山内マリコの本

あのこは貴族

あのこは貴族 山内マリコ

山内マリコさんって、田舎と都会を比較させたら随一だなぁと思える作品でした。 上京してきて食らいつくようにやってきた美紀のサバサバとした「ザ・都会」な女性も魅力的だし、小さい頃から東京にいて不自由なく暮らしてきた華子のような「余裕のある」女性も魅力的です。 そして、どちらにもダメなところもあれば良いところもあるというのが凄く効いてくるんです。 ストーリーが華子の結婚を主軸に展開していくので、華子の心情面がクローズアップされていき、それとともに華子の煮えきらなさやネガティブな感情に「どうしたものか…けど分からなくない」と共感してしまいます。 そして美紀と初めて会うシーンの、お互いへの印象がかなり象徴的なんです。 美紀からすれば、華子のような、東京にいながらもゆとりを持った身のこなしが出来る「いいところ」出身特有のオーラは羨ましく感じます。一方、華子からすると美紀のような自分の力で生きてきた上京者のオーラは輝かしく感じます。 どちらの良さも凄く分かるからこそ、両方に惹かれてしまうんです…そして、幸一郎が特段良い人ではないことを知りつつ付いていってしまう気持ちも凄くわかってしまう…この共感の嵐こそ、山内マリコさんの真骨頂だなぁと思います。 物語の多くは導入部分的な役割に等しくって、そこかしこに山内さんの主張が散りばめられています。そして、その主張の一番強い部分が、美紀と相楽さんの会話部分だと思いました。そうだよね、そういうことなんだよね!とついついなってしまいます。 さらに、ラストにはそれぞれのキャラへのフォローも忘れないところが良い! 読後感はスッキリとして、それでいて「自分も頑張ろう」と思えます。幸一郎も最終的には悪役で終わらずに済んでますし。笑 山内マリコさんの作品がやっぱり好きだー!と触れ回りたくなるくらい好きな作品でした。

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メガネと放蕩娘

メガネと放蕩娘 山内マリコ

2018/12/11読了 学生時代に社会学を専攻していて、街づくりや地方活性化のゼミに入っていたので、まゆみ先生のゼミの課題とか、片桐くんのレポートとか、ボランティアの学生や市役所やイベント主催者が良かれと思って頑張っても、対象の商店街の人々や地域住民にはそれほど響かない感じとか、すごくリアルで面白すぎた。 シャッター街と化していてもどうして商店街が消えないのか? 世代間の格差や、東京一極集中による地方の衰退、行政と商店街との間の補助金をはじめとする様々な問題など、色々なことを考えさせられました。 寂れかけた生まれ育った商店街をかつてのキラキラした素敵な場所に戻したいと、仲間を募って、問題が起きて凹んだりしても、また前向きに動き出す主人公達の姿に励まされます。結果が全て上手くはいかなくても、自分で考えてやりたくてやったことって、絶対に無駄にはならないと思う。

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パリ行ったことないの

パリ行ったことないの 山内マリコ

多くの女性が夢見るパリ。夢見る場所があることで原動力にもなるし、反対に憂鬱な気分にもさせられる。 この小説はパリを題材に、夢見がちなまま大人になってしまった女性にエールを送った小説だと思う。山内先生のユーモアあふれた、ゆるりとした文章が「肩の力を抜けばいいじゃない」とそっと背中を押してくれている気がする。現実の世界は自分の思い通りにはならないことが多いけれど、夢見る場所に辿り着けるのは一瞬で儚い。きっと、現実と夢の世界を交互に渡り歩くのが素晴らしい人生なのだ。 あとパリについて現実的にイメージできる文章も多かったから、パリはどちらかと言うとプライドの高い、苦手なイメージがあったけど、この物語を読んでちょっと好きになった。 短編小説となっており、一番好きな章は『美術少女』。好きな場面は『大丈夫、猫ってどんな目に遭っても、”これが人生さ(セ・ラ・ヴィ)”って、けろっと流しちゃうから』。 2018/1月読み終え。

