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Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます

欧米ミステリを中心に読んでいます。 自分のは書評とかレビューみたいな大それたもんではなくて「これ面白かったから読んでみて!」レベルの感想文ですが…よろしくお願いします。

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コメントした本 ページ 2

ブルーバード、ブルーバード

実は全くの勘違いから手にとった(昔すごく好きだったグレッグ・ルッカという作家の久々の新作だと思っていた...。なぜ間違えたのか…と思って調べたらルッカの作品の主人公がこの作者の名前に似ていたのだ。読みはじめてしばらくわからずずいぶん作風変わったなと思っていた。)のだけど...アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞、英国推理作家協会スティール・ダガー賞、アンソニー賞最優秀長篇賞の三冠を取った作品は伊達では無かった。主人公はテキサス・レンジャーの黒人捜査官。身内の犯罪に巻き込まれて休職中のところを旧友のFBI捜査官に頼まれてテキサスの田舎町で相次いで起きた殺人の周辺捜査に加わる。一件はシカゴから来た黒人弁護士の殺人、もう一件は田舎町のバーの白人ウエイトレスの殺人。テキサスの田舎町の黒人女性が営むカフェと貧乏白人のたまり場のようなバーの二箇所を中心として人種の対立や主人公と田舎町の人々、それぞれの過去やしがらみが徐々に暴かれていく。ミステリとしての謎解きも素晴らしいのだけどむせ返るような湿気というかアメリカ南部の雰囲気、そしてタイトルもジョン・リー・フッカーの曲から取られているのだが全場面に低く静かに流れているようなブルースの感触が素晴らしい。本国では続編も出てるみたいでそれも楽しみ。面白かった。

2か月前

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サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う

タイトルを見た瞬間にポチりそうになり...結局中身を見ずに買ってしまいました。潜入ルポを得意とするライターが密漁の実態と暴力団の関与について告発する、という内容なのだけど、一方的かつ独善的な告発になっていないところがよく、分かりやすい記述ということもあってすいすい読めてしまう。本作で作者は移転前の築地市場の仲卸で働く他に、主に北海道の港を巡って密漁の実態を調べていく。アワビとナマコの暴力団による密漁や県が認めた最大漁獲量の10倍ものシラス(稚魚)が平然と流通しているウナギ、暴力団の組長が漁協のトップに君臨していた銚子など、近年はコンプライアンスの重要性が叫ばれ暴対法などでヤクザも厳しく取り締まられているというがここまで「黒い」業界があるのか、という驚きがあった。北方領土についての国の無策もあって密漁せざるをえない根室のケースを除けば日本の漁業の殆どが暴力団の資金源なのでは、と思わせられる。それにしても金のためとはいえ真夜中の海にこっそり潜ってアワビやナマコを採るとかちょっと自分には考えられないな…と思った。近年、鰻を食べるのを止めているが高級な海産物全般について食べるのをためらわさせられる内容。まぁそんなもの滅多に食べる機会もないのだけれど(笑) 我々はもう少し自分が口にするものについて真面目に捉えなければならないな、と思わさせられました。面白かった。

2か月前

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宿命 警察庁長官狙撃事件 捜査第一課元刑事の23年

悔しかったんだろうな。とにかく行間からその気持ちが溢れているような作品。その昔、警察庁長官が狙撃され瀕死の重傷を負うという凶悪事件があった。同時期に発生したオウム真理教の犯行だとされた挙句、結局うやむやのうちに迷宮入りしてしまったのだが、その捜査にあたった元警官が真犯人を特定し、捜査の経緯を記した作品。驚かされるのはその地道な捜査内容。些細な証拠もきちんと裏どりし海外の捜査機関にも協力を求めて現地にも足を運ぶ。重要な証人とは信頼関係を結び、という具合で本当に丹念な捜査を行った結果、犯人を特定し容疑者もほぼそれを認めていたにも関わらずよく分からない理由で事件解決に至ることを妨げられてしまうまでが丹念に描かれている。小説と違って捜査していた本人と容疑者の語る内容だからドラマチックではないけれど迫力がある。卓越した能力を持ちながらも思想によって道を踏み外していく容疑者の存在も迫力があり見事な作品でした。面白かった。

