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Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます

欧米ミステリを中心に読んでいます。 自分のは書評とかレビューみたいな大それたもんではなくて「これ面白かったから読んでみて!」レベルの感想文ですが^^; よろしくお願いします。

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コメントした本 ページ 2

バッタを倒しにアフリカへ

友達が褒めてたし世間の評判も良いので手にとってみた。子供の頃に憧れたファーブルに倣って昆虫学者となった作者がなんとか世に出ようと足掻く過程が面白おかしく描かれている。長い年月をかけて博士になっても全く食えず研究者や大学教授になれるのはごく一部なんですね。知りませんでした。作者も博士にはなったものの収入を得る手段を考えあぐねた挙句、言葉も喋れないのにアフリカに渡ってフィールドワークに徹することで他者との差別化を図ろうと目論む。昆虫とかそういう学問分野でも一般的にはフィールドより研究室が主要な活動領域、というのにも驚かされた。夢に向かって突き進むことの重要性が描かれているが当然、専門分野での努力や成果も重要なはずで前者だけが強調され過ぎているところが少し心配。面白くて一気読みしたけども。

約2か月前

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蒙古襲来と神風 - 中世の対外戦争の真実

日本人なら誰でも知ってる元寇。神風で一夜にして外敵が滅んだというあれ、がほんとにそうなのか、ということを丹念に検証した本。元寇の影響は鎌倉幕府が滅んだだけではなく、日本は神に守られた神国であるという異常な信念が生まれる原因ともなっており極めて重要にもかかわらずあまり深く検証されてこなかった、ということに驚き。作者は丹念に文献にあたるとともに最大の資料である 蒙古襲来絵詞を読み解き「確かに台風も来たけどそれだけでは対外戦争に勝てなかった」ということを検証していく。考えてみれば日本側の武士団はもとより庶民に至るまで同じく台風の被害を受けたはずで外敵だけが倒された、とするのはおかしい。武士団を軽んじようとした旧勢力の思惑が後世にまで負の影響を与えたことに今更ながら気づかされた。こういう定説や常識に挑む研究者の姿勢は重要だと思った。

約2か月前

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売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ

そんなに風俗好きというわけでもないのだが性風俗ものには未知の世界を覗いてみたいとでも思うのか…何か心惹かれるものがあって。知らなかったのだが三重県の志摩半島辺りに主要産業が売春という島があるそうでそこのルポタージュ。元々、江戸時代から帆船の風待ち場所となっていた島だそうで船乗り相手の売春が大昔から行われており、そういった行為にあまり抵抗のない土地柄ということに目をつけたヤクザが開発したところらしい。起こりはそうでもすぐに主導権を握ったのが実は女性達だったというところが驚き。島だから見張りやすいということもあって男に騙されて売られてきた女の人がかなりいたということにもっと驚き。世の中汚いことがまだまだいろいろあるんだなと。まだ娯楽が少なかった時代に大いに賑わい、娯楽の多様化と共に衰退していった島について歴史と現状が淡々と描かれていて興味深かった。

約2か月前

まっぷたつの子爵

寓話的、と評されるイタリアの作家だけど…的というか完全に寓話。だからと言って大人の読書に耐えないかというとさにあらず。戦争でトルコの砲弾に立ち向かい縦真っ二つに切り裂かれた子爵。片方が善、片方が悪となって領地に戻った彼が巻き起こす騒動、という話。悪が悪なのはもちろんなのだが善が善良過ぎてそれもまた悪と同じくらい迷惑、というところが良い。なかなか面白いので他の作品も読もうと思った。

約2か月前

さいごの色街 飛田

確かに日本ではもはやここだけ、と思われる特殊な街を描いた作品。特段風俗好きというわけでも無いのだが性風俗ものには何か心惹かれるので手にとってみた。本業は旅行が専門の女性ライターがたまたま宴会で訪れた飛田に興味を持ち12年かけて取材したものらしい。昔からの色街で古い形態のまま商売してるのは確かにもう飛田くらいなのかも知れない。作者のスタンスがこの特殊な街のことを世間に知らしめたいというだけで変に悲惨さを強調したりせず事実を淡々と述べているところが良い。アポなしでヤクザの組事務所にまで取材をかける根性にも驚かされた。読んでて気持ちのいい話では無いが変な偏りがないので読めたのだと思う。興味深い街だし面白いと思ったがおそらく一生行くことはないだろう。本だけでじゅうぶん。

2か月前

少女〈上〉

スェーデンの人気ミステリシリーズ邦訳最新。主人公はエリート部隊である国家刑事警察殺人捜査特別班に雇われている心理学者。これが曲者で仕事は優秀なのだが周囲と軋轢を生むことなどなんとも思っておらず、さらにセックス依存症で手当たり次第に女性に手を出す要注意人物、捜査チームに加わっているのも邪な動機から、という設定。本作では子供を含む一家皆殺し事件が発生、解決を急ぎたい地元の警察の要請でチームが乗り出しやがて事件現場から逃げ出すことができた少女がいたことが分かって、という話。単独のストーリーとしても面白いのだがもチームの面々の私生活や人間関係もサイドストーリーとして上手く設定されていてシリーズとしても飽きさせない。早くも次作が楽しみ。

