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Tomoya

ラジオ、本、映画、ダイビングが好きです

ラジオ、本、映画、ダイビングが好きです。 ジャンルには囚われず、今を見つめる視点が豊かになるものを読みたいと思ってます。

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コメントした本

チャヴ 弱者を敵視する社会

「ニート」発祥の地、イギリスにおける「チャヴ」という現象。 日本において定着した労働政策に関する用語の一つに「ニート」がある。ニートとは、Not in Education,Employment or Training “NEET”つまり、就学、就労、職業訓練を受けていない事を意味する用語である。 本国イギリスでは、1999年の労働政策の中で作成された調査報告書内の一文から出てきたものである。 本書においても一箇所、ニートについて触れている部分がある。 以下、引用本書261頁より 「地元には、やってみたくなるまっとうな仕事がほとんどない。若者の四人に一人はどこかの段階で『ニート』になる。ー六歳から一八の『教育も受けず、雇用もされず、研修中でもない』若者のことだ。産業に徒弟制度がなくなったことで、労働者階級の若い男性の多くには、選択肢もほとんどなくなった」 本書ではこれ以上ニートに関する話題は出てこない。 しかし、この言葉の定義以上にイメージが定着した日本の「ニート」とイギリスの「チャヴ」、それがどういった若者達をさすかは非常に似ている。 まず、日本におけるニートのイメージは以下の本田由紀のインタビュー記事にあるように、今まであった様々な問題を含めた上で結局若者の「やる気のなさ」「向上心が欠けている」というような個人の内面の問題として捉えられてきたし、捉える方が都合が良かった。 以下、引用 http://www.futoko.org/special/special-02/page0513-121.html 「ニート」という言葉は、04~05年にかけて急速に広がりました〜きっかけの一つが、「働かない若者『ニート』、10年で1・6倍 就業意欲なく親に”寄生“」という見出しで一面に掲載された、2004年5月17日づけの産経新聞の記事です。それにより、日本のニート概念、つまり「意欲のない若者の増加」「親への寄生」というイメージが色濃く定まってしまった感があります。その後、「ひきこもり」や「パラサイト・シングル」といったニート以前の既存の概念もニートに集約され、あの急速な広まりが生まれました〜ニートという言葉の広がりを見て、政治家や識者からは「愛国心がないから、国のために働かず、ニートになるんだ」「ニートを育てた親の教育が悪い」といった意見も出されました。 本書「チャヴ」においても似た議論がある。広まる時期まで似ている。 本書15頁より 「二〇〇五年に初めてコリンズ英語辞典に載ったとき、『チャヴ』の定義は『カジュアルなスポーツウェアを着た労働者階級』の若者だったが、その意味は著しく広がった〜いまや、チャヴということばには、労働者階級に関連した暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存などあらゆるネガティブな特徴が含まれている」 以上のように本書ではチャヴという言葉の使われ方、イメージがどのように広がっていったかが述べられる。 著者はその言葉のイメージと実態が異なる事、実態を見えなくさせようとする動きを指摘している。 ・上下を隠す動き 昔に比べて無気力な若者が増えてイギリスが悪くなったという言説、「ブロークンブリテン」と呼ばれるものは、実際には、サッチャー政権下でおきた労働者階級の分断、産業の空洞化がもたらした真空地帯にほとんど何も手当を施さなかったどころか、「支援を受けるやつは向上心の無い怠け者だ」とするレッテルを貼って、責任を個人の能力の欠如とした事だった。 レッテル貼りにはその政権の人間だけでなく、メディアや有識者も、左派も右派も加勢した。 これは上下の対立を見えなくするやり方だった。 本書の核心は常に権力のあり方、行使のされ方だ。 本書361頁より 「本書で論じたかったのは、憐れみやノスタルジーではなく、権力だった〜われわれは実質的にみな中流階級だとか、階級という概念はもはや時代遅れ、社会問題は個人の失敗の結果といった言説、どれもまちがっている」 権力のあり方が資本と結びつく事を指摘した世界で最も有名な著者、カールマルクスはドイツ人ジャーナリストだった。 ジャーナリストは世界を下から見ていき、権力のあり方を分析し、批判するべきだと思う。 これはまっとうなジャーナリストが正面から権力について迫った本だった。

