文芸

帰還

帰還 ヒシャーム マタール/金原 瑞人

ピューリッツァー受賞作ということで手にとってみた。ずっと外国で暮らしていた作家がカダフィ政権の崩壊に伴って祖国リビアに帰国するという話。作者の父親は元軍人でカダフィがクーデターで政権を獲った際に外交官になり~カダフィはライバルになりそうな軍人を外交官にして一種の国外追放にしたらしい~その後、職を辞して帰国、貿易商として成功するとその資金をもって反政府活動を行った結果、亡命せざるをえなくなった。作者が大学生の頃、その父親が亡命先のエジプトで拉致され行方不明となってしまう。父親の行方を追求するキャンペーンを行っていた作家にとってはただの帰国ではいのだ。裕福だけれども常にリビアからの刺客のことを意識しなければならなかった子供時代の話と帰国してから大勢の親類達~その中には父親に連座して長く収監されていた者が何人かいる~との交流が折々にリビアの歴史なども交えて描かれている。人生の大半を国外で暮らし、欧米で作家として成功、欧米人のパートナーまでいる身でも自分たちの一族に過酷な運命を課した祖国への思いはあるものなのか、と思った。父親の行方を追求するキャンペーンで当時のリビア政権とも付き合いのあったロスチャイルドから紹介されたカダフィの穏健派の次男とのかけひきは特に興味深かった。いろいろ考えさせられる作品でした。

鏡の背面

鏡の背面 篠田節子

単純な入れ替わりではなかった。 最後まで「何故?」がつきまとう。 悪人か善人か、調べる側の心も揺さぶってくる。

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明るい夜に出かけて

明るい夜に出かけて 佐藤多佳子

人はそれぞれ悩みを抱えながらも、懸命に生きていて自分の落ち着ける場所や楽しいと思える場所を探している。 苦しさ辛さを抱えている時、勇気が持てない時、背中を押して認めてくれる人が近くにいてくれるのは本当にありがたいことだと思う。 今いる場所だけが自分にとっての居場所なのではない。他にも自分に合った環境もあるのだと気づかせてくれるそんな本。

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我が名は秀秋

我が名は秀秋 矢野隆

2019/06/15 読了 〜歴史とは生き残った者が紡ぐ過去である〜 秀秋、カッコいい! 関ヶ原でぐずぐずに描かれる秀秋。 こんな解釈も成り立つのか〜。 いや〜面白かった。 本を読んでいて、久々に電車を乗り過ごした(^。^)

いつか深い穴に落ちるまで

いつか深い穴に落ちるまで 山野辺太郎

日本とブラジルを繋ぐトンネルを開発する会社の広報課の物語。 突拍子もない計画のすぐそばで発表することのない原稿を書き続ける、広報課、鈴木一夫。 穴を掘った副産物の温泉に浸かりながら、彼はいつか来る計画の完成を待っている。 そして深い穴がトンネルになったとき、彼は物語の表舞台へと登場する。 いつか深い穴に落ちるまでの軌跡がこの物語であり、鈴木一夫の仕事なんだ。 鈴木の意志を継いだ後輩、大森が語る鈴木の最後の様子。語り手を大森にするなんて、洒落た演出じゃないか、ほんとに。 もしほんとうにこんな事業が秘密裏に行われていたのなら、そしてどこかに鈴木がいたのなら、いや、やめておこう。 この計画を表沙汰にするにはまだ早い。 ぼくたちの社会がもう少しゆとりとユーモアを取り戻すことができたなら、大森よ、存分にプレスリリースを発表してくれ。 ぼくたちはまだ深い穴に落ちる準備ができていないのだから。

マウス

マウス 村田沙耶香

【mouse】···内気な女の子 辞書で見つけたこんな表現に、人知れず悲しみ震える小5の少女。 教室の人間関係に戸惑い、 友達の無邪気な一言に一喜一憂していたあのころを振り返りながら大人になっていく主人公の自尊心を、あるがままに描いた物語。 臆病だったひと、今も何かに脅かされている人に読んでほしい。

