古川日出男の本

ミライミライ

ミライミライ 古川日出男

第二次大戦後ソ連に占領された北海道、抗ソ戦の記録と返還後の現代に生きる若者たちの成りあがり記と国際的な陰謀が平行に進み時に交わる。。函館でのフィールドレコーディングと抗ソ戦の記憶が交わるシーンはたまらなくスリリングであり物語のパーツがカチッとハマる快感。 「産土は、その歌がわかったというのでは全然ない。ただ、声、という上の句の一文字に目を奪われた。それは無声、という二文字のまとまりになっていて。無声とはすなわち沈黙だ、智慧のある産土にはわかった。十人の沈黙、それを、撚る、と理解につなげていった。撚る、とは何本かをねじりあわせて一本にすることだと、それも見通せた。と、途端にビジョンが視えた。撚るのか、と。つまり一つひとうの音じゃないのか、と。そうか…サンプリングした音源を、合わせる?合成?そうゆうこと?産土は瞬時に感得したことで、蒼褪めた。」P114 存在しない音(ニップノップ)を紙の上で鳴らす。

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小説の家

小説の家 柴崎友香

白地に白インクで印刷されたページ、読むのを邪魔しているかのように模様が踊りまくるページ、手書きが混じるページ、サイズの違うページ。読ませる気はあるのか?と問いたくなる。目次はそれぞれの作者による手書き。装幀は名久井直子さん、さすがである。持っているだけでも楽しい。まだ眺めているだけだが、読めるかどうかは不明。紙にもとことんこだわりありの逸品である。

平家物語

平家物語 古川日出男

P10 私は平家物語が語り物だったという一点に賭けた。 その時代、琵琶法師たちがこの物語を語り広めていたのだ、という史実に、賭けた。 つまり読者とは聴衆だったのだ。 そして、だとしたらーー誰が今、この時代に語るのだ? その妥当性を、何者(たち)が持つのだ? 私は全身全霊でこの物語を訳した。 鎮魂は為せたと思う。 いきいきとした合戦は四巻めまで登場しないが、しかし、安心して繙いてもらいたい。

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ゴッドスター

ゴッドスター 古川日出男

独特の文章に酔う。アルコールのそれと同じく、人によって、テンションによって、好き嫌いは変動しそう。個人的には、呑まれつつも気持ちが良かった。 「どうぞ、私の頭の中を覗いてごらん」と言われ、覗いた世界はこんな感じなのだろうか。いや、もっと取り留めのない世界なのかな。 「あたし」の物語はどんどん加速してゆく。流れに手を浸したのであれば、激流に乗り、濁流を掴め! 2015/09/01 読了。

LOVE

LOVE 古川日出男

語り調の群集劇。地図と猫。あなたはどんな地図を持っていますか? この小説は、切り取っても伝わらない。圧縮、濃縮あるいは抽出しても伝わらない。そんな面白さがある。古川氏のいう「巨大な短編」といワードに納得。 疾走感とはまた違う8ビートな軽快でかつ腹に響く読み口の小説。 2015/05/17 読了。

アラビアの夜の種族〈3〉

アラビアの夜の種族〈3〉 古川日出男

P267 書物とはふしぎです。一冊の書物はいずこより来るのか?その書物を紐解いている、読者の眼前にです。読者は一人であり、書物は一冊。なぜ、その一冊を選んでいるのでしょう。ある種の経過で?ある種の運命で?なぜ、その一冊とーーおなじ時間を共有してーー読むのでしょう?読まれている瞬間、おなじ時間を生きているのは、その一冊と、その一人だけなのです。 一冊の書物にとって、読者とはつねに唯一の人間を指すのです。 だから、どのような経緯で? 強制? 偶然? だから、運命? 私は惟うのですが、書物はそれと出遇うべき人物のところに顕われるのではないでしょうか。 書物じしんの意思で。

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MUSIC

MUSIC 古川日出男

疾走する青春。 変拍子する個たる多。 摩訶不思議でフィクション。 ニャンが主役でラビを卒業、ワンの出番はなし。

あるいは修羅の十億年

あるいは修羅の十億年 古川日出男

古川日出男さんが案内する近未来の日本。 縦横無尽に駆け巡る人間、馬、鯨、菌、歌、東京、島、カウボーイ、少年、青年、少女、母、父、子。無造作で莫大なイメージを脳へとダイレクトに流し込まれてクラクラしてしまう。

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小説のデーモンたち

小説のデーモンたち 古川日出男

P130 「読書」が、意識というものに一定の(しかし種々の)運動性をもたらす跳躍板と化すのが事実であるのならば、本は装置だ、そしてこの装置=本は純度だけを求めるのではない。暴走というランダムさが、その運動性の一部として「含まれて」いる。つまり一冊の本は、そのまま夾雑物なのだ。一冊の本はけっして多数の本ではないが、純粋な一冊ではありえない。一にして多ではない、一にして雑、これが本だ。 一にして雑。

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