5か月前

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暇と退屈の倫理学 増補新版

『中動態の世界』を読んで、筆者の他の本も気になり、雑感を適当に… 環世界に適応しすぎる人間の運命が退屈からの逃避をひきおこす。 人間がある環境から別の環境に適応しすぎる、その能力が過剰にあることが問題となるという視点は資本主義社会の問題点と類似している。 資本主義社会においては生産能力の過剰がバブルと恐慌という循環をもたらし、膨大な失業者を生み出し、資本の再編によって資本の集中、そして寡占や独占という形で資本家が支配力を持つようになる。 そうした現象の問題は生産能力が足りないことではなく、過剰だということだ。 例えば、レオ・ヒューバーマン著『資本主義経済の歩み上下』(岩波新書)にて1929年の世界恐慌を以下のようにまとめている「西方の世界は、豊富の中の貧困という矛盾に直面した」(216頁) 「豊富の中の貧困」というこの言葉はそれを端的にあらわしているように思える。 本書でも経済に関してそうした指摘はあるが、それだけではない。 現代特有の問題点を指摘している。 それは「消費」の問題だ。 ボードリヤールは「消費」と「浪費」は異なるとして、現代は「消費」しかできないと指摘している。 確かに現代では物がありあまっている、しかし本当に自分たちが必要な物はわずかしか生産されていない。その希少性こそが現代の特徴であり、物が足りない社会だという。 大衆消費社会とは、観念や意味の「消費」をし続けさせる社会であり、同時に「浪費」によって人々が満足するのを妨げる社会だ。 さらに、消費の論理は「労働≒生産」をも覆っている。 つまり、「働くことで生きがいを得る」というような観念を労働者も消費しているという。 ルドルフ・シュタイナーは『経済学講座』(ちくま学芸文庫)において、経済を一つの有機体として捉え、それは「生産」、「流通」、「消費」の循環という形で論じている。確か。 資本主義社会批判には上記の分類で言えば、 資本の拡大再生産という「生産」に関する批判、 生産拠点のグローバル化という「流通」に関する批判、 そして大衆消費社会、つまり「消費」に関する批判がある。 本書はこの「消費」から「生産」へのつながりを暇と退屈という視点から捉えなおすことで、資本主義社会の別の可能性にも触れている。 後半の退屈の第二形式から環世界の話へとつながり、補論にてサリエンスの話へとつながっていく所は今後も気になる。 定住革命に関するところも素晴らしい。 技術の進歩こそが全てを解決するという単純化された人間の歴史を根底から見直すことにもなる。 退屈の第一形式=第三形式のサーキットにおいて、一方でのテロと一方での全体主義が結びつく。 エーリッヒ・フロム著『自由からの逃走』(東京創元社)とは異なる、自由≒退屈に耐えられない人間を描いている。

5か月前

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営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて

営業、タイトル通りの本。 しかし、営業という属人的なものとして扱われてきた業務を論理的、確率的に分析している。 筆者はそれを現状把握する「因数分解」と今後の課題としての「仮説思考」に落とし込む事、かつそのサイクルを繰り返す。 インプットとアウトプットを繰り返し積み重ねていく事によって営業の質を全般的に向上させて行く事が可能と言っている。 実際、筆者の体験談と具体的な手法が記述されており参考になるし、販売先の業界を知る事に費やす時間を多く取るべきだと思った。 アメリカの営業では、内勤と外勤の営業が分けられていてユーザーリストを作成し、アポを取るまでとアポを取ってから商談を成立させるまでの外勤部門と組織的な営業手法が考慮されているという部分も参考になった。

