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Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます

欧米ミステリを中心に読んでいます。 自分のは書評とかレビューみたいな大それたもんではなくて「これ面白かったから読んでみて!」レベルの感想文ですが…よろしくお願いします。

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コメントした本 ページ 2

ムシェ 小さな英雄の物語

前作「ビルバオ・ニューヨーク・ビルバオ」が良かったバスクの作家の第二作。スペインとフランスの間にあって独自の言語と文化を維持するバスク地方はスペイン内戦の際に共和国側についた結果、民族の悲願に一歩近づく自治州の地位を手に入れる。その結果…ファシスト側の攻撃対象となりヒトラーやムッソリーニの手助けを得たフランコの攻撃対象となりかの有名なピカソの名作を生み出すことになった。本作ではファシストの空爆を受けて2万人のバスクの子どもたちが欧州のいろんな国に疎開した史実をテーマとしている。三部構成で、一部は主に疎開する子どもについて、二部は受け入れたベルギーの里親が対ナチスのレジスタンスに身を投じた結果、悲劇的な最期を遂げる様、三部でそのまとめ、という流れになっている。疎開した子どもと里親の交流については最小限に抑えられており、それぞれを淡々と描くことで逆に当時の理不尽さを浮き彫りにする形となっている。楽しいテーマではないが興味深く読ませる作品だった。

約1か月前

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寵 臣 鬼役

すごく悪いやつがいて理不尽に酷い目に合う人がいて...でも最後は強い主人公がばっさりと悪を成敗してくれて良かった、という22巻までと同じ流れだが主人公の後ろ盾だった高位の幕臣が壮絶な最期を遂げてこれからどうなるんだ、という展開になった。しかし...これだけ悪い奴ばっかりいたら幕府も大変だっただろうとか思わんでもない(笑)

約1か月前

不忠: 鬼役

好きな時代もの。そういえば暫くご無沙汰だなと思って手にとってみたら23巻で21,22を読んでなかったことに気がついてこっちも慌てて読むことに。すごく悪いやつがいて理不尽に酷い目に合う人がいて... でも最後は強い主人公がばっさりと悪を成敗してくれて良かった…という20巻までと同じ流れ(笑)

約1か月前

最後の晩餐の真実

欧米ではそれどうなの、と言われるとは思うんだけどカトリックの高校に三年、プロテスタントの大学に四年通ってたので信者では無いけどもそれなりに宗教、特にキリスト教には興味があるので手にとってみた。イエス最後の晩餐がいつで磔刑がいつだったのか、を解き明かした本。福音書で微妙に内容が異なるため、最後の数日については昔から諸説あるらしくこれを天文学や聖書以外の文献にもあたって追求した内容。かなり説得力のある展開で磔刑でこと切れた日付を西暦33年4月3日と特定し、それに至る行動も具体的に解き明かしている。その情熱がすごいし信者では無くてもある程度楽しめる内容だと思いました。

約2か月前

犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼

かなり昔に読んだ一作目が面白かった記憶があっていつのまにか2が出てたので手にとってみました。前作で、左遷されていたのだけど毎晩テレビに登場する羽目になり最後は犯人を追い詰めた主人公、本作では神奈川県警にて遊撃的に特別な捜査を行うチームを率いている、という設定。そんな主人公が誘拐事件を任されて、という話。地元の有名企業の社長とその息子が共に拐われ、父親だけが先に解放され、特に身代金の要請がないというこの事件をいかに解決していくのか、というストーリー。警察側もそうなのだが犯人グループ、特にふとしたきっかけで道を踏み外した男を丹念に描くとことで物語に深みが出ているような気がした。最後が少しラッキーに頼った部分もあってそこは少し気になったけども次に繋がる感じで期待も持たせてあって上手いな、と思わされられた。個人的には地名も馴染みの深いところが多かったのも良かった。

約2か月前

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消えた21億円を追え ロッキード事件 40年目のスクープ

ロッキード事件が毎日報道されてたのは覚えてるんだけどいったいどういう事件だっのかちゃんと覚えてないな、ということで手にとってみた。当時はまだ子供だったのでロッキードが飛行機を売るために田中角栄に賄賂を渡した話、というくらいの認識だったのだけど…その後、アメリカの陰謀とかいろんな説があったのは知ってるのだけどそもそもなんだったのかな、と思って。この本はNHKのテレビ番組を作る過程の覚書みたいな作りなのでコンパクトで分かりやすかった。結論としてはロッキードが全日空に旅客機を売り込むために政治家に献金した、ということで事件を畳んでしまったのだけど、実際は軍用機の売込みが本当の問題点、ということが分かる。軍事に関わることなのでアメリカも日本でも証拠が集めきれずまたあまり表沙汰にすると安全保障上もまずい、ということで無理矢理畳まれた事件だということが分かった。いくら仕事とはいえ政治家にわけのわからない金を包んだりとかそういう世界と無縁でほんとに良かったな、と思いました。 面白かった。