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大人は泣かないと思っていた

大人は泣かないと思っていた 寺地はるな

九州の田舎に住む主人公、時田翼を中心にした連作短編集。 「隣家の婆さんが家の柚子を盗みに来る」という事件。 尊厳を守るため店長に頭突きを食らわす事件。 誰かがドアノブに花やチョコレートのプレゼントを置いていく事件。 それぞれの立場の人がそれぞれ生きる日々のささやかな出来事を描く話。 なのだが、もっとはっきりとした本作の主張は別にある。「男尊女卑許すまじ」だ。「許すまじ」とまでいかなくても、「それっておかしいよね?」と、なあなあで続いてきた旧弊に挑む物語でもある。 「九州は男尊女卑が激しい」とは聞くこともあるし、「らしさ」を強要される理不尽も良く分かる。「嫁は嫁ぎ先を優先しろ」と、実母を看取ることが出来なかった人のエピソードもあり、その理不尽さが生々しく伝わる。そういった方面で「世の中を良くしたい」と思う人は読んでみてもいいかもしれない。 個人的には、過去に男尊女卑反対の人が男性に対する過激な侮辱発言をしている所を見たので、それを思い出して嫌な気持ちになってしまった。

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夢をかなえるゾウ 文庫版

夢をかなえるゾウ 文庫版 水野敬也

何年も前の本だし、自分も年を重ねて「目からウロコ」的なところはあまりなかったが、「確かに」と再認識。やはり作者の腕前で読み手にわかりやすい。5年後、10年後、再びページをめくればまた新しい気づきがありそう。

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水晶宮の影

水晶宮の影 五代 ゆう/天狼プロダクション

グインサーガ40周年。栗本薫没後10年。続篇15巻目と、節目の一冊。 栗本薫時代から続いていたヤガ編がようやく終了。こんなに引っ張るような話だったかは正直微妙。。 ザザの黄昏の国経由ワープが便利過ぎるような。ほとんどどこでもドア的に使われている感じ。 グインはふたたびクリスタルに潜入。ようやく「あのお方」と対面するのかな?アウロラちゃんは今ひとつ、なんでついてきてるのかよくわからん。 今のクリスタルは素人が来てどうにかなるところじゃないと思うんだけど。

まほろ駅前狂騒曲

まほろ駅前狂騒曲 三浦しをん

前二作からの勢いのまま、これも読み終えた。このシリーズの「それでも生活は続く」という感じ、とてもいいなぁ。一旦終わりなのかもしれないけど、このお話の中の人々は大騒ぎでこれからも過ごすんだろうな。

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コールド・スナップ

コールド・スナップ トム・ジョーンズ

一作目「拳闘士の休息」の興奮冷めやらず、手に取る。変わらず、どうどうと迫り来る傷つき、痛みと熱と湿気を帯びたトム・ジョーンズ独特の語りに、また圧倒される。今作の舞城訳は好い意味で雑味が加わり、これもまた好い。鬱屈とした苦しみ、悩み、痛みといった事ごとをこのように描きあげる作家には始めて出会った。もっともっと読まれるべきだ、と勝手ながら偉そうにも強く、強く思うし、願う。

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続・京都烏丸御池のお祓い本舗

続・京都烏丸御池のお祓い本舗 望月麻衣

シリーズ2作目 またまた「京都寺町三条のホームズ」とちょっとだけコラボ 最初の依頼はホームズの元カノの旦那さん 城之内先生は弁護士なのに いつも依頼はペット探しか裏稼業のお祓いばかり それで有名になってるから もしや弁護士だと思われてないのか? トモは一見普通の人なのに実は凄い能力を秘めてて 事務所では なくてはならない存在 やっぱり裏稼業がメインになってしまうのも仕方ないのか

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