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Shun

普段は帰宅後に、休みの日は散歩しながら、…

普段は帰宅後に、休みの日は散歩しながら、のんびり読んでます。

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コメントした本 ページ 2

カラー版 書物史への扉

『図書』2008〜2014年の表紙とその解説がまとめられた本。歴史的な出版物がずらっと展示された美術展の図録のような内容。お気に入りは作者不明『第五の書』の「酒びん詩篇」。線画の酒びんの中に詩が書き込まれていて可愛いです。15Cにパリで出版された『羊飼いの暦』は、彗星が竜のように描かれていたりして、当時の羊飼いの生活が垣間見えます。19Cのエピナール版画「赤ずきんちゃん」組み立てキットは、小学館の雑誌付録みたいに紙でできたお家が作れるようです。もし手に入れることが出来ても、勿体無くて切り抜けなそう。

2か月前

21世紀の民俗学

民俗学が今後取るべき姿勢やテーマについての論考。ドギツい表紙と帯に一瞬ひるみましたが、中身はしっかりしてます。自撮り棒・アニメやゲームの聖地巡礼・無音盆踊り・震災などについて書かれた16章の各論。そして最後に置かれた『ありえなかったはずの未来』は民俗学史総論及び先達の業績の批判的検討、これから民俗学がすすんでいくべき方向が示されたずっしりした内容。震災後の社会学者らによるデータ中心の分析に違和感を覚えたという著者は、対象への距離を近く取り、人々の感情を捉える学問として、民俗学の未来を見出しています。賛成。

2か月前

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文豪妖怪名作選

全部で19篇。冒頭の尾崎紅葉『鬼桃太郎』は、桃太郎に浴びせられた屈辱を晴らそうと桃太郎退治に出かけた鬼の珍道中。挿絵付きでいきなりかっ飛ばしてくれます。泉鏡花『天守物語』は怪しくも美しい青獅子の戯曲。日影丈吉『山姫』は、一読妖怪探索の旅行記かと思わせといて、気がつくとあちら側へ。椋鳩十『一反木綿』、ほおこんなの書いてたんですか。内田百閒『件』は、なにを今更ですが、こういう並びで改めて読むとやっぱり流石ですね。巻末には東雅夫の懇切丁寧な編者解説付き。怖くはないですが、クスッと笑える妖怪達のあれやこれや。

2か月前

おにいちゃん―回想の澁澤龍彦

澁澤龍彦の最初の妻だった矢川さんによる回顧録。澁澤の死後に書かれています。書くことを躊躇したというフレーズが何回も出てきます。しかし矢川さんは書いてしまった。しかも澁澤の仕事に自分が関与していたこと、澁澤との性交渉などについて克明に書き綴ってしまった。相手は故人で最早なにも弁明出来ないのに。そのくせ延々おにいちゃんと呼び続ける。これは個人的なノートかなにかに書いて秘しておくべきだった文章だと感じました。そんな矢川さんも自ら命を絶ち、みんな《彼(THEY)等》となった。もう、それでいいのではないでしょうか。

2か月前

アメリカン・グラフィティから始まった

『アメリカン・グラフィティ』の劇中に流れる曲を、サウンドトラック盤未収録の曲含め解説した254ページにわたるライナーノーツ。十代の若者らが大人になる過程を描いた映画なのか。アメリカという国が混乱を経て成熟へと向かう過程を描いた映画なのか。酒とタバコとロックンロール。明け方のドラッグレース。ドーナツ盤の英雄達の多くは早死にした。登場人物達もまた。成熟する前に訪れる唐突な死。ドナルド・トランプを産んだアメリカは「もう大人になろうなどとはしてないのだろうか」。夏は必ず終わる。エンドレスじゃない。次へ行こうぜ。

2か月前

初恋宣言―自選青春小説〈2〉

かつての集英社コバルトの星、富島健夫。のちに執筆の路線を官能小説に変え、元少女等から裏切り者だのなんだの非難されたようだが、さて。表題作の『初恋宣言』。併録の『星への歩み』。どちらも物語のテーマは共通しています。いつの世も人々は徒党を組む。男子は暴力で、女子はうわさ話で。烏合の衆。その群れから外れようとする者は男子はリンチにあい、女子は仲間外れにされる。そんなことがなんだ。誇りを持って我が道を行け。そう富島健夫は思っていたのではないか。媒体が少女小説だろうが官能小説だろうが、富島健夫はぶれてなかったのだ。

