08634c99 3a43 40c1 9ad5 6ba772150f2c

Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます

欧米ミステリを中心に読んでいます。 自分のは書評とかレビューみたいな大それたもんではなくて「これ面白かったから読んでみて!」レベルの感想文ですが…よろしくお願いします。

939

コメントした本

代替医療解剖

興味深い人たちとの宴席でこの作者(サイモン・シン)のことを知り興味を持ったので手にとってみた。自分は理系コンプレックスがあるのでそういうきっかけでもないと手に取らなかったであろうサイエンス・ライターがいわゆる代替医療に切り込んだ本。詳しく取り上げられているのは鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法、で付録として同じ手法でいくつかの代替医療も評価されている。いわゆる通常の医療が科学的な手法で様々に検証された結果であるのに対し言わば野放しの代替医療を同じく科学的なアプローチで評価していくわけだが予想どおりというか殆どが否定的な結論に落ち着く。作者はかなりの手練れで理系コンプレックスの自分にもかなり分かりやすくまとめられていた。何を言われようが信念変えない人には向かないだろうけどいろんな情報が氾濫している現在、一読すべき作品と思いました。面白かった。

2日前

89124c62 4100 4a49 8e64 7ddc1784e1df7262626b 2805 4a8b b0cb 7802ea43127d22b3a3bf 0bd7 4c5a a63b da875268a8e760729d69 c811 4eed a64c f6dc1a34a83506a06863 bf98 4b4e 9825 079c9ef1f3d061b88623 7cfa 425e b2c4 af3aadd16c52
SPQR ローマ帝国史I――共和政の時代

イギリスの歴史学者がまとめたローマの歴史。上下二冊の邦訳になっていて共和制と帝政の二分冊になっている。図書館で予約して読んだのだけど圧倒的にこの共和制のほうが人気があって帝政はすぐ読めたのだけどこちらはほぼ二ヶ月待ちにてようやく。共和制を代表する政治家キケロを中心として時代を追っていくわけではない形式で何の変哲もない都市王国として成立したローマという小国が50年と少しで地中海世界を支配するに至ったのか、についての考察を述べている。学者の作品ではあるがエッセイと呼ぶにふさわしく割と主観的な意見が述べられていて明らかにローマは好戦的な国家だった、という意見が垣間見えるしカエサルを始めとして共和制を終わらせた人物には否定的であることが分かる。それ自体は意見として自由だけどもいかにも歴史書、のように世に出すのはちょっと違うのではないかな、とも思った。個人的にはローマの躍進の原動力は他者に寛容な多様性にあると思っていてキリスト教国となり排他的になったときから弱体化が始まった、と思っているのだけども。

10日前

216d55b6 4975 4a24 a010 8a83584139490afb00f7 1356 4a27 abf8 877059e48481Icon user placeholder
働かない―「怠けもの」と呼ばれた人たち

なぜ私達は働かない人に対して怒りを感じるのか、を追求すべく怠け者の歴史を掘り下げた本。確かにアダムとイブが楽園から追放された時に神が「これからお前たちは働かないと飯が食えない」と我々を呪ったように特に西欧においては労働とは原罪のひとつなのだという立脚点が興味深い。古代ギリシャにおいてもプラトンやソクラテスは労働とは奴隷がやるべきことであり文化的な人間は働かないのだ、ということを堂々と述べており、更に歴史を紐解いていくと労働とは忌むべきものである、という考えが脈々と続いていることが分かる。テーマは非常に面白いのだけど学者の書物にありがちな引用が多く持って回った表現の多用で読み難く結局何が言いたいのかいまいち分かり難かった。面白い引用やエピソードもいろいろ盛り込まれていたのにちょっと残念。

22日前

5c50f524 f6b7 412a b19b e458d59db9fdD59b3adb 2ab9 420d 9ed0 8dd4e62a56b646baa3a2 b5d4 481f a76a 26f9ada3ac55
兄弟の血―熊と踊れII 上

