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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

神田村経由専門書版元

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コメントした本

よい移民

イギリス在住の「BAME」である執筆者たちが「移民」と人種をテーマとするエッセイをまとめたアンソロジー、よい移民であるとジャッジされる側にいるとはどういうことか?誰がジャッジするの?そもそもよい移民とは?その基準は?気づかされる点多し。 (「BAME」とはBlack,Asian,Minority Ethnicの頭文字を取った言葉で「黒人、アジア系、エスニック・マイノリティの意」)あとがきより 「よい移民を超えて」「トークニズムについて我々が語るときに語ること」とシリアスなタイトルが並ぶなか、「ケンドー・ナガサキと私」が!ケンドー・ナガサキ?ときどき見る修斗KO集でジーン・フレージャーにあっけなく負けたプロレスラーがなぜ?と読んで見ると予想外の面白さ。 面白さが半減するのでアレだけど、本書のケンドーナガサキは私の知っているあの人とは別人だったてこと。セメント最強と呼ばれたプロレスラーが修斗の試合に出場したぐらいしか知らなかった。プロレスの世界は奥が深い。イギリス労働者階級のお供、日産マーチもしっかり登場「彼女は特徴的な紫色の日産マイクラを運転していたが、その車は彼女の外見に驚くほど似合っていなかった。」国旗 p.171

6日前

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潜入ルポ amazon帝国

体を張った取材で外からはうかがい知ることのない現実を知らせてくれる著者による14年ぶりのamazon続編、変わらず胃の痛くなるような労働環境に脱税ギリギリの税制スキーム。全てを喰い尽くすイナゴを思い起こさせる様はまさに「システム」 コミッショネア契約と呼ばれる税制スキームは本来であればアマゾン本社が行う業務を日本法人が代行することに対し本社が委託手数料を支払うという仕組み。あくまで売り上げは本社であるということになる。これにより売上高を10分の1に圧縮しその差額を事業運営に使う。 100メートル走に例えるならスタート時点ですでに90メートルにいるという事か。社会インフラにほぼただ乗りしている点は商売としてはありかもしれないが、胸に手を当てて正しいことと言えるのか。 直取も現状のままでは恐ろしくて考えられない。 絶対掛け率変えるでしょ。 リアル書店という言葉がどうにも好きになれなくて 強いて言えば町の本屋さん?に行くのがライフワークの一つなので、本は手に取って買う。 本だけではないけど、足を伸ばせば届く場所で売っているものはネット通販は使わずに買ったほうがその町を豊かにするし、自分の為にもなる。

21日前

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独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

「独ソ戦」大木毅著岩波書店、ナチスが軍事的合理性を欠いた戦略を選択したのは「人種主義にもとづく社会秩序の改編と収奪による植民地帝国の建設をめざす世界観戦争であり、かつ「敵」と定められた者の生命を組織的に奪っていく絶滅戦争でもあるという、複合的な戦争だった」p.220 人種より個人を! 本書では文献解題として資料が示されている。 大変失礼ながら存じ上げない版元さんもあり、まだまだまだだなと思うと同時に目立たないながらも有意義な出版をされている版元さんに頭が下がる。

約1か月前

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戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険

「掃除婦のための手引書」ルシア・ベルリン著の一編「いいと悪い」に登場する共産主義者のドーソン先生が強烈な印象を残したので、チリとはどんな場所なのかと興味が湧いた。本書はその共産主義革命が一応合法な選挙下で達成された後クーデターが発生しピノチェト独裁政権戒厳令下のチリに反政府派の映画監督で自国から追放された映画監督が潜入するドキュメント。遠い昔かと思いきや日本では科学万博が開かれたバブル前夜の1985年の出来事。圧倒的不利な状況でも抵抗する人々の姿が逞しい。

