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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

神田村経由専門書版元

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コメントした本

真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男

タイガーマスクとして一世を風靡したプロレスラーであり現在のMMA(総合格闘技)の礎を築いた佐山聡。系統的に言えば自分は佐山先生の孫弟子になるのだが、プロレス引退から総合格闘技「修斗」創設その「修斗」との決別に至る経緯は不明な点も数多くあるだけにその時代に多くを割いた本書は「いま、ここ」を知るにあたって貴重な一冊となった。 佐山聡に強く感じるその悲劇性とは ①プロレスラーとして天才であった ②総合格闘技を競技化しようとしたが天才由に時代の先を行き過ぎ理解されなかった ③そのコンセプトだけを換骨奪胎した疑似格闘技が登場 し社会現象までなってしまった ④発明者であったが経営者でなかった。 総合格闘技が全くない状態から競技化を推し進め一から作り出した、先人の努力にはここからの敬意を表する。オープンフィンガーグローブの特許を取っていれば今頃は・・・、修斗との決別にここまで触れたというか可視化されたのは初めてでは?もちろん真相は藪の中というか羅生門なのだが。 「第15章 修斗との決別」忘れたい過去であってもしっかり向き合う中井祐樹先生の「ぼくらはもう限界みたいな感じでした。全てを変えなきゃいけない時期に来ていた。新しい時代に行かなきゃいけないと思っていた。あのときぼくは若気の至りだったのですが、(佐山を)外すべきだと頑なになっていました。今でもとんでもないことをしたと思っています。だけど後悔はしていない。あのときはそうすべきだと考えていたからです。 ただ自分は先生を外すことに賛成した。それは言い続けなくてはならないと思っています」p.483 という覚悟にグッと来た。こうあるべき大人の姿勢を見習わねばと思うと同時に「いま、ここ」と立ち位置を確認した。

約9時間前

『砂の器』と『日本沈没』 70年代日本の超大作映画

加藤剛氏と橋本忍氏が続いてお亡くなりになったので再読、「砂の器」の涙腺崩壊システムをロジカルに解説。と言っても再上映があれば見てしまうしすっかりこの映画の虜。読んで見てまた読んでの幸福。時代の熱さというべきか。 「砂の器」はその強引な涙腺崩壊システムや国鉄の「ディスカバージャパン」的な古き良き日本の風景を旅するロードムービーの魅力はもちろんだけど、旧サンカマタビルや呑川と国電時代の水色の103系や路面店時代の内外地図で5万分の1地形図を買い求めるシーンとか時代の切り取りも魅力。その松江、高梁地域の5万分の1地形図を買い求める求めるシーンで店員さんの読み上げが飛んでいるけどある程度絞って買ったんだろうな。「米子」松江12「松江」松江16「横田」高梁13。当時は5万分の1が主流だったのか。小縮尺で俯瞰でみられるのは利点。 元売捌も2社になったけどこれからも頑張ってください! 書店員さんに地形図の番号の仕組みを教えるお仕事。

21日前

未解決事件 グリコ・森永事件 捜査員300人の証言

NHKスペシャルとして放映された「何故、かい人21面相を逮捕できなかったのか」その原因を当時の捜査員と共に探っていったこの番組は放映当時新たに判明された新事実にこの事件を追ってきたというほどでもないが興味を持ち続けてたものとして驚愕した。そして書籍化されたものを文庫化。文庫化にあたって加筆等は無いのが悔やまれる。事件当時、森永の1,000円パックに喜んでいた子どもからすっかり大人になってしまった身としてはキツネ目の男に職質をかけるかどうか?組織、現場どちらの対応もわかるだけに悩ましい。 事件の主な舞台となったのは先月大きな地震のあった北摂地域、その都心でもなく地方でもない独特の風景が印象に残る。 赤軍とグリコ・森永事件については何年かに一度は本が出るけどついつい読んでしまう弱点。「罪の声」再読しようかな。