2か月前

バー「サンボア」の百年

飲食店、それも洋酒を飲ませるバーで創業百年はほんとに凄まじいことだと思って手に取ってみた。作者は「北新地」「銀座」「浅草」でサンボアを経営する、暖簾分けシステムで現在14店のこのグループの中の第三世代に属する経営者。大筋では第二世代の経営者一族が殆どを経営しているこのグループの歴史は当然ながらどこかにきちんと記録されているわけではなく、口伝に近いいろんなエピソードを丹念に聞き取って神戸の片隅で生まれて戦争も乗り越え今日まで続く酒場の歴史をまとめてある。実は自分はそんなにサンボアには思い入れも無くたいして訪問したこともないが今度一度立ち寄ってみようかと強く思わされた。バーというのは特殊な世界で別に凄い酒瓶を揃えていたり凄い技術で酒を混ぜたりできるところが必ずしも良いわけだはなく、自分にとって居心地が良いか悪いか、が大事だと思っているのだが、その意味では一番重要なことはそこの空気感である、ということを改めて認識させられた気がする。

3か月前

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スパイたちの遺産

エスピオナージュの最高峰ル・カレの邦訳最新は世評の高い三部作の後日談。伝説のスパイ・マスターの元、最前線で活躍していた主人公も今や引退してフランスの農場でのんびりと隠居の身分。そのかれのところに元の職場、英国情報部から呼び出しが来る。過去に彼が関わった作戦で命を落とした情報部員とその関係者の子供達が情報部と彼らを相手どって訴訟を起こそうとしているというのだ。情報部は過去の資料を捜すがそれは主人公たちが隠蔽してしまっていた。しかも作戦の責任者たるスパイ・マスターは所在不明。半ば強引に情報部に呼び出された主人公は過去の悲惨な展開に至った作戦に向き合わされて、やがて意外な展開に…という話。作者の最近の作品はかなり読み易くなっているがこれは過去の高名な三部作の頃と同じく良いか悪いかは別としてかなり読みにくい(笑)しかしそれが良い。とりあえず「寒い国から帰ってきたスパイ」あたりから再読してみるかな、という気にさせられた。面白かった。

3か月前

特捜部Q―自撮りする女たち―

デンマークのミステリで本国とドイツでは特に人気があるらしいシリーズの邦訳最新。もう七作目になるんだな。有能だけど偏屈な警部補と謎のシリア人アシスタントというコンビによる未解決事件捜査班もいつのまにか精神的に問題を抱えてるっぽい女性アシスタントにひょろひょろの若手警官という四人チームとなっている。本作ではチームの女性の精神的な問題がついに限界に達してしまう。彼女がなぜそうなったのかを突き止めようとするチームメンバーに、チーム解散の危機までが訪れる。一方で退職した元上司から依頼された未解決となっている女性の撲殺事件、現在発生している失業中の女性を狙った連続轢き逃げ事件という一見関連の無さそうな二つの事件までが発生し、という話。平行していくつかの話が語り手を変えて進んでいくがこれが混乱に陥らず最終的に落ち着くべきところに収斂していく見事な構成が素晴らしい。長く続いているシリーズだがマンネリにも陥らず素晴らしい。早くも次作が楽しみでならない。

3か月前

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潜伏キリシタン 江戸時代の禁教政策と民衆

最近読んだ本から。 世界遺産への登録がらみなのか店頭で似たようなテーマの本がフィーチャーされていてちょっと興味もあったので手にとってみた。維新で鎖国が終わった後に駐留する外国人のために作られた浦上天主堂に現れたキリスト教徒を名乗る日本人に欧米人は驚愕と感動を覚えたというが秀吉の禁教以来どのように信仰を維持していたのか、ということについては奇跡の一言で片付けられていたような気がしていた。そのあたりをすっきりさせたくて手にとってみた。キリスト教徒が潜伏できたのは大まかに言って次の通り、というのが作者の考え。島原の乱の記憶が為政者、農民ともに強烈すぎた。キリスト教徒以前に村落共同体の一員としての役割を果たせていた。島原の乱については領主たちもかなり悲惨な末路をたどっており支配者層にも農民側にもかなりのダメージを残したことが後の政治に与えた影響がよくわかった。また、江戸時代の農民がパブリックイメージとは異なってそれなりの地位と勢力を持っていた証拠に様々な裁判の記録が現在にも残されておりそれを丹念に読むことでキリスト教徒を穏便に見逃そうといった為政者側の理屈も分かるようになっていた。説得力もかなりあってなかなかに面白かった。