約2か月前

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誘拐

吉展ちゃん誘拐事件に揺れる世間。本書はその世間の醜さも映し出す。誘拐に苦しむ被害者家族や支える人達に対するいたずらや脅迫だ。 「この種の脅迫者は自分を特定されない空間に置き、受動的な立場をしか選べない相手を、思いのままにいたぶる 闇の中の存在である彼は、そういうとき、普段は決して現わさない奥深くひそめた残忍さを、海中の発光虫のように、隠微に解放させているに違いない」p.204 人間の本質は今も昔も変わらないという事か。ネット社会の現在はより巧妙に更に奥深く広まっているのだが。

3か月前

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オレの好きな48のファイトスタイル

第6代修斗世界ライト級チャンピオンにして理学療法士の著者は試合中に受けたダメージで急性硬膜下血腫により生死の境をさまよう。本書はそのリハビリ状況と共に始めたイラストと自身の競技人生を振り返る。 著者本人がリハビリ専門職ということもあり冷静だが暖かい文章と看護師である奥様のノートも読ませる。 リハの苦しさはあまり前面に出さず前向きにとらえる姿勢は流石チャンピオンというべきか、徐々に上達していくイラストも同様の症状を抱える患者さん の励みになりそう。医師、PT、OT、ST、看護師さん必読。 MMAのみならずラウェイ(ミャンマーの格闘技、ムエタイに頭突きを加え素手で殴りあう)で現地で戦い初めて勝利した外国人選手としても歴史に名を刻んだ名選手。 Fight&life創刊号での理学療法士になるまでの過程を追ったインタビューは良かった。

3か月前

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待ち遠しい

若さゆえの想像力の欠如なのか弱さを隠すための突っかかりなのかさっぱり理解できない沙希を見守り、わかり合うことは無理かもしれないけどそれでも一緒に生きていこうとする春子とゆかりのまなざし。 物語は三世代に渡る女性の姿を描いている。物語の中心となる春子は自分と同じ就職氷河期世代、高度経済成長を経て繁栄を極めた時も知っているし今日の没落しつつある時代も知っているので俯瞰で見ることができる。時代の犠牲となったともいえるが想像力は養えた。自己責任という言葉の身勝手さも。 「どの年代にも、結婚しなかった人、子供がいなかった人、一人で生きてきた人 、一度は結婚したり子供を持っても離れなければならなかった人いろんな人がいる。その誰もが、仕事をして、ささやかな楽しみを見つけて、自分の人生を生きてきた。」P.211、本文中ここにグッと来た。想像力を働かせよう。ジャッジするのはやめようと。 ところで本書は大阪住宅小説ともいえるが、春子の住んでいる場所はどこなのだろうか。「地上を出てすぐ川の上を走る」「勤め先に乗り換えなしで行けることも大きかった。急行か準急で二十分ちょっと。」から御堂筋線で千里あたり?御堂筋線の地上に出て道路と並走するところが割と好き。少年ナイフのカバー曲で使われた発車メロディーも。

4か月前

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世間のひと

40年にわたり浅草寺界隈にいる人たちのポートレイトをとり続けてきた写真家による作品集。「社会が均質化して濃い人が少なくなった。だが人の森はまだまだ奥深い」p.221とあるようにこの本に登場する市井のモデルたちの濃度は時空を超越する。「腰から鍵束を下げる男2011」と「股引のズボンと足袋の老人1973」は年代を入れ替えても全く違和感がない。40年もと捉えるのか、たかが40年と捉えるのか。最近は後者に近い。時代は目まぐるしく変われど人の本質はそうは変わらない。

5か月前

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ユリイカ臨時増刊号(6 2019

内沼さんの寄稿「泡」と「水」という視点、「泡」を洗い流すための場所として書店が機能する、いわばハックされまくる日常からのアジールとしての役割を果たすと理解する。いかに「水」を与えられる場所になるのかこれからの書店が目指す道標の一つだ。更にハックされない場所としての書店を考えるときスタンダードブックストア中川さんの対談で出てきた立ち飲み屋併設の書店も面白い。立ち飲み屋は基本キャッシュオンデリバリーだからテクノロジーの入る隙はない。せいぜい店員にコイツの頼むのはいつもレモンサワーとマグロブツだなあと思われるぐらいだ。 奇しくも東西で同じような考えが出てきたことに偶然ではない必然を考える。 昨今立ち飲み屋の隆盛も(単に所得が低くなった可能性もあるが)皆さん、もうハックされるのに飽き飽きしているというかソフトなディストピアに嫌気がさしてるんじゃないかという気もしている。しかしアプリや端末で管理された立ち飲み屋があったらやだなー。資本系でありそうだが。フェイクはダメよ。

