か出版当時、『本の雑誌』で騒がれていた記憶があります。1882年生まれの英国のどマイナー作家の短編集。表題作は、幽霊船というタイトルから想像される内容を気持ちよく裏切られるお話。『ブライトン街道で』は、読んだ後に心を冷風が吹き抜ける名作。読み終えた後巻末の『ミドルトン小伝』を読むと、寂寥感倍増です。表題作の原稿をあちこち投稿したものの不採用、一文無しとなり29歳で自殺した不遇の生涯だったようですが、地球の裏側で100年経っても読まれてますよと伝えてあげたい。といってもとっくに絶版なんだけど、、、

ダスト8 1

ダスト8 1 手塚治虫

図書館から全集借りてきた。「生命」を相手にした時の手塚先生の気合の入り方よ。ただ67,68が不自然なつながり、p193の「三度目だっ!!」の繋がらなさと大病院のくだり他かなりダイジェストになってるダスト5、こりゃダスト18買うしかないのか。

モップの精は深夜に現れる

モップの精は深夜に現れる 近藤史恵

シリーズ2作目 相変わらず清掃作業員として夜中や早朝の会社に出没するキリコ そこで出会う様々な人の悩みや不可解な事件の謎を解明する そんなキリコの家でも悩みの種が… 家事や夫と義父の世話、おばあちゃんの介護、清掃の仕事 全てを一生懸命頑張っているのに おばあちゃんにちょっと何かあると 叔母に責められ 兄夫婦に陰口たたかれ あんまり手伝わないやつに限って口出してくるのよね 毎日の頑張りがどれだけ大変かわかりもせずに そもそも他人に身内の世話させといて文句を言うなんてどういう事 お前がやれよ って沸々と怒りが湧いてきます 文句一つ言わないキリコは偉い

憂鬱な10か月

憂鬱な10か月 イアン・マキューアン

我輩は胎児である。徹頭徹尾、母の胎内に蟠る胎児が延々とモノローグを語るさまは只者ではない。ソムリエみたいにワインの味わいをくどくどと評価し(飲んだこともいくせに)、世界情勢を気にかける。それもそのはず、なんと今時の胎児は母親が聞くポッドキャストやテレビから知識を吸収しているのだそうだ。IT化恐るべし。 しかしこの胎児は生まれる前からとんでもなく大変な目に遭っている。零落しつつあるとはいえ英国、極東の独裁国家ではなくなんとかヨーロッパに生まれ出ることまでは良かったものの、しがない詩人の父はすでに捨てられ、その弟との不倫に耽る母は胎児に気を使いつつも酒が止められない有様(そして臍の緒を通ってくる血流で胎児くんはワインを味わう)。 そんな中で父を亡き者にしようとする陰謀が。果たして胎児くんの運命やいかに。 黒々としたユーモアがイギリスらしいけれど、どうもそれだけではなくてこの小説はハムレットの本歌取りらしい。それを知ってるだけでも楽しさは倍増したかもしれない。

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ダスト8 2

ダスト8 2 手塚治虫

読み終えた。けど。1のテンション高めから打って変わって打ち切りになってかなり展開が荒れてるような。編集との距離難しかったんだろうなあ手塚先生。それでも、商業ベースで巨匠作でも打ち切りを判断できた時代でもあるのか。

月と六ペンス

月と六ペンス サマセット・モーム

人生も折り返しを過ぎた頃に、突如自分の絵の情熱に身を投じた画家ストリックランドについて、主人公が真相に迫っていくお話。 前半の文明社会と後半の非文明社会の人々のあり方についての対比も、ストリックランドという人間を描く上で重要な背景になっている気がします。それ故に奥行きが生まれ、読み応えのある作品になっています。途中に多く出て来る魅力的な脇役たちも作品をより一層魅力的にしています。

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彼女が好きなものはホモであって僕ではない

彼女が好きなものはホモであって僕ではない 浅原ナオト

題名に迷う事なく是非手に取って欲しい本です。 ジュンの学校での立ち位置における冷静さは、同性愛者でなくても、共感する人は多いのではないか?皆んな何かしらの「違い」と「普通」に怯えて生活している。それは、自分を傷つけ、他人を傷つける。 ある意味リアルで、ある意味ドラマのような話。 強く胸を叩かれた感じだ。

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死者の書・口ぶえ

死者の書・口ぶえ 折口信夫

もの静かで感覚が鋭敏な少年少女は、思春期になると、よくないものも引き寄せてしまう。むくつけき上級生に抱きしめられ嫌悪感を持ちながらも、自身の性を求められることにどこかでうっとりとする明治時代の少年(というか折口自身)『口ぶえ』。奈良時代、貴族の娘の元を夜毎訪れる死者。慄きながらもどこかで陶酔を感じ、くるのを待ちわびる『死者の書』。性と死。嫌悪と陶酔。穢れと宗教。若者達は清いものに憧れつつ、力づくで近づいてくる穢らわしいものにも眩しさを感じる。奈良時代・明治時代の迷える魂がとった行動とは。渾身の注解付き。

ポロポロ

ポロポロ 田中小実昌

初年兵として中国戦線に赴いた体験を元に描いた連作集。「中国戦線では、敵兵を見ない、というのは有名なはなし」。敵兵の代わりに襲ってくるのは、飢えと感染症。行軍途中に倒れたり肛門から血を吹き出させたりしながら呆気なく死んでいく仲間達。たまに発砲すれば、その弾は敵兵ではなく身内のはずの者の命を奪う。そのうちに敗戦を迎え、病人がうじゃうじゃいるのに野戦病院は解散してしまう。後半では、自分の体験を物語ることへの疑念やためらいが吐露される。文体は淡々としてるけど、ぐらぐらと揺れ動く戦記です。

藤原氏―権力中枢の一族

藤原氏―権力中枢の一族 倉本一宏

天智八年(669年)、中臣鎌子は大王から死の直前に藤原姓を賜った。以降、不比等を経て四家の分立、怨霊が乱れ飛ぶなか、ある者は消えある者はのし上がる。栄華を極めたと自認した道長は「この世をば」と豪語したが、実際には次々と子を喪い、望月はボロボロに欠けていく。他の木の養分を吸い取り枯らし、自らは咲く藤の花。そんな藤原氏はしぶとく生き残り、殿と呼ばれた元総理まで脈々と跋扈し続けている。歴史の舞台となった土地の写真満載ですが、ほとんどが最早ただの住宅地や駐車場・畑です。その地面の下にはドロ沼の歴史が眠っているぞ。

ニッポン大音頭時代:「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち

ニッポン大音頭時代:「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち 大石始

音頭の通史。炭坑節の起源や東京音頭の事始め、三波春夫の音頭観、フランキー堺から大滝詠一に至る冗談音楽の系譜、アラレちゃん音頭などのアニメ発音頭や、アイドルの音頭などの歴史を丁寧に辿り、最後の大友良英作音頭まで駆け抜ける。当たり前のことながら、音頭はダンスミュージックなんですよね。

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