社会

少年の名はジルベール

少年の名はジルベール 竹宮惠子

竹宮恵子と萩尾望都という二人の漫画家、そしてブレーンである増山さんという女性との出会いによって始まった同居は、後に大泉サロンと呼ばれるようになります。 少女マンガの世界を変革したいと叫ぶサロンのメンバーによる熱い議論は、たぶん、今もまだあちこちで解決されていない問題も含んでいておもしろい。 普通でも共同生活は難しいのに、漫画家が二人+サロンに集う漫画家志望の女の子たち。互いに刺激しあえるうちはいいですが、誰かに圧倒的な才能を感じてしまうと厳しくなりますよね。 たった2年でサロンは解散、ようやく読者の目を意識できた竹宮さんも迷路を脱出。本当に描きたかった、ずっと温めていた漫画を描けるようになります。そこまでの戦いもハンパない。 感性だけで描いていた表現から、技術の重要さに気付いて自分の表現を手に入れていく辺りは、読んでいてゾクゾクしました。 往年のマンガファンだけでなく、表現に関わる仕事をしたいと思っている方におすすめ。

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関係人口をつくるー定住でも交流でもないローカルイノベーション

関係人口をつくるー定住でも交流でもないローカルイノベーション 田中輝美

地方創生を国が推している中で、移住はUターンやIターンにとどまらず、アニメやコミックなどの舞台地ファンとして移住するスタイルも。ただ『やりたい』にしても、昔ながら住む既得権者との折衝や、移したいけど今の既得(しがらみ)では難しい、と考える方も多いと思う。移住は人生の転機でありリスクだ。興味だけでは相当の覚悟が必要だろう。本書では移住やふるさと納税、クラウドファウンディング以外でも携われる関係人口を論じている。離れていても、地域をあきらめないで応援し盛り上げて行く仲間。それならどんな関係でも人口が作れる。本書では、ソトコトの出版から仕事を事例としているが、アニメ作品の舞台ファンでも関係人口は作れるのだ。地域に興味があり研究して関わってみたいとなれば、是非読んで見て欲しい1冊。

まだ東京で消耗してるの? 環境を変えるだけで人生はうまくいく

まだ東京で消耗してるの? 環境を変えるだけで人生はうまくいく イケダ・ハヤト

そもそも自分で仕事を作り出せる人は、どこに行っても生きていけるのかもしれません。ないものがないため、不自由な東京と、ないものばかりなので自由な地方。イノベーションを目指すなら移住は選択肢になりそう。 ただし、与えられる仕事に慣れてる人は、まず考え方から変えないと厳しいでしょうね。雇用がないと嘆くんでは行く意味がないので。 食べ物がおいしくて安いのは本当にうらやましい。

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若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす

若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす 濱口桂一郎

ずっと積まれていたのを今更読了。 就活に悩まされた一個人として、「なるほど!」と思わず唸る良書。 筆者は厚生労働省の役人から労働政策研究の専門家になった人。 労働のあり方を、 欧米は特定の仕事に人を割り当てるジョブ型社会、 日本は特定の人に仕事を割り当てるメンバーシップ型社会 と二つに大別した上で分析。 入社というものがどういうものかを分析。 何故、就活に苦しむのか? どうしてブラック企業が日本にはびこるのか? といったことを歴史、判例や研究を元に綺麗に説明。 誰しも就活で思ってしまうであろう、 ・何故、新卒採用の時に、大学で学んだことではなく、テニスサークルの副幹事長の話をするのか? ・禅問答に近しい自己分析と就活の関係性 ・大学の学びの空虚さ ここら辺が一挙に胸に落ちた感じがある。 ブラック企業の分析に多少言葉が足りなかったり、 いわゆる一般職をもう少し広げた限定正社員の導入による労働政策の見直しが少し楽観的ではないか?と思う部分もあるが、 概ね頷くことばかり。 就活のテクニック本に疑問符をつける人には、是非読んで欲しい一冊。

