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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

神田村経由専門書版元

198

コメントした本 ページ 2

ミライミライ

第二次大戦後ソ連に占領された北海道、抗ソ戦の記録と返還後の現代に生きる若者たちの成りあがり記と国際的な陰謀が平行に進み時に交わる。。函館でのフィールドレコーディングと抗ソ戦の記憶が交わるシーンはたまらなくスリリングであり物語のパーツがカチッとハマる快感。 「産土は、その歌がわかったというのでは全然ない。ただ、声、という上の句の一文字に目を奪われた。それは無声、という二文字のまとまりになっていて。無声とはすなわち沈黙だ、智慧のある産土にはわかった。十人の沈黙、それを、撚る、と理解につなげていった。撚る、とは何本かをねじりあわせて一本にすることだと、それも見通せた。と、途端にビジョンが視えた。撚るのか、と。つまり一つひとうの音じゃないのか、と。そうか…サンプリングした音源を、合わせる?合成?そうゆうこと?産土は瞬時に感得したことで、蒼褪めた。」P114 存在しない音(ニップノップ)を紙の上で鳴らす。

6か月前

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ものするひと 1

ポメラ使いの純文学小説家スギウラ30歳中野区在住の言葉を紡いでいく日常を描く、足を使って靴下を脱ぐ場面のリズム。

7か月前

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日本プロボクシングチャンピオン大鑑

最近、昭和のボクシングものを読む機会が多いのでこの本を重宝している。2004年1月までの世界、東洋太平洋、日本チャンピオン493人を掲載。みんな若い!

7か月前

一瞬の夏

私ノンフィクションという割にオレが強く出ない品の良さと、内藤、エディ、沢木が織りなすなんとも煮え切らない不完全燃焼な現実に吸い込まれる。対戦相手の名もなき地方ジム所属重量級ボクサー大戸、羽草の名を記憶に留める。 カシアス内藤が走っていたころの根岸森林公園は母親の運転する赤いファミリアで訪れていた。映画だと「ヨコハマBJブルース」本だと「ヨコハマ・ウォーキング」の時代。

7か月前

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波止場日記――労働と思索

沖仲仕の哲学者エリック・ホッファーが綴る労働と思索の日々。沖仲仕とは「船舶内で貨物の積み降ろし作業に従事する港湾労働者。船内荷役(にやく)作業員。」デジタル大辞林 機械化やコンテナ船の登場によって姿を消した労働形態である。 ちょうど同時期の横浜の状況で説明すると「労働時間は朝7時半に足舟または専用バスに乗って作業現場に到着、12時まで作業、1時間休憩ののち18時まで作業を続け、18時半に朝と同じ場所で解散というのがふつうであった。そば一杯が35円の頃(昭和33年)日雇い賃金は班長の場合896円、一番低い4級労働者で480円の時代でもある。人手と手間がかかる労働であった。」『図説横浜の歴史P396より』 「第三十九埠頭で八時間。楽しい一日。仕事は次々あったが、きつくなく、しかも相棒がよかった。うんざりした日になるのは、きまって仕事のせいではなく、ときどき仕事に伴って生ずる不快なことのためである。性急さ 論争、あつれきなどで、疲労し、また気落ちするのである。五分間口論するよりも五時間働いたほうがいい。」 P53 十月五日 「確かなことが一つあるー絶対的な権力はその所有者を、神のごときものにではなく神に反するものに変えてしまう。神は粘土を人間に作り変えたが絶対的な暴君は人間を粘土に変えるからである。」P194 四月一日