5か月前

これからの本屋読本

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」にて、 筆者内沼晋太郎氏が出演し、まさにこれからの本屋の在り方を語っていた回を聞き、購読。 購入した本屋には「本屋および本」に関する棚があり、最近のトレンドでもあるのかなと感じた。 第一章の「本屋のたのしみ」には様々な引用がされながらその魅力が語られる。 自分も同意する事ばかりだった。 例えば、一つの本屋には人生で読み切れない量の本が置いてあり、店内を一周するだけで世界を一周することに似ているという筆者の意見に改めて、その途方も無さに本屋に魅力を感じていたのだなと思った。 「読みきれなくても買う」という部分。 積読状態の本が増えていくと若干の後ろめたさもあったが、 本屋で本と出会い、その本から開かれる別の世界に対して一歩踏み出すような気持ちで今日も本を買おうと思う、というくらいにこの個所を読んでいると気持ちを持っていける。 そもそもちゃんと読んで次に行くというのは不可能だ。 「本を読む」というのは最初から最後まで読み、完璧に理解するという事ができるという幻想がある。 佐々木中著『切りとれ、あの祈る手を<本>と<革命>をめぐる5つの夜話』(河出書房新書)では、もし本を「完璧」に理解し、わかってしまったら気が狂ってしまう、と言っている。 「本を読むということは、下手をすると気が狂うくらいのことだ」(29頁)と。佐々木中は「読む」という行為のある種狂信的な側面、信仰ともいえる「読む」という行為の極北を示している。 一方で「本を読まなく」ても、本について語る事ができるという意見もある。 ピエールバイヤール著『読んでいない本について堂々と語る方法』(ちくま学芸文庫)では、本はある文脈やその人の環境によって、さまざまに読まれうる、そもそもその本について知っているということ自体がその本を読んでいるという事にも成り得るという主張だった。確か。 そうした定義の話だけでなく、本の仕入れ方や、本屋になる方法などノウハウとしての部分も非常に面白く、勉強になる事ばかりだった。 本書は、本屋にも本にも非常に愛があり、これからの可能性に真摯に向き合ってきた筆者の情熱を感じる。 素晴らしい本だった。 あと、細かいところで言えば、本書のページの表記(全317ページ)は手書きのフォントだ。 最後にその部分が筆者の関係者の手によるものが判明する。 また、判型が家?の形をしていたり、面白い試みをしているなあと思った。 とはいえ、筆者のこれまでの経緯を知れば、「なるほど」と思わされる。

5か月前

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うしろめたさの人類学

筆者は文化人類学の准教授で、エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークをしている。 この本の版元であるミシマ社も含め、書店で平積みにされ話題になっていた記憶がある。 筆者が20代の時にエチオピアで感じた事、その当時の日記に触れつつ現代の日本を含む世界の制度及びその制度への批判のありかたも含めた問題点をわかりやすい言葉で解きほぐしていく。 そこで言われる問題点は、例えば「国家」や「市場」という大きな枠組みで語る事が一方で巨大な権力を肯定し、もう一方で個人の活動を自己責任としてしまう、というような事だ。 そうしたわたしたちの社会やわたしたちの関係性が断絶されていく事に対して「構築人類学」として、構築されてきた現状を認識し、その現状とは違う可能性を捉えようとしている。 最近見た映画に、是枝裕和監督の「万引き家族」がある。 是枝監督は今までも家族をテーマに身近な物語を描いてきた。 パンフレットにコラムを寄せている中条省平は是枝監督の映画を貫くテーマは「家族は自明ではない」と書いている。 家族がどのように存立するのか、どうすれば家族は家族たりうるのか、そういうテーマでこれまでも映画を撮ってきたと監督自身もラジオで言っていた…と思う。確か。 「国家」も「市場」も「家族」も、自明ではないと思う。 しかし、現にあり、どのように構築されてきたかを考える必要がある。 そうして構築されてきた今の環境から、わたしたちは全くの自由ではないけれど、今のありようを知る事でそれを変える可能性はあると思う。

5か月前

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