新刊

下鴨アンティーク 白鳥と紫式部

下鴨アンティーク 白鳥と紫式部 白川紺子

2018/6/18読了 シリーズ完結編。野々宮家の代々受け継がれるものを、鹿乃もまた次代へと受け継いでゆくんだなーという象徴的な話が前半。多分この話が実質的な完結編。 後半は、これまでにも数話あった良鷹がメインの和風ホラーっぽい番外編かと思いきや、普通に本編に合流して、なるほどこの流れでまた新しいシリーズが始められる要素もあるなと思ったり…。

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なぜ、わが子を棄てるのか―「赤ちゃんポスト」10年の真実

なぜ、わが子を棄てるのか―「赤ちゃんポスト」10年の真実 NHK取材班

最近、子どもに関する辛いニュースが多い中、私がふと思い出したのが「赤ちゃんポスト(正式には”こうのとりのゆりかご”)」でした。 里親・子ども・赤ちゃんポストにわが子を預けた親・病院関係者…さまざまな立場の人へのインタビューや赤ちゃんポストの報告書等を基にした内容です。 赤ちゃんポストはドイツ発祥のもので、現在の日本でも「普及しよう」という流れはあるものの、国が積極的ではないために法整備が進まず、結果理想とするラインには立てていないというのが現状です。ここで言う理想とは、赤ちゃんポストの利用の前に病院や行政での相談・カウンセリングを受けるということです。本来ならば、「育てられない」というのは避けるべきものであり、また赤ちゃんポストは結果として「子どもを棄てる」ということに繋がります。しかし、現状、行政や病院にどういう制度があって、育てられないという場合にはどういう手当や措置がなされるのか…それを把握していない母親が子どもを遺棄する・孤立出産する・赤ちゃんポストに預ける…といった事案が多く発生しています。 母親と赤ちゃん、両方の幸せを両立するにはどうしたらいいのか。子どもの人権を守るにはどうしたらいいのか。 赤ちゃんポストの匿名性が抱える課題や、子どもへの将来の精神的負担…などに着眼しながら、前記のようなことを考えていく本です。

奇跡の男

奇跡の男 泡坂妻夫

本屋でゴリ推しされていたので購入。最近の本かと思ったら、ちょっと前の本で文体が少し古かったですね。この時代感が好きな人には良い作品かな。私的にはそのモードでは無かったです。

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝 阿部智里

八咫烏シリーズ外伝。6編。 素晴らしいキャラクター達が掘り下げられているのが、とても嬉しい。成長していく登場人物達の、純粋だった幼い頃の姿は懐かしく、微笑ましく、安らかであった。今の厳しく、悲しい現状に心痛める姿は読んでいても辛かったから。

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八月の光

八月の光 ウィリアム・フォークナー

逃走を続けるクリスマスに訪れる夜明けの夜と朝でもない空白の時間の一瞬をとらえたこの場面に救いを見た。「今まさに夜が明けようとする。鳥たちが一羽また一羽と眼醒めてのどかに囀りはじめる灰色の寂しい静止の時間。吸い込む空気は泉の水のようだ。彼は深くゆっくりと呼吸し、ひと息ごとに自分が曖昧な灰色の中に溶け込み、怒りや絶望とは全く無縁な静かな寂寥とひとつになっていくように感じる。『俺が欲しかったのはこれだけだ』と彼は静かで穏やかな驚きとともに思う。『三〇年間、欲しかったのはこれだけなんだ。三〇年かけてこれだけなら、そんなに贅沢とは言えないだろう』」p.476

ハックルベリー・フィンの冒けん

ハックルベリー・フィンの冒けん マーク・トウェイン

もう文句なしの名作で大昔に読んだことがあるけども好きな翻訳者の新訳ということで手にとってみた。なんとなく「トム・ソーヤー」がテレビアニメでやってたこともあってか子供向けの作品、という先入観があって読んでなかったのだけどヘミングウェイだったと思うがそういう自分が気に入ってる作家が褒めてたので試しに読んでみたらあまりの内容にひっくり返りそうになった記憶がある。その意味では「トム・ソーヤー」よりも本作のほうがより過激だという記憶があっての再読。まずやはり柴田さんの訳が素晴らしい。俺は英語ができないからあれだけどあとがきによると元々の原作は頭はいいけどまともな教育を受けていないハックルベリー・フィンが書いた、という体を取っているので文法や綴がめちゃくちゃで、喋り言葉そのままの感じなのか、でもリズムは良い、というものらしい。これを翻訳でどうにか再現しようとした結果がタイトルの「冒けん」にも現れている。ざっと見た感じ、ひらがなだらけでこれは読みにくいかも...と思ったけどもいざ読んでみるとするするいけてしまう、こういうところが名翻訳者たる所以なんだろうなと改めて感心した。昔読んだのはたぶん端正な翻訳になっていたと思うのだけどこちらのほうがなんというか文章に躍動感とリアリティがあって楽しく読めたと思う。ストーリーには今更触れる必要はないと思うけども大河を筏で進む様子や自然描写が改めて素晴らしいと思ったのと、貧乏白人、ペテン師やリンチなど今日にも通じる問題提起が実にうまく為されているなという印象。凄まじく悲しいシーンや思わず声を出して笑ってしまいそうな場面など何度読んでも素晴らしい作品。しかし時代背景から差別用語や差別的な内容がてんこ盛りで~もちろん作者は問題提起としてそうしているわけだけども~現代のアメリカ人、特に白人が読んでどう思うのだろうか、とも思った。

