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キツネになろうと道端で寝ていたら、警官に起こされて「ちゃんとしてください」と自宅に帰されたそうだ。
ヒトの生活から離れ、街にやってくるキツネとしてゴミ箱を漁り、ヒトの暮らしを観察した著者。それでわかったのは、ヒトは、同じようなものを食べ、同じようなテレビ番組を観て過ごしているが、野生のキツネはまったく違うということ。あらゆるものを食べ、様々な臭いを嗅ぎ、だから個体によって観ているものも様々なのだ。
こういったことは、ヒトが、いろいろな感覚や能力を失った種だということを示唆している。ヒトも動物の一種にすぎないというのに。
目があっても見えず、鼻があっても嗅げず、手があっても感じない。都会に住むヒトはそんな有様だ。
そして、ヒトはキツネや鳥ほどのスピードで動けない。自力で飛びたいのなら、鳥の習慣を身につける必要があるのだ。
己を知れ。ヒトは、地球に住む生物種として、できることをわきまえるべきだ。そのためには、隣に住む他種をよく知る必要があるのだ。

動物、特に野生動物にとって世界はどんなものに映っているのかを描くのがいわゆるネイチャーライティングというそうだけども、本書はその極北にあるのかもしれない。人間中心主義や擬人化というよくあるネイチャーライティングの轍は踏まないという著者の決意というか宣言はたしかにかなりの程度実現している。アナグマのように寝そべってミミズを食ってみたり、タイトルどおりほんとに動物になりきって、なかなか狂った疾走感のある体験をしてらっしゃる。
そうした体験は、ふやけた動物愛護精神ではなく、まったくの異種の存在に対する畏敬があるからこそなのだろう。自分にできるかと言われたらムリムリとしか言えないが、本というものはそうしたムリムリを追体験できる貴重なツールであると改めて感じる。

読者

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科学

脳のなかの倫理―脳倫理学序説

脳のなかの倫理―脳倫理学序説

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Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます…

友達がこの作者の作品を褒めていて興味を持ったのだが褒めてた作品が難しそうだったので序説なら割ととっつき易いのでは、と思ってこちらを読んでみた。作者は脳神経科学の第一人者で大統領諮問委員会のメンバーだったりもする偉い人。この作品では新たに「脳倫理学」なるものについての紹介をしている…というとかなり難しそうだけど、とても読み易く分かりやすく書かれている。内容は簡単に言うと、脳に関する研究が進んでいる今、やりようによってはいろんなことができてしまうが、何をとこまでやってもいいのか…を考えるのが脳倫理学、ということらしい。いろんな切り口で科学がいまどこまで進んでいてどういうことができるか、を説明し、今後の展開として自らの意見と今後の予測を簡潔にまとめてあるスタイル。もっとも10年以上前の著作なので前半の科学の進歩の部分は今現在、更に進んでいる可能性はあるが。ちょっと驚いたのはいわゆる宗教的な啓示体験も脳のある種の障害や刺激で発生させることができる、ということで脳に関して我々は今現在、思っているよりさまざまななことができ得るらしい。その意味で「脳倫理学」は極めて重要な学問といえると思った。哲学者の現実に関する貢献も理解できたしいろいろ面白い内容でした。

25日前