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しろいはなび

【2017.05.01~から記録開始】

【2017.05.01~から記録開始】

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コメントした本 ページ 2

月光の囁き (3)

とうとう、沙月はそれまで妨げていた嫌悪感を乗り越えて、拓也の関係性に添うようになる。言ってみれば、拓也が沙月を望むような形に変えた、と見ることもできる。 - 「私、あなたの泣き顔見たらすごい気持ち良うなったわ。く…くくくく…もっと泣いて、ほんで私を、幸せにして」そう言って、彼を苛むように植松先輩との情事を見せつける。 - 彼ら彼女らの関係性の象徴と変化を、剣道の県大会という、少年漫画の鉄板シチュエーションに仮託して、物語っていく。 - トーレン・スミスという漫画英訳出版業の人の解説がすごく的を射ていて一読の価値がある。

10か月前

月光の囁き (1)

都内某所のSMバーのママのイチオシがこの月光の囁き。 - 剣道部の拓也は同級生の沙月に好意とも恋心とも崇拝とも性欲ともつかない、綯い交ぜの感情を抱いている。同じ剣道部のよしみで付き合うことになるが、彼女の靴下や髪の毛やちり紙や写真や体液を保管しているところ見られて、軽蔑される。 - 最近はネットの普及でフェティッシュなどは、とても気軽に消費されるようになったし、ネットスラングにも性的な要素が多分に含まれ、全体的にカジュアルになったが、フェティッシュな性的欲求が忌避されるものであるというのは、だいぶ懐かしさすら感じられる。しかし、このような傾向は昭和生まれにおいては残っているのかもなあ、とか。 - なんか、全体的に鬱屈した感じ、田舎、暴力、初恋、みたいな感じ、息苦しいの、わりと好きなような嫌なような、まだ一巻だからちょっと判断は保留。

10か月前

スローターハウス5

2017年の8月末日、北朝鮮の中距離弾道ミサイルが北海道上空を飛んで太平洋上に落下した。そのことによって今までにないくらい、戦争の気配が濃厚になったような気がする。911の時には対岸の火事のように見えていたそれも、いよいよ日本もまた戦争に巻き込まれそうになるんじゃないか、みたいな微かな不安がネット上で浮かび上がる。 - スローターハウス5は、ドレスデン爆撃を経験した著者の、フィクションとノンフィクションが交差し、「けいれん的時間旅行」によってそれを追体験する小説だ。解説に書かれていたが、今まで書いた小説の登場人物や世界観設定がそのまま引用されているらしい。 - 極めて著者に近いビリーという主人公が、戦前と戦中と戦後を行ったり来たりして、時に過去作の登場人物と会話し、過去作に出てきたトラルファマドール星にアブダクションされたりしながら、相互に影響を与えながら物語は進んでいく。 - 何かが死んだときに言う「そういうものだ」と言う決まり文句が、人間一人にはとうてい抱えきれない悲劇を経験したものにしか感じることのできない実感なのだろう。 - 空襲のシーンが動画の「巻き戻し」のようになり、爆弾が飛行機に収まっていくというシーンがとてもキレイで印象に残っている。

10か月前

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リップヴァンウィンクルの花嫁

岩井俊二といえば、「リリィ・シュシュのすべて」「スワロウテイル」「花とアリス」などの映画で、とにかく映像が綺麗で、抑圧された登場人物たちの咆哮が胸を打つという感じで、小説はどうなのだろうと手に取ったものの。。。 - 前半は、鬼女板のまとめ記事みたいに一方的な被害者の主人公が、転落していく物語。後半は、異界の人物たち――結婚式代行業者、ホテル清掃スタッフ、AV女優――と交わり、そして強くなった主人公がまたもとの日常に回帰していくというストーリーだ。 - 前半のSNSとスマホを駆使して「嘘の上塗り」で結婚を積み上げようとして破綻していくところも、後半の女優と箱根での奇妙な共同生活と愛、みたいなのも、邦画の鼻につくところを煮詰めたような感じがして、駄目だった。 - どれも上っ面だけをモチーフに使ってみた感じがする。(それは主人公の基本的な態度が傍観者であり状況への介入を徹底的に避けているからかもしれないが、彼女は一貫してドン引きし続けるだけだ) - 後半の箱根の屋敷編も、映像にしたらとっても綺麗なのかもしれないけれど、文章にすると、どうも書割っぽい、わざわざこのために作った舞台装置という印象を受けて、シラケてしまった。 - ただ、最後から二番目の章だけは、読んでよかったかもな、とは思った。 - - (安室って綾野剛みたいだな~と思って読んでたけど、映画版はまんま綾野剛がやってるのね) - (小説だと思って読んだからなのかもしれないけれど、映画の脚本として読んだら、それほど悪くはない)

