41rnqebo4vl

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙... 続き

コメント

何かが違うとずっと読んでいる間ずっと思っていた。内容がではなく、文体というか、何かが。それは解説を読んでそれだ!と納得。
“我々の多くは、書き手があたかも抑制などいっさいかなぐり捨てたかのような、我を忘れて書いたように思える作品に仰天させられることを求めているのではないだろうか。中略、本書『わたしを離さないで』は細部まで抑制が利いていて、入念に構成されていて、かつ我々を仰天させてくれる、きわめて稀有な小説である”
つまり、私が読みたいのは抑制されているものなのだと強く自覚した。それは文学に限らず。
よくある制度をぶち壊そう!という話ではなく、疑問を持ちつつも、受け入れて生きる普通のキャシーが主人公。始まりの話でも終わりの話でもない真ん中の話。
本当に良いものって余韻で決まると思う。この本はとても長く、いい余韻でした。

思い出すと、一人の夕方に切ない気持ちになった時みたいになる。

普段は本や映画で心を揺さぶられることなんてあまりないのだけれど、これは珍しく泣きそうになった。

「それは、時間切れ、ということです。やりたいことはいずれできると思ってきましたが、それは間違いで、すぐにも行動を起こさないと、機会は永遠に失われるかもしれない、ということです。」

全てを知った後、このセリフが何よりも重く感じた。

ものすごく衝撃を受けた一冊。
読む前と後で、自分の中の何かが確実に変わったと思う。
ドラマ化を受け再読中。

人が生きていくのに必要なものって、主人公が子供時代に大切にしてた宝箱(+ささやかな思い出)なんじゃないかって思いました、どんな人にとっても…。

しんじられない宿命を、静かに受け入れて生きる子どもたちが育ってゆく話。あってはならないけど、この世界のどこかに在るのかも、ヘールシャムはそんな不思議な場所。

じわじわ、じわじわとくる本。文庫版よりハードカバーの重さがマッチするけれど。

登場人物たちの思い出話は、僕らの青春時代をくすぐり、その空気感を1冊の小説に漂わせる。子どもから大人になるときのちょっとした怖さ、慣れとかそういうの。リアルだけど、どこか浮世離れしてる不思議な物語。

誰かのために生まれ死んでいく「使命」を背負わされた「クローン人間」たちの物語。
臓器を提供するためにクローン人間が作り出されるなんて非人道的だとはわかっていても、自分の子供が、配偶者が、親が、友人が、不治の病に罹った時に同じことを言えるか、と問われると頷けないかもしれないと思った。
ドラマ化がきっかけで読んだ作品だけど、個人的にはドラマの方が好きかも。

凄まじいテーマ。抗えない力。いつかこういう世界になりそう。カズオLOVEやで。映画もよかった。大号泣。離さないで、って強く思う。

「人間らしさ」が人間の特権だと思うの、いいかげんやめよう、と思った。
最初は人間の真似でも、けなげに人間らしさを追い求め、最後は文句ひとつなく使命に殉じる人造の人間たちは愛おしく、胸がしめつけられました。

なぜかこの小説を、SFとか倫理観とかの目で見たくないんです。愛と青春。

女の子の微妙〜な心の機微とかひだとかみたいなものを、男の人がどうしてここまで書き切れるんだろう。不思議。
登場人物たちの境遇は切ないし理不尽だし暴力的だけど、人間はだれだって確実に終わりに向かってるよなあって思った。
原作を読んでからドラマを観たけれど、婉曲的で淡々としてて分かりづらいところもある原作を、かなり意欲的に再編集したんだなあと驚いた。

普通の小説だったら大騒ぎになって主人公が大泣きするような事実を、どうしようもない現実として淡々と静かに受け止めている無力感が好きです。他の方も書かれているけど、じわじわと余韻が素敵な小説。再読したい。

どんどん便利になる世間の裏を垣間見るような異彩を放つ作品。
鳥肌が何回もたちました。
物語の構成もさすがという印象でした。

驚くほど精巧に創られている作品。
全ての伏線がきっかり回収されており、それもごく自然な描写で行われているので、気が付いたときには全ての真相が読者の手の中にある。
そうして手にした真相を前に、読者はただ茫然とするのだ。