約1か月前

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読書の日記

学会準備及び書店廻り終了。帰宅路の新幹線にて「読書の日記」阿久津隆著NUMABOOKS、本の案内をしながら買ってしまうというよくわからないループ。いまは「八月の光」あたり、翌日仕事なのでアルコールはないがすこぶる好調。 と書いた半月前。現在進行形で気の向いたときにパラパラとめくる。 例えば本日7月8日の日記 「寝る前に酒を飲みながらウルフを読んでいたら『幸福』という気持ちになった。ウルフは相変わらずあれこれに一喜一憂していて、その様子を見ていたらというか、ただ読んでいたらなんでだかとても満たされた気持ちになって、同時に、『こんなに働いたらやっぱりダメだ。こういう時間をもっととれるようにならないといけない。明日店に行ったらまずは皮算用だ。Excelだ』と思った」P.831 思わずクスっと笑う至福の時間だ。

約1か月前

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はじめての沖縄

学会無事終了後帰宅路の新幹線にて久しぶりのよりみちパン!セシリーズ。計らずも慰霊の日と重なる。何も出来る事はないが、その歴史の記憶を忘れずに留める。 過去の一瞬が七十年の時間を経て再び交差する瞬間に 出会うこの場面に長い人生の重みを感じる。 「どの経験も、どの物語も、すべて沖縄である。聞き取りの目標を百名にして、いまこの文章を書いている現在、四十名ほどの方から聞き取りをしているが、そのなかで数名の方が、共通して『空襲のとき、那覇港の石油タンクが燃えて、その光がここまで届いた』という話を語っていた。小禄のほうまで、あるいはもっと遠く、首里のほうまでその光が見えたという。この語りは県史などのほかの資料でも語られている。おそらく当時の那覇周辺の人びとの多くが目にした光景なのだろう。あのとき膨大な人々がほんの一瞬だけ、同じ音を聞き、同じ方向を向いて、同じ火を見たのだ。だが、その瞬間はすぐに過ぎ去り、違う人生が再び始まる。語り手の方々はみな、筆舌に尽くしがたい苦労を経て、それぞれの道を歩んだ。その道は、沖縄中、あるいは日本中・世界中に分岐し、枝分かれして、そのほとんどは二度と交差することがなかった。語り手の方々が語る人生の物語は、まさに沖縄戦後史そのものである。戦争が終わり、戦後復興期もやがて過ぎ、高度経済成長と復帰運動の時代になり、そして復帰後の不景気を乗り越え、バブルを経て、現在の沖縄へと連なる、個人史の長い物語が語られるのだ。あの火を目撃した人びとは、その後のそれぞれの人生の中で、公設市場の八百屋になり、県庁の公務員になり、タクシードライバーになり、本土に出稼ぎに出かけ、琉球大学を卒業して教員になって、それぞれの長い人生を歩んでいく。そして私は、そうした人生の物語に、小さな公民館で、国際通りのカフェで、あるいはご自宅で、ゆっくりと数時間、耳を傾ける。あの瞬間に一瞬だけ同じ火を共に眺めた人びとが、それぞれの長い人生の軌跡を経て、たまたま私と出会い、あのときに見たあの火の話を語る。七十年という時間を経て、火の視線はもういちど交差する。」P.127~128