2か月前

草の花

幾度目かの再読。今回は七年ぶりくらい。数十年前は、この作品は少年愛を描いた物語として、そういう小説を好む女性達に盛んに読まれていた。それを知った上で手に取った若き頃の自分は、登場人物の一人の台詞を借りていえば麻疹のような時期だったのかもしれない。しかしそんなものではないと主人公と一緒に声を荒げて反論してみたい気もするのだ。初老の年齢になって読み返し、ひしひしと感じるのは愛の不可能さと孤独である。愛を深刻に捉えすぎると、行き着く先は孤独になるのではないか。作中でさらりと荷風に触れられるのが、実に示唆に富む。

2か月前

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書芸閑話

古代から現代までの書家についての、これでもかというぐらい濃厚な蘊蓄を、粋な文章でぐいぐいと読ませる随筆集。二部に分かれてます。聖徳太子・光明皇后・小野篁・藤原定家とくる日本編もいいけれど、この本の真髄は中国編。李斯・鍾繇・王羲之ら、最早真筆とされるものの存在しない書家について、この本が出版された昭和45年当時の日本の話題を取り込みながら、図版を多量に添えてじっくりたっぷりと語ってくれる。著者検印の代わりに〈著者花押〉のおまけ付き。著者は生前便所の歴史研究で知られたそうで、そちらの仕事にも触れてみたい。

2か月前

死者の書・口ぶえ

もの静かで感覚が鋭敏な少年少女は、思春期になると、よくないものも引き寄せてしまう。むくつけき上級生に抱きしめられ嫌悪感を持ちながらも、自身の性を求められることにどこかでうっとりとする明治時代の少年(というか折口自身)『口ぶえ』。奈良時代、貴族の娘の元を夜毎訪れる死者。慄きながらもどこかで陶酔を感じ、くるのを待ちわびる『死者の書』。性と死。嫌悪と陶酔。穢れと宗教。若者達は清いものに憧れつつ、力づくで近づいてくる穢らわしいものにも眩しさを感じる。奈良時代・明治時代の迷える魂がとった行動とは。渾身の注解付き。

2か月前

ポロポロ

初年兵として中国戦線に赴いた体験を元に描いた連作集。「中国戦線では、敵兵を見ない、というのは有名なはなし」。敵兵の代わりに襲ってくるのは、飢えと感染症。行軍途中に倒れたり肛門から血を吹き出させたりしながら呆気なく死んでいく仲間達。たまに発砲すれば、その弾は敵兵ではなく身内のはずの者の命を奪う。そのうちに敗戦を迎え、病人がうじゃうじゃいるのに野戦病院は解散してしまう。後半では、自分の体験を物語ることへの疑念やためらいが吐露される。文体は淡々としてるけど、ぐらぐらと揺れ動く戦記です。

2か月前

神なき時代の民俗学

民俗学は、柳田國男と彼の志に賛同する地方の民俗採集者によって成立していた。さながら柳田ファンクラブのようなその体制は教祖の死によって崩壊した。それでも柳田が打ち立てたテーゼを守り抜き最早誰も読まない調査報告をし続ける者。柳田から逃れようとしつつ、〈民俗〉とはなにか自分なりの再定義をしないままコンビニやアニメを論じる者。柳田・折口のような偉い誰かが再び現れテーマを決めてくれるのを待つのではなく、各々が〈民俗〉とはなにかを規定するべきだ。柳田は『神』を目的とした。ではあなたは?と問われる本でした。

2か月前

藤原道長「御堂関白記」を読む

平安時代の日記は、後世の人々が政務や儀式を法令や先例どおりに行うことが出来るよう、情報蓄積の手段として書くものであった。しかし道長の場合は自分自身のための備忘録として書いている。その意識が文字の乱雑さ・文体の破格さなどに現れている。いわば業務日誌として書くのが当然の時代に個人的メモとして書いていたわけで、雑なのですね。この本には道長自筆本や古写本の写真版が豊富に掲載されていて、筆跡や、一旦書いた文を抹消した跡、古写本と原本の比較からわかることなどが解説されています。日本文化や政治の本質が見えてきます。

2か月前

妙高の秋

海産塩物を扱う家に産まれた島村さんは長男であり、家を継ぐことは必然でした。しかし小学校教師の影響で文学少年になり、父親はそれに対し警戒心をつのらせます。15歳。問屋に見習い奉公に出したい父親に殴られ、それでも思い切って家出しようとしたけれど、姉に気づかれてしまい、深夜、泣いている母や姉弟達と身震いしながらの話し合い。島村さんは自分の意思を通しますが、それは弟に家業を押し付けるようなものでした。好きに生きることが家族全員の運命を翻弄してしまう時代の、家族の混迷と微かな再生。そんな私小説の表題作を含む短編集。

