社会

性表現規制の文化史

性表現規制の文化史 白田秀彰

えっちなことはいけません。 えっちなことを奨励する人より、「禁止せよ」って人の方がなんだか、道徳的に優れている気がするもんな。 けれど、どうしてダメなんだろう。 どうして昔からこんなことが議論され続けているんだろう。 人と性的な表現の関わりは複雑で、時代の流れが反映されている。この議論に終わりはないだろう。けれども、まぁ、なんだかんだみんな好きなんだ。 ちなみに表紙では「規制」の言葉で見えない乳首が、カバーの折り返しではしっかりと描かれている。そんなシャレた作りもいいね!

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人口減少社会の未来学

人口減少社会の未来学 内田樹

内田樹氏の呼びかけで10人の論客がさまざまに論じた人口減少社会の未来について。ヨーロッパの「反緊縮」潮流に関する論考、AIがもたらす変化へ国民は何にプライオリティを置くべきか、精緻な統計分析による思い込みの払拭、一次生産者たちとの密な関わりなど、どれも密度が高く面白いです。

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はじめての沖縄

はじめての沖縄 岸政彦

この著作は、沖縄についての研究が専門の岸政彦さん自身が、はじめて沖縄と出会って、沖縄病になって、自分勝手なイメージを沖縄に対して当てはめてしまっていたときのことが、思考の出発点となっているようです。 なぜ沖縄は、それを語る真面目な言説でさえも、「自分にとっての沖縄」というものを沖縄へ押し付けてしまっている側面が拭えないのだろうか。 そこに「本土/沖縄」という境界線があり、語るものは常にそれを抱きながら、軽々と乗り越えては行けないのだが、すぐにそれを忘れてしまう。そんな語られ方を分析し続け、まだ発見されていない新しい語り方を真摯に考察する本です。 『沖縄戦のさなか、米軍の攻撃を避けるために、ガマと呼ばれる洞窟にたくさんの住民が避難した。子どもや赤ちゃんが大きな声で泣き叫ぶと、それで敵にみつかってしまう。だから、親たちは自分の子どもや赤ちゃんを、自分たちの手で殺した。そういう話が多く語り伝えられている。』 この本では、大勢の方に直接聞いた話を具体的に引用しています。 『大規模で凄惨な地上戦と、それに続く27年間の米軍統治を経験した沖縄に、本土と異なる社会規範が形成されたとしても、それほど不思議なことはないだろう。』 あらゆる「沖縄的なもの」は、気候や民族的なものへ還元されるべきではないと、著者は言っています。 おだやかな文体で断片的に語りながら、本質的な部分にしっかりと触れていくしぐさは、前に読んだ「断片的なものの社会学」と共通で著者の魅力ではないでしょうか。 文献化されていない、一般の人の日常的な記憶を直接聞き取り記録するオーラル・ヒストリーは、それによって言語化されていない複雑で微妙な、当事者でしか分からない感覚へ近づこうとする行為。 目の前の家族ですら、その経験を取って代わることは出来ないし、そうやって蓄積された感覚の差異へ自覚的になり続けることも出来ない。単一民族で移民も少ない日本において、その感覚は増すばかりだ。以心伝心とは言うが、実は様々に存在している差異へ思考停止している部分も大きいのではないか。 僕らはいつも自らの社会を批判的に語り、世の中の矛盾へいらだちを表明しつつ、自身が思考停止している部分の「大きさ」へ気付かないフリをすることに慣れきっているのではないか、そんな痛い部分を拾われる思いでした。

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喧嘩両成敗の誕生

喧嘩両成敗の誕生 清水克行

「喧嘩両成敗」がどのように誕生したか。歴史の縦軸・横軸の両面から話が展開され、単に喧嘩両成敗の話だけでなく、室町時代・戦国時代の人々の生活や考え方が分かってくる。学校の授業では、応仁の乱や金閣・銀閣などくらいしか習わないが、実は興味深い時代なのだと思う。

なぜ中国人は財布を持たないのか

なぜ中国人は財布を持たないのか 中島恵

日本では「公」と「私」に分けられた所有が誇大化してしまったけど、本来二つが寄って立つ資源として「共」があり、二つの所有を枯渇させないための規範にもなっていた。中国では上手くこの「共」が成立しつつあるのかも知れない。

