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Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます

欧米ミステリを中心に読んでいます。 自分のは書評とかレビューみたいな大それたもんではなくて「これ面白かったから読んでみて!」レベルの感想文ですが…よろしくお願いします。

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コメントした本 ページ 2

真夜中のギャングたち

柴田元幸さんの翻訳、というだけで手にとってみた。作者は南アフリカ出身の少し尖った感じの作家。別の作品を読んだことがあるがショートショートというか短いものだと1ページ、長くても5ページ程度の作品が特徴的な作家。本作品はタイトルそのままでノワールというか暗黒街の面々を主なテーマにしたショートショートが47編。リアルな物語というよりもどちらかというと幻想的な作風かと。個人的にはファンタジーが苦手なのでいまいち乗れなかったけども…面白い作品だったとは思う。

約2か月前

酒の起源―最古のワイン、ビール、アルコール飲料を探す旅

タイトルどおり考古学者が酒の起源を研究したもの。思ったより学術寄りというかお堅い文章で少し手間取った。中国、近東、シルクロード、地中海、アフリカなどなど世界各地での酒の起源をまじめに研究したもの。水には黴菌や寄生虫が含まれる場合があるがアルコール飲料だと却ってそれらの危険が低減されたはず、というのは個人的には目ウロコな意見だった。自然発生的にできたアルコール飲料をいかに飲みやすく安定的に生産できるように我らの先人がどのような苦労をしてきたか、という興味深い話がいろいろあって面白かった。作者とは酒の好みが違うな、とは思ったけれども…それをさておき楽しい内容ではありました。

2か月前

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ニック・メイソンの脱出への道

前作が面白かったので手にとってみた。やむなく手助けした窃盗現場で警官殺しの罪に問われることになってしまい25年の刑に服していた主人公。妻子に会いたいが故に刑務所で知り合った裏社会の大物の申し出を受けてしまう。その申し出とは即時釈放と引き換えに大物からの指令をいついかなる時にでも受けなければならない、というもの。前作では葛藤しつつも裏社会の殺し屋になってしまう様が描かれていた。本作で主人公は大物の裁判で証言することになっている保護プログラムで守られた証人達を始末せよ、との指令を受ける。図らずも殺人者として成長してしまった主人公のアクションシーンと葛藤とが適度に相まって優れた作品になっている。本作では証人になってしまった前任者〜アイルランドから来た殺人マシーン〜との対決もあり目が離せない展開が見事。ラストの転換も素晴らしく、続きが楽しみなシリーズである。

2か月前

その雪と血を

ノルウェーの人気ミステリ作家だけど今まで読んだことがなかったので試しにノンシリーズのやつを手にとってみた。麻薬組織で殺し屋をやってる主人公、今回ボスから与えられたターゲットがボスの妻。しかし下見に行った主人公は彼女に一目惚れしてしまい…という話。主人公が以前救った聾唖の娘がいい印象深い役回りでストーリーに複雑さを与えていて単なるアクションではない感じがとても良い。これは他の作品も読んでみなければ、と思わさせられる上手さ。面白かった。

2か月前

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社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた

Facebookのザッカーバーグが気に入ってる学者と宣伝されていたので手にとってみた。タイトルどおり社会学者が地下経済を調査してみた体験記。コロンビア大学の先生なのでちゃんとした論文は然るべきところに発表されている模様。これはその調査過程のエピソードを一般向けにまとめたもの。ハーレムの麻薬と売春の関係者を中心に、決して表に出ない、しかし地域の経済を支えている人たちとの交流を綴っている内容で読んでいて楽しい内容ばかりではない。ウィンズロウのような作家が描く陰惨な犯罪組織の極悪非道とは違って妙にリアリティがあり余計に身につまされる。ハーレムを根城にこれから白人の多い地帯でコカインの販路を広めたい男と、上流・中流階級の出身だが売春組織のリーダーになっている二人の女を主人公的にまとめられている物語。東京を舞台に同じアプローチを行なったらどうなるんだろう、と思った。興味深い本だった。

3か月前

落語魅捨理全集 坊主の愉しみ

ちょいと息抜きに軽いのも、と思って借りてみた。「生ける屍の死」ですでに死んでいる男が殺人事件の真相を追求するという凄い作品で世に出た作者なので単なるおふざけにはならないだろう、と思って。タイトルから分かるとおり古典落語を下敷きにした推理短編集。落語通ではない私でも知ってる有名な噺をモチーフに単なるおふざけ、ではなかったけどもかなりふざけた内容の短編が七篇。ミステリた言いつつ謎解きは無いに等しいし…ちょっと手抜きだったかな、と思うけどそれでも最後まで読ませたのは流石。真面目な作品を改めて読んでみたくなった。