実話を元にしたものと知って凄くびっくりした作品の続編。こちらは完全なフィクションとのこと。軍の武器庫から盗んだ強力な武器で銀行強盗を何件もやらかした三兄弟。本作品では出所した彼らのその後、が中心に描かれている。主犯で一番刑期が長かった長兄が出所。更生しようとしている弟達と違って自分を捕まえた刑事に対する復讐のため出所早々犯罪計画を練って再度弟達を引き込もうとするのだが、という話。暴力的でゆがんだ思想で家族を支配してきた父親に反発しつつも自分も同じようになっていく長兄。父親とのこじれた関係の回想シーンと現代の犯罪計画が交互に描かれる形。復讐される側の刑事も似たような親子のトラウマを抱えており複雑な関係の兄がいて長兄の犯罪計画に巻き込まれていき、という形で刑事側の描写がさらにそこに加わって重厚なミステリになっているのだが…確かにミステリとしては上出来だけど読後感は最悪。こういう風にだけはなって欲しくなかった、という展開でちょっと人には勧め難い印象。

22日前

夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組

今、一番はまっているシリーズ。楽しみが無くなってしまうのが悲しいのでなるべく読むのを引き伸ばしたいのだけど我慢できずにまた手を出してしまった。火消しを主人公にしたこのシリーズ、これまでいろんな火消したちが登場したが本作で登場するのは吉原火消。遊郭が私的に雇っている火消なのだが遊郭は家事の間だけ吉原の外で営業できて免税もされるということで微妙な立場にあるという設定。そこに主人公たちの一人が深くからんで、という話。最初に助けた花魁と最後に結ばれるような展開だったらいいのに、と思っていたのだけれどさすがにそこまで荒唐無稽でないところもこのシリーズの魅力。本作もとても楽しく読ませてもらいました。

約1か月前

Icon user placeholder721ff227 6404 486e a136 194741a375b45dd9fbc0 a59e 49ac 887b 646fd19200c46c691830 1283 4653 871c d81a06afb9491525b978 75b4 4758 ae92 afa4d5728ad4
おじいさんに聞いた話

動物を主人公にした作品で母国オランダではかなりの人気を誇る作家とのこと。「ハリネズミの願い」という作品が日本でも売れたらしくその関連で翻訳されたらしい。作家自身が祖父から聞いた話をまとめたもの、という形態だが実際には「いかにも祖父が語りそうだった物語」という完全な創作らしい。作家自身にもボルシェビキを嫌って故郷サンクトペテルブルクからオランダに逃れた祖父が実際にいたらしく。ロシアでは何一つまともなことは起こらないという感じのおかしくもどこか物悲しい物語の数々。どんよりした感じが無くて悲しくて辛い話ばかりだけどさらっと読めてしまう。これはいい作品でした。

約2か月前

9c19fa1b 8fc8 4081 9b4c 1548b52facaaIcon user placeholder53faee56 087c 4df2 bf35 2817db8d08e26cb5df69 ceea 4233 aaae 413922b5218c
とせい

キャリアの警察署長シリーズが気に入ってる作家の別シリーズ。好きなシリーズの新作がなかなか出ないので他のものを読んで場つなぎにしようという思い。そしてタイトルと表紙から反社会勢力をテーマにした作品だと分かったので...浅田次郎の最高傑作がいまだに「きんぴか」だと思っていることもあって楽しみに読んでみた。独立系の弱小やくざの組長が倒産しかけの出版社の社長に収まってしまいそれを元にいろんなドタバタがあるのだけど最後は経営を立て直して去っていく、という読む前からだいたい予想のつく話。唐獅子株式会社というのもあったな...。完全に荒唐無稽な設定なんだけども適度にリアリティも盛り込んであってなかなか面白かった。

約2か月前

献灯使

翻訳ものが好きなこともあって知らない作家さんだったのだが友達が薦めてくれたので手にとってみました。ジャンル分けするとすればSFになるのかな。舞台はなんらかの災害によって鎖国状態になっている日本。100歳を超えた老人が頑健で死なず若い人たちは直立歩行もままならないくらい弱っている。外来語やインターネットは禁止され首都東京は壊滅状態。日本国内の移動すらままならないそういう未来。読み進んでいくうちに災害とは原子力発電所の大事故で鎖国状態になっているのは放射能を恐れた諸外国からなかば鎖国状態に追い込まれているのだとわかる。そんな東京近郊で暮らす元作家の老人とその曾孫を中心とした物語。ファナティックな原子力反対にはげんなりするけどもこういう怖いやり方があるんだなと思った。また欧米の同じジャンル...滅亡ものとでも言おうか、がだいたいマッドマックスや北斗の拳的な暴力的な世界になるのに比べて我が国のそれは静謐な感じになるのも興味深い。かなり楽しく読みました。

