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オオトモ

乱読家

乱読家

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コメントした本

密やかな結晶

大好きな小川洋子さんの作品。 物がどんどん消失していく島で、それに抗ったり流されたりする人々が「わたし」の視点から描かれている。 消失を経験した人の感情の動き方が非常にリアル。失ったことを忘れてしまう島の人々を私は不幸だと思ったけれど、見方を変えれば幸せだと言うこともできるなと思った。置いていく人は無責任で良いのだから。 個人的なお気に入りシーンは、薔薇の消失シーン。「薔薇」の消失は、驚くほど美しく、色彩豊かだった。他の花ならこうもいかない。「薔薇」という矜恃のある花だから、これほどまでに美しく消えてゆけたのだろう。川に流れる色とりどりの花弁。その美しさすら忘れてしまうなんて、やっぱり哀れだ。

約1か月前

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残像に口紅を

取り敢えず一巡目、やっと読み終えたので所感を。 ある種成功した実験的小説、というのが読後の感想だ。 作家である主人公が虚構(本作品)の中で虚構(文字がひとつずつ喪われる世界)を生きる、という、一見「それは物語として成立するのか?」と思わせるような設定だが、筒井は見事に物語を収束させている。 文字が喪われる、というのは文学作品にとって(勿論個人にとっても)致命的なことであるが、その崩壊すら、最後まで文学的に描写してしまうのだから、驚く。 最初の方、第一部では読者である私も「文字が喪われる」実感がまるで無かった。 これが、第二部、第三部と読み進め、使用出来る文字が大幅に減少したあたりで、その「残像」を意識するようになった。奇妙な感覚だった。 「失って初めて気付く」というのは使い古されたフレーズだけど、この作品を読むと、その意味が少し分かるような気がする。 文字は、言葉は虚構だけれど、それによって私達は生かされているし、形成されている。特に、この作品の中の世界は全てが言葉で形成されている。言葉が全てなのである。 だから、最後の音がなくなった時、「世界には何も残らない」 喪ったものを惜しむことも、嘆くことも、出来なくなるのだ。 個人的にこれまで読んだ作品の中でもすごく好きなタイプの作品。 他の筒井作品も読んでみようと思った。

4か月前

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わたしを離さないで

驚くほど精巧に創られている作品。 全ての伏線がきっかり回収されており、それもごく自然な描写で行われているので、気が付いたときには全ての真相が読者の手の中にある。 そうして手にした真相を前に、読者はただ茫然とするのだ。 切なさとか、愛おしさとか、懐かしさとか、そういうものが残酷なまでに美しく描かれている。 特に少女時代のキャシーとマダムの邂逅は作品の中でも一等印象に残った場面である。 マダムの涙の理由を知るのはもっと後のことだが、キャシーが「わたしを離さないで」と歌いながら部屋の中を歩くシーンは、マダムでなくとも感じるところがある。 カズオ・イシグロ氏の作品を拝読したのはこれが初めてであるが、とても良かった。 作品の世界に静かに浸りたい人にオススメ。 また別の著作も購入してあるので、時間がある時に読みたい。

5か月前

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おばあさん

ここ最近読んだ本の中で、一番面白いと言っても過言でないほどの傑作。 獅子文六作品を手に取るのは二作品目だが、彼は人を描くのがとても上手い。 本作品の主人公「おばあさん」を見れば、それがよく分かる。 その出自から、教養があり、素直で、お嬢様然としているかと思えば、時に、快活で「只者でない」したたかな面を此方に覗かせてくれる。この一筋縄ではいかない「おばあさん」が、家庭内の問題をズバッと解決してくれるというのだから、読者も面白くないわけがない。 読者をとことん「いい気持ち」にさせてくれる作品。本当にオススメです。 ……出来ることならやっぱり映像化してほしいな。

8か月前

遠野物語remix

所謂「オリジナル」とされる柳田國男の『遠野物語』は三年前に既に読んでいた。 さて、此度読んだ京極夏彦の『遠野物語remix』は、面白さという点では柳田原作に劣るだろう。「ザシキワラシ」の話などはそれが顕著に現れている。 しかし、現代人に親しみやすく、分かりやすい文体、構築で、あの「遠野物語」を復刻させたのはというのは、やはり京極氏の文学センスの賜物だろう。