6か月前

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女たちのアンダーグラウンド

横浜は港町という特性から古くから様々なルーツを持つ人々を受け入れてきた。いや受け入れてはいないそこには差別を含む哀しい歴史もあった。その状況でも一歩一歩進んでいくこの町を本書は書いている。 黄金町ガード下に存在していた違法風俗「ちょんの間」は2000年代前半に行われた浄化作戦によって壊滅してその跡地をアートの街として再生を図っているが2019年現在、全く静かすぎる活気のない一帯となってしまった。行政がお膳立てしその意向に沿うものだけを認める官製アートの限界が如実に表れている。批評なき芸術は果たして芸術と言えるのか。もちろんプロパガンダ作品にも優れたものがあるとはいえそんなことを問いかけてくるハマの黄金町ガード下を今日もぶらりと通過。 補足すると地元の人もアートが最適解とは考えておらず 過渡期的状況とは捉えているよう。

7か月前

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アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

アマゾン倉庫内で若い現場監督に叱責される60年配の男性、自信を無くしその日の休憩時に退職し、日産マイクラにて迎えに来た妻が駆け寄ってからその運転で帰るまでの描写に切なくなる。 「そのとおりになった。その日のランチ休憩のとき、私が外で突っ立ってタバコを吸っていると、例の年配の男性が建物からふらふらと出てくるのが見えた。彼はそのまま、2番目の金属セキュリティ・ゲートをくぐっていった。駐車場のいちばん端にあるその背の高いゲートのまわりには、巨大な黒い金属フェンスが張りめぐらされていた。充血した眼の不格好な男性はあたかもすべての活力が奪われたかのように体を動かした。彼はよろよろと歩いて駐車場に行き、小型のニッサン・マイクラのほうに向かった。車にはライトが灯り、エンジン音が静かに鳴っている。彼が車に近づくと、だらしない身なりの老婦人が運転席のドアからささっと出てきた。悲しみに打ちひしがれた男性の顔をじっと見つめ、彼女はダッフルコートのポケットからハンカチを取り出し、相手に駆け寄った。女性は茶色いシミだらけの手で男性の顔にハンカチを押し当て、何があったのか教えてほしいと乞うた。このわずか1,2分の光景のすべてが涙を誘うものだった。 車が動き出すとバスタブに浮かんだプラスティック製のアヒルの人形のようにふたりの頭がひょいと動いた。車はゲートをくぐり、そのまま消えた。それから二度とふたりを見かけることはなかった」p.62~63 日産マイクラ(日本名マーチ)愛嬌ある出目金のK12が駐車場にポツンと止まっているのを思うと何とも切なくなる、K12じゃないかもしれないが脳内ではこう変換されていた。 本書を読むと何故、労働組合が存在するのか、また組合なき職場での資本の暴走具合がよく理解できる。一人ひとりの労働者の力では強大な資本に立ち向かうのは難しい。万国の労働者は団結すべき!「ギグエコノミー」と言う一見耳障りの良い搾取システムが日本に浸透するのも時間の問題。