約1か月前

宿敵 鬼役

すごく悪いやつがいて理不尽に酷い目に合う人がいて...でも最後は強い主人公がばっさりと悪を成敗してくれて良かった、という21巻までと同じ流れだが主人公の隠された生い立ちとなんとなく関係のありそうな謎の敵と凄そうな黒幕が出てきた。

約1か月前

生き物を殺して食べる

筆者は環境ジャーナリストで普段はほぼヴェジタリアンなのだが肉食について、自らの手で殺し処理したものだけを食べる生活を実験的に行ってみようと決意し実行した記録。釣りや狩猟を行い、屠畜場をも訪れて生き物がいかに殺され食肉になるかをも目の当たりにする。そこから得られた結論として、現代の大量生産的な食肉や漁業のあり方に疑問を呈し、より人道的な畜産や漁業へのシフトを提案し、肉や魚を減らした食事への転換を提案する、という内容。特に食肉生産の具体的なやり方やハラルの問題などは非常に興味深かった。現代では動物は電気やガスで気絶させられてから絶命させられるのだけど、ハラルについては祈りが耳に届かないという理由で今でも生きたまま殺すべき、という一派がいたり、西欧では知らない間にハラルを食べさせられている、といったムスリム以外からのクレームもあったりするのだそうだ。全体として非常に興味深いし勉強にもなるし、ご説ごもっとも、という感じではあるのだけど、一方でどうしても金持ちの道楽だろ、という思いや上から目線を感じてしまって感情移入が難しい、という感じもした。意識高い農場でのびのび暮らす豚を世話する女性にいつもいいもの食べられていいね、と言って、自分はこの農場の製品は手が出ないのでスーパマーケットのベーコンしか食べられない、と返されるシーンが描かれているのでそれなりに筆者自身も認識はしているようなのだけどそこは消化不良のまま終わってしまったな、という感じ。

約2か月前

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楽園への道

ペルーの大統領選挙にも出たことがあるノーベル賞作家バルガス=リョサが描くゴーギャンとその祖母の物語。血縁以外に直接の接触がないこの祖母と孫の物語が交互に進んで行く形式。何故、ペルーの作家がフランスの画家を取り上げるのか、と思ったらゴーギャンの祖母はペルー人がフランスで産ませた私生児なんだそうだ。金融業界で成功していたのに絵にハマり、同居していたゴッホが自分の耳を切り落とした現場にも居合わせた上、最後はタヒチに渡ったダイナミックな画家の生涯はそれだけでじゅうぶん物語になると思うが祖母はそれに輪をかけて凄い人だった。私生児として産まれ、勤めた工場の主に見染められて結婚するもどうしてもその男に耐えられず当時の女性にしては考えられない行動〜家庭からの脱走〜にでて、夫から逃げる過程で自らのルーツを知ってペルーに単身渡航、そして再びフランスに戻り、女性の地位向上と労働者の地位向上の活動家となってイギリスやフランス各地で労働組合を作る活動をしていたのだそうだ。マルクスよりも前に労働者の団結を訴えていたこの女傑の話と、芸術に導かれて「真っ当な」人生からどんどん足を踏み外していくその孫の話が交互に。これが面白くならないわけがない。南米文学によくあるマジックリアリズムとは違い硬質だけど人称の混在と使い分けによって読むものを幻惑するような独特の感じも良くて素晴らしかった。

約2か月前

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失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断

タイトルに惹かれて手にとってみた。世界史における残念な決断とか行動の歴史で一つのエピソードが図版入りで3から5ページにまとめられている。中にはこれが失敗?という感じのものもあるけどもだいたいが興味深い話。ただずっと通しで読むと断罪ぶりが鼻につくところがありちょっとしんどいかな、という気もした。なんとなく意識高い系な場所の待合室とかにあるとちょうどいいかな、という感じがした。面白かったけれども。

2か月前

おばあちゃんのごめんねリスト

主人公は七歳の女の子。一言で言うとこまっしゃくれたガキ、という感じで友達はエキセントリックな祖母だけ。その祖母が亡くなってしまい彼女にいろんな人に謝罪の手紙を届けてほしい、と言い残す。祖母の遺言を果たしていくうちに折り合いの悪かった周囲の人達の過去の繋がりが見えてきて、という話。こう書くとよくある感動ものみたいな印象なのだがそこはかなりひねってあって、こう来たか!という感じ。亡くなった祖母が元外科医で世界中の戦争や災害地帯で活躍してきた人で年老いてからもかなり破天荒だった、という設定。祖母の過去と周囲の人たちの繋がりが明らかになっていく中で、主人公が手紙を通じて交流していくことでじょじょに成長していく描写が素晴らしい。主人公と祖母が二人で作っていたおとぎ話が実は現実の暗喩になっていて、という重要なパーツなのだけどファンタジー系が苦手なので個人的にはその部分だけは読みにくかった。全体的にはかなり面白く万人におすすめできる作品だとは思いました。