9か月前

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飯場へ: 暮らしと仕事を記録する

サブタイトルの「暮らしと仕事を記録する」とあるように、著者は実際に飯場で働いた経験をもとに働くことの現場で起きる矛盾とそれに気づくことの大切さを書いている。 「飯場とは、言葉通りにとれば、労働建設者のための作業員寮を指すが、実際には「飯場制度」とでも言うべき、労務手配・労務供給の仕組みである。」 「寄せ場の仕事の中に飯場があるのではなく、飯場制度の下で、労働力調達手段の一つとして寄せ場が活用されてきたとみるのが適切である。」P18 「寄せ場労働者や飯場労働者たちが従事する仕事は一般に「手元」仕事と呼ばれている。手元という言葉のニュアンスにも表れているように、基本的に補助的な役割であり、熟練を要さない「不熟練労働」とされている。」P344 しかしこの不熟練労働は誰でもできるわけではなくその場その場において常に気を利かせることが求められる。 そしてその気を利かせるということが労働現場における矛盾に繋がっていく、 「結果として、労働者は「気を利かせること」を際限なく求められるようになる。なにをどこまでやればよいかというルールを定めるのは使用者であり、しかも、使用者はこのルールをゲームの途中で変えてしまうこともできる。場合によっては使用者自身の中でその日の作業方針が決まっておらず、手探りで作業が進行していることもある。 それだけではない、極端な言い方をすれば、「ルール」は 「あるようでない」のである。労働者は「○○をしろ」という指示がなくても、あらかじめ何かをする準備を整えておかねばならない。漫然と指示を待っている状態は「怠けている」、あるいは「気が利かない」姿勢としてマイナスの評価を受けることになりかねないからだ。」P348 出た!職場にありがちなインチキシステム、更に 「「勤勉」と「怠け」の概念を持ち出すことは、構造的な矛盾から目をそらさせ、矛盾への対処を個々人に背負い込ませる効果を持つ。「勤勉」であろうとすることは権力に追従する主体になることであり、集団の中での「勤勉」と 「怠け」の対立は、この権力を持続的に生み出す装置となっているのである。」P368 と可視化していくことで矛盾を暴いていく。

9か月前

プロパガンダ―PROPAGANDA

60年代から70年代にかけての職人たちと風景を捉えた未発表作品を主とした自選写真集。 最初期20歳の時の300ミリ望遠レンズでのヨーロッパ的なシュッとしたスタイルは「300ミリはずいぶん使ったな。それとやっぱり人に近づけなかった」「そう、怖いんだよね。人に近づいてシャッターを切るっていうのは、すごい怖いことなんだよ。300ミリだと遠くからでも側にいるように撮れちゃうからねついつい飛びついちゃうんだね。」P46神戸沖中仕、そこから「だけどこれを撮り終ったあとはこういうのもうやめようと思ったね。これじゃあ、ロクな写真家にはなれない。これを続けたら行き止まりになるだけとね。」P47、と対象に寄るようになった変遷がうかがえる。どちらも良いけど人の生きるが写る泥臭さがグッとくる。

10か月前

焼き餃子と名画座 わたしの東京 味歩き

東京の町の隅から隅まで日常的だけどそこでしか味わえない食を丁寧かつ軽妙に掬い取った珠玉のエッセイ。 「堂々の厚さ、美しい短冊に切り揃えられた一片を、箸でつまみ上げる。すると、どうだ。きつね色に染まった衣の下からのぞくピンク色のつや。肉がむちっとふくらんで、あたしだけのもの。がしとつまむと、しっとりつややかな肌からほのかに滲み出る肉汁。はじにはきらきらと真珠色に輝くロースの脂。長い一切れを口の中へ運ぶ。嚙む。じゅわあ。嚙む。とろーっ。閉じこめられていたうまみが一気に炸裂して、舌から順番に溶けてしまいそうだ。」 P061 「とんかつの聖地へ新橋」 オノマトペを使って今にも空腹時注意もしくはお腹を鳴らす描写でありながらどこか上品さを残しているのも良いところ。 ちょっとした現実逃避をしたいとき息抜きをしたいときパラっとめくる。現実世界につながっているので逃げていることを感じさせない首の皮一枚つながっている感とでもいうべきか。日記「春隣の日々」の素敵な虚構世界に浸る。 単行本版は表紙のデパート屋上が郷愁を誘うが 本文中にデパート屋上の話は出てきません。

10か月前

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スリップの技法

POSデータ全盛の時代にあえてスリップを活用するとはアナログなと思いきや実はシステマチックな仕事ぶり。実際のスリップを使って解説しているのでわかりやすい。どうしても受身になりがちな仕事の中でいかに能動的に働くか。著者がたどり着いたスリップ活用術はあゆみブックスの流れからとはいえ試行錯誤の上に生み出した独自性と妄想ぶりが面白い。本文中にも触れられているが読書量というよりも書誌データの膨大な読書量と経験から来る結び付きをいかに展開するか。「スリップはアクセルでPOSデータはブレーキ」とバランスを取る仕事ぶり。「愛国本の売れ筋を積む事も書店の重要な仕事だと考える」とは全く思わないけど。

