ノンフィクション

バッタを倒しにアフリカへ

バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎

アフリカ・モーリタニアでバッタ被害を食い止めるための非常に尊い研究に従事されている方の、夢と就職難と砂漠とバッタへの愛憎入り乱れる、とても楽しいエッセイです。 終始笑いっぱなしでしたが、同世代の方がここまで夢に正面からぶつかっている姿をみて熱いものを感じました。

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ヨコハマメリー:かつて白化粧の老娼婦がいた

ヨコハマメリー:かつて白化粧の老娼婦がいた 中村高寛

30代以上の横浜市民であればおそらく記憶に残っているであろう白塗りの老娼婦メリーさん。彼女を題材とした傑作ドキュメンタリー映画「ヨコハマメリー」から10年を経て監督である中村高寛が書籍化。映画からは窺い知ることのできなかった製作中の自問自答悪戦苦闘の日々、公開当時はいまいちその必然性が解らなかったかったもう一人の主役というべきゲイのシャンソン歌手「元次郎」の存在など書籍化によって腑に落ちることも多かった。 メリーさんが姿を消した1995年前後は横浜の町が大きく変容していく時期でもあった。 1989年横浜ベイブリッジ開通 1993年横浜ランドマークタワー開業 1996年クイーンズスクエア開業 2002年赤レンガ倉庫再整備 一連の流れによって良くも悪くもどこか薄暗い横浜から イメージとして明るく洒落た横浜へ移り変わっていった。 最近TVKで再放送が始まった「あぶない刑事」1986年放映 の荒れた港湾部や小汚い町並みが漂泊される前の最後の横浜の姿を映している。

死ぬまでに行きたい! 世界の絶景 体験編

死ぬまでに行きたい! 世界の絶景 体験編 詩歩

死ぬまでに行きたい!世界の絶景シリーズ第4弾。第4弾は体験編です。 他のシリーズでは見て惚れ惚れする絶景が多く載せられていたんですが、この本では飛んでみたり、飛び降りてみたり、泳いでみたり、自分でアクションを起こして初めて見れる絶景や、楽しい瞬間が載っています。 この本は正直、写真よりコラムの方が読み応えがあります。だって、体験編だもの笑 体験した感想が詳しく記載されている方がよりイメージが湧きやすいです。ドルフィンスイミングも、ランタン体験も、カウントダウン体験もどれも本当に楽しそう!٩(ˊᗜˋ*)و やっぱり見るだけじゃなくて、参加するのが楽しいよなぁ、旅は(*ˊᵕˋ*)

君は小人プロレスを見たか

君は小人プロレスを見たか 高部雨市

ガキの頃、地元の中学校の体育館に観に行った女子プロレスに彼らは出ていた。予備知識ゼロで行った自分はそのレスラー達の姿に驚き、そしてリング上で繰り広げられるエンターテイメントに爆笑そして喝采した。今でも空手チョップを見舞わせるプリティアトムの「トウ!トウ!」という甲高い声が記憶に残っている。 この作品には小人プロレスの盛衰と、差別との闘いが描かれている。ノッポのジャイアント馬場はプロレスで大成功したのになぜ小人プロレスの選手達はメディアから消されたのか。これを万人が納得できるように説明できる人がいるのか。憐れみか差別の対象でしかなかった彼らが存在をアピールできる場所、いや生活の糧であったはずのリングから遠ざけたのは偽善的な人権団体、そしてメディアだった。 巻末の「解説」を「無敵のハンディキャップ」の著者である北島行徳氏が書いており、そこで斜陽になった小人プロレスと障害者プロレスの融合が検討されたことを知って驚いた。なぜ実現しなかったかは読んで知ってほしい。

母さん、ごめん。 50代独身男の介護敗戦記

母さん、ごめん。 50代独身男の介護敗戦記 松浦晋也

実際に母親の介護を経験したライターさんの書かれた本。介護を追体験できる感じでした。いやぁ・・・本当に苦労されている様子がわかりました。『「死ねばいいのに」が止まらない』介護されている方の正直な気持ちだと思います。科学ジャーナリストさんらしく、最後の考察は我々が皆で考えていかないといけないなと感じました。

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プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年 アン・ウォームズリー

まず、一人ひとりの描写が細かくて飽きない。受刑者の特徴や仕草が本当に目の前にいるかのように書き出されていて、顔の輪郭まで想像できる。 タイトル通り登場人物の8割が服役中の男性なんだけれど、彼らの過去やどうして犯罪に手を染めてしまったのかが毎章にあげられる小説とうまくシンクロしているところがこの本の見どころ。 誰しもが抱える闇も彼らと一緒に共有できているみたいで、励まされ、励ましている感覚に感動する。

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ヴィクトリア女王―大英帝国の“戦う女王”