約2か月前

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これからの本屋読本

出版に関わる人々必読。昨今の出版業界悲観論に組することなく、まさにこれからの本の在り方の道標となる一冊。 「さらに言えば信憑性の薄い「ニセ医学本」や、差別意識を煽る「ヘイト本」などは、まさしく「ポスト・トゥルース」的な本だ。そしてこれらはいまに始まったことではなく、ずっと前から存在する。それらの本はもちろん「ニーズ」があるので、大量の部数が刷られ、まとまった数が売れる。多くの旧来型の書店では、よほど誰かが意思を持って拒否しない限り、出版流通に乗っているその手の本は自動的に入荷する。同じシステムのもとでどのような本も分け隔てなく扱うことこそ、特定の思想に偏ることなくフラットで、本屋のあるべき姿である、と考える人もいる。けれどぼくは、その考えには明確に反対する。その先には、本屋までがテクノロジーに吸収される未来しか待っていないからだ」P.109 に思わず膝を打ち、 「だからこれからの「本屋」の仕事は、本をできるだけ誠実に選ぶことだ。できるだけアンテナを張る。わからないことには無理に手を出さない。新刊の洪水が続く中、自分がわかる範囲で、できるだけ胸を張って、意思を持って差し出せそうな本を選ぶ。個人として、できるだけ正しくあろうとして、少しずつ、全方位的に目配せできるように努めていく。第一れも完璧であることはできない。できていないことも自覚しながら、少しでも誠実な場を提供することで、客との信頼関係を築いていく」P.111 に襟を正す。

2か月前

Ede2370c 52b5 401f a02b f85ff334e436Icon user placeholder978030b8 5d27 45ce a8ec ef18a8f163c2Icon user placeholderC3c5948a 46dc 4471 abfc 816b7a7cfc136c196f0d b107 480e 8ccc 043dc6e00bf8D308d904 0b58 4acc 8934 ec9d2f31f7fb 23
飢餓同盟

かつての温泉街花園を舞台に土着の支配者とひもじいと称されるよそ者が結成したアナーキスト同盟たる「飢餓同盟」戦後民主主義を象徴する「読書会」3すくみのわちゃわちゃした対立を哀しくもどこかユーモラスに描く。 招致された医師である森が町につくも一向に病院にたどり着くことができない阿部公房的な不条理たらい回しぐるぐる地獄や人間をいかなる機械よりも精密な機械と化してしまう!ドイツ製の怪しげな薬「ヘクザン」の実験台となった地下探査技師織木、飢餓同盟員に対し「たとえばソロバンを盗んでこい、財務部長らしくなるために、明日までに割り算の九九をおぼえろ。電球を三つ盗んでこい。将来キャラメル工場の煙突塗り替えるために、毎日電柱にのぼる練習をしろ。姉さんの指紋をとってこい。電気コンロを盗んでこい。そして昨日は姉からヴァイオリンを盗んでこいというわけだ」P185と無茶ぶりをするリーダーの花井(ヒロポン中毒)等々奇妙奇天烈な登場人物が繰り広げる人間喜劇。

3か月前

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ぼくの道具

蘊蓄ありきのモノ語りで無く、実践に即した内容。なのでTシャツ、パーカは気分転換等の潔さ。テント内図解は子どもの頃読んだ秘密基地図解の趣。ポメラが電力のない場所でいかに便利か知ったのは本書から。 「ポメラは書くことに特化された道具なので、物書き系の仕事をしている人に特にお勧めである。利点は、乾電池2本だけでかなりの長時間動いてくれること。ヒマラヤでは2ヶ月間日記を書き続けたが、ほとんど電池交換の必要はなかったカラー液晶がなく、白黒のシンプルな画面なので、それによって電池の消費がおさえられている。また国語辞典と英和.和英辞典がついているので、それだけでも便利だった。海外では英語で困ることも多々あるわけでポメラがあれば、あらためて電子辞書などを持っていく必要がないし、ネットで調べられない状況でも使える」P72 *なお現行モデルではリチウム電池に変更。 カバーを外すとフルカラーのK2。弩級!