2か月前

地下鉄道

ピュリッツァー賞、全米図書賞受賞作その他有名な文学賞を続々受賞してるということで手に取ってみた。なんというかな…これほど悲惨でヘヴィな物語をこれほど楽しく読んだのは初めてかも。物語そのものは極めてシンプルで、苛烈な農場から逃げた黒人奴隷の少女と彼女を追いかける逃亡奴隷狩り人の話。作家の想像力が凄いのはその昔、奴隷制の南部から北部に奴隷を逃す組織が呼ばれた「地下鉄道」という名称をほんとうに地下に蒸気機関車が走る逃亡ルートがあったかのように描いているところ。後書きにもあるがSF的でもありミルハウザーの幻想的な作風のようでもある。地下の鉄道を通じ主人公がいくつかの街を転々と逃げながら出逢う人々や事件が奴隷制の残酷さをこれでもかと語ってくる。ほんとにここまで苛烈だったのかは分からないけども。こういう作品が高く評価されるうちはトランプのアメリカと言えどもまだ大丈夫、という気もした。確かに凄い作品だ。

3か月前

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猫は、うれしかったことしか覚えていない

猫好きの心を鷲掴みにするタイトルと表紙に惹かれて手に取ってみた。中身は言ってしまうとよくある猫あるあるなんだけど味のあるイラストとあいまってかなり楽しい。昔飼ってた猫を思い出しながら楽しく読めた。

3か月前

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凍てつく街角

彼の地ではなかなかの人気シリーズだそうでこれが第1作とのこと。ある事件がきっかけで休職中の刑事、酒びたりになってる彼の元に行きつけの飲み屋の親父が行方不明になっている知り合いの娘の行方を捜してくれ、と言ってくる。全く乗り気では無かったがリトアニア移民の母親に無理やり引き合わされ、情にほだされて引き受けたところ大きな犯罪組織の存在に気がついて…という話。驚いたのはなんというか「ありきたりを恐れない」というところで主人公が酒浸りになった理由も行方不明の娘が辿る生き地獄のような運命も並行して語られる猟奇連続殺人のストーリーも言ってみたらありきたり、全く予想を裏切られないところがかえって清々しくすらあった。主人公よりも酒場の主人はじめ脇役が魅力的だったしシリーズものとしてはかなり楽しみ。

3か月前

密造酒の歴史

酒を飲みながら下からは垂れ流す、という最低の姿の天使?の姿が描かれた表紙に惹かれて手にとってみた。ここでいう密造酒、は蒸留酒のことでより純粋で度数の高いアルコールを手に入れようとする人類の努力には頭が下がる思い。スーパーマーケットで手軽に焼酎やウイスキーを買ってこられる我々はなんと幸せなことか。本作は歴史を一応はなぞっているものの系統だって歴史を述べたものではなくエピソード集のような趣きでそこが評価の分かれるところかと。アングラな密造酒の危険をうったえるとともに「合法的な」密造酒〜要は熟成してないウイスキー〜の魅力を伝えることには成功している。

約2か月前

戦争がつくった現代の食卓-軍と加工食品の知られざる関係

作者は元々はいわゆる意識高い系の人。料理も極力手作りし子供達をファーストフードに連れていったりもしない。しかし一から全てを作ることは現代において不可能であることに気がつき加工食品の研究を始める。そして現代の加工食品の多くが軍が戦闘員に持たせる糧食の研究から生まれていることを知る、という内容。この手の本にありがちな加工食品を全否定、という立場ではなく純粋に加工技術そのものやその歴史について興味深く取材しまとめているところが共感できる。それなりに専門用語が羅列してあったり一見とっつき難い印象だが以外とさらっと読めてしまう。合衆国において軍の研究というものは国家の金が大量に注ぎ込まれておりそれが民間向けの製品に応用されるという構造は共産国のそれとそんなに変わらない、という指摘にはなるほどと思わせられた。

約2か月前

フォールアウト

邦訳される度にとりあえず手に取る作者の一人。シカゴの女性探偵のシリーズ。本作ではいつものシカゴを離れてカンザスが舞台となっている。黒人女優の草分けと共に姿を消したいとこを探してほしい、という依頼を受けてカンザスを訪れた主人公、女優が自らの生い立ちをドキュメンタリーでまとめようとしたその過程でタブーに触れてしまったのだろうと気づくのだが、という話。冷戦時代のミサイル基地があった田舎町でいつもと勝手が異なる状況のなか奮闘する、という話なのだが…正直言ってちょっと冗長では、という気もした。登場人物が多過ぎるのでストーリーがこんがらがって最後の会話で全て整理する、という流れは少しいただけない。力があって優れた作者の作品だけに少し残念。次作に期待。あと、くさしついでに言わせてもらうとこの安っちいイラストの表紙もいただけない。少なくとも僕のイメージしてる主人公とは全然違ってこれも興醒め。