13日前

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3月28日金曜日の日記、当日は連合赤軍事件で後に死刑判決を受ける坂口弘の最終弁論の傍聴に出かけている。被告の必死の命乞いに顔を正視することができなかった小雨降る帰り道に、以前「早稲田文学」寄稿した「雨」という短文の事を思い出す。 そこに書かれている心情は同事件で死んでいった同じ大学出身者の心情に微妙に重なるものがあることに気づく。 「私が通った大学は、その何年か前まで麻薬の巣窟として有名だったK町とH町のドヤ街を抜けた丘の上にあった。<中略> 坂の下のドヤ街では酔っ払いが昼間から大声でわめきながら酒屋の前で転がっていたし、スリップ一枚の女が金をくすねたらしい子供を追いかけて往来で掴み合いをしていたりした。また、高架の電車からは、連れ込み宿の明け放した窓の中に眠りこけた男と女の姿を見ることも珍しくはなかった。<中略> 坂の下のドヤ街は、しかし夕方を過ぎると淡く灯が入った店の中からは流行歌が流れ出し、男も、女も、店も、街も、昼間の汚れがすっかり消え、不思議な艶やかさに輝きはじめるのだ。 私はその坂を登り、下りるためだけに大学に通っていたような気がする。雨が降ると、坂道のアスファルトに、前屈みに登っていく自分の姿が薄く映る。もし私に青春というようなものがあったとすれば、雨の坂道に映った、暗くぼんやりした像こそが、その時代の象徴であったような気もする。<中略> 恐らく、死んでいった彼らも、その坂道の登り下りの中で、何かを見出してしまったにちがいないのだ。」p.210~213 通学経路に若干の疑問が無いわけではないが、同じ坂を登り下りしたものとしてはその心情はよくわかる。

27日前

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はま太郎

「はま太郎Vol.16南区特大号」星羊社、横浜中心部にありながら観光客ゼロメートル地帯。ヨコハマからイメージする華やかさとは全く縁の無い、愛すべきジモト南区の特集とは嬉しい。小学校の社会科見学はカモメパンと捺染工場、副担は演芸場の娘。酒の美味そうな店多数掲載。 故歌丸師匠が南区制70周年記念誌に掲載されているインタビューで語っていた「東京は金儲けをするところ 横浜は暮らすところってね」これ現在全く同じ状況なのでしみじみする。東京いい町なんだけどオリンピック決定後のせわしなさに全くついていけず。工事しないと死んでしまうのですかと問いかけたい

約2か月前

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

キリっとした切れ味鋭い短編集。「どうにもならない」のアル中描写が染みる。「それから家を出て角の酒屋に向かった。もう今なら開いている。」p.120 やめようとは思っているけど脳にジワリとしみこむ誘惑。 トラックを暴走させるジョン叔父のアルコールが入った脳髄による根拠のない高揚感及び全能感が痛い。

2か月前

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罪の轍

オリンピックの身代金でこの時代を描いた著者による実在の事件をモデルにしたミステリ。 「誘拐」本田靖晴+「少年」大島渚の世界感というべきか。寛治の逃避行の先をもう少し見たかった。 カバー写真は傑作写真集「張り込み日記」渡部雄吉としっかりとした世界感はまさにプロの仕事。奥田作品によく出る やたら勢いの良いレフトの活動家も健在。「椅子に片膝を立て、足に水虫を塗りながら」P.46この場面どこかで見たか読んだ気がしたけど どこだろう。まさにこの時代にありそうな場面。 物語で重要な役割を果たす東京スタジアムその跡地は日光街道上り線千住大橋の陸橋で左の視界に入るのだが(ライフの看板が目印、通り過ぎる度にここがあの場所かと再確認する。 名選手榎本喜八もここでプレイしていたのかと感慨深い。そして現役引退後も上鷺宮の自宅からここまで走っていたのかと。

3か月前

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我らが少女A

本作には合田雄一郎も登場するのだがあくまで物語の一部に過ぎない。少女Aこと朱美の母亜沙子の網膜に映る武蔵野はそのまま彼女の心情風景と重なる「線路沿いの、人けのない生活道路を無心に歩く。ふだん気に留めたこともない車返線の門型鉄塔をまじまじと眺め、ところどころ残された畑地の白菜や大根を眺め、地平線に横たわる武蔵野の雑木林の黒々とした帯を眺める。ブォーンという低い唸りが聞こえて空を仰ぐと、手を伸ばせば届きそうな高さを白と青のツートンカラーの小型機が横切っていく。目を細めてそれを見送り、亜沙子はふと、三十年近くも棲んでいる武蔵野の風景に自分と娘は含まれていないのを感じる。」P.47 調布飛行場を離陸する小型飛行機も本作では小気味良いアクセントとなっている。そして雄一郎が登場してから25年ほど過ぎた今「少し早いけど、Merry Christmas!」P.512に驚くとともにまだまだ世の中棄てたもんじゃないという希望も沸く。25年の歳月は人も変えていく。