4か月前

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リターンマッチ

定時制高校を舞台に元不良少年だった型破り教師脇浜義明が落ちこぼれ生徒達をスポーツを通じて立ち直らせていくありがちな学園ドラマと思いきや、(もちろんその側面もあるのだが) 熱心に指導をしても手ごたえ無くいつの間にか部員が消えていく苦さこそ現実なんだと受け取る。 「人間、そう簡単に変わるものではない。そんなに簡単に変わってたまるか。というのが脇浜の体験的信条でもあった。第一、ボクシングを少々やったぐらいで、そうそういい子になってもらってはオモロナイではないか」P87

4か月前

遠いリング

大阪にあるグリーンツダジムに集う有名無名のボクサーたちを追ったノンフィクション。第一章は「一瞬の夏」沢木耕太郎著でのカシアス内藤との師弟コンビも記憶に新しい放浪のトレーナー、エディ・タウンゼントと最後の教え子井岡弘樹の物語。湿っぽくならないぎりぎりのラインでエディの最後を書いているが拳闘に取りつかれた男の最後の姿にグッと来た。 プロボクサーといってもこれは格闘技全般に言えることだが 専業で食べていけるのは本当にごく僅か。生活の中でどう折り合いをつけて競技に向き合うか。第7章までに登場するボクサーたちの何かを成し遂げたもしくは成し遂げられなかったかもしれない人間模様が興味深い。

4か月前

思考としてのランドスケープ 地上学への誘い ―歩くこと、見つけること、育てること

「風景」や「景観」とも訳されるランドスケープへの新しい視点を気づかせてくれる。「里山セット」、「フィルタリング」されざるを得ない地図 内部を流動化するための外部の武骨化、どれもなるほどと膝を打つ。 「里山セット」とも呼べる「浅間山古墳」の農地利用、墳丘の周りは水田、墳丘段上の前方部は段畑、後円部は薪炭林という地形の読み取り方というかこれは地形のブリコラージュとでも言うべきかそれが古墳の形状を1500年も維持させるという制度を超えた人間の営みのしぶとさが面白い。 「無骨な躯体が内部のツルツルな滑らかさを支えるという構造は、道路や鉄道をはじめ、排水溝や水道管や銃まで、なにかを素早く『流す』ためのさまざまな施設や器具に見られる。外部の構造体は頑なに無骨であることによって、内側の流れの状態をよくすること、つまり『流れてきたものが速やかに流れ去ること』を支えている。また、そのように頑なであることによって、外側の構造体は滑らかな内部と周囲の環境とを隔絶している。内側と外側、それぞれにあるものの様態に注目するなら、この隔絶によって分けられているのは、ものが動くスピードである。滑らかな内部は、滑らかであることでそこに『流れる』ものの速度と量を調整している。この隔絶はまた、内部を流れるものが外部環境を巻き込むことを防いでいるとみなすこともできる。高速道路の自動車たちも排水溝を流れる水も、そこに閉じ込められることによって周囲の土地への影響をなくしている」P.168