約2か月前

棲月: 隠蔽捜査7

新作を楽しみにしているシリーズの一つ。キャリア警察官を主人公にしたシリーズ。もう7作目なんだな。キャリアというと現場が分からない頭でっかちの役立たずとかキャリアを鼻にかける厭味な奴というステレオタイプな描かれかたをイメージしたりするが本作では確かに現場経験は乏しいものの自らの信条をきちんと持った主人公の筋の通った生き方、やり方が結果を出していく様が描かれる。この作品は鉄道会社と銀行でハッキング事件と管内で起きた不良少年のリンチ殺人が並行して描かれやがてそれらが、という話。またペナルティで本来の階級からは有り得ない一警察署長に甘んじている主人公に異動話が持ち上がり、というサイドストーリーもあってちょっと結末が簡単にまとめられちゃってるな、という気もしたが楽しく読めた。

2か月前

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キリング・ゲーム

邦訳が出ると必ず読んでる作家の一人。トリッキーな作風ではあるものの人物描写や会話に魅力があってキワモノな感じがしないところが良い。なんせ連続殺人犯と目され逃亡中の兄を持つ刑事という設定だけでもじゅうぶん異常なのに扱うテーマも連続殺人ばかりという…。本作でも手口や凶器がバラバラで一見関連しないように見える連続殺人がテーマ。犯人も最初から登場してるので何が動機でいつ刑事と犯人が交錯するのか、が楽しみになるのだがそこはこの作家のこと普通ではない終わり方を用意していてそれが不自然ではなかったりするので面白い。次作も楽しみ。

2か月前

等伯 上

友達が絶賛してたので読んでみた。 戦国時代〜江戸時代にかけて当時のメジャーである狩野派に伍して一派を立ち上げた長谷川等伯の一代記。残念ながら自分は絵の優劣を見極める目を持ち合わせていないのでなんとも言えないが一派を立ち上げ存続させただけでも大したものなのにこの人は敗者側のしかも武家出身なのだという。それだけの胆力と技術を持った芸術家の姿が活き活きと描かれていて良かった。手に職持ってるとやっぱり強いな、という感想。個人的には贔屓の信長が悪役にされていてちょっと悲しかったけど素晴らしい作品。面白かった。信長と同じく敵役の狩野永徳を書いた作品も読んでみようと思った。

2か月前

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歴史の証人 ホテル・リッツ

高級なホテルという非日常な空間に戦争という異常な要素が加わった時代のエピソード集。パリを占領したナチスはイメージを良くしようと思ったのか、はたまたスイス人のオーナーに遠慮したのかリッツだけは接収せずに借りたのだそうだ。ただし格安で。そしてゲーリングが居座った。戦争が近づいてくる感じ、占領から解放、戦後の悲惨さ、を短いエピソードを繋ぎ合わせていくことで上手く表現してる。いろんな人のエピソードが描かれているのだが特にヘミングウェイのクソ野郎ぶりには笑わされ、ナチの占領も乗り切った総支配人夫妻の悲しい最期には心が痛んだ。そうだ「移動祝祭日」が面白かったからこれにも惹かれたのだな、とあとがき読んだ時に気がついた。

3か月前

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楽園の世捨て人

これもデンマークのミステリだけど主人公がデンマーク人というだけで舞台はスペイン領のアフリカに近いところにある島。なんらかの理由で妻子を捨てて島に流れ着いた主人公。当初は海岸で野宿し自給自足の生活をしていたことから「世捨て人」と渾名されている彼も今ではタクシーの運転手とピアノの調律師で生計を立てている。ある日、島の海岸に放置されていた車の後部座席に餓死した赤ん坊が発見されるが観光業に傷がつくのを恐れた島の警察はまともに捜査をしようとせず、それに納得のいかない主人公は独自に調査を始める。それとほぼ同時に島での数少ない友人カップルが襲われ女性が重体に男が行方不明になってしまって、という話。主人公の心理描写が長くけっこうねボリューム、そして二つの事件がややこしく絡みあって少し難解。また主人公がデンマークを捨てた理由などいろんなことが明かされないまま終わってしまうので不満が残る。そもそもなぜ主人公が赤ん坊の件にそこまで入れ込むのかも最後まで分からないまま、などなどはっきり言ってかなり問題がある作品。しかし続編があるらしくそこでいろいろなことが明かされるのなら読んでみたいとも思っている。なんとなく不思議な作品だった。

3か月前

東の果て、夜へ

タイトルがなんとなくかっこよかったので手にとってみた。主人公は16歳の黒人の少年で叔父がボスの組織が持っている家〜麻薬販売所〜の見張をしている。その家が警察の手入れを受けて潰れてしまったことから替わりに人を殺しに行けと命じられた主人公。ロサンゼルスからウィスコンシンまで足がつかないように車で、他の3人の少年達と旅をするよう命じられて、という話。ロードノベルというジャンルは確かにあって、少年達の成長譚が殆どなわけだがだいたい白人が主人公なので作者は黒人少年を主人公にしたものが描いてみたかったのだそうだ。確かに成長譚ではあるものの内容はダークでラストもほのかな希望が残るのみ…しかしこの続きがすごく気になる。不思議な魅力を持った作品でした。

3か月前

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