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9784120053344

すべての女を虜にする魅力的な男、ナーちゃんと結婚したわたし。女性の影が消えない夫との暮らしの一方、わたしは夢のなかで別の女として生きることになる。あるとき... 続き

コメント

読後、本を閉じ表紙のタイトルを見て、思わずため息が出た。

昔昔の安らかな恋も、昔の燃える恋も、何故こんなに違うのに等しく愛(かな)しいのでしょうか。

怒りという感情からは無縁な、落ち着いた川上さんの文は居心地が良く、安心します。

読者

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川上弘美の本

甘い罠―8つの短篇小説集

甘い罠―8つの短篇小説集

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amaretto

趣味は積読

小川洋子さんと、桐野夏生さんと、高樹のぶ子さんの話が特に気に入った。 恋愛ものの罠ばかりかと勘違いしていた。 男を老人が恐怖に包む罠もあれば、書道家を過去の因縁で陥れる罠もあれば、男女の渦巻く罠もあれば、囀るような心清らかな作家が出てくる話もある。 ジャンルの違う料理を1度に食べたような、不思議な気持ちです。

6か月前

森へ行きましょう

森へ行きましょう

Picture

渡辺洋介

神田村経由専門書版元

同じ日に生まれた「留津」とルツ、平行世界に生きるふたりはあったかもしれないもう一ついや数多くの可能性を秘めた人生という名の森を歩む。 「無数の岐路があり、無数の選択がなされる。そのことを「運命」というらしいけれど、果たして「運命」は、一本道なのか。左を選んだ時の「運命」と、右を選んだ時の「運命」は、当然異なるはずで、だとするならば「運命」は選択肢の数だけ増え続けていくのではないか」p.106 この運命の奇妙さとはいかに。 そして奇妙な運命というやつに翻弄されながらも「みんな、森に行っちゃうんだな。ルツは思う。森で、迷って、帰れなくなって、でもそれでも、いつの間にかどうしても森に行っちゃうんだな。」p.548 人生という森は怖くもあるけどおかしいこともある。 「すあま、食べたかい。ピンクのすあまが、おいしいよ」p.410

8か月前

10
某

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HSSISOLATED

人生で何度目かの読書熱

家族、愛情をめぐる物語。 幻想小説かもしれないし、SFかもしれない。 いずれにしても奇書、だと思う。 書店で偶然立ち読みを始めて奇怪な物語に一気に引き込まれてしまった。 それまでの記憶が一切ない、自由に姿形性別も変えられるという存在が主人公である。 物語にはどこか優しさと危うさを感じる。 この存在は人間と類似の姿をしている様子だが、人間性はあまり豊かでは事が多いようで、感情が偏っていたり、或いは欠如していたり、そしてその行動も何処か偏りがある。 人間性とは共感性ではないか、と考える。 親(家族)がいて、ピア(友人)ができて、恋人を作り、家族ができる。 しかしこの存在には始まりの時点で家族は存在せず、ある日突然この世界に誕生する。 物語冒頭の医師と看護師が疑似的な両親の役を果たそうとする。しかし、姿形・性別・年齢が変化してしまう(させる)ために、成長という物語を十分に吟味できない。 ここで、家族関係或いは重要な、親密な他者と関係を結ぶという事は物語を共有する事である、という考えがよぎる。 所謂ナラティブな関係性、或いは家族神話と呼ばれるものであって、その物語を共有するためには共感性が必要となる。 共有できる物語と共感性が有ればこそ、対人関係・対象関係は円滑で愛情深くなるのだろう。 そして、人間の姿に擬態するが人間性、共感性に乏しい彼等は家族や親密な他者をなかなか獲得できず、そして日々の糧も安定がなく何処か居心地が悪そうでもある。 居心地が悪くなれば、或いは何かのきっかけがあると姿形・性別・年齢・性格も変化させる。 解離性障害。 この古くて理解が難しい精神疾患をどうしても連想してしまう。 この疾患は多くの場合、幼少期早期の心的外傷或いは、幼少期早期から継続される養育者の情緒的応答性欠如がその病因とされる。 記憶が途切れる解離性健忘、記憶が交代して別の人生を送ってしまう解離性遁走、自分の姿が別の視点で見える離人症、そして人格の交代が生じる解離性同一性障害と様々な様相を見せる。 最も困難な場合は養育からの虐待によって、虐待されている時の自分を感じさせず、別の記憶・人格を構築してやり過ごそうと始まり、やがてストレスに直面する度に新しい人格を形成させるようにしてしまう。 従って、人格は二重人格から多重人格へ移行してしまう。 この疾患のひとたちとこの物語は重なってしまう。 彼等に必要なのは、他者との十分に安全で保護された安定した関係性であり、そのためには共感性をもてる他者との交流が必要となる。 この物語は人格を統合する物語であり、損なわれつつある人間の共感性に迫る物語だと思う。

1年前