3か月前

フラニーとズーイ

柴田元幸さん新訳の「ハックルベリーフィンの冒険」を読んでアメリカの古典と言えば、ということで手にとってみた。こちらは村上春樹さんが新たに訳したもの。思えば大昔に読んだこの作品、当時は本好きだから読まなきゃ、という義務感みたいなもので読んでてあまり面白く無いな、という感想だったけど自由に手にとってみた今はどうか、ということで。結論から言うとこの作品は自分には合わなかった。登場人物がほぼ2名で議論し合う、という設定は面白いのだけどどうにも観念的というか、何か入り込めないものがある。もう何年かたって読んだらまた違うのかも知れないが…。

3か月前

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奇妙な同盟 I

タイトルそのままに第二次大戦の勝者側の三人のリーダー達の駆け引きを英国のジャーナリストが丹念に追ったもの。ドイツの脅威を直接受けているイギリスとソ連、勝つためにアメリカを戦争に引きずり込みたいイギリス(チャーチル)となるべく戦争には直接かかわらず、ドイツと日本にはソ連に対処をさせたいアメリカ(ルーズベルト)、それに自国民の犠牲よりもむしろ戦後の勢力関係構築に目が行っているソ連(スターリン)の実際のやり取りが詳細に記述されていて興味深い。新たな発見や説はなくてだいたい一般的に知られている内容をより詳細に描いているな、という印象に。ただ詳細に過ぎてちょっと冗長かな、という気もした。ジャーナリストらしく会話内容はもとより食べたものや飲んだものも記述がなされていてこの時代の支配層の過大な飲酒と喫煙量には驚かされた。もう少しコンパクトであれば再読したいという印象。

3か月前

ダ・フォース 上

以前から巧いミステリ作家だったけども、麻薬カルテルと警察の凄まじい闘いを描いた「犬の力」「ザ・カルテル」という凄い作品を世に出して大作家的な位置に来た感のある作者の邦訳最新。これもまた凄まじい作品だった。 主人公はニューヨーク市警の部長刑事で「マンハッタンノース特捜班」というエリート部隊を率いている。荒っぽい手入れで何度も派手な成果をあげており一般市民にも顔が売れている存在だが、マフィアから賄賂を取り、手入れでは現金をくすね、検事や内部監査の担当までも金の力で押さえているという汚れた警官でもある。彼を取り締まるものは一見誰もおらず言わ王様として街に君臨している存在。そんな彼はあるドミニカ人麻薬ディーラーの手入れで無抵抗の麻薬ディーラーを殺し、金だけではなく大量の麻薬をくすねることで一線を超えてしまう。そんな男が連邦警察に目をつけられて、という話。いわゆるヒーローの転落話なのだけどそこはこの作者の巧いところでとことんまで転落しきった主人公に最終章で光を当て直し、という展開でストーリーを単なるノワールに終わらせない。次にどうなるのかが気になってどんどんページを追っていってしまい眠れなくなる感じの作品。素晴らしく面白かった。これはおすすめ。

3か月前

オーディンの末裔

一作目が面白かったドイツのミステリ。評価が高かったみたいでいつの間にか邦訳も三作目まで出ていたのでとりあえず二作目を。ナチスの台頭で職場を追われたユダヤ人の敏腕警官が主人公。ゲルマン人と結婚していたので辛うじて強制収容所送りを免れていた主人公。前作でゲシュタポから連続殺人の捜査に協力を強制され、問題を解決しなければ殺される、解決しても秘密を知ったとして殺される、という状況から辛うじて逃れ、名前を変えて潜伏している。本作では潜伏に力を貸してくれている女医が強制収容所の医者をやっている別居中の夫を殺した容疑でゲシュタポに逮捕されてしまったため容疑を晴らすために奔走する、という話。ミステリとしても良くできているのだが敗戦間近のベルリンの雰囲気が実に良く書けていて素晴らしかった。三作目はついにソ連に占領されたベルリンが舞台のようで、これも早く読みたい。

約2か月前

マスター・スナイパー

最初に文句を言いたい。スワガー・シリーズでおなじみの作者のデビュー作品の邦訳が遂に登場!とあったので楽しみに手にとったのだが…これ昔、新潮文庫で「魔弾」というタイトルで出てたやつだよね。なんか読んだことあるな、と思いながら最後まで読んでしまったけど…「本邦初公開」みたいなプロモーションはすこしおかしいと思う。 作品そのものはかなり面白くて、敗色濃厚なナチスが大掛かりな狙撃計画を立てていることを掴んだ英米の情報機関が作戦の阻止に動く、というもの。計画そのものを追う流れと、一人で300人以上を狙撃しソビエトの攻撃を食い止めたナチの英雄的なスナイパーの動きの二軸で飽きさせずに読ませる。デビュー作だけあってナチの非道さを糾弾する辺りには少し青臭さも感じるが全体的にかなり面白い作品であることは確か。二度目でもかなり面白く読めたし(笑)