7日前

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ロンリネス

「ハピネス」の続編。夫と娘一人の有紗が住む21世紀の団地ことタワマンを舞台に前作とは違って団地妻もといタワマンママの水面下での足の蹴り合い及びマウントの奪い合いから、今作は思いもよらぬ男性との出会いそこからの発展と個人的な領域に踏み込んでいる。 舞台となる湾岸にある52階建てのタワマンは世間があこがれるイメージとは裏腹に「再びごみの袋を提げて、長い開放廊下を端にあるゴミ集積所まで歩いた」P.6「ゴミを捨てた後、エレベータを待ちながら有紗はつい先ほどの会話を反芻して首を振る」P.12とあるようにどうもこのタワマンはゴミ置き場が各階に無いらしくそれが一層の団地感を醸し出している。わりと低価格帯なのかもしれない。 高い管理費と修繕積立金、それを入居前に計算できず負担に耐えられずなのか新婚時の思い出づくりなのかわからないが入れ替わり立替わりで猫の目のようにくるくる変わる若い住民及びそれに伴う長期居住者との断絶、なかなか出てこない機械式駐車場、海っぺりの吹きっさらしが更に加速させる強烈なビル風(一部作中には登場しない表現あり)どうでもいいマウントの取り合い、そこにどう向きあっていくのか物語の後半に結論らしきものは出るのだが。なぜ人はタワマンに惹かれるのか?奥様それでもタワマンに住みますか? またこの物語のもう一人の主役ともいえるタワマンの亜周辺にいる「公園要員」の江東区の土屋アンナこと美雨ママが小気味良いフックを繰り出していく。「わかるよ、とってもよくわかる。何度も言うけど、あたしは別に不倫しろと言いたいんじゃないの。結果として不倫という言葉が付いてくるけど、仕方がない時もあるんだよ。大人なんだからさ。それを有紗だけにはわかってほしくて、言ってるの」P.142 「常套手段だよ。女が逃げようとすると捕まえて、女がマジになると腰が退ける」P.408 そして有紗が得る「旅」という視点、そこから至る結論というか発想に行き場のなさからの解放を感じた。 「さっきね、あなたともう会わないと決めたときに、旅をやめて帰ろうかとふと思ったの。で旅という発想にちょっと驚いていろいろ考えていたのよね。そしたら、あなたからのメールがきて旅の魅力に負けたのよ。旅って あなたと付き合うことよ。だけど、旅だから、いつか帰るのかなとも思った。家に帰るんじゃなくて、自分自身に帰るのかしらとかね。そしたら、家族とか責任とか倫理とか あまり人に縛られて生きることはないかもしれないと思えて」p.414 それが「恋愛」という一時的な二人の共同幻想だとしても 誰の為でもない「自分自身」という気づきこそが解放感の故なのだろう。 全くの余談だけど作中にも登場する「ららぽーと豊洲」にある書店の開店準備である棚詰めを10年以上前に手伝ったことがあり館内に謎の遊園地的な施設が全くの予想付かずだった為、作業中のとっても忙しいところを勝手にお邪魔してどういった施設か質問したところ「こども向けの就業体験施設」との回答を得た。それが「キッザニア」だった。あの当時のキッザニア職員の方大変お忙しいところどうもありがとうございました。 あの時はお邪魔してすいませんでした。

29日前

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ライト マイ ファイア

「よど号」ハイジャック実行犯に公安がいた!その謎をめぐって過去と現在が交錯する設定の妙もさることながら現在から考えると無駄に熱い当時の雰囲気を追体験した。 数ある登場人物の中でもそこまで登場することもないが重要なカギを握る上昇志向の強い地方出身者で最終的に東京に飲み込まれ時代に取り残された石山が何故か印象深い。 同著者の「横浜1963」でも登場した打越、山元町と当時のハマの風景を思い浮かべる町小説としてもおもしろい。 おそらくフェリス女学院の場所が架空の雄志院大学のキャンパスなのだろう。そして震災復興建築のデザインを色濃く残すえんじ色が印象の打越橋を渡るときは前後に注意せねばと思った次第。表紙に教育大全共闘の旗。

約1か月前

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そろそろ左派はを語ろう――レフト3.0の政治経済学

北田 「左派が経済的下部構造を軽視するあまり、人びとを「リベラルな価値」から遠ざけてしまった。というのは、いま世界中で起きている出来事ですよね。だから左派は就職のことを心配して自民党に投票した学生に対してお説教をしている場合ではない。」 ブレディ 「そういう「ご飯を食べたい」という民衆の本当に普通の願いを、当たり前の願いを拒否したり侮蔑したりしていて、左派は信頼を得られない。」P.216 教条主義では取り残される。

約1か月前

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八月の光

逃走を続けるクリスマスに訪れる夜明けの夜と朝でもない空白の時間の一瞬をとらえたこの場面に救いを見た。「今まさに夜が明けようとする。鳥たちが一羽また一羽と眼醒めてのどかに囀りはじめる灰色の寂しい静止の時間。吸い込む空気は泉の水のようだ。彼は深くゆっくりと呼吸し、ひと息ごとに自分が曖昧な灰色の中に溶け込み、怒りや絶望とは全く無縁な静かな寂寥とひとつになっていくように感じる。『俺が欲しかったのはこれだけだ』と彼は静かで穏やかな驚きとともに思う。『三〇年間、欲しかったのはこれだけなんだ。三〇年かけてこれだけなら、そんなに贅沢とは言えないだろう』」p.476

