文庫

古都

古都 川端康成

この世に、自分と顔かたちがそっくりな片割れがいるのだとしたら、どう思うのだろう。 捨て子として京都の老舗問屋で育てられた美しい娘の八重子。自分は実の親から捨てられた、と思っていた八重子は、祇園祭で自分そっくりの苗子に出会う。自分と瓜二つ、けれども生活や身分は違っている2人のふれあいを幻想的に描いた作品。年頃の八重子が少女から大人の女へと変わっていく様子を京都の美しい春夏秋冬とともに描いた物語でもある。 作者の川端康成は、本作を朝日新聞に連載中、睡眠薬を多用していたようであり、それゆえか、なにかこの世のものとは思えない、美しさがあるように思われる。 苗子は、気品のあり美しい八重子を「幻」と例えたが、結婚を前に大人の女性へと変わらねばならない八重子を精神的に支えている苗子も、八重子にとってまた幻である。 この世に自分の片割れがいるとしたら。 わたしも自分の幻だと思うのだろうか。 八重子や苗子が互いを気にかけていたように、ただ幸せであってほしいと思う。

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TUGUMI

TUGUMI 吉本ばなな

帰るところがあるっていいな、と思う。つぐみのように、今という瞬間を純真に生きる、これって難しいけど、だからこそ彼女にみんな強く惹かれずにはいられないんだろうな。

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夢を与える

夢を与える 綿矢りさ

何小説というべきだろう。恋愛小説だろうか。 幼い頃から芸能界に浸ってきた主人公が栄光を掴み、そして墜落する物語。高く飛べば飛ぶほど、落ちた時のダメージは大きい。 印象的なのは、主人公が大ブレイクする前の方が総じて幸せそうだった所。旬のうちに多く稼がせようと仕事に忙殺され、季節の移ろいもあやふやに感じてしまうような生活は、辛い。しんどい。作中で描写されなかったお金が、見合った代価になっていればいいのだが。 スポットライトを浴び続けるということは、幸福なのか不幸なのか。読者の大半は舞台を眺める観客なのだから、その真実が分かることはないだろう。 墜落しても、生きている限り人生は続く。主人公が心から笑える日が来る事を願う。

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言い寄る

言い寄る 田辺聖子

完全に心掴まれた。 ああ、わかる。わかるなぁって何回も思った。 本当に好きな人なんて全然言い寄れないものなんだよ、それはのりこが説明している通りの心の動きで、相手のことを考えてしまうから。自分の好きより相手を煩わしてしまうんじゃないかって恐れが大きいから。そして、受け入れてもらえなかった日には絶望して心が絶えてしまう気がするから。 だからこそ、最後の方ではもう胸に迫ってせまって涙が出てきそうだった。あそこにいるのは私なのにって、すごく分かる わたしの性格ものりこに近いからか?余計に感情移入してしまって。絶対に言えないし、美々とも友達辞めるとか簡単にできないんだよね。美々のことだって憎めない、嫌いになれたいしどっかでやっぱり友達関係は続いていく。 ああ、つらいなぁつらいなぁ 残り2作、早くよまないと

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新世界より(上)

新世界より(上) 貴志祐介

再読。超編なのに世界観に引きこまれてしまって一気読みしてしまった。ファンタジーはどちらかと言えば苦手なのだが、妙にリアルで怖い。技術が発展し、それにともない様々な新しい病気や関連性がみつかっている21世紀において、考えさせられる一冊。

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絵の言葉

絵の言葉 小松左京

0100 2019/03/21読了 絵のメッセージの読み取り方、日本と西洋の絵のメッセージの違いについて。 西洋は象徴として描いてるんだなあ。 その辺の裏のことをわかると絵の見方も変わるのかも。歌舞伎とかも決まりごとを楽しむんだもんね。 気になることがたくさんあったのに、読んでて眠くて印象薄いとこもあったので、読み直したい。

乳と卵

乳と卵 川上未映子

なんでそうなったのか今でもわからないし、本人たちですら覚えてないのだけど、母は殺してやると叫びながら業務用のケチャップを父の禿げた頭頂部に、どゔぁどゔぁとかけ、父はそのケチャップを丁寧に手で拾い、母の顔に塗りつける。罵り合いながら、なぜか途中から笑い出して、風呂にでも入ろうかなぞという、その光景は当時の姉とぼくには理解不能だった。 その光景は、父のケチャップTシャツが大掃除のたびに細かい溝を拭く切れ端になって登場するたびに思い出すのだけど、そのケチャップ事件は、何も解決できない、問題なんてひとつも解決できない状況だから、生じたカタルシスなのだと、『乳と卵』を読んでいて、やっとわかったつもりになっている。 小説は言葉でできている。けども、言葉で考えられた小説か、そうではないかという点は大きく作風に影響する気がする。 ウィットなどの言葉遊びは言葉で考えるときに生じるもので、村上春樹や高橋源一郎の作品はそれによって、イマジネーションを得ている気がする。 一方で、小説がとてもキャメラ的、シーン的、ひょっとしたらアクション的なものもあって、むしろ手や足や口が言葉に先立ってある。 『乳と卵』は個人的にキャメラ的だと踏んでいる。振り上げた腐乱した卵を自分の頭に叩きつける、やさしさ。床の卵を自らお迎えにいって、頭を叩きつける、おかしさ。 優しくて、滑稽で、狂おしい、にんげんさま。川上未映子はシーンを思いついてから書く作家なのではないかと、勝手に親近感さえ覚えている。

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十二人の死にたい子どもたち

十二人の死にたい子どもたち 冲方丁

面白く読ませてもらいました。が、なんだかチグハグした感じの作品でした。 キャラの設定に重みが足りない感じがしたり、作品の中心である安楽死をする事と謎解きが上手くリンクしていない気がしたり。 最後のまとめ方は、良い話に仕立てた感じですが、それまでの流れは一体何だったのか、と感じてしまいました。 一人多い話は好きですけど。

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御家人斬九郎

御家人斬九郎 柴田錬三郎

テレビ時代劇のほうを先に見ていたけれど、原作も面白い!一冊だけではなく、続いてくれったよかったな。

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これが「週刊こどもニュース」だ

これが「週刊こどもニュース」だ 池上彰

純粋でシンプルな質問ほど核心をつく! 子どもに難しいニュースを伝える苦労 ストレートな質問から気づかされる視点 ただ理解してもらうだけでなく、将来の期待を込めた、素晴らしいニュース番組。 その舞台裏と狙いが勉強になる。 "伝える" 喜びより、 "伝わった" 喜びのほうが格別。

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音楽を愛する友へ

音楽を愛する友へ エトヴィン・フィッシャー

エトヴィン・フィッシャーが若き音楽家、音楽を愛する友に送る言葉。僕は若くはないが、モーツァルトやショパンやシューマン、そしてベートーヴェン、バッハを純粋に愛するピアニストの言葉を聞いてください。

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