2か月前

冬の炎

前作が面白かったので手にとってみた。泥棒の祖父に育てられ早くから仕込まれていたのだがいろいろあって陸軍に入っていた主人公。エリートのレンジャー部隊員としてイラクやアフガニスタンに派遣されていたという設定。前作で祖父に呼び戻された主人公、その祖父も亡くし、本作では軍を辞めて新たな生活を始めようとしている。そんな中で祖父の犯罪仲間から金持ちの息子と付き合って家に帰ってこない姪を探し出して欲しいとの依頼を受ける。新たな生活の元手を稼ぎたい気持ちもあって軽く引き受けたのだが、二人を追って行った山荘で悲惨な状態になった死体を発見してしまい…という話。けっこう入り組んだ設定になっているのだが混乱することなく最後まで楽しめたのは作家の力量だと思う。脇役含めた登場人物の設定や描写も良くて早くも自作が楽しみなシリーズになった。

2か月前

迷宮の花街 渋谷円山町

ラブホテル街としてお馴染みの渋谷は円山町の歴史と今について書かれたもの。元々は有名な湧水があったところ(神泉)でそこに風呂屋ができたことから周囲に遊郭ができて世界でも珍しく高台に花街が発展したということらしい。時代の流れとともに料亭が廃れ、転業していった結果、今のラブホテルと風俗の町ができたそうだ。風俗に融資するとその銀行の格付が下がるのでごく限られた信金、信組からしか融資が受けられない、とか現存する芸妓さんの話とか風俗業側の話とか非常に興味深く面白かった。後半の渋谷で遊んでる人たちの体験談が安ものの週刊誌とかにありそうな話ばかりでそこだけ余計だったかな。

2か月前

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帝国の最期の日々 上

タイトルそのままの内容。古代から現代に至る「帝国」の崩壊を網羅したもの。ここでいう「帝国」とは複数の民族を支配する国家のことで具体的には~アレクサンドロスの帝国、西ローマ帝国、ササン朝ペルシア、カロリング帝国、アラブ帝国、モンゴル帝国、ビザンチン帝国、マヤ・アステカ帝国、神聖ローマ帝国、スペイン帝国、ナポレオンのフランス、中華の各帝国、ハプスブルク帝国、オスマン帝国、ドイツ第三帝国、大日本帝国、イギリス植民地帝国、フランス植民地帝国、ソビエト連邦、の19ケースが取り上げられており、最終章は現代の最強の「帝国」である合衆国の崩壊はあるのか、にあてられている。結論が分かってしまうけども…崩壊に至る道筋はそれぞれ違っていて何か共通法則のようなものを見出すのは無理、ということが分かってしまう。それでも類似ケースとして歴史を参照することは意味があるだろうとは思う。各章の筆者がばらばらで読み難い章もあった〜個人的にはまえがきが一番厄介だった〜けどもじゅうぶん楽しめた。

3か月前

憂鬱な10か月

性格の悪い作家の邦訳最新。「贖罪」と「アムステルダム」の二作を読んでもらえたらなぜ私がそういうのか分かってもらえると思うのですが...なのに気になって手にとってしまうのはやはり作家の力量か。比較的リアリティのある舞台設定を好む作家と思っていたがこれは主人公が胎児という一種のファンタジー。しかも臍の緒を通じて味わったワインについてもひとくさり蘊蓄を述べるという只者ではない教養を誇る胎児。この胎児が母の胎内で母と父の弟のただなるぬ関係と彼らが父を亡き者にしようとする陰謀を聞いてしまう物語。一応、関係性はハムレットを下敷きにしているらしいが自分は浅学故かあとがき読むまで分からなかった…。この文字通り手も足も出ない主人公が殺人計画に対して何をどうするのか、がすごく楽しみでどうせ後味が悪いことになると思いつつも読み進めてしまう。なるほどそう来たか、というラストに感心。端正な文章も魅力的。未読の邦訳も読んでいこうと思う。

3か月前

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孤狼の血

映画化されてかなり話題になってたこともあり手にとってみた。昭和60年代の広島の架空の都市を舞台に暴力団どおしの全面戦争をなんとか防ごうとする刑事達の活動を描いた作品。刑事になりたての若手が配属されたのはヤクザとの癒着が噂される刑事。誰よりも実績を上げているが誰よりも譴責をくらっているこの男、確かに違法捜査や特定のヤクザとの結託や金銭の受け取りまでやっている…しかし、という話。これだけだとよくある設定なのだけどそこは少しひねってあって後半の意外な展開が見事。なによりの驚きはこのゴリゴリの作品が深作欣二の一連のヤクザもの映画に影響を受けた女性作家が書いたもの、というところ。凄い作家がいたものだ。他の作品も読んでみたいと思った。

3か月前

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ジーザス・サン

アメリカの短編小説を語る時に外せない一冊、と言われているのに未読でありました。ジミ・ヘンドリックスを聞いて文章を書こうと思ったとか、その辺の発想からして凡人とは違う...。タイトルはルー・リードの「ヘロイン」の一節からとったそうで、基本的に同じと思われる主人公が語るヤク中、アル中の話。最後に立ち直りつつあることが暗示されているものの基本的には悲惨な話の連続が、詩のような文章で綴られており凄いことは分かりますが、これは読む人を選ぶなぁ、と。

3か月前

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