8か月前

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外国語上達法

うちの教授の指定図書。 指定図書は全部読む勢いで読めと言われたので早速一冊呼んでみた。 シンプルに、読みやすいし面白い。 千野先生の語り口が軽妙で、ご本人のエピソードも織り交ぜられているので、まるで目の前でお話されてるかのような錯覚に陥った。 本当に頭のいい人は難しいことも本当に軽々と書いてしまう。 30年近く前の書籍ではあるが、現代でも十分通用する指南書だな、と感じた。 語学習得に苦手意識を抱いている人にこそ、ぜひ読んでもらいたい。

8か月前

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空棺の烏 八咫烏シリーズ 4

雪乃紗衣の『彩雲国物語』や荻原規子の「勾玉三部作」に並ぶ名作長編ファンタジー、第四弾! やっと文庫化したので購入、読了しました。 「八咫烏シリーズ」は、「ストーリー」「登場人物」「世界観」、どれをとっても本当に見事な作品です。 この三拍子の緻密な構築は、近年稀にみる出来の良さであると言っても過言ではありません。しかも、デビュー作である第一弾からどんどん精巧さを増しているのだから、阿部智里先生の文才には嫉妬を通り越して、畏怖のようなものすら感じます。 最早、文才というより鬼才。 「八咫烏シリーズ」の最大の「ウリ」は、その先の読めない物語展開です。 今回も存分にハラハラさせていただきました。 どんでん返しのどんでん返しのどんでん返しの…なんてザラじゃあないんです。 だから、読んでる時は一切気が抜けない。 敵の多さや、物語の規模の大きさもありますが、いい意味で読んでいて疲れる作品ですね。 登場人物の描き方も個人的に好みです。 陳腐な言葉ですが、まるで「生きてるみたい」なんです。 欠陥のない人なんて誰ひとりとして居なくて、それがやけにリアルで、彼らの「生」を感じざるを得ない。 巻を増すごとに、登場人物がまた更に心身ともに成長したり、その性質が如実になったりするのがまた憎い演出ですよね。 特に、第一弾ではあんまりしっくり来なかった「浜木綿」というキャラクターですが、彼女の役割というのは第二弾以降徐々に明らかになってきます。 この辺も長編シリーズならではの構成です。 文庫派だったけど、単行本買っちゃおうかな。 心揺れるほど面白い作品です。 和風ファンタジー好きは是非ともお読み下さい。

1年前

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この闇と光

詰んでた本を紹介する月間 ミステリー物を開拓しようと手に取った本。 最初は童話のような世界観なのに、後半それが一気に崩れるのが堪らなくよかった。 耽美ミステリー好きにオススメ。

1年前

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アイネクライネナハトムジーク

買ったのに暫く手を付けていなかった本。 なぜかというと、わたしは男性作家さんの作品が苦手だからである。 だから、地元仙台ゆかりの作家さんだし、表紙がすごく綺麗だし、と買ってはみたものの、今日まで放置していた。 で、今は一年以上放置していたのをとても後悔している。 男性が書いた作品は苦手、という食わず嫌いもそろそろ見直さなければ、とも思わせられるような、おもしろい作品だった。 「ああ、この人あの時の…」という驚きや楽しみが物語のあらゆるところにあって、しかもそれは巨大な風呂敷なのに、最後には綺麗に折り畳まれている。 伊坂幸太郎さんの為せる技なのか…

1年前

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さらば、佳き日 (1)

読了済、多分この手の話が一番好き。

1年前

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滔々と紅

芸術性とかそういうのはさておき、本当に「いい作品」って結局のところイコール「読ませる作品」なのだと思う。 そして、そういう意味でこの『滔々と紅』は「いい作品」だ。 文章とか言葉のセンスとか全体的な文体とか、その辺の印象はあんまり無かった(あくまで主観)けど、「読ませる」という点でこの作品は非常に優れていた。 主人公 駒乃が貧しい農村の少女から、吉原に咲く美しい花魁へと成長していくという、一見ありがちなストーリー。けれど、この作品には他にない「納得感」がある。 駒乃が少女の頃の真っ直ぐさと豪胆さを忘れずに美しくなってくれたこと、幾多もの出会いと別れの後に選んだ最後の生き方。 駒乃の生き様を垣間見てきた読者(わたしたち)に違和感なくそれを受け入れさせ、「読ませる」のがすごいなあと思った。

2か月前

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火星に住むつもりかい?