2か月前

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ブラッドランド 上: ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実

なぜこういう本を手にとってしまうのか… ドイツによるホロコーストやスターリンの大粛清は有名だけど、実はヒトラーとスターリンによるウクライナ、ベラルーシ、ポーランド国民の虐殺はあまり知られていないが作者によると1,400万人にものぼるのだという。これらの 一つには虐殺されて蹂躙され尽くしたから、またソビエトの影響圏に入れられてしまったから、また、主な殺戮方法が計画的な飢餓状態であり、人肉食などがあったことから被害者たちも口を閉ざしたから、という理由であまり明らかにされてこなかったこの事実を記録を丹念にあたり告発したもの。これらの地域を称して作者は「ブラッドランド」と呼んでいる。しかし、読んでて苦しくなるようなことばかり。人間が人間にこんなことができるのか、という驚きがある。結論の章がちょっと難しくちゃんと読解できたか自信が無いのだが、問題の本質は全体主義ではなく人を人間としてではなく数値化してしまうところにある、と言っているような気がした。その意味では、例えばヒトラーにしろスターリンにしろ実際に自分で殺害を実行するわけではなく、曖昧な指示を出すだけでありあまり実感が薄いのではないか、という気もする。どのような命令であれ忠実に実行する官僚機構の方が恐ろしいかも知れない、とも感じた。恐ろしい本だった。

3か月前

ジャジューカの夜、スーフィーの朝 ワールドミュージックの現場を歩く

曖昧な定義だけど欧米と自国以外の音楽、いわゆるワールドミュージックをその道専門の評論家が現地で聴いてまとめたもの。取材した国は、パキスタン、レバノン、イスラエル、インド、モロッコ、トルコ。親切なのは巻末にQRコードが載っていて作者のyoutubeサイトに行くことができ、実際に動画で確認することができる。また、おすすめの盤もいくつか載っていてストリーミングの契約をしていればすぐに聴くことができる。自分も順次、と思ってまずはパキスタンのミュージシャンのジャズ・アルバムをDLして聴いてみた。昔なら興味を持ったミュージシャンをメモって買うかツタヤや図書館で探すしか無かったが…これはいいことなのか悪いことなのか分からないけども少なくともあらゆる音楽へのハードルを下げてくれてはいるだろう。ストーンズのブライアン・ジョーンズが紹介していたモロッコのジャジューカ村、インドのマハラジャが自分の城で開催するスーフィー・ミュージックのフェスティバルなど海外旅行嫌いな私でも凄く現地で体験してみたい、と思わされたものがいくつかあった。面白かった。

3か月前

脳のなかの倫理―脳倫理学序説

友達がこの作者の作品を褒めていて興味を持ったのだが褒めてた作品が難しそうだったので序説なら割ととっつき易いのでは、と思ってこちらを読んでみた。作者は脳神経科学の第一人者で大統領諮問委員会のメンバーだったりもする偉い人。この作品では新たに「脳倫理学」なるものについての紹介をしている…というとかなり難しそうだけど、とても読み易く分かりやすく書かれている。内容は簡単に言うと、脳に関する研究が進んでいる今、やりようによってはいろんなことができてしまうが、何をとこまでやってもいいのか…を考えるのが脳倫理学、ということらしい。いろんな切り口で科学がいまどこまで進んでいてどういうことができるか、を説明し、今後の展開として自らの意見と今後の予測を簡潔にまとめてあるスタイル。もっとも10年以上前の著作なので前半の科学の進歩の部分は今現在、更に進んでいる可能性はあるが。ちょっと驚いたのはいわゆる宗教的な啓示体験も脳のある種の障害や刺激で発生させることができる、ということで脳に関して我々は今現在、思っているよりさまざまななことができ得るらしい。その意味で「脳倫理学」は極めて重要な学問といえると思った。哲学者の現実に関する貢献も理解できたしいろいろ面白い内容でした。

3か月前

東京ヤミ市酒場 飲んで・歩いて・聴いてきた。

自称「路地徘徊家」が戦後のヤミ市をルーツとする酒場を案内した本。グルメガイドのようなタイトルだが殆ど紀行文学と言ってもいいと思う。取り上げられている街というか横丁は新橋、新宿、渋谷、池袋、大井町、神田、赤羽、西荻窪、吉祥寺、溝の口、横須賀、野毛、船橋。それぞれのルーツを昔を知る人に取材したもの。内容もそれぞれ興味深く素晴らしいのだが黒地秀行さんの盛り場を描いたイラストレーションが素晴らしい。これは画集としても手元に置いておきたくなった。

3か月前