3か月前

サイレンズ・イン・ザ・ストリート

前作が荒削りながらもかなり面白かったので手にとってみたテロが最も激しかった頃の北アイルランドを舞台にした警察小説の邦訳二作目。本作から登場人物紹介の他に登場組織一覧が付録されるようになった。北アイルランドはプロテスタントの住民が多く、独立したアイルランドとは別にイギリスの一部となっている。本作の舞台となっている時代はカトリックの独立派テロ組織IRAを始めとして複数のテロ組織と国家権力が入り乱れて争う一番荒れていた時代。大学で心理学を学んだけども警察官を志した主人公はカトリックでIRAからは裏切者として命を狙われている。住民は警察車両にも平気で投石や発砲をしてくるし車に乗る前には爆弾の有無をいちいちチェックしなければならない。前作で逸脱しながらも大活躍した主人公は勲章を貰い昇進を果たしている。本作ではスーツケースに詰め込まれて捨てられていた首なし死体が地道な捜査から米国人のものだとわかり周辺捜査から別の殺人が浮かび上がり…という話。一作目よりかなり洗練された印象。謎解きにも無理がなく娯楽作品としても優れている。このシリーズはしばらく追いかけてみようと思っています。

3か月前

こわいもの知らずの病理学講義

お恥ずかしい話、病理学って何?というレベルの私。正直に言うと半分くらいしか理解できなかったと思う。人間の体はどうやったら病気になるか、半分くらいは癌のメカニズムを平易に説明されているのだが用語がちんぷんかんぷんでなんとなく雰囲気が推測できる、くらいの理解度だったと思う。それでも基本的なところはなんとなくわかったし、昨今巷に出回っている怪しげな説に惑わされない、または惑わされそうになったときに何を参照すればいいかがわかった、と思う。非常にお話が上手く気さくな先生だったけどもほんとはもの凄く偉い方なんだなとわかったのも良かったです。さ

3か月前

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贖罪の街(上)

邦訳が出ると必ず買っていた作者のハリー・ボッシュ・シリーズ。いつの頃からかマンネリというかちょっとこれはおかしいのでは、と思って...どうも主人公が振り切れ過ぎというか明らかにやりすぎになってしまっていてリアリティに欠けてしまい、残念に思いつつ惰性で新作が出ると手には取るという状態。大丈夫かな、と思いつつ手にとってみました。前作でコンプライアンス違反により定年後も雇用延長されていた刑事の職を追われ、復帰を求めてロス市警を訴えている。この訴訟に携わっている異母弟の弁護士から別の事件での調査協力を求められる。容疑者側への転身に躊躇しつつも事件追求の本能に逆らえず調査にのめり込む主人公。動いていくにつれて悪徳警官の姿がちらついて...という話。警官ではないという制約からか最近の作品で鼻についていたやりすぎ感が薄まっており、事件に食らいついたら離さない主人公が戻ってきたという印象を受けた。近年の作品の中ではかなり良かったと思う。

3か月前

異教の隣人

興味深い皆さんが話題に出されていたので手にとってみた。日本の特に関西を中心にいろんな宗教施設や団体を僧侶でもある宗教学者を中心としたメンバーが訪問し対話する、というもの。とりあげられている宗教団体はイスラム教、ジャイナ教、ユダヤ教、台湾仏教、シク教、ベトナム仏教、ヒンドゥー教、正教会、韓国キリスト教、コプト正教、朝鮮半島の巫俗、で他に外国人墓地、修道院、ペルーのカトリックの祭、日本人ムスリム、ブラジル教会、ムスリムのファッション、ラマダン明けの祭、タイ仏教の終末ケア、イラン人の商人、在日クルド人、春節を祝う人達、なども訪れる。共通していることは異郷にあって同一の宗教体験を共有できることが人々の心を強くしている、ということ。文章は記者が手がけていて読みやすく、日本にもこれだけいろんな宗教が入っているのか、という驚きもあり非常に興味深かった。

3か月前

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宇喜多の楽土

作者のデビュー作「宇喜多の捨て嫁」が面白かったので続編を手に取ってみた。前作で父親が権謀術数の限りを尽くして築いた五十万石超を若くして引き継いだ息子を主人公に据えた本作。強大な隣国毛利に対抗するため秀吉の傘下に入り秀吉の養女である前田利家の娘と結婚し果ては大老の一人に取り立てられるなど外向きの栄達の裏で味わう苦悩が描かれている。全体的には心優しく英邁な主人公が父親が目指した流浪の民も安心して暮らせる楽土を実現するために苦悩し続けた様が好意的に描かれている。史実を踏まえるといろいろ突っ込みどころはあるものの小説としては優れていて面白かった。それにしても関ヶ原で西軍の主力として戦った結果、八丈島に流された宇喜多一族を縁が切れたにも関わらず明治になるまで支援し続けた前田家は立派。

3か月前

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邪眼: うまくいかない愛をめぐる4つの中篇

作者の作品はミステリのアンソロジーで何遍か読んだことがあってまとまったものがあれば読んでみたいと思っていたので手にとってみてた。ミステリも手がける作家ということでこれはジャンル分けするとすれば純文学ということになるだろう。サブタイトルどおりの中編が四つ。モラハラ、セクハラ、ストーカー、過剰な暴力…など壊れてどうしようもない愛の形がある種過激な描写も含みつつそれでいて静かに語られておりどの作品も強く印象に残る。他の作品も読んでみたいと思わせられた。思っていた以上に凄い作家だ。