3か月前

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トリニティ

「新文化」豊崎さんの連載で気になった一冊。短大卒(正確には高校卒)の鈴子「高度経済成長を裏で支えていたのは、鈴子のような生活を支える女たちだ」、そう一見地味にみえた鈴子が最終的にはタフだった。国ぐるみの労働ダンピングで見せかけの繁栄を築いたが「女を馬鹿にするな!女は学生運動の飯炊き女じゃない!」と本来是正を目指すべき学生運動ですら本質は一緒。いつまで男は胡坐かいてんだ。そして読後、登紀子のモデルとなった三宅菊子の明と暗を書いた評伝を読みたくなった。

4か月前

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台風一過

「台風一過」植本一子著河出書房新社、この日記文学シリーズも4冊目。うちの本棚にも4冊目が並ぶことに。YouTubeおすすめで動画が出てくるの場面での下の娘さんが小声で耳打ちする言葉にはっとするというか心が揺さぶられる。挟み込まれる写真の光線の具合が良いな。

6か月前

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ミナトのせがれ

ハマのドンこと藤木企業会長藤木幸夫氏の自伝。コンプライアンス的に大丈夫なのか心配になる三代目山口組組長田岡一雄との交友も隠すことなく記してある。帯文は石原前都知事。このような清濁併せのむ人物がカジノ反対なのだから尚更説得力あるよね。カジノ不要! 漂白されすぎたのっぺりした町は息苦しくて窒息しそうだし福富町や伊勢佐木当たりの灰色より黒ががったグラデーションも生きていく上では必要だと思う。ただカジノは真っ黒すぎるしハマが潤うとは全く考えられない。 いまぐらいの黒さがハマには丁度良い。 「田岡のおじさんが港湾荷役で果たした功績を述べて葬儀の許可を求めたが、なかなか良い顔を見せてくれない。そこでムラゲンから教わった通りのことをいった。 「おのう、警察はお世話になった方に、お世話になったといっちゃいけないんですか」 「そんなことはありませんよ。世話になった人に感謝するのは当たり前のことです。」 間髪を入れず、私は畳みかけた。 「港もそうです。港はそれが葬式なんです。」 「じゃあ一件だけ許可します。」 新神戸駅の奥にある禅寺を使ってよいと、兵庫県警が私に許可してくれた。 「ただし、ヤクザが一人でも来たら、即刻、葬儀中止をかける」 全国船内荷役協会としてやるんだから一向に構わない。 「結構です」 私は喜んで応じた。本当にムラゲンのいった通りになった。以上の経緯で、田岡のおじさんの葬式が出せた。全国船内荷役協会葬だったから、清川虹子、勝新太郎、みんな喜んだ。山口組の葬式だったら花輪を出せないが、港の関係者の葬式だから大威張りである。神戸の市長、その他公職にある方々も大勢参列した。 田中清玄のおやじも、「いいことをしてくれた、いいことをしてくれた」と同じ言葉を繰り返して喜んでくれた。」 p.269~270 有隣堂伊勢佐木町本店5階にて購入。

6か月前

味の形 迫川尚子インタビュー

「味の形 迫川尚子インタビュー」食と人 vol.01 fermentbooks、ベルク副店長のインタビュー集。味覚が形となって表れる「共感覚」もしくは「構造感覚」の持ち主である迫川さんの感覚に迫る。内的なものを他者が理解するのは難しいが読み進めていくとこんな感じなのかなと想像できる。大麦と牛肉の野菜スープの写真がとにかくおいしそう! 滋養たっぷりそうで飲んだ後によいかも。

7か月前

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