三橋順子の本

新宿 「性なる街」の歴史地理

新宿 「性なる街」の歴史地理 三橋順子

極めて詳細な考証によって、平成の終わりの新宿から全く消滅した街を、かろうじて残る資料と痕跡で辿る。現在の新宿の「オモテとウラ」がひっくり返る驚き。こと都庁移転以来、新宿には「売春はあってはならない」が、「ないもの」であるかのようになり、関わる女性も「いないもの」のように扱われる。そういえば、タイムズスクエアやフラッグスができるまで、「あの辺」も郊外の子どもたちが近づくようなところじゃなかった(当時から漠とした概念だった青線の考証は、本書の読みどころの一つ)。キレイになって、良かったとも思う。けれども、いた人は、たしかにいた。こんな貴重な仕事は、いつか全て分かるようになったら我が子にも、読ませてやりたい。