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Ataru Kuroki

水もしたたる、トキントキンの、OSアップ…

水もしたたる、トキントキンの、OSアップデート。

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コメントした本

元年春之祭

古代中国ミステリ。前漢の時代、かつてある一家のほぼ全員が殺害される酷い殺人事件の現場となった山間の村、雲夢澤。そこに長安から訪れた1人の少女とその侍女。彼女たちの滞在中に再び連続殺人事件が起こってしまう。 まず、これは問題作です。読者が読みたいものを書いたというよりは、著者が書きたいものを書いたタイプの作品でしょう。 そう思って著者あとがきを見たら、「僕はどうしても漢籍と、アニメ的なキャラクター表現への情熱を割愛したくなかった。けっきょく自分の好きな要素を全部一冊に詰めた結果、後で問題作と言われるようになってしまった。」と書いてあって笑ってしまった。日本の本格ミステリに憧れて書いたとか言いつつ全然独創してんじゃねーかと思った。 この作品自体はあんまり出来はよくないと僕個人は思いますが(もしかしたら人によってはめちゃくちゃハマるのかもしれません)、あとがきを読んだら、これが初の長編小説だったということで、他の作品も読んでみてもいいのかもしれないと思いました。何より、「後で問題作と言われるようになってしまった」ことを素直に認めてるところが好きです。

6か月前

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アフター・ヨーロッパ――ポピュリズムという妖怪にどう向きあうか

(要約) ・近年EUが直面した複数の危機のうち、難民危機だけが本質的な危機である。 ・EUには3つのパラドックスがある。すなわち、中欧のパラドックス、西欧のパラドックス、そしてブリュッセルのパラドックスである。中欧の人々はEUが好きだがリベラルは嫌いだ。西欧ではリベラルでコスモポリタン的な若者が政治的な運動を組織するに至っていない(SNSで集まり、一瞬不満を爆発させて終わってしまう)。ブリュッセルの能力主義エリートは、能力が高いが故に国家への忠誠心を疑われ、人々から信用されない。 ・とにかくsurviveすること、それだけがよりよいEUを実現する唯一の方法だ。改革は直線的には成し遂げられない。 (コメント) 何が言いたいのかよく分からない。取り留めもない。処方箋もない。「本書は、これから起こりそうなことについてただ思いめぐらすこと…が目的」だそうなので著者としてはそれでいいのかもしれない。まあ、ヨーロッパで起きていることについてヨーロッパ人が語った本という意味では貴重かもしれない。

7か月前

時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体

(要約)時間方向への運動エネルギーと空間方向への運動エネルギーの合計値にはキャップがあって、空間方向へ移動すると時間方向への移動量は減る。 物質(電子、陽子、中性子)も光(光子)も粒子でありかつ波(量子)である。そして量子は量子場のあらゆる可能な振動の「影響」が干渉し合った結果生き残った振動の表現であり(この辺よく分からない)、素粒子間に働く力はその振動の共振の結果である。 そうすると、物質というのは時空中に含まれる量子場というパラメータ的な何かの表現である。だけど残念なことに重力だけは違う。一般相対性理論は非常にミクロなスケールではうまく当てはまらない(ただし、当てはまる可能性もわんちゃんある)ので、重力だけは量子化できない。 これは、「時間とは何か?」という問いにとって重大な挑戦で、一般相対性理論の記述する4次元時空はミクロでは成り立たないことを意味する。量子重力を記述する理論を見つければ、ミクロも、(繰り込みの結果として)マクロも統一的に記述できる時空の理論を構築できることになる。その有力候補が超弦理論なんだけど、超弦理論だと時空は10次元あることになる。残りの6次元が量子場のことなんじゃないか?と思っている人もいる。まあこのへんは他にも理論があるのでよく分からない。 (コメント)何事も理由がないと納得できないタチなので、「量子重力理論が完成した暁には、時間が1次元で、空間が3次元であることにすら理由が提供されるだろう、と期待できる」という部分に痺れてしまった。 正味半分も理解できた気がしないので(上の要約も間違いが多々含まれていることと思う)、他の説明の仕方の本も読んでみたい。数学的な理解を迂回して理屈を理解するには色んな角度の説明を聞くしかないと思うので、それはもともと織り込み済みのコストである。

