小野不由美の本

白銀の墟 玄の月 第三巻

白銀の墟 玄の月 第三巻 小野不由美

前巻までの重苦しさが少し和らぎ、物語がうごく第三巻。まだ先は見えなくても少しづつ仲間が集まることが希望に繋がる。特に耶利がとても良いキャラをしていて、彼女が出るとそれだけで何とかなりそうな気がしてくる。牢での泰麒の葛藤が、そもそもの十二国記というシリーズにおいて当たり前とされている前提に罅を入れる。その潔さというか、視点の転回ぶりに、もう単純にこの作者凄いなぁと感嘆してしまう。陽子もだけど、世界の仕組みを疑う目を持った胎果が風を起こす。世界を変えるってこういう事なのかも知れない。 阿選の回想はとても辛い。やってる事はひたすら非情なのに、どうしても彼を嫌いにはなれない。きっと驍宗に会わなければ、道理の分かった優秀な将軍で居られたのに。それは間違いなく彼の本質の一部だったのだろうと思う。読めば読むほど、誰が敵、誰が味方という見方が難しくなる。味方の誰もが人徳者では無いし、敵方が悪辣な訳では無いから。そもそも人ってそういう物なのだろうけど。1人の登場人物に関する評価が作中で一致しないことがあるのも興味深い。 17章の最後はきっと多くの読者が叫んだはず。これぞ正に小野不由美の作品を読む醍醐味。

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白銀の墟 玄の月 第二巻

白銀の墟 玄の月 第二巻 小野不由美

第二巻は重苦しくて救いが少ないターンですが、「月の影〜」を経験した十二国記民なら耐えられる…はず。李斎側も泰麒側も努力がなかなか形にならない苛立ちが辛い。特に泰麒は、あなたこの前まで蓬莱で高校生やってて、まぁあんなこんな色々あったけど…それでもただの少年だったじゃない。と労いたくなる程、矢面に立って心理戦に挑む姿が痛々しい。痛々しいといえば少女の姉が亡くなるシーンは、良くぞここまで、というくらい丁寧な描写が辛い。名前も出てない、言ってしまえばモブである登場人物の死がそこまでクローズアップされた理由は、次の巻まで読めばわかるのだけれど。回生の主公の死からも、作者の容赦無さが伝わる。世の中にはそう都合よく間に合わない事の方が多いから。でもそのリアリズムこそが物語を支えて、時に奇跡までも現実の物にする。ファンタジー、特にハイファンタジー(十二国記は厳密に言うとローファンタジーに入るけど)はリアリティが命だと個人的には思っている。 唯一明るい気持ちになれるのは恵棟の頑張り。この時点では、阿選自身は何を考えているのかよく分からず、ただ酷い人間とも思えるのに、惠棟始め阿選の麾下達の真っ当さが、それだけじゃないと思わせてくれるところが面白い。 この巻の最後は回生で終わる。主要登場人物の誰でもなく、一人の民、しかも子どもが行動を起こして次に繋がる。やはりこれは民の物語なんだと、そう思わせられる。

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ゴーストハント(3)

ゴーストハント(3) 小野不由美

シリーズ三作目。今回のテーマは呪詛。 その席に座ったものに災いをもたらす呪われれた席。学園で頻発する怪現象。 新しく作られた怪異が、忘れられていた昔の怪異を甦らせ、怪異ですら無かったものまでもが、人に害をなすようになる。 発端としての霊的なものは存在するにせよ、それを増幅させているのは人の畏怖する心なのだ。

ゴーストハント (1) 旧校舎怪談

ゴーストハント (1) 旧校舎怪談 小野不由美

小野不由美最初のヒット作「悪霊シリーズ」は、もともとは講談社X文庫ティーンズハートから刊行されていた作品群だったが、2010台に入ってメディアファクトリーから、改訂新装版が登場した。 本作は1989年刊行の『悪霊がいっぱい!?』を全面改稿したもの。基本的なストーリーは変わらないが、100ページ以上増量され、オカルト系の薀蓄と、ディテール部分の書き込みが追加されている。 心霊現象を出来る限り科学の力で、見極めていこうとする視点が、少女系レーベルの作品として、当時新鮮だった。恐怖の根源は「わからない」からだものね。わかってしまえば、どうということはない。 枯れ尾花を掻き分けていったその先に、それでも説明不可能な部分は残る。ディテールを詰めて行くことで、より怖さが増しているのは流石の凄み。 『屍鬼』や『残穢』を書いた作家さんなのだなあと感じた次第。

ゴーストハント2 人形の檻

ゴーストハント2 人形の檻 小野不由美

講談社X文庫ティーンズハートの『悪霊がホントにいっぱい』を一般向けに全面改稿した作品。 ページ数ほぼ倍増で、ほぼ作り直してる感じ。新キャラまでいる。 悪霊シリーズはここからがガチ。 8歳前後の子どもだけが命を狙われる怪異の謎。 細部がより書き込まれて、より怖くなっております。小野不由美らしく、ミステリ的な謎解議論要素が入ってるのも良い感じです。

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風の海 迷宮の岸 十二国記

風の海 迷宮の岸 十二国記 小野不由美

新作の前にと思い、久々に読み返してみた。 この世界観に久し振りに浸りました。 泰麒の悩みに暗雲が広がるが、物語の終盤は急展開。最後はスッキリ読み終えました。 さあ、続きを読んでいこう!