地元仙台が舞台の本作。 伊坂さん、いつもありがとうございます。 本屋の平台でこの本を見つけた時、タイトルで「あ、SFものかァ〜」と早合点し、購入。あらすじをよくよく読んだら違った。 伊坂さんの作品は初見に近かったので、かなりドキドキした。どんなお話を書く人なんだろう、てな感じで。 くどい表現が無く、会話文多め。リアルな描写が持ち味の人なのかな、とビギナーは思った。読みやすいしテンポが良くて、個人的には好き。 兎に角、ストーリーが面白い。「どうなるんだろう」という結末への期待感100パーセント。小説なんだけど、なんか映画を観ているみたいだった。 善は悪であり、悪は善である。「正しさ」というのは必ずしもひとつではないことを突き付けられた。人間がその身に内包している仄暗い部分をゾクッとするほど生々しく、しかし自然に描写しているのが後味悪かった。 真っ白な人が誰も居ない。だが、そこが真理っぽくて良い。相互監視社会とかそういうワードにパトスが迸っちゃう人は読んだらいいと思う。

4か月前

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外国人とのコミュニケーション

日本における「外国人」という存在についてのみならず、外国における「外国人」としての日本人についても言及されている。 真のグローバル化とは何かということを深く考えさせられた。

8か月前

教科書で読む名作 陰翳礼讃・刺青ほか

近代の代表的な作家である、谷崎潤一郎氏の作品が数篇収録された一冊。 「陰翳礼讃」は日本文化、日本人が持つ「陰翳」を取り上げ、谷崎独特の感性で「日本の伝統」について述べている。一見、懐古主義且つ国粋主義とも取れる主張が並ぶが、「伝統」と久しくかけ離れてしまった現代、谷崎のように「日本らしさ」を考えることもまた必要だと感じた。

8か月前

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大奥の座敷童子

堀川アサコ先生の作品を読んだのは、これが初めてである。 会話文が多く、あっさりとした文体で非常に読み易い。最近活字離れしていたので、リハビリとしては調度良かった。 ただ、個人的にあっさりしている文章があまり好きではないので、その点で物足りなさもあった。 その一方、ストーリー自体は面白く、伏線もしっかり回収されていて、ストレス無く読み進めることが出来たと思う。 全体的に楽しく読める作品なので、読書が苦手な人や複雑な物語に胃もたれした人は是非読んでほしい。 高校生以下の学生にもオススメ。

9か月前

人間失格

わたしはなんたって太宰治が嫌いだ。 文章は読みやすいし、作品は面白いが、言の葉の端々から滲み出るその独特な人柄が苦手で仕方がなかった。 今回、この『人間失格』を読んで、その理由が少し分かった気がした。 この作品には、人間の心が解らない陰鬱な道化師の、生々しいほどリアルな心情と、緩やかに「生」から離れていくその顛末が描かれている。 わたしには、その奥に、道化の仮面で覆われた太宰の影が確かに見えた。 主人公の男は、太宰本人ではない。しかし、完全に太宰ではないとも言い切れない。きっと、常に、太宰の内には、その男がいたに違いない。 一見、この作品は救いのないテールにみえる。 しかし、最後までじっくり読んでほしい。 果たして、男は本当に欠陥品だったのだろうか。 「人間失格」、だったのだろうか。

1年前

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わたしたちが少女と呼ばれていた頃

シリーズものだけど、これだけでも充分楽しめる。 人の死なない学園ミステリー、って感じです。 女の子特有の心情変化や日常風景がリアルに描かれていて、女としては非常におもしろかった。 最後の最後、主人公の小春がとある答えを導き出すんだけど、それがもう、ゾッとするほど名推理。 最後までじっくり読んでほしい。

1年前

最果てアーケード

「死」の匂いを静かに漂わせているような、そんな感じ。 『最果てアーケード』というタイトルにもある通り、このアーケードは、訪れる人たちの「終着駅」なんだと感じた。 小川洋子さんの優しい文章が光る一冊。

1年前

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この世界の片隅に 上

結構前に購入、読了済

1年前

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