8か月前

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つくられた卑弥呼―“女”の創出と国家

卑弥呼×ジェンダーということで、発想は素晴らしい。よく知られているが漠然としか知られていないものを、これまでと異なる切り口で構成し直すのは、よい考察の一つの類型である。 そして、最終章は悪くない。「神秘の巫女、卑弥呼」像がたかだか明治に新しく作られたものであることを示そうとした狙いは良い。けど、明治以前は本当にそう描かれていなかったのか、いまいち説得的でない。また、明治40年に出された論文(本書の中では神秘の巫女像を普及させたという位置付け)はどういう背景で出されたのか、この2人の研究者はどういう人で何を考えていたのか、よく分からない。それが分からなければ、「神秘の巫女」像の虚構性も分からない。 また、次の3つの理由で、全体が説得的でない。 1.全体の大きな結論として何が言いたいのか分からない。 (タイトルを見ると、卑弥呼が実務を行っていたことを示す、という明確なテーマがあるように思うけど、実際には卑弥呼以外に関する記述の方が多い) 2.仮に大きな結論があるとして、そこに向かって個々の部分が有機的に構成されていない。 3.個々の議論の証拠が不十分。 特に3について、 ・記紀の記述を鵜呑みにしすぎ。記紀の作られた意図を少しは考慮して割り引くべきところは割り引いて読むべき。 ・とは言っても記紀はよく分かっていない以上、もっと物的証拠も考慮すべき。記述だけに頼りすぎ。 最終章を一番はじめに持ってきて、もっとまじめに既存の卑弥呼像の虚構性を証明して、それから本論に入るべきだったと思う。構成の仕方次第では良い本だったと思うのに、残念でならない。考えてみれば、「男王を立てたが国が治まらなかったので女王を立てた」という魏志倭人伝の説明は簡単すぎて納得できない。もし本当に女性に政治的実権がないのであれば、男王→女王の転換はそう簡単には起こらないはずだ。だとすれば、それはいかにして起こったのだろうか?

6か月前

ニシノユキヒコの恋と冒険

特に恋愛を書かせたら川上弘美の右に出る人はいないと思うので、読んでみた。読んでみて、すごくよかったなぁと思って解説を読んだら、自分の受け止めは女性読者の受け止めとは全然違うのかもしれないと思った。僕は、恋愛においては男も女も主体性を持って行動しているもんだと思い込んでいたけど、もしかしたら、誰も主導権を持ってなどいなくて、雰囲気や、勢いや、事の成り行きがほとんどのことを決しているのかもしれない(少なくとも、そう思っている人がいるのかもしれない)。

7か月前

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世界史序説

(要約)西洋中心史観は思い上がりである。大航海時代以前の世界史の中心はユーラシアのオリエント以東であって、そこにおいては遊牧民(=軍事、商業)と農耕民(=生産)の結節点(=シルクロード)が繁栄した。ちなみに、ユーラシアの中でも古代はオリエントが優勢であった(ローマ帝国はその一部)が、オリエントにおける森林資源の枯渇と中国における石炭の利用開始によって比重は東に移った。大航海時代が来ると新大陸からの銀が海路で大量に運ばれるようになり、シルクロードは衰退し、ヨーロッパにおいてもシルクロードの最西端としてのイタリアから西欧へと比重が移った。西欧の中でもイギリスだけはアジアの産品を産業革命によって輸入代替することに成功し(ex.綿布)、君民の距離が近かった(三流国家だったので、国債など、資金や軍事力を最大限動員するシステムが早くに開発されていた)ために生産力の増大を軍事にも反映させることに成功し、世界の覇権を握った。その後の歴史は周知の通り。 ちなみに、遊牧民のいない日本とヨーロッパは類似の史実経過(ex.封建制)をたどった。それが近代化の前提条件たる中世を日本に準備した。 (コメント)筋は通っているので一読に値するけど、実証的でないのでこの本だけでは信じられない。そもそも、新書一冊で世界全史を実証することは不可能なので、著者の言う「選択の体系」(どの史実に着目して世界史を描くか)を示すための本だと思って読めばいいのかもしれない。この体系を実証するための研究は後から為されればいいんだと思う。 ただ、シルクロードから海路に比重が移るところの説明はいまいち判然としない。シルクロードの時代にも海路は活発に利用されていたわけで、16Cに航海技術の進歩があったのか、どのくらいあったのか触れないと、どうしても説明しきれないように思う。 あと、モンゴルすげえ。イギリスも、条件的には全く恵まれてないのにやり方だけで覇権国家へと上り詰めて、すげえ。

8か月前

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