切なさとか、愛おしさとか、懐かしさとか、そういうものが残酷なまでに美しく描かれている。
特に少女時代のキャシーとマダムの邂逅は作品の中でも一等印象に残った場面である。
マダムの涙の理由を知るのはもっと後のことだが、キャシーが「わたしを離さないで」と歌いながら部屋の中を歩くシーンは、マダムでなくとも感じるところがある。

カズオ・イシグロ氏の作品を拝読したのはこれが初めてであるが、とても良かった。
作品の世界に静かに浸りたい人にオススメ。
また別の著作も購入してあるので、時間がある時に読みたい。

密かな告白がじっとりと熱を持っていく。語られる相手を想像してみると印象が変わってくる。
読後感の情景は切なく綺麗。

読者

46da03c0 292d 4d30 bcab ef72e7307ed6Bf5b322e ae2f 484f a218 718d0c72baa1D1cd8f9e 706f 4f28 9e0d 97137f8f558cB2671df0 f03e 4bdf 96a9 8e76ae8458f5Icon user placeholder47ad5ffd 9a13 4dfc bad5 02bb88345c86Icon user placeholderIcon user placeholder 191人

カズオ・イシグロの本

忘れられた巨人

忘れられた巨人

Ad7825af 31c7 446b af9e 8f3c399104ac

おめめ

主に鯖管のエンジニア

舞台はアーサー王の死去からそれ程年月の建っていないブリテン島。鬼や竜が出てくるのでファンタジーの部類ですが、丁寧な風景の描写によりスルスルと古代のブリテンに引き込まれます。 国が、個人が閉じたコミュニティに向かい過去の清算を望むなら、忘れられた巨人を揺り起こすのかもしれません。そんな時この老夫婦の様に互いを受け入れ愛するには何が大事なのか、ヒントを貰った気がします。

6か月前

9807894d c4af 4d2f a85e b7f8185c4ef4Icon user placeholderD4f58d88 cacc 444e 98ed e78a0362b8f0 25
充たされざる者

充たされざる者

F37a7b3a 68ca 4679 820d be410780daf9

さそり座

本当にずっと充たされない。 邪魔が入ったり他のこと思い出したりして何にも先に進まない。眠れないし食べられない、気持ちは焦るばかり。 初対面と思っていたら知り合いだったり、遠いはずの場所と場所が繋がっていたりするところが夢の中の話のよう。 聞こえるように嫌味を言われたり、自分だけが把握していないことがあったりして窮地に立たされる悪夢を見続けている感じ。 充たされそうな場面で終わるが、それもちょっとあやしい。 元気な時に、なるべく広く日当たりのいい場所で読むのが良いかもしれない。

7か月前

24d7722a d09b 4caa 987c d8850f1ffd0040deeedb c1a3 44e2 8f16 b81c4d19201fIcon user placeholder
浮世の画家

浮世の画家

B67c853a d9fe 49ee ace7 fb82be84a225

Jun

一年のうちに何回か読書ブームがや…

今話題のカズオ イシグロさんの本ということで手に取りました。浮世絵が好きなこともあり。 淡々とした文体が苦手な私としては読書の途中で解説を読み、ようやく読み進めることができました。 いくつかのエピソードが、少しずつずれながら重なり合い、独特のリズムから浮遊感を感じました。 主人公の言動も浮世を漂う感じがあり、浮世絵(=floating world、正確には浮世絵画家ではないけれど)と、浮世を生きる画家を意味するタイトルに妙に納得しました。

9か月前

7df63bbe 5a13 465f b64a 12e03263fe409727e8b0 10dd 4c31 b733 85abb59bdfbbDa89d462 9367 4b41 968a 24fe70ba9057 8
わたしたちが孤児だったころ

わたしたちが孤児だったころ

D12499a3 7577 4a9e 9ed0 5c28fedebfaf

Ryuji

楽器メーカーで、音楽関係の仕事を…

ミステリーと幼年期の淡いノスタルジアが並列で描かれ、最後に現実と直面する。現実に放り出されてからの人生(親から離れ孤児になること)が本当のスタートなのだ。

1年前

11afb8da 1bf6 4272 bc30 39ed2c854032Ed17a1f0 2f50 42ec a243 e8163423603fPicture