約2か月前

Icon user placeholder61d4149d c77b 4dfd a86b ba54201ed388Icon user placeholderA2c42132 e90d 4fe1 b5ef 607b02b13261Icon user placeholder08046b58 10fc 4538 ad28 8bc6ce8e348a5cc7980a 4cef 4104 80ca 8c4ee643fcc2 38
泥棒はスプーンを数える

巨匠ローレンス・ブロックは複数のシリーズを持っているがこれはその中でも一番軽妙なもの。主人公は言わば本格派の泥棒。不在の家に忍び込んで目当てのものだけ盗み出していくという。長い稼業の中でいろいろあってマンハッタンにビルとその中にある書店を手に入れて猫と書店で過ごし、昼は近所でトリマーをやっているレズビアンの友人とテイクアウトのご飯を一緒に食べ、たまに夜は歩いていける馴染みのバーに二人で行くという優雅な生活を送っている。本作では依頼を受けてフィッジェラルドの生原稿を盗む話と、金で買える最高のお巡りと主人公が呼ぶ警官から協力依頼された老女の不審死の調査が並行して進み最後は、という話。まぁ正直なところミステリというよりスタイル小説という感じで好き嫌いは分かれる感じ。特段の盛り上がりも無いがこれがシリーズ最終作だとか。アル中探偵スカダーと殺し屋ケラーのシリーズも終わったみたいだし…かなり寂しいがもう作家引退ってことなんだろうな。

約2か月前

デリヘルドライバー

たまに読みたくなる性風俗もの。これはタイトルのとおり「デリバリーヘルス」という女性を性的なサービスのためにホテルや自宅に送迎する形式の風俗店で女性の送迎をしている人たちのインタビューをまとめたもの。幸か不幸か自分はデリヘルのお世話になったことはないのだが、どういう人たちがどういう経緯を経てそのような仕事に就いているのか、また毎日何を思って仕事しているのかに興味があって。それなりに面白かったけども…こういう作品を読むと自分がいかに平凡な人生だったのかとも思う。それが良いのか悪いのかは分からないけれど。

2日前

66b38508 5a46 4f97 a0fb 87ff00c4b34aIcon user placeholder8276a5f8 944d 4af4 b696 ec8049a0b7448999a782 18c5 4fdc ba2b c315142ed106
死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

冷戦時代のソ連であった謎の遭難事故にとりつかれたアメリカの映像作家がその謎に迫った作品。冬のウラル山脈にトレッキングに出かけた大学生達9名。彼らは切り裂かれたテントから1キロほど離れたところで氷点下の雪山なのにろくに服も着ておらず靴も履いていない状態で、しかも何人かは大怪我しており一人は舌がなくなって発見された。しかも一部の遺体からは放射能が検出され、という事件で今に至るまで真相は明らかになっていない。冷戦時代の事件ということもあって西側にはあまり伝わっていなかったのだが、偶然の経緯でこの事件のことを知ったアメリカの映像作家は生まれてから一度も雪山に近づいたこともないのに真相に近づくためにロシアに渡り、事件の調査とともに雪のウラル山脈にも入る。そうした努力の甲斐もあって真相に近づくのだが…という作品。よくまとまっていて読みやすく彼が突き止めた「真相」もそれなりに説得力もあるのだけどちょっとあっさりしてるかな、というところと、もう少し検証できたのではないかな、と。コンピュータシュミレーションとかで検証できるのでは、という気もするのででこの説、きちんと検証してもらいたい。それにしても最終章はジャック・ロンドンっぽくてなかなか身に迫る怖さがあった。読物としてはかなり面白かった。

10日前

0c0a9e37 6a00 44f9 af19 b6d64c2eedae09f10b9e 97dc 41e0 8f05 9af6203db795D4f645e4 009c 4f5c 8e85 b59f721be82aA7833ddc c607 4bdc 8bd0 b857ec5c8d7cIcon user placeholderA0aa09f5 02c0 4afe a65d 2bb7bd1c304a0394d359 3fef 483c 8570 6ae519a5118e 16
舞踏会へ向かう三人の農夫 上