2か月前

土の絵師 伊豆長八の世界

蔵や寺院の壁面にコテで龍や天女を描いた左官・伊豆長八について書かれた文章をまとめた本。その作品の多くは幕末の火災や関東大震災で既に失われているようなので、編者の村山道宣さんによる〈品川に残る長八の建築装飾〉は、わずか3ページほどながら有り難い品川散歩ガイド。建築家の石山修武さんが設計した長八美術館は、「左官のことは左官に任せるのが条件だ」と引き受けた左官達と石山さんとの激しい合戦の果てに出来たそうです。建築家の膝を恐怖に震わせる左官らの怒りや気概。左官側の生前の談話も載っていて、公平な編集がされています。

2か月前

人生居候日記

数年に一度読み返すエッセイ集。読み返すたびに印象に残る文章が変わる。初読時に強烈だったのは、タライを酒で満たした中に男性が2人あぐらをかき、互いのタライの酒をひたすら柄杓ですくい飲み比べという『酒の上で死ぬ』。おしゃれなエッセイと程遠い、尿臭と便臭漂う文章にたじろぎページを閉じたが、この方の発する猥雑さには惹きつけられた。それから二十数年。団体旅行の群れに脅かされながら一人裏町を歩く『あまのじゃく旅行術』、居酒屋で飯食うなという『酒場ぎらい』に今回は惹きつけられました。人生居候っていう佇まいがいいですね。

2か月前

ユリイカ 1989年 3月 臨時増刊 総特集 ※監督 川島雄三 ●<川島雄三作品集 ・エッセイ・ドラマ・俳句・座談会・戯文・シナリオ>

ALSだったのである。女優に喋り方を揶揄われ不機嫌におし黙る痛々しいエピソードを、小沢昭一が愛情深く語っている。小沢はきき返したりせず、聴き取れた言葉の断片から川島の意図をじっくり考えたそうだ。フランキー堺のインタビューからも、川島の自己破壊的な生き方と孤独が色濃く感じられる。作品と監督を重ねるのは邪道だが、自分が若死にすることを自覚しつつ酒をあおり親と絶縁し月収の数倍のスーツを身にまとう生き様は彼の作品の登場人物達そのままだ。「いきてるうちがはなではないか/さいげつひとをまたないぜ」。

2か月前

声をなくして

永沢は本来、人の語りを聴く仕事をする人だった。彼の遺した『AV女優』を読めば、語り手の気持ちをほぐし併走する稀代のインタビュアーであったことがわかる。癌となり喉頭を摘出し、彼は声を失う。インタビュアーとしての武器を喪失した彼は焼酎で薬を流し込みながら、自身一番軽蔑し書くまいと決めていた闘病日記を書き日々を過ごす。だけどどっこい彼は声を失ってもインタビュアーだった、、、自殺志願しネットで出会った者に自らの命を預けるような事件は、この本の出版時も現在も絶えない。永沢の、あの世からの声にならない声よ彼等に届け!

2か月前

音・ことば・人間

1970年代後半『世界』で連載された、文化人類学者と作曲家の公開往復書簡。音やことばが一応のテーマになってはいるものの、まとまりはなく議論が深まらない。日本が経済的に豊かであった頃の連載であり、書簡が書かれた場所はアフリカであったりパリであったりニューヨークであったり。金あるなあ。豊かな資金を背景に海外に飛びながら、辺境である日本から西欧に赴く人類学者・作曲家というねじれに二人とも悩んでいること、日本の音楽やその他の芸術に対する愛憎の念が入り混じっていることが行間から伝わってくる。これが裏テーマか。

2か月前

内部の真実

1944年。日本の植民地であった台湾で一人の軍人が死んだ。陸軍曹長と一等兵の間で起きた、色恋沙汰の果ての決闘騒ぎ。その結果としての死で片付けられる単純な出来事のはずだった。が。ありがちな密室殺人もののように幕を開けるが、日影丈吉お得意の民間伝承、純文学ネタがあちこちで暴発。人間関係も物語も錯綜し、あれよあれよというまに、パパイヤの濃厚な香り漂う亜熱帯を我々もさまようことになります。日影作品、ここのところ一年に一冊のペースで再刊されており嬉しい限り。

2か月前

幽霊船

再読。確か出版当時、『本の雑誌』で騒がれていた記憶があります。1882年生まれの英国のどマイナー作家の短編集。表題作は、幽霊船というタイトルから想像される内容を気持ちよく裏切られるお話。『ブライトン街道で』は、読んだ後に心を冷風が吹き抜ける名作。読み終えた後巻末の『ミドルトン小伝』を読むと、寂寥感倍増です。表題作の原稿をあちこち投稿したものの不採用、一文無しとなり29歳で自殺した不遇の生涯だったようですが、地球の裏側で100年経っても読まれてますよと伝えてあげたい。といってもとっくに絶版なんだけど、、、

2か月前

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