ヴィクトリア女王―大英帝国の“戦う女王” 君塚直隆

ドラマ女王ヴィクトリアをきっかけに購入。本人の日記が残され公開されていることを知らなかった。人物の好き嫌いをはっきり書いているようで本人は公開されることを知っていたのだろうか。政治にも積極的で議会との微妙な関係も興味深い。

完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ

完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ 麿赤兒

二十歳の頃の唐十郎との劇的な出会い。魂の赴くままに生きる人同士の化学反応。 ビリビリ痺れるようなエネルギーが伝わってきました。 そういえば、60年代には本の万引きが流行っていたとのこと。色気とフェロモンを出す本が多く出ていた、と麿さん。そういう本を作っていた人たちの恍惚感を想うと、素直に羨ましい。 新しいものを、新しいしかけを、生み出せたらなあ。 麿さんは今日も新しい踊りを踊っている。AIには予測できない踊りを。 突き抜けよう!

死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

死ぬまでに行きたい! 世界の絶景 詩歩

死ぬまでに行きたい!世界の絶景シリーズ、第1弾。5弾を先日購入したので、せっかくなので1冊目から読み返してみることにしました。 5作目と比べてみて驚きました。5作目はずいぶん情報量が増えたんだなー!と笑 基本的なシーズンとか行き方とかそういうものは変わらず記載されているけれど、1作目の方が少しシンプルでした。そして、こちらの方がそのシーズンに行けば見れそうな、そして雄大な大自然がメインの王道絶景が多いように思います。って言ったって、行くのは難しいですけどね笑 日本の絶景もちょっと含まれているので、初めてこのシリーズを手に取る方にはやはり1作目が一番いいのではないでしょうか(^^)

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藤原道長の日常生活

藤原道長の日常生活 倉本一宏

当時の日記から道長という人間と、平安貴族の日常を描く。道長の感情の起伏の激しさや自惚れ屋っぷりは他の資料に(主に『小右記』に)たっぷり記されていて、なかなか人間くさい。雅なだけじゃない生活が面白い。 当時の文学が好きな方は、きっと楽しく読める。

愛と支配の博物誌―ペットの王宮・奇型の庭園

愛と支配の博物誌―ペットの王宮・奇型の庭園 イーフー・トゥアン

庭園や水、犬や猫に金魚、はては息子に女にフリークスに異人種といった同じ人間に至るまで、人間は愛を注ぎまくってきた。さてしかし、その愛とはそのまま支配への渇望であった。人の手の入らない自然は矯められて庭になり、黒い鮒は交配の結果真っ赤な出目金になる。小さな女の子は足を布で巻かれて纏足のよちよち歩きになる。そうした事柄は一見愛には見えまいが、愛とは支配を必然的に伴うものなのだ、恋人に愛されたい、愛したいという気持ちはすなわち服従したい、服従させられたいという欲望と表裏一体だ。恋人同士であれ、人間と自然の風景や動物との間であれ、力の差は常に存在する。その差に気づき、乗り越えようとするとき、人間は力を行使する。力を行使するとき、人間は喜びを感じる、それが上からのものであれ、下からのものであれ。支配と服従の間にある甘美な誘惑は人間だけが感じられるものなのだ。『トポフィリア』などで知られるイーフー・トゥアンの、ライトだけども飼ってるネコさんへの目線が確実に変わってしまうエッセイ。なんと30年近くも前の本でしたが。

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土と内臓

土と内臓 デイビッド・モントゴメリー

微生物は人間にとって排除すべき大敵という偏った視点を明確に変えてくれる。著者の一人は土の流出が文明にどれほどの影響を与えたのかを説く『土の文明史』を書いた地質学者(日本版の版元はどちらも同じ)。もう一人はその妻である生物学者。この夫妻の裏庭で起きる土壌の変化から植物と微生物の共生関係、そして人間、わけても日本語版のタイトルのように内臓と微生物群(マイクロバイオーム)の関係が最近の研究とともに紹介される。昔は野菜の味が濃かったとか、アレルギーが少なかったなどという話をよく聞くけれど、それは微生物との関係の変化が影響しているという知見を一つ一つ議論を積み重ねながら明らかにしている。微生物は食糧問題というグローバルでマクロな問題から、個々人の健康を司る免疫システムやお腹の具合にいたるミクロな地点にいたるまで、極論すれば全ての生物と幅広く関わっていることには改めて驚かされる。 マメ科植物と根粒菌の共生関係くらいは知ってたけども、多くの植物が根から滲出液を出して必要な微生物を呼び込み見返りを受けてるとかワクワクする話。そして同じように大腸も粘液で微生物を養い、そこから利益を受けているらしいという。 マクロビとかあの手のものは宗教やオカルトに容易に傾きがちだけれども(EMなんかもその一つだ)、きちんとしたエビデンスや「まともな」研究に基づいて書かれた本書はそうした疑似科学の信奉者にこそ読んでもらいたい。まあ読んでも変わんないか。

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