ノンフィクション

東京スリバチ地形入門

東京スリバチ地形入門 皆川典久

東京は平らに見えて意外に凸凹している。 窪地地形を愛でる人々のスリバチ愛に満ちた入門書。今すぐ荒木町に行きたくなる〜。 スリバチ学会会長の皆川典久さん、副会長の石川初さん、無類の階段マニアで知られる松本泰生さん、暗渠ハンターの高山英男さん、吉村生さん、工場萌えの大山顕さんと、この世界の有名人てんこ盛りの豪華執筆陣で、地形マニア、都市徘徊者には堪らない一冊ですね。 スリバチ地形の成立は、長い歳月をかけた自然による地形の変化だけでなく、大名庭園が作り出した巨大池の跡地であったり、陸軍の射撃場であったりと、様々なケースが存在していて興味が尽きない。 スリバチ界は、地理にも歴史にもアプローチが可能で、暗渠や階段マニアとも相性が良い。マイナージャンルを志向している身としては、仲間が多くてなんだか羨ましいぞ。

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捕まえて、食べる

捕まえて、食べる 玉置標本

著者の玉置さんが釣ったエイで韓国の臭いがきつい料理ホンオフェを作る、富山湾でホタルイカを釣って食べるなど自然の中で獲物を採取し料理して食べるという本。本の流れ、ノリが椎名誠のあやしい探検隊的だなと。あやしい探検隊同様にコスパよりも好奇心と経験すること優先なのが読んでいて清々しさを感じる理由かもなと。採取方法もギンポという魚をハンガーで釣るとか凝ったものもありワクワクしながら最後まで読めました。あと獲物採取や料理に一緒にワイワイ言いながら付き合ってくれる仲間がいる。そこがこの本、愛嬌があるなと思ったところ。

歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史

歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史 黒岩比佐子

ペリー来航から明治にかけて日本人が世界に向かっていこうというときの食にまつわるエピソードを集めたもの。ペリー一行をもてなした料理、明治天皇の初めての饗応、鹿鳴館で出された料理、日清戦争の講話の舞台となった下関のフグ、日露戦争の捕虜に出された料理、児玉源太郎が浴びたシャンパンシャワー、大津事件で詫びを入れるため急遽神戸まで来た明治天皇とニコライ二世の会食、あの当時にフランスから水を輸入していた西園寺公望のグルメぶり、など興味深い話ばかり。ペリーが、交渉がうまく行ったら日本人をもてなそうと生きた鶏や豚まで船に積んできていたという話に驚き。そして船上で本当に宴会が開かれたそうだが初めて見た洋食とワインやウイスキーを当時の日本人はけっこうガツガツ食べたそうだ。酔っぱらってペリーの肩に手を回し「これから仲良くしようぜ」的なことを言ったやつまでいたらしい(笑) とにかく楽しく興味深い話がいろいろ。美食というタイトルで損してると思う。おすすめです。

母さん、ごめん。 50代独身男の介護敗戦記

母さん、ごめん。 50代独身男の介護敗戦記 松浦晋也

誰にでもやってくる老いと死 誰もが人の手を煩わすことなく 元気でポックリ逝きたいと願う だけど必ず願いが叶うわけじゃなく 身近な人が認知症や寝たきりなどになって介護を余儀なくされることが誰にでも起こりうる 作中にもあったように 自分だけが頑張って介護をするという状況は絶対ダメだと思う その人が倒れたら 介護されてる人も共倒れだから ただ作者は実母だったが これがお嫁さんで舅や姑の介護となるとまたちょっと違ってくるのかも

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ルポ 川崎

ルポ 川崎 磯部涼

若い頃地元の友達が近寄らないようにと言っていた地域がようやくなんだったのかわかった。ヒリヒリ痛いルポ

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シェフを「つづける」ということ

シェフを「つづける」ということ 井川直子

作者の他の作品が素晴らしく良かったので手にとってみた。かってのブームの際〜すごい人数が渡っていてシェフ以外の料理人が全員日本人という店もあったんだそうだ!〜にイタリアに渡って修行した人達のことを書いた作品があって、本作はそのほぼ10年後にその人達が今どうしているか、を描いたもの。国内外を問わず、また自分で店を開いているかどうかに関わらず今でも活躍している人達が何を考えどうしようとしているか、それぞれ一流となった人達の言葉や行動が興味深い。これもいい本だ。対象にのめり込まず、それでいて愛情と尊敬が感じられるところが凄く良い。しかしこの手の本はそのお店に行ってみたくなるから困りもの…。

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いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画

いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画 原田マハ

この本で紹介されている絵のいくつかを、美術館で見たことがある。その時にこれらのストーリーや背景を知っていたかった、と強く思った。あぁ勿体無い。 10代の頃では、100年、200年という時間はあまりにも遠い昔のことだったけれど、歳をとってみると彼らが生きていた時代と今とに、それほど大きな隔たりはないように思えてくる。身近に感じることが出来る。 今だから彼らの作品をもう一度見て違うことを感じられるかもしれない。 美術館に行きたい。 描かれた絵と、その背景にある画家自身や歴史と向き合いながら、ゆっくり時間を過ごしてみたい。

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我が闘争

我が闘争 堀江貴文

ホリエモンがどんな人なのかをとても理解できる本。この本を読んだ後だと、今のホリエモンの言動や行動を見る目が全然変わる。

遠いリング

遠いリング 後藤正治

大阪にあるグリーンツダジムに集う有名無名のボクサーたちを追ったノンフィクション。第一章は「一瞬の夏」沢木耕太郎著でのカシアス内藤との師弟コンビも記憶に新しい放浪のトレーナー、エディ・タウンゼントと最後の教え子井岡弘樹の物語。湿っぽくならないぎりぎりのラインでエディの最後を書いているが拳闘に取りつかれた男の最後の姿にグッと来た。 プロボクサーといってもこれは格闘技全般に言えることだが 専業で食べていけるのは本当にごく僅か。生活の中でどう折り合いをつけて競技に向き合うか。第7章までに登場するボクサーたちの何かを成し遂げたもしくは成し遂げられなかったかもしれない人間模様が興味深い。

サルトル 失われた直接性をもとめて シリーズ・哲学のエッセンス

サルトル 失われた直接性をもとめて シリーズ・哲学のエッセンス 梅木達郎

若干専門の外れた人が執筆をしてエッセンスを抜き出すという趣旨の元作られている哲学のエッセンスシリーズ。 ド専門の人でないが故に、素人にはとっつきやすく、専門の人にはちょっと違った視点の思想が垣間見えるという点で結構好きなシリーズではある。 (筆者と思想家の組合せがハマればという条件付きだが) 本作は現代思想が専門の梅木達郎先生とサルトルとの組合せ。 実存は本質に先立つ、アンガージュマンといった教科書で習うような部分は勿論、サルトル流の自由や世界と直接的に関わるとは何かという点にクローズアップしてる。 また、サルトルの思考の限界についても言及。ここが現代思想に通じてる梅木先生の視点があって面白いかなぁと。 ただ、本当にエッセンスだけなので、物足りなさも…。 また本作は梅木先生の遺稿とのこと。 色々な意味でも考えさせられた一冊。

知らなかった、ぼくらの戦争

知らなかった、ぼくらの戦争 アーサー・ビナード

2018/3/16読了 「戦後」という言葉は、何の疑問もなく太平洋戦争の終戦からだと思っていた。この本の序盤で、第二次世界大戦後も世界のあちこちで戦争を続けたアメリカとの比較をされていて、日本の「戦後」は英語のそれとはニュアンスが違い特殊なのだということを初めて知った。

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