12か月前

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千の扉

新宿区にある三千戸の都営団地を舞台に、戦後70年の間に様々な人の生活が重なったりすれ違ったりする。その人々の織り成す生活がどれもが愛おしくなる。もちろんそれだけでなくちょっとした時空の歪みが物語に奥行を与えている。 印象的なベランダ越しの新宿副都心の超高層ビル群P139は「ビリジアン」の通天閣越しの生駒山と風景の捉え方が通じるものがある。この場面は70年代中期と思われるがまだまばらなビル群に子供のころ中野の家の窓から見た風景を思い出した。 ウルトラセブンの話P60はフック星人登場の「あなたはだあれ」86年か87年の深夜?に放送されていた泉麻人の番組を録画して死ぬほど見た。交番の辺りに野次馬が写っているのが印象的。と思ったら柴崎さんと泉さんのトークショーがTitleであったらしい!この話でたかな。 「千の扉」では戦争の記憶もそこかしこに色濃く残っているのだけど場所柄ということもあるけど遠い記憶もしくはなかったことにしている被害も加害もそんなに昔の事ではなく今の私たちの生活に繋がっているのだよね。目を背けたくなるけどしっかり記憶せねば。

12か月前

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ぼくの道具

蘊蓄ありきのモノ語りで無く、実践に即した内容。なのでTシャツ、パーカは気分転換等の潔さ。テント内図解は子どもの頃読んだ秘密基地図解の趣。ポメラが電力のない場所でいかに便利か知ったのは本書から。 「ポメラは書くことに特化された道具なので、物書き系の仕事をしている人に特にお勧めである。利点は、乾電池2本だけでかなりの長時間動いてくれること。ヒマラヤでは2ヶ月間日記を書き続けたが、ほとんど電池交換の必要はなかったカラー液晶がなく、白黒のシンプルな画面なので、それによって電池の消費がおさえられている。また国語辞典と英和.和英辞典がついているので、それだけでも便利だった。海外では英語で困ることも多々あるわけでポメラがあれば、あらためて電子辞書などを持っていく必要がないし、ネットで調べられない状況でも使える」P72 *なお現行モデルではリチウム電池に変更。 カバーを外すとフルカラーのK2。弩級!

7か月前

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リターンマッチ

定時制高校を舞台に元不良少年だった型破り教師脇浜義明が落ちこぼれ生徒達をスポーツを通じて立ち直らせていくありがちな学園ドラマと思いきや、(もちろんその側面もあるのだが) 熱心に指導をしても手ごたえ無くいつの間にか部員が消えていく苦さこそ現実なんだと受け取る。 「人間、そう簡単に変わるものではない。そんなに簡単に変わってたまるか。というのが脇浜の体験的信条でもあった。第一、ボクシングを少々やったぐらいで、そうそういい子になってもらってはオモロナイではないか」P87

7か月前

遠いリング

大阪にあるグリーンツダジムに集う有名無名のボクサーたちを追ったノンフィクション。第一章は「一瞬の夏」沢木耕太郎著でのカシアス内藤との師弟コンビも記憶に新しい放浪のトレーナー、エディ・タウンゼントと最後の教え子井岡弘樹の物語。湿っぽくならないぎりぎりのラインでエディの最後を書いているが拳闘に取りつかれた男の最後の姿にグッと来た。 プロボクサーといってもこれは格闘技全般に言えることだが 専業で食べていけるのは本当にごく僅か。生活の中でどう折り合いをつけて競技に向き合うか。第7章までに登場するボクサーたちの何かを成し遂げたもしくは成し遂げられなかったかもしれない人間模様が興味深い。

7か月前

敗れざる者たち

「Number」的なシュッとしたアスリート像とは対極にある「運動選手」もしくは「肉体労働者」といった呼称がしっくりくる悲しみを背負った男達。榎本喜八、円谷幸吉、カシアス内藤、輪島功一。