11か月前

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秘密の本棚〈2〉マゾヒストの歓び―幻の雑誌1953‐1964の記録

奇譚クラブのアンソロジー本で、1953~1964年の変態たちの告白や手記や小説が厳選されて載せられている。 ここ昨今においては、ヨガにアクロバティックな要素を取り入れたアクロヨガの派生としてshibari-yoga(緊縛ヨガ)ができたり、一鬼のこ氏のアート要素の強い緊縛によって、緊縛の卑猥さは洗い落とされているような感じがする。 SNSの発達によって、変態を観測しやすくなった現在、SMは限定的に解放されつつある。しかし、彼らの時代は、変態性欲として忌避されていたものであろう。しかし、根底にある彼らの切実さは、今も昔も変わらない。 とても面白かった短編を何本か列挙してみる。 ★独りぽっちのマゾ 『アノ柔らかくて粘っこい、まっ白な糊が人間の背丈を没し去る程の容積を湛えている中へ飛び込み、その中で散々、モガき暴れた末に窒息死したい!』 米糊に生き埋めになりたい欲望に駆られた男性の体験談。当時は米糊は高価で生き埋めになるほどの量を入手することは困難で、糊に代わる物を探し始める。 炭坑の微粒粉混じりの川底の汚泥に身を沈めようとするが、浅すぎて汚泥の上に立ってしまい絶望したり、神田川に汚泥が沈滞している場所が無いか探すが意外にも綺麗で絶望したりするシーンなど、切ない嘲笑が漏れる。 最終的に、糊製造工場に就職し、事故を装って大樽の中に身を投じる・・・ ★ああこの恍惚境 暇を持て余した男性がふと歌舞伎を観劇しに行った。「明烏夢泡雪」の一幕で女形が折檻される艶やかな姿を見て、『脳裡に痛いほどの新鮮な刺戟をもみこ』まれた彼は、自分におしろいを塗り、カツラを被り、女の衣装を着て、女形の稽古を始める。。。 ★縄の魅力 都会暮らしで緊縛モデルになったりして放蕩していた娘が、潮時だと覚悟を決め、故郷へ帰るが、その無味乾燥で平坦で狭量な生活に、だんだんと自分がつまらない人間になっていくように感じ、再び縄の味を渇望し、家出をしてしまう。 どんより雲の中、汽船に乗って、帰郷する情景描写が、綺麗で、そして息が詰まるほどリアルだった。 ★二人だけの協約書 サディストである夫が、妻に奴隷契約書の調印を迫り、M女に仕立て上げようとする。しかし、協約書には、ご主人様を喜ばせるようなことをしたり女性らしく振る舞うと、褒美が与えられるようになっている。 褒美は懲戒時鞭の一振りを減免できるというものだが、一振りを10円で換金できるようになっている。そうして、妻は夫を喜ばせるような振る舞いを進んでして、どんどんお金を巻き上げ、夫は「最近妻が綺麗になってるし、調教プレイはできるし、確かに今の妻には貨幣価値があるな~」と呑気なことを言い出し始める。 奇譚クラブ版「逃げ恥」みたいなどたばたラブコメ。 など、切実なんだか滑稽なんだか分かんないようなストーリーがいっぱいあって、それらがとても愛しいお話でした。 もちろん、ひたすら陰惨な責めが続き不幸のどん底に突き落とされるような王道の掌編もあったけれど、それも戦争や共産主義や村社会の影響を色濃く受けていて、また違う切実さが観測された。 こんなにもキュートで滑稽で切実で可愛いSMが当時からあったなんて、なんてSMって素敵なんだろう、って思いました。