4か月前

デリヘルドライバー

たまに読みたくなる性風俗もの。これはタイトルのとおり「デリバリーヘルス」という女性を性的なサービスのためにホテルや自宅に送迎する形式の風俗店で女性の送迎をしている人たちのインタビューをまとめたもの。幸か不幸か自分はデリヘルのお世話になったことはないのだが、どういう人たちがどういう経緯を経てそのような仕事に就いているのか、また毎日何を思って仕事しているのかに興味があって。それなりに面白かったけども…こういう作品を読むと自分がいかに平凡な人生だったのかとも思う。それが良いのか悪いのかは分からないけれど。

4か月前

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サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

これはベストセラーになるのも分かる。タイトルでお恥ずかしながらピンときてなかったのですがサピエンスとはホモ・サピエンスのことで我々が他の似たような動物達と違ってどのようにして今のような繁栄に至ったのか、を書いているいわゆる「通史」になるのかな。表現が分かりやすく例えや引用も適切で非常に面白い。農業革命に対する独特な見方とか宗教の役割、ずっと辺境で目立つことのなかった西欧が何故覇権を得るに至ったのか、などなどよくもこれだけ広範囲の知識を分かりやすく説明できるものだと感心しました。作者曰く現代は人類が革命的に発展するかもしれない段階に来ているらしくその将来展望はいかに…ということで次作も思わず買ってしまった(笑) こういう作品って往々にして分かりやすすぎるが故に作者の意見を丸呑みしてしまう危険があると思っていて多少懐疑的な目で読んだつもりなのだけどおかしいところとか破綻してるロジックが見受けられず素晴らしかった。次作を読むのが今から楽しみ。

2か月前

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ジョー・グールドの秘密

一流雑誌ニューヨーカー随一のライターと言われた作家の作品集第四弾。なんとも残念なことに本作でこの作家の作品は全て読んでしまったことになる。あとがきを読んで驚いたのだが最高傑作とされるタイトル作を発表してから30年と少し、ずっとニューヨーカーのオフィスに通いながらついに一つの記事も発表しなかったのだそうだ。職場に通いながらの隠遁というスタイルを許した会社も凄いけれどそれだけ作者への評価も高かったということだろう。本作も有名人とは程遠い市井の人々の姿を描いた素晴らしい作品ばかり。なんとも物悲しく印象的なタイトル作をはじめ既出の作品と同じテーマをリライトしたものもいくつかあるがそれらを読み比べるのも楽しいだろうな。手許に置いて何度か読み返したい、そんな作品集。素晴らしかった。

3か月前

あなたを愛してから

もはや巨匠と言ってもいいかもしれない作者の邦訳最新。この作者のすごいところはデビューしてしばらくはシリーズ作を出していたのだけどもここ数年はほぼ毎作品違う舞台設定、異なるテーマで読み応えのある作品を出し続けているところで、本作は珍しく女性が主人公。構成も凝っていて女性が夫を射殺するエピローグ、一章目は女性の生い立ちとジャーナリズムの世界でのし上がる過程、そして自分で自分のキャリアをぶち壊すまで。二章目は彼女の再婚と再生が描かれる。で、この作品はそもそもミステリなのか、という疑問が湧いてきたところで最終章が怒涛のサスペンス、というかなり実験的な作品。ちょっと前半はダレてしまいそうだけど思ってもみない後半の展開が凄い。さすがの作品でした。面白かった。

3か月前

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病気をしない暮らし

こちらはよく売れた人間がなぜ病気になるのかを説明した本の二匹目の泥鰌として出されたものらしい。タイトルのとおり、病気になりにくくするために日常どういう注意をすればよいか、という作品。前作と異なってこちらは専門用語も少なく非常に分かりやすく自分にもほとんど理解できたと思います。風邪とインフルエンザの違いや、どうして風邪に対する解決策がないのか、またどういう注意をするとよいか、についてが特に良かった。いや、知らなかったな。これは。他にアルコール依存の問題や癌についてなど興味深い内容でした。こういう内容を非常に楽しく読めるというのは意味があるなと思いました。

3か月前

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エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告