8か月前

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競輪文化

義父が競輪選手だったが, ギャンブルに全く興味がないので入門書として読んだ。工業労働者を対象としたため競輪場の立地にバラつきがあり(日本海側や東北は少ない。)巻頭の全国競輪場地図で可視化することにより地域差を確認できるのが面白い。 オリンピック競技にも採用され近年スポーツ化が一層進むKEIRINにあらがう競輪道に親しみを感じた。 「自分はアスリートじゃない、肉体労働者であり職人だと思っていたんです。アスリートと称するかっこいいのが出てくると、「あんなのには負けない」と。」 「漢字の「競輪」とローマ字の「KEIRIN」は違います。輪の中で争うのが「競輪」であり、競りは競りであったほうがいい。ローマ字の「KEIRIN」はまっすぐに走る競技ですから別物。現役の頃は一緒にされたら嫌だと思っていました」P222

9か月前

ルポ 不法移民――アメリカ国境を越えた男たち

著者はエスノグラフィーの手法で不法移民の日雇い労働者と共に働く。不法移民労働者の人間臭さと温かさそして生きる現実の厳しさと切なさを地べたからの視点で綴っている。 「条件のいい仕事は、一緒にいる仲間に譲ることもする。俺たちは一人一人で仕事を待っているけど、 仲間で仕事をしている。バルバスが仕事に行ってハッピーになれば、俺はそれが嬉しい。」 自分だけを優先して目の前のことに飛びつかない。フェルナンドは仲間へのおもいやりがある。フェルナンドと一緒にいると、大きくゆったりとした時間の流れを感じることがある。自分が仕事をとりたいという焦りを抱くことが、その時点ですでに今の社会を構成している資本主義のメカニズムに従属する行為であり、自らの中にそのような生き方を再生産をしていくことになる。P46

9か月前

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ひさしぶりの海苔弁

「氷水できいんと冷やしてからおもむろに齧る」氷水漬け胡瓜と添えられた貝殻の静物画のような美しさ「きゅうりをがぶり」、「雪降る夜中ひとりブランコに揺られている志村僑を蹴飛ばすような狼藉である」なぜかブランコに揺られる油揚げのシュールさ、映画「生きる」からだとおもうけど、ゲゲゲの鬼太郎に登場する「ぬりかべ」のようなちっちゃい手足のついた油揚げがブランコに揺られている図に微笑む「油揚げ産江」など安西水丸さんのイラストが素晴らしい。 ところでなぜ油揚げと志村僑が結びつくかというと 「焙って生姜醤油を添えれば、日本酒ぐいぐい。はんぶんに切って袋にし、ブルーチーズを詰めて焼けば、白ワインがぶがぶ。なのに脇役の顔を崩さず、あくまでも寡黙。志村僑の顔など浮かんでくる(アブラっ気の抜けかげんが極限の近似値)。」だそう。面白い。

10か月前

NYの「食べる」を支える人々

生き馬の目を抜くNYでは並外れたタフさとバイタリティが必要。そんなNYの食の世界を支える人々に焦点を当てたオーラルヒストリー。ホントいろんな人生がある。 空腹時注意。 そして皆さんこちらの調子が悪くなるぐらいの働きっぷりなので疲れているときの読むのも注意。

10か月前

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全員死刑: 大牟田4人殺害事件「死刑囚」獄中手記

2004年福岡県大牟田市で実際に起きた4人連続殺人事件の実行犯手記、この事件は暴力団を家業とする一家が知り合いの貸金業者及びその知人(巻き込まれ)から金を奪うために強盗殺人を行い、その後逮捕された家族全員が死刑となった事件。地方都市特有の車社会の荒涼とした風景よりも更に荒れた犯人の心象風景いや荒れたというか「人生土左衛門」根本敬ばりの計画性もあったものではない行き当たりばったり犯行と物騒な台詞のあとに付く妙にやさしい感じの語尾の「ネ」に恐怖を感じるネ。 「母ちゃん、俺がコレで絞めて殺ってやるけ。安心せんネ」

12か月前

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降伏の記録

日記形式でない独白ともいうべき最終章の「降伏の記録」に圧倒された。つまるところ人と人とは最終的には分かり合えないという諦念を持ちつつもコミニュケーションを取り続け今までの生活を肯定していく姿勢はきっと「幸福の記録」となるであろう。 また「降伏の記録」は本文中に登場する 阿佐ヶ谷の古書店コンコ堂やfuzkueなど同時代を生きる東京西部在住者の2016~2017年の生活を記録した日記文学としても後世に残るような気がする。「クーリンチェ」はBD化されたけどあの時間は映画館でないと味わえないことや2016年後半は「狂う人」だったことなど。

約1年前

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