民主党政権 失敗の検証 - 日本政治は何を活かすか

民主党政権 失敗の検証 - 日本政治は何を活かすか 日本再建イニシアティブ

民主党政権の失敗について、民主党議員へのヒアリングを元に何故ダメだったかを質的に検証している。 少し繰り返しのように見えてしまう部分はあるが、総じて民主党政権失敗の要因と一部分の功績が分かる。 主な失敗要因 ・圧倒的な政権運営ノウハウの不足 ・選挙対策に小沢一郎を入れたことにより、自民党の票田を奪うものの、実現不可能なマニフェストとなってしまうジレンマ 主な功績 ・マニフェストという形で公約を実現したかしなかったを見える化したこと ・子ども手当 ・診療報酬の見直し どうしても自然発生的でないアジアの民主主義の中で、元々の与党がノウハウを蓄積し続けてしまうため、二大政党制が中々根付かないという印象を持った。

知らなかった! 驚いた! 日本全国「県境」の謎

知らなかった! 驚いた! 日本全国「県境」の謎 浅井建爾

戦前、明治、時には藩政時代にまで遡り、現在の都道府県境界を定めるに至ったさまざまな因縁を紹介していく一冊。 都道府県境界は、通常河川や、山の分水嶺を起点として定められるが、歴史上の各種経緯により、びっくりするような例外事項が生まれている。 ネタ的に面白さの白眉は、幅1メートルの県境が新潟県と山形県の間に突き刺さった、延々7キロ以上も続く福島県の盲腸県境だろう。これは盲腸県境の末端にある飯豊山神社が古来から福島県側の信仰対象であったことによるもの。 地理好き、地図好きな方なら楽しく読める雑学本だと思います。

フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~

フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~ ジェニファー・L・スコット

毛玉がついた服を(毛玉取りをしてもどうにもならないやつ)捨てました。すっきり。もったいないと保管すると、自分の人生の方がもったいないことに。服は厳選。もらったものでも似合わないものは古着屋さんへ。自分らしさを伝えられる服だけにしたら気持ちがいい。

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くらべる時代 昭和と平成

くらべる時代 昭和と平成 おかべたかし

くらべるシリーズ、今回読んだのは「昭和と平成」。一口に昭和と言っても64年もあるけれど、本書で扱っているのはせいぜい昭和50年代くらい、つまり、現在40歳前後の人間であれば、端境期の存在として、本書の昭和と平成の変化を楽しく読む事が出来ると思う。 東京タワーとスカイツリー、ネオンはLEDに、板ガムは粒ガムに、巨大な肩掛け電話はコンパクトなケータイに、変わらないようでいても、少しづつ世の中は変わって行く。30年後にこのような企画本が再び世に出たら、どのような変化を楽しむ事が出来るのだろうか。 その時に、変化を楽しめる自分でありたいと思う。

記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞

記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞 門田隆将

2011年3月11日 24歳の1人の青年が職務中に津波に攫われ、彼は還らぬ人となった。 彼は津波に攫われる直前まで、避難誘導をしていた。 彼は、福島民友新聞という地方紙の新聞記者。それも地震、津波。原発事故という三重苦に今もまだ晒されている双葉郡を含む相双(そうそう)地区と呼ばれる場所の新進気鋭の若手だった。 これは、福島民友新聞社相双地区の記者たちが直面した真実。 この書籍の存在は知っていた。いつか読みたいと思っていた。あの日の光景をきちんと知っておきたいと。発行は震災から三年後、その時はまだ、読めずにいた。あまりにも辛すぎた。心の傷は時間が治してくれる。それでも、時間が短すぎる。だが、あれから7年たった。当時小学生だった子は中学校、高校、大学へと進学し、また社会人として新たな生活をスタートさせているし、その年に生まれた子供は小学校へ入学している。それだけ年月がたっているのだ。 いまなら、読めるだろうと感じた。確かに読めた。それでもあの当時感じた恐怖や悲しみや苦しみや感謝から自然に湧き上がる涙は取められない。 フクシマは危ないとか危険とかただ漠然とした感情だけで、いまの福島を訪れたこともない、住んだこともない。原発事故後に福島が県をあげてどのように取り組みを始めたかを知りもせず、一部しか報道されないことが全てだと、だだ周りの情報に踊らされている人たちすべてに、己の恐怖や痛みと向き合いながらそれでも真実を伝えようとしている人たちがいる事を知ってもらいたい。

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