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裁判員裁判の様子がリアルに、新人女性裁判官の視点から描かれており、知識欲を満たす作品でした。ただ、事件内容は確かに興味深い展開をもっているものの、裁判員裁判を通すことによって事件が深みを増したり、新人女性裁判官の成長を見られたりというような物語的な面白さの面では少し物足りなく感じてしまいました。 |
コメントした本
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世にも奇妙な物語風味の、男性向けお仕事短編小説という感じです。 「理不尽〜!」と唸らせる作品が並びますが、最後にはほっこりとした気持ちにさせてくれるものもあり、歯噛みしつつも安心して読み進めることができました。 |
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都会から田舎にやってきた夫婦、ツマとムコの夏から冬にかけてのお話です。たくさんの生き物とおしゃべりできる無邪気なツマの語りと、文筆業の傍ら毎夜こっそり書いているムコの日記とが、交互に田舎での日々を描いていて、繊細で優しい2人の暮らしぶりが伺えます。 田舎での人々との交流や、冬に離れ離れになってもお互いを想い必要とする様は、絵本を読んでいるようなあたたかい気持ちで読めました。 |
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SFなのにとても常識的な価値観で世界が生きていました。壁抜けや瞬間移転などの様々な超能力も、個人差はあれど人間が持つ能力の一つとして受け入れられ、合理的に使用されています。 そのような世界観の中、ラゴスの旅の途中から人生の終着点付近までを、淡々と描ききった作品です。 実際に旅を追体験したかのような不思議な読後感です。 |
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加納朋子さんの優しさがいっぱいにあふれた闘病記です。大好きな作家さんなので、読んだときはショックでしたし大変なご経験だったことも隠さず書かれているので読み進めるのが辛くなるときもありました。しかし、加納朋子さんの持つ強い優しさを改めて感じさせる闘病記で、読まずにはいられませんでした。白血病に関わらず、病気を抱えている人に寄り添い、ご家族、ご友人の方をも勇気付けてくれる作品だと思います。 |
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木崎の日常との距離感や他人への不信感の増幅などが手に取るように感じられて夢中になり、最後までずんずん読み進めてしまいました。 ただ、もう一度ホテルへ向かうくだりが意外にもあっさりしていて、気持ちが置いてかれる感が…最後まで読んでも、もっと先を読みたくなります。 |
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感情も身体感覚も経歴も持たない「鈴木一郎」とは何者なのか、連続爆発事件を契機として刑事と精神科医が体当たりで探っていく物語です。鈴木は人間性の空っぽな存在ですが、読み進めるうち登場人物の中で最も人間味を感じるようになってくるのは何故なのでしょう。物語と鈴木という人間にどんどん引き込まれていきました。 |
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自らを神様だと言い、仮説や証拠なんて吹っ飛ばして様々な真相をズバズバ当ててみせる鈴木君。突拍子もない設定のようでいて、鈴木君の一言一言に、なるほどっと唸ってしまいました。 帯に綾辻行人先生が書いた「この事件の恐るべき真相を、あなたは正しく理解できるか!?」という挑戦状には完敗です。私には謎が謎のまま終わってしまいました。 |
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ミステリーの印象が強い東野圭吾さんのファンタジーに興味を持ち手に取りました。 悩み相談に最も不向きな三人組の回答にひやっとさせられたり、悩み相談をしていく人々の人生を並んで歩いてみたりと、様々な人物の視点から奇蹟の一部始終をみていく構成になっています。 この奇蹟は必然だったのかもしれないと、温かな気持ちで読み終えました。 |
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毎日新聞に掲載された46編の短いエッセイをまとめられた一冊です。日常のささやかな出来事から、取材に行ったり本を読んだりした事まで、小川洋子さんの繊細な感性と静謐な文章で書かれています。一編一編が小説のはじまりのような静かさと厚みをもっていて、薄い文庫本とは思えない、立派な小説を読んだような読み応えを感じます。 |
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自分を庇い龍に食べられた妹を救いにダンジョンに挑む剣士ライオス。しかし魔物を食べたいというずれた欲が頭をもたげ、仲間にドンびかれながらも道中魔物を喰いまくります。たくさん笑わせていただき、魔物の生態に感心させていただきました。大好きな作品です。次巻以降も期待しています。 |
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外ネコ(野猫や野良猫のことをこの本ではこう呼んでいます)に餌をあげることに不快感を覚える人、そもそもネコが苦手な人には読みづらい本かもしれません。木彫りの熊や猿や蚊などの話も出てきますが、ネコの話が大半です。ほのぼのとした四コマ漫画を読んでいる気分になるエッセイです。 |
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いつ読んでも森絵都さんの作品は心を洗濯してくれます。こちらの短編集も、登場人物も舞台もテーマも全く違う10の短いお話でできていますが、どのお話も国境や年齢といった垣根を飛び越えて心が交差し合う様子が描かれているように思いました。解説を読むと、なるほど「気づき」が物語の要になっているんだと気づかされました。 |
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何者にもなれずもがく就活生。就活生じゃなくても、SNSを使っていなくても、10代20代の人には思い当たる言葉がありそうな作品です。世代ど真ん中の私は読みながら嫌な汗が出そうでした。終盤、人間関係を壊してしまうかもしれないけれど放つ一人ひとりの言葉は重くて大切だなと感じました。 |
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久々で覚えていなかったので再読しました。さすが渡辺淳一先生、「しも」が全ての話に関わってきます。しかし、下町の温かみと円乗寺先生の人柄が、そんなデリケートな内容でもほっこりと人間味を感じさせる不思議な力をもっています。あとがきの「医は仁術」という言葉に対する著者の考えにも、なるほどと考えさせられます。 |
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大切な言葉がたくさんつまった、生きることや人と過ごすことが愛おしくなる物語です。他人との距離感に線引きをしている「友だち」や「恋人」という言葉では表せない「仲良し」な関係って必要なのかも、と思わされました。 |
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前作から更にパワーアップして暴走していく登場人物のユニークなキャラクター、大好きです。あとがきでは震災についても触れており、著者の葛藤や人柄の良さも感じられました。 |