ノンフィクション

ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」

ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」 高瀬毅

なぜ長崎原爆投下の遺構となる浦上天主堂は保存されなかったのか。読んでいくと、戦勝国ならば当然考えることを行動に移していくのがわかる。広島市の要人には同じような働きかけはなかったのだろうか?広島生まれの自分は広島原爆の教育や情報に囲まれすぎていて、そのぶんもう一つの被爆都市長崎に対する関心や知識が不十分だったことを痛感した。文庫化に際して巻末に東日本大震災に触れていたが、この書き下ろしは果たして必要だったのだろうか。

潜伏キリシタン 江戸時代の禁教政策と民衆

潜伏キリシタン 江戸時代の禁教政策と民衆 大橋幸泰

最近読んだ本から。 世界遺産への登録がらみなのか店頭で似たようなテーマの本がフィーチャーされていてちょっと興味もあったので手にとってみた。維新で鎖国が終わった後に駐留する外国人のために作られた浦上天主堂に現れたキリスト教徒を名乗る日本人に欧米人は驚愕と感動を覚えたというが秀吉の禁教以来どのように信仰を維持していたのか、ということについては奇跡の一言で片付けられていたような気がしていた。そのあたりをすっきりさせたくて手にとってみた。キリスト教徒が潜伏できたのは大まかに言って次の通り、というのが作者の考え。島原の乱の記憶が為政者、農民ともに強烈すぎた。キリスト教徒以前に村落共同体の一員としての役割を果たせていた。島原の乱については領主たちもかなり悲惨な末路をたどっており支配者層にも農民側にもかなりのダメージを残したことが後の政治に与えた影響がよくわかった。また、江戸時代の農民がパブリックイメージとは異なってそれなりの地位と勢力を持っていた証拠に様々な裁判の記録が現在にも残されておりそれを丹念に読むことでキリスト教徒を穏便に見逃そうといった為政者側の理屈も分かるようになっていた。説得力もかなりあってなかなかに面白かった。

ルポ 川崎

ルポ 川崎 磯部涼

川崎ユースカルチャーのルポルタージュ。貧困、暴力、ラップ、スケート、ダンス、競輪。どの回も迫真の聞き語り。

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失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断

失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断 ステファン・ウェイア

タイトルに惹かれて手にとってみた。世界史における残念な決断とか行動の歴史で一つのエピソードが図版入りで3から5ページにまとめられている。中にはこれが失敗?という感じのものもあるけどもだいたいが興味深い話。ただずっと通しで読むと断罪ぶりが鼻につくところがありちょっとしんどいかな、という気もした。なんとなく意識高い系な場所の待合室とかにあるとちょうどいいかな、という感じがした。面白かったけれども。

イタリアの鼻 - ルネサンスを拓いた傭兵隊長フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ

イタリアの鼻 - ルネサンスを拓いた傭兵隊長フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ ベルント・レック

ピエロ・デッラ・フランチェスコによる特徴的な鼻が際立つ横顔の肖像画で知られる傭兵隊長にして小都市ウルビーノの領主フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの生涯からルネサンスの世界を描く。ヤーコプ・ブルクハルトが賞賛した、文化・芸術を保護してウルビーノを一流の都市に育てあげた英明な君主像は果たしてどこまで実像に沿っていたのか。弟殺しや戦争に負けたことがないとされる戦績、あるいはライバルのマラテスタ家没落の真相など、ブルクハルトの評価に隠れていた真実を明るみに出しながらも、豪華絢爛な宮殿、また当代随一の蔵書など、フェデリーコの文化的センスや知識を紹介していく。非常に読み応えがあった。 そういえば、あの名高い鼻は、鼻梁が視野を邪魔して死角が生じて傭兵隊長としては不便なので手術したという風にどこかで読んだ記憶があったけどそうじゃなかったのね…。にしても、目を槍で貫かれても軽口を叩く胆力には驚嘆。

失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!

失敗図鑑 すごい人ほどダメだった! 大野正人

蛍光色なドギツい装丁と帯のインパクトにやられて購入。 どんなにスゴいことを成し遂げた偉人だって、 何かで失敗して、つまづいている。 どれだけの天才だって、 僕らとおんなじ人間なんだなぁというのがわかりやすく紹介されています。 小さな子向けの本なので、 文字も大きく、 ふりがなたくさん、 イラストもふんだんに載っています。 最後に紹介される人たちが、いいですね。 マイナスから学ぶ、プラスの生き方だってある!

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力 スーザン・ケイン

とかく世の中では外向型が持て囃されており、新卒採用時にコミュニケーション力が重視されているあたりは、その最たるものだと思われる。 内向型は「よくないこと」であるとして、幼少の頃から矯正対象になる。もっと自分から声をかけなさい、遊びに行きなさい、習い事をさせましょう、友達をたくさん作りなさい……。 こうした世間の風潮に、生きづらさ、消耗感を覚えている内向型人間は多いのではないだろうか。 本書では内向型人間が生まれてくる科学的な理由にスポットを当てる。そしていかにして現代社会を生きていくべきなのか、内向型ならではの強みは何なのかを解き明かしていく。内向型人間には随分と肯定感を高めてくれる一冊かもしれない。 無論、外向型人間にも数多くの長所がある。外向型と内向型は社会を動かすクルマの両輪であり、いずれが優れていると言うわけではなく、両方とも必要不可欠な存在なのだと思う。 幼少期の矯正と、社会適応の過程で外向型の皮を被った内向型人間に育ってしまった中途半端な自分としては、なかなかに興味深く読めた。内向型の子どもを持つ若い親世代にとりわけ読んで欲しいと思えた作品だった。

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