12か月前

月光の囁き (2)

沙月を崇拝したい拓也と、拓也に愛されたかった沙月。両者は最初から両想いなのに、想う形が違うゆえに、延々とすれ違い続ける。 - 二人の憧れの先輩であった植松さんを交えての三角関係に突入するが、「お前は人の下におる振りして、人の上に立っとるんじゃ」と看破される。 - 沙月の拓也に対する嫌悪感と、それでもなお付き合おうとする関係性がこの、奇異な物語を安っぽくすることなく維持し続けている。 - しかして、異性の分身(櫛や髪の毛、靴下、体液など)を崇拝するということと、目の前の女性を愛するということの、隔たりは幾ばくのものになるのだろうか。

10か月前

踏みはずし

1番似ている作品はレオンかもしれない、。距離を置いて感情が排された描写に、哲学的な台詞、すごく雰囲気は良いけれど、なんか物足りなさというか、「結局、愛ってことなのね」な結論にはちょっとがっかりしてしまった。愛、大事だけどね。

10か月前

そしてやさしく踏みつぶす―料理人からSMの女王様になったアンナの愛のかたち

ユダヤ系カナダ人の著者は、トロントの中産階級に生まれ、モントリオールのマギル大学で哲学を勉強したあと、世界各国でシェフ修行に励む中、ロンドンでの友人との何気ない会話から女王様になる。 - 家族から離れたいという理由で上京をする者は男女問わず多いが、やはりカナダ人ともなるとそのスケールは大きくなる。 - 初めての著書だということで、相反する感情や、思いつきに書き残した章が残っていて、一見すると読みづらいが、その断片的な思考が面白い。 - とても刺激的な人生の一部を聞かせてもらっているようでわくわくしながら読める。 - だけれど、この本の良さを一言で説明するのは難しい。SMを基底としているが、SM以外の人生哲学やアフォリズムやツイートのような、著者を全体的に俯瞰する楽しさがある。 - もっと、この本を読む人が増えるといいな。

11か月前

淵の王

買ってからだいぶ寝かせておいた。 なんとなく舞城はしばらくはいいかな、と言う気分だった。 ふと手に取ってみてしばらく読んでみたけれど「あ〜文芸誌に載ってるタイプの、細やかな人間関係のすれ違いで決定的に失われたり、なにかの事件をきっかけに突然悟り始めるやつ〜」と説教臭いのは苦手だなと思ってたのが中盤まで。 確かに上手いけども〜なんて思って読み進めていたけれど、中盤以降の、物語的展開にすごく盛り上がったし、最終コーナーのいつも通りではあるけど、愛ってやべーって感じに感動してしまった。 最近は、単純な物語的感動を味わえてなかったから余計に嬉しくなってしまった。 傑作

11か月前

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貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

ジェーンスーの本はこれで2冊目。 生活は踊るで彼女を知って、彼女の人生相談の回答がなんと明快かと驚いたのが、出会いのきっかけ。 ここ最近は恋愛については胸焼けを起こしていたので、恋愛系のコラムはうへえ、と思いながらも読んだ。(だったら別の本を読めばいいのだけれどな) とくに失恋した女友達に送るポエムめいた文章はぞっとした。 たぶん、女性からみればすごく良い文章なのだと思う。 ただ、男女の働き方の違い、「ひとにはそれぞれゲーム(仕事)のルールや勝利条件が違う」と説く章はさすがだな、と思った。あと未成年ならぬ未中年とか。 ※それにしてもandroidのアプリがクラッシュするのはどうにかならんものなのだろうか。読書メーターからこちらに移行しようと思ったのに、開かないんじゃどうしようもないぞよ。

約1年前

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