何年か前に読んだのですが正月休みに再読。 アメリカ文学界の重要人物と言われている作者のデビュー作。割と後期の作品を二作ほど読んで感銘を受けたのでデビュー作も数件前に読んでみたんだけど正直、ややこしい話だな、と思って流して読んでしまったところがあって...でもなんとなく引っかかっていたのでKindleでポチりました。小説のくせに脚注が多くて結果として電子書籍のほうが正解でした。 たまたま立ち寄った美術館で見かけた大昔の写真に惹きつけられる「私」の話、被写体となったプロイセンの若者たちの話、たまたま見かけたパレードにいた女性に惹きつけられる業界紙の編集者の話、の3つの物語がからみあう構造。あとがきによると世に出る訳がないと思ってとにかく知ってることを使って好き放題書いてみた作品とのことで結果として注釈がたくさんで一見とっつきにくい印象になってしまっているけどもリズムがつかめだすとどんどん物語に引き込まれていいきます。 一見なんの関係もない3つの話がこういう形でつながっていくのかという驚きと、それが第一次大戦から始まる欧米の暗い歴史を網羅していること、また適度におふざけを入れることで陰鬱な雰囲気にならないよう配慮されていることなどかなり読み応えのあるよく出来た作品でした。

16日前

Icon user placeholderIcon user placeholderF47e3519 23ce 4d6d a6b6 a1e9a823025fCf010a0d c00d 4387 8883 cd151fb6f6d0Icon user placeholderE62f0c3c f8ba 47a7 a44e a1b165318b7fF940031e ed9c 4d93 bafa 3bbe30f3c0f8 9
さよなら、シャーリー・テンプル

一作目を読んですっかり魅了されてしまった雑誌ニューヨーカー随一の書き手と言われたらしいライターの作品集三作目。有名人でもなんでもない人達のちょっと興味深い話が中心で1940年代のニューヨークを主な舞台としたコラムがほとんど。この作品集では初っ端なぜかジプシー(今どきはロマって言わねばなんだろうけど)のやたら微に入り細に入りな話で正直ちょっとこれは…と思ったものの2編目からは快調に飛ばしていて面白く読めた。ちょっともの悲しい印象のタイトル作とか、アルコールで失敗を重ねて断酒していた男が結局再び酒を飲んでしまう瞬間の描写だとか、タフな女料理人の話とか、インディアンたち(これも今どきはアメリカ先住民なんだろうけど)のリアルな生活~男らしく勇気を試される仕事として多くの先住民が鉄工鳶になりニューヨークの摩天楼作りの現場で活躍したとは知らなかった~などなどバリエーション豊富な話がどれも面白く興味深い。作品集は全四冊らしく次作で最後とか。楽しみでもあり悲しくもある。

約1か月前

3a6edd2c 62c0 48fe b981 4b2c8a4c4baeA4df591e d36b 4b5b bfbe 423ad64e732e8fe9c0bf 1fa7 40bd 831f f37f992766de3de11f42 7975 44f5 9713 a94292e9829cD1cd8f9e 706f 4f28 9e0d 97137f8f558c9b7b10e5 4fb3 4a41 a86b 9a79d145935d243c4d95 2c31 41f3 812d 2ee3122abdc5 23
ヨーゼフ・メンゲレの逃亡

アウシュビッツの医者でガス室送りの選別をし、囚人達を生体実験でいわば拷問して殺したナチスの医者ヨーゼフ・メンゲレ。敗戦と共に親ナチスだったペロンのアルゼンチンに逃亡した彼がブラジルの海岸で心臓発作で亡くなるまで、をあくまで小説として描いた作品。同じ南米に逃げた戦犯でもイスラエルに拉致され処刑されたアイヒマンと違って最後まで逃げおおせた逃亡生活が追う者達の立場も押さえながらリアルに描かれていてさながらノンフィクションのようでもある。道を踏み外した医者の生家が今では消滅してしまったものの世界的な農機具メーカーであり比較的潤沢な資金援助が得られたこと、また追う側の中心であったイスラエルも中東戦争などより優先度が高い事案が生じたことなどもありあと一歩まで迫られながらも逃げおおせた逃亡生活は追手に怯えながらの惨めなものであったと描かれているのだけども果たしてそのようないわば同情的な筆致が必要だったのか、ベートーベンを口ずさみながら人の生き死にを決めていたという純然たる悪に対してはもっと過酷な運命があっても良かったのでは、などなど考えさせられる作品でした。読み物としてはかなり面白かった。