民主主義 中学・高校社会科教科書エッセンス復刻版

民主主義 中学・高校社会科教科書エッセンス復刻版 文部省

かつて民主主義に最も真剣に向き合わざるをえなかった時代の日本人が、民主主義をどのように捉え、消化しようとしたのか、そんな息吹の伝わる熱い教科書の再刊。今の時代がいかにその価値に関する問いを、棚上げしてしまったかよくわかる本です。

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 渡邉格

地方のある街の集合住宅・開発に置いて、公園と一体でまちづくり的な提案を行っていこうというプロジェクトに関わっています。南池袋公園など、飲食店事業を組み入れた公園管理も話題になっています。 都内ではカフェなどの外食産業ががコワーキングスペースや地域集会所的な活動でまちづくりに参加している事例もあります。その街ではパン人気が高く、パンショップを通じた地域ネットワークなどを考えられないか、色々と調べていくうちにタルマーリーの事例にたどり着きました。 千葉県で最初に創業し、岡山県・勝山を経て、鳥取県・智頭町の保育園をリノベーションして現在へ。タルマーリーというパン屋さんの軌跡とオーナーの思想がつまった本です。 できるだけ地場の素材を使い、環境にも地域にも意味のある素材を選ぶ。イーストも添加物も使わずに、手間暇かけてイチから天然酵母をおこして丁寧にパンをつくる。 真っ当な「食」に正当な価格をつけて、それを求めている人にちゃんと届ける。つくり手が熟練の技をもって尊敬されるようになる。そのためにもつくり手がきちんと休み、人間らしく暮らせるようにする、、。 まちづくりの視点、資本主義経済がもたらした様々な矛盾、地域通貨、循環する経済、発酵過程、自然栽培、この本には、たくさんの学びと感動があります。 ところで、「ホモ・サピエンス史から考える、人口動態と種の生存戦略」のなかで池田精彦氏は以下のような仮定をとなえています。 少子化が進むと労働力が不足し賃金が上昇する。企業が利潤を追求する限り外国から低賃金労働者を受け入れそれが日本人の低賃金化をまねく。 やがて田舎で自給自足の生活を送る人が増え、グローバル・キャピタリズムから自由になれる。同じような人が集まってコミュニティができる。 そうこうしているうちにAIの時代となり、労働者は極貧になって社会は一旦物騒になる。そこで、いよいよベーシックインカムが現実味を帯びる。 食料に関しては大方自給自足の生活をして、それ以外のものはベーシックインカムにて賄う。グローバル・キャピタリズムは崩壊して平穏な日々が、、。 ひょっとして、パン屋さんはこんな未来を先取りしているのかも?!。

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日本のこころの教育

日本のこころの教育 境野勝悟

著者が高校生に講演した日本についての講演内容をそのまま書籍化したもの。日本人って何?「さようなら」「お母さん」「お父さん」の語源は?その答えが本書にあります。読書後、日本の素晴らしさに深い感動が押し寄せます。

池上彰の「天皇とは何ですか?」

池上彰の「天皇とは何ですか?」 池上彰

ちょうど我が家でも、天皇ってどんなことをしているの?皇室の人たちってどこにいて、何をしているの?とか、毎日なにが起きているのかが気になっていたところで。ぴったりの本でした。天皇のお仕事、大変なんだなあ。恐れ入りました。譲位をきっかけに興味を持つ人が増えるのはいいことですね。税金の使われ方にもなにかのきっかけで気がついたり。皇室の方々もひとりの人として生まれているのだけれど、お立場上、なかなか難しいのだなあとこの本を読みながら改めて思うのでした。

ズームイン、服!

ズームイン、服! 坂口恭平

坂口恭平という人の名前や本は時々SNSで目に入ることがあり、試しに読んでみたこの本。当たりでした。ファッション関係のお仕事をされている方たちや女装家、猟師など色々な職業の方に服や仕事や人生の出来事を坂口さんが聞きまくる本。坂口さんがインタビューする相手に何をしているのか? どういう生き方してきたのか? ということをガツガツ聞き文章化している。ひとりひとりの情報量が多すぎ。でも読みやすい。そして濃い。各インタビューの最後にインタビューを受けた方たちの感想が載っていて「取材が独特」などここだけ読んでも面白い。読んでいて時々衝撃が走った本です。

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