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僕たちのインターネット史

僕たちのインターネット史 ばるぼら

インターネットの黎明期から現代に至るまで、僕たちの中の誰かがインターネットをどのように捉えていたのかを軽やかに語ってくれる。 蛇口を捻れば、水が出ることを不思議に思わないように、デジタルネイティブも、またその仕組みに関心を抱くことはないという指摘は、当たり前だけどその通りだと思う。 人々がサイバースペースに夢をみていたこと、生命の原初のスープとしてのインターネットから、細分化されブラックボックスとかしたインターネットの在り方を知ることで、僕たち一人一人が、独自のパースペクティブをもって、歴史に1ページを書き加えることに意味があるのだと語ってくれる。 時化のときも凪のときもある情報の海原を前に さて どこへ行こうかしら ネットは 広大だわ

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月の炎

月の炎 板倉俊之

インパルスの板倉さんは、こんな切ない話を書くのですね。 少年の心が叫ぶ言葉に大人はどう答えればいいのか、分からない。

辞令

辞令 高杉良

ちょっと時間はかかってしまったが、やっと読了。 期待を裏切らず、面白かった。

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羊と鋼の森

羊と鋼の森 宮下奈都

外村と先輩とのやり取りに考えさせられるものがあった。ピアノに関する本であるが、仕事を続けることの難しさについても触れている。これから社会人となる若い人々に是非読んでほしい!社会人経験の長いベテランの方々には、この本を通じて自らの仕事についてこれまでの経験を振り返り、自分なら外村に対してどのような言葉をかけるか考えてほしい。

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ギリシア人の物語III 新しき力

ギリシア人の物語III 新しき力 塩野七生

作者最後の「歴史エッセイ」ということもあり、また取り上げるテーマがアレクサンダーということもあって楽しみにしていた作品。そうかエッセイなんだ...確かに小説ではないし歴史書にしては作者の感想や思いが前面に出過ぎているし、と思っていたがエッセイと言われるとなんとなく納得感がある。それにしては長いけども。ギリシャで遂に民主政が破綻し都市国家の力が衰たところに取って代わるように勃興してきたマケドニア王国のフィリッポス、アレクサンドロスの二代記。ハンニバル、スキピオ、カエサルと古代の名将が口を揃えて最高の武将と評するアレクサンドロスの戦争と征服がいかなる動機といかなる方法で為されたものでそれを作者がどう表現するか非常に楽しみにしていたのだけども期待は裏切られなかった。ギリシャの各都市国家から半蛮族扱いされオリンピックにも呼んでもらえなかったマケドニア王国、都市国家テーベの人質となることで都市国家の良いところ、特に軍事面において、を吸収し国力を一気に高め、ついにはオリンピックの主催者となり名実ともにギリシャの代表者の地位を得たフィリッポス。そして父の暗殺により若くして王位についたアレクサンドロス。彼の幸運は国をまとめ上げ、かつ素晴らしい教育をほどこしてくれた父を持ったこと。それによって国の内情に煩わされることなく、王位についた瞬間から長年ギリシャ諸都市を苦しめてきたペルシャ王国の圧迫に立ち向かうことができた。従ってアレクサンドロスの征服とは自分の王国を拡大し富を得ることが目的ではなく、ペルシャ王国の圧力を完全に排除することが目的で支配できた地域もペルシャ王国の領土である、ということが分かる。富貴を求めず常に軍団の先頭...文字通り騎馬軍団の先頭に立って敵に突っ込んでいくのだ...に立って戦い続け将も兵も分け隔てなく扱い、敗れた者への扱いも公正、好奇心に満ち溢れた若者の姿が作者独特の思い入れ溢れる筆致で生き生きと描かれている...ためにアレクサンドロスが亡くなったあとが急に尻すぼみになってしまうところも楽しい(笑) これで最後か、と残念に思う半面、書きたいことを書き尽くしたんだろうな…お疲れさま、というねぎらいの気持ちもある。本当に長い間楽しませてもらってありがとう、という思い。いい作品でした。

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