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丕緒の鳥 十二国記

丕緒の鳥 十二国記 小野不由美

シリーズ二冊目の短編集は、王も麒麟も登場しない、まさかの「働く公務員」小説! 民のために心を砕く名もなき官吏たちの物語。 以下、各編の感想。 ・丕緒の鳥 新王登極時に行われる大射の儀。矢で射る陶鵲を作る男の話 仙籍に入れば寿命は永遠。無限の歳月の中で、報われない仕事を続けることの虚しさ。それでも捨てきれない仕事への矜持 陶鵲の美しいビジュアルと、砕け散る音の儚さ。視覚と聴覚に訴えてくる一作 ・落照の獄 120年死刑がなかった柳の国で、23人もの殺人を犯した男が捕らわれた。 男の死を望む民の声。傾きつつある国。政への意欲を失いいつつある王。 裁きを下すものとしての苦しみを描く。本作の中でも一番社会派的な内容。 ・青条の蘭 ブナの木が石化して枯れる奇病。荒れ行く国土を憂えた男の苦難の日々を描く 物語が「どの国か」で話のオチが変わることは容易に予想できる 荒廃の中でのわずかな希望。人から人へつながる想い。どこかの国で見た話だよねと思えば、だいたいわかっちゃうかな ・風信 王の悪政により、家族を失った蓮花は、暦を作る保章氏の嘉慶の元で働くことになる 奇人変人の集まりにしか見えなかった、保章氏の人々。そんな彼らにも大切な役割があって……。 自分が今できることを淡々と行う事の尊さを教えてくれる一作。地味に熱い作品。

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白銀の墟 玄の月 第四巻

白銀の墟 玄の月 第四巻 小野不由美

最終巻にして上がって下がってのジェットコースター感がすごい。全巻通して──なんなら風の海、黄昏の岸も含めても──驍宗の心理描写が殆ど無い中で、前巻描かれていた阿選が道を踏み外した瞬間に驍宗の方はが何を思っていたかが書かれているけれど、二者のすれ違いが本当に切ない。物語が進むむうちにどんどん人が死んでいく。あまりにも呆気なく。思い入れのあるキャラクターだと、どうして死ななければいけないのかと思ってしまうけれど、そもそも死んで良い命といけない命がある、という考え自体が傲っているのかも知れない。これもこの物語のリアリティの一環なのだろう。ずっと国、民そして主公の為と他人の為に行動してきた李斎達が最後は自分の意地にこだわって、その結果として結果を勝ち取るのが興味深い。ところで一巻以来の英章が美味しいところを持っていって笑ってしまった。作者、英章のこと好きなんだろうな。 一巻から通して読んで、やはりこれは民の物語なのだと改めて思った。それを象徴しているのが泰麒で、奇跡的な存在でありながらその力を最後の最後まで封印されて、結果として彼はただの非力な人として戦うしかなかった。これは力がある英雄が正義のために戦って勝つ、そんな単純な話では絶対に無い。ファンタジーは現実のメタファーとよく言われるけれど、王と神仙が統治する国を舞台にしているのに、十二国記は実は民主主義のメタファーだという気がしてならない。 作者はもう十二国記の長編は書かないと仰っているそうで、もっともっと読みたい気はするけれど、ご持病の事を考えると致し方ないのかなとも思う。以前はシリーズの最後には天や国の仕組みが解明されるのかなと思っていたけれど今作を読んでからそれは違うのかなという気もしていたので。仕組みがどうであれ、結局はその中で個々人がどう生きるか、がテーマだと思えばここで終わりというのも有りかなと。今は短編集を楽しみにしています。 【以外ネタバレしてます】 ↓↓↓↓ ところで、作者に騙されたかなと思った点があります。地の文で「泰麒は治っていた。それを今日まで隠していた」とあったせいでその様な気がしてしまっていたのだけど、これは琅燦がそう思ってるだけとも言えるなと。妖魔を排除する力云々も、耶利が次蟾を駆除したお陰では?とも思うし。もし治っていたのなら、あの場面では転変して驍宗のもとに飛んでいく方が効率が良いし成功率も高いはずで、第一の目的が驍宗の元に行って平伏する事ならそれを泰麒が選ばないのはおかしいなと。……と言う仮説を前提にすると、もしかして泰麒が癒えたのは驍宗に「もう良い」と言われた瞬間なんじゃないかなと思ったのでした。

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東亰異聞

東亰異聞 小野不由美

明治のあやかし跋扈する夜、不可解な死が横行する。人魂売り、易者、辻斬り、首遣い、般若蕎麦屋に珍妙な読売り、そして闇御前と火炎魔人。魑魅魍魎渦巻く中に、家督争いの異母兄弟。新聞記者・平河新太郎は、便利屋・万造と事件の調査に出る。そして物語を俯瞰する狂言廻しが人形に語る「夜の者」とはーー。 家督以外の全てを持たない兄・直と、家督以外の全てを持っている弟・常。家督争いの渦中にある兄弟がそれぞれ違う場所で同じ思い出を語るシーンは、幕切れを知ると一層哀しい。でもこういう話が大好きだ。部屋に長いこと積んだままだったのを一晩で一気に読んでしまった。

月の影 影の海(上)

月の影 影の海(上) 小野不由美

高校生の時に出会えてから、ずっと大切な1冊。 10代の危ういけれど透き通った心を抱えた時代。 その時期に読むことが出来たことを本当に幸せに思う。

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東の海神 西の滄海―十二国記

東の海神 西の滄海―十二国記 小野不由美

親に捨てられた二人の子ども。 再会した二人は、敵同士の間柄になっていた。 それぞれが信じるもののために。 暴君のために荒廃しきった国をどう立て直すのか。 苦労人である尚隆の、国と民に対する独白が泣ける。 久しぶりに十二国記の新刊が出るので、既刊を読み返しています。流石の名作揃い。再読に耐える面白さですね。

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東亰異聞 1

東亰異聞 1 梶原にき

小野さんの東亰異聞コミカライズ 鷹司兄弟が美しいです、、、