前から一度読んでみなきゃ、と思っていたものの哲学者の著作ということで難解だろうと腰が引けてた一冊。雑誌ニューヨーカーの依頼による裁判傍聴記と知って手にとってみました。何が興味があったかというとサブタイトルで、自身もナチによって故国ドイツを追われたユダヤ人の彼女が何をもってこの悪を陳腐、と言ったのか、がすごく気になっていて…。アイヒマンはナチでユダヤ人移送の責任者をしていた男で戦後アルゼンチンに逃亡しておりイスラエルによって拉致されエルサレムて裁判にかけられ絞首刑になった男。一説に600万人と言われる犠牲者の殆どはこの男が出した指示でアウシュビッツをはじめとする強制収容所に送られた。一方でこの男はあくまで当時彼の暮らしていた国では合法であった命令に従っただけであり、かつ移送の結果に関しても強い反対意見を正式に述べていたりもするのだ。作者は悪しき体制に諾諾と従った、という意味で裁判の結果は妥当であるとしつつも個人に関しては生まれつき邪悪であったわけではなく悪い方針と知りつつ流されてしまったところに罪があるとした。当時この立場は特に同胞から強い批判にさらされたそうだが妥当な結論ではなかろうかと思う。特殊ではなく陳腐であるが故に誰しも同じ状態になり得るために悪は恐ろしいのだ、という意味かなと解釈している。

3か月前

食肉の帝王

暴力団のルポターシュでお馴染みの作者なのでこんな作品を出しているとは恥ずかしながら知らず、ある宴会で話題になって興味を持ったので手にとってみた。BSEの騒動で国の補助金を騙し取ったとして一族挙げて逮捕さらたことで有名になったハンナングループ総帥の話。関西出身なもんで恥ずかしながら正直いうと同和の問題には触れたくもないという思いがあって避けてきたテーマ。行政もやはり同じで過剰に優遇した結果、目端の利く者が巨万の富を得ていたという話。制度を悪用した一部の者のせいでかえって差別を助長した、という構造が分かる。元はと言えば謂れのない身分制度が悪いのだが利益のためには身内を暴力団に入れても構わないというなりふり構わぬ生き様はある意味立派。まとわりついて利益だけ吸いとってのうのうと暮らしてる人の方が多いんだろうと思うとやりきれないが。これは読み応えがありました。

3か月前

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テロル

主人公はイスラエルに住むアラブ人。イスラムの信仰も薄く、イスラエルの国民であることを選択し外科医として成功してテルアビブの高級住宅街で妻と暮らしている。ある日、自爆テロの被害者の手当てに追われ疲れ果てて帰宅した彼は自爆テロの実行者が自分の妻だと告げられる。全くなんの兆候も感じられなかったことにショックを受け自爆に至る理由を探るのだが…という話。こんなに救いのない話も珍しい。作者は自爆テロに批判的でこういう作品を書いたのだろうけそれが故に生まれ育ったアルジェリアに住めなくなったのだとしたらやはり問題は根深いな、と思った。アラブ特有なのか時折入る美文調は鼻につくものの良い作品でした。

4か月前

代替医療解剖

興味深い人たちとの宴席でこの作者(サイモン・シン)のことを知り興味を持ったので手にとってみた。自分は理系コンプレックスがあるのでそういうきっかけでもないと手に取らなかったであろうサイエンス・ライターがいわゆる代替医療に切り込んだ本。詳しく取り上げられているのは鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法、で付録として同じ手法でいくつかの代替医療も評価されている。いわゆる通常の医療が科学的な手法で様々に検証された結果であるのに対し言わば野放しの代替医療を同じく科学的なアプローチで評価していくわけだが予想どおりというか殆どが否定的な結論に落ち着く。作者はかなりの手練れで理系コンプレックスの自分にもかなり分かりやすくまとめられていた。何を言われようが信念変えない人には向かないだろうけどいろんな情報が氾濫している現在、一読すべき作品と思いました。面白かった。

4か月前

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SPQR ローマ帝国史I――共和政の時代

イギリスの歴史学者がまとめたローマの歴史。上下二冊の邦訳になっていて共和制と帝政の二分冊になっている。図書館で予約して読んだのだけど圧倒的にこの共和制のほうが人気があって帝政はすぐ読めたのだけどこちらはほぼ二ヶ月待ちにてようやく。共和制を代表する政治家キケロを中心として時代を追っていくわけではない形式で何の変哲もない都市王国として成立したローマという小国が50年と少しで地中海世界を支配するに至ったのか、についての考察を述べている。学者の作品ではあるがエッセイと呼ぶにふさわしく割と主観的な意見が述べられていて明らかにローマは好戦的な国家だった、という意見が垣間見えるしカエサルを始めとして共和制を終わらせた人物には否定的であることが分かる。それ自体は意見として自由だけどもいかにも歴史書、のように世に出すのはちょっと違うのではないかな、とも思った。個人的にはローマの躍進の原動力は他者に寛容な多様性にあると思っていてキリスト教国となり排他的になったときから弱体化が始まった、と思っているのだけども。

4か月前

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