2か月前

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ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

村上春樹がよく言う「ねじを締める」という言い回しがあるけどこの本では、95年に書かれた「チャールズ河畔の小径」だけねじがぎゅっとしまった緊張感のある文体で異質感をとても感じる。それ以外はねじを緩めすぎないで温泉につかったようなゆるさ。「チャールズ河畔」から「漱石からくまモンまで」およそ20年以上の歳月が流れており文章の変化を感じるのも面白い。自分は村上春樹の良い読者ではなく長編小説を理解できることがあまりないけど、「雨天炎天」や「遠い太鼓」など初期の紀行文は何度も読み返すほどで、「チャールズ河畔の小径」のねじの締まった感じ例えば以下の文 「僕らを取り囲んでいた深い圧倒的な緑が、少しづつほのかな黄金色に場所を譲っていく。そしてランニング用のショートパンツの上にスウェットパンツを重ね着するころになると、枯れ葉が吹きゆく風に舞い、どんぐりがアスファルトを打つ『コーン、コーン』という固く乾いた音があたりに響き渡る。そのころにはもう、リスたちが冬ごもりのため食料集めに目の色を変えて走り回っている」p.14 なんてものすごく良い。 「女の子たちは芝生の上にタオルを敷いて、iPodを聴きながら、すごく気前のいいビキニ姿で日光浴をしている」 p.14 初出の95年当時にiPodはないと思うけどあくまで初出ということで加筆する前の文章も読みたいところ。

3か月前

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ミライミライ

第二次大戦後ソ連に占領された北海道、抗ソ戦の記録と返還後の現代に生きる若者たちの成りあがり記と国際的な陰謀が平行に進み時に交わる。。函館でのフィールドレコーディングと抗ソ戦の記憶が交わるシーンはたまらなくスリリングであり物語のパーツがカチッとハマる快感。 「産土は、その歌がわかったというのでは全然ない。ただ、声、という上の句の一文字に目を奪われた。それは無声、という二文字のまとまりになっていて。無声とはすなわち沈黙だ、智慧のある産土にはわかった。十人の沈黙、それを、撚る、と理解につなげていった。撚る、とは何本かをねじりあわせて一本にすることだと、それも見通せた。と、途端にビジョンが視えた。撚るのか、と。つまり一つひとうの音じゃないのか、と。そうか…サンプリングした音源を、合わせる?合成?そうゆうこと?産土は瞬時に感得したことで、蒼褪めた。」P114 存在しない音(ニップノップ)を紙の上で鳴らす。

4か月前

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ものするひと 1

ポメラ使いの純文学小説家スギウラ30歳中野区在住の言葉を紡いでいく日常を描く、足を使って靴下を脱ぐ場面のリズム。

4か月前

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日本プロボクシングチャンピオン大鑑

最近、昭和のボクシングものを読む機会が多いのでこの本を重宝している。2004年1月までの世界、東洋太平洋、日本チャンピオン493人を掲載。みんな若い!

4か月前

一瞬の夏

私ノンフィクションという割にオレが強く出ない品の良さと、内藤、エディ、沢木が織りなすなんとも煮え切らない不完全燃焼な現実に吸い込まれる。対戦相手の名もなき地方ジム所属重量級ボクサー大戸、羽草の名を記憶に留める。 カシアス内藤が走っていたころの根岸森林公園は母親の運転する赤いファミリアで訪れていた。映画だと「ヨコハマBJブルース」本だと「ヨコハマ・ウォーキング」の時代。

4か月前

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