約1か月前

冬の物語

小洒落た表紙とタイトルだったので手に取ってみました。最近の作家だと勝手に思っていたのだけどこの短編集は作家の母国デンマークがナチスドイツに占領されている時に書かれたものだとか。デンマークの旧家出身でスェーデンの男爵と結婚してアフリカで農場を経営していたという作者。農場の経営が破綻し男爵とも離婚して帰国したデンマークで最初は男性名で小説を書いてたらしい。今ではアンデルセンと並び称される国民的作家なのだそう。その作家自身が一番気に入っていたという本作、プロイセンの横暴な軍人が登場するものまで収録されていてよくナチスの検閲に引っかからなかったな、という感じ。その作品でも単に敵方の軍人だけが悪く描かれていないところが素晴らしい。第一遍こそよくできた物語、という感じだったけども後半に向かってどんどんシリアスで切ない物語になっていく印象。どれも優れた作品だけど個人的には特に「ペーターとローサ」に感銘を受けた。悲しくも美しいラストがなんとも言えず印象深い。素晴らしい作品だと思いました。

約2か月前

B4c39e33 cdef 49e9 9630 2ec692a56a659b7b10e5 4fb3 4a41 a86b 9a79d145935d38e6da79 d16f 446c 84d6 13b9464b1823
バースデイ・ストーリーズ

近年は翻訳家としての仕事のほうが好きな作家がまとめたアンソロジー。これ読んだことあったかな、と思ったので手にとってた誕生日をテーマにした短編集。収録されている作家はラッセル・バンクス、デニス・ジョンソン、ウィリアム・トレヴァー、ダニエル・ライオンズ、リンダ・セクソン、ポール・セロー、デイヴィッド・フォスター・ウォレス、イーサン・ケイニン、アンドレア・リー、レイモンド・カーヴァー、クレア・キーガン、ルイス・ロビンソンに翻訳家自身の作品が一つの全13編。半分くらい知らない読んだことのない作家の作品でこういうアンソロジーって新たな才能を知ることができてよいです。作家というものはひねくれているのか誕生日というテーマで幸福感の溢れたハッピーエンディングな作品は皆無。ダークでそれでいて味わい深い作品ばかりで素晴らしかった。そして最後の作家自身の作品でやっと大昔に読んだことがあることに気がついた(笑)

約2か月前

C42d6697 e1a1 432b 9292 c6b9c7119ea2Picture4f0ea177 743f 4ed5 8718 2763ce43fdaeB22ddaff 562a 4442 b7a8 c5619599ec62
菩薩花 羽州ぼろ鳶組

今一番気に入ってる時代物のシリーズ。火消って本当にいいところに目をつけたな、とつくずく思う。主人公は大名家の火消し〜大名と旗本と町民の大雑把に三種の火消しがいた…さらに守備範囲とかでいろいろ分かれていたみたいで〜だけど火消しであれば身分の違いもある程度超越できるし大名家の火消しであれば幕府の動きにもある程度関与できたりする。本作ではこれも本当にあったのか分からないけども火消番付がテーマ。小藩でも番付が高い火消しを抱えている家は知名度も上がり、産物を売る時も有利だし取り潰しされ難い、ということで番付を上げなければ経費を減らす、と申し渡されたある藩の火消しと、火災の孤児を育てて、地元で菩薩と崇められている火消しの二人が登場する。番付を上げる目的で自作自演の火事を起こしている火消しがいるのでは無いか、ということに気がついた瓦版の筆者が行方不明になって、という話。謎解きや火災シーンの迫力、火消し同士の連帯などなど、本作も凄く面白かった。次作がすぐにでも読みたい。

約2か月前

721ff227 6404 486e a136 194741a375b41525b978 75b4 4758 ae92 afa4d5728ad4
メモリー・ウォール

少し前に読んだ「全ての見えない光」という作品が良かったので短編集も手に取ってみた。「記憶」をテーマに書かれた短編が6編。作家は想像力をどこまで発揮できるか試すかのようにいろんな舞台設定で物語を作っている。表題作は少しSF仕立てで、記憶を自由に外部保管、再生できる世界の物語、他にも不妊治療を扱ったもの、ダムに沈む中国の村の話、両親の相次ぐ死でアメリカからリトアニアに渡った少女の話、第三帝国のハンブルグから奇跡的にアメリカに逃れたユダヤの少女の物語などなどどれも読み応えのある作品ばかり。他の作品も読んでみたいと思った。

2か月前

89e302dc 61e2 4acf b97e bf2a8c22fa0eFe1c0b88 3afa 4cc0 b017 136c4a3765a5E8ec958d ae27 41e0 b61e 4c09ae3e1fc0E14e616e d5d9 4a70 8191 aa8f51ff8751