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さみしくなったら名前を呼んで

さみしくなったら名前を呼んで 山内マリコ

さくさく読める。物語の始まりは読めるかなー?と思うものでも、いつのまにか先へ先へ読み進めたくなっている。 ひとつひとつの話の中に昔どこかに置いてきた自分の感情がある気がする。

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あのこは貴族

あのこは貴族 山内マリコ

東京出身のお嬢様気質の華子と、地方出身で上京してきた美紀が、1人の男性を結節点にして、人生が交差する話。 東京という土地と、上京してきた人。 しかし、上京してきて、1人で東京という土地で、立身出世するというのはとにかく大変なんだろうな、と思う。自分は、どちらかと言うと、埼玉と見分けがつかない東京の一番端っこで、生まれ育ったので、どちらの人種でも無いので、程よい距離感を持って読むことができた。 でも、なんとなく彼ら彼女らを取り巻く倦怠と焦燥の筆致はリアルな感じがする。そして、筆が滑るように、ストーリーが転がるわけでもなく、常に地に足をつけた感じも好き。

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アズミ・ハルコは行方不明

アズミ・ハルコは行方不明 山内マリコ

今いる場所が本当に自分の生きてくべき場所なのか。今してることが本当に自分のしたいのとなのか。今考えてることは本当に自分の考えなのか。 そこからだ。

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ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て 山内マリコ

ここからどこへも行けない女の子たちの閉塞感にじわじわ蝕まれるような連作短編集でした。田舎町に生まれ、学生時代は輝きを放っていた男の子も気付けば冴えないおっさんになり適当に結婚してゆく虚しさ、田舎に反発しながらも憧れの都会の孤独に耐えられずに地元に舞い戻る敗北感など言葉にしがたい地方の若者たちのリアルが巧みに表現されています。人生の選択肢があまりに少ないというか。インターネットが発達したらこういう生き方も変わっていくのかいかないのか。読み終えてからずっとモヤモヤしています。

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て 山内マリコ

田舎に住む椎名という男性を介した様々な人生や思いを綴った短編集。田舎から出て都会に住んだら今のこの停滞感はなくなるのではと期待する人。都会に出たけど何も変わらず結局戻ってきて喪失感を抱えて生きる人。もし私が外国人だったなら人生は輝いていただろうにと信じる人。 誰しもがこうなるはずじゃなかった感や、私だけ取り残されてる感をどこかしらで抱えている。隣の芝生は青いのか、あるいは、あそこに住んでたら、あの時こうしてれば、人生は違っていたのにと言い続けることで行動を起こさない自分を守っているのか。 同じ状況にいなくても、登場人物のどこかしらに少しずつ共感できる。ここは退屈だから迎えに来て、と、誰にでもある他人よがりな変化願望の心を集めた短編集。

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かわいい結婚

かわいい結婚 山内マリコ

結婚に際した女性に関する物語が3つ入っている短編集。 個人的にすごく面白かったのが2つ目の「悪夢じゃなかった?」。 「女性専用車両にわざわざ乗るのって、なんでみんなババアなの?」 とナチュラルに疑問を持つ男性が、ある朝起きると、女性になっているという、<グレゴール・ザムザ >か、<君の名は。>と言った物語。モチーフとしてはとてもありがち。を通り越して手垢のつきまくったものだけれど、それにしてもすごく面白い。 おおよそ、女性が外を歩いている時に被るであろう被害と、そして恍惚を経験する地獄めぐりの果てに彼が見たものは…。 その、多くの男性にとって、自分の身体に、注目され、凝視され、欲情や批難の視線を浴びるという経験をすることは無い。 だから、そういう楽しさや疎ましさは分からなかったけれど、彼女の文章は読みやすいけれど、精密に描かれているので、なんとなく分かるかもという感覚になったし、それ以上に、「女性」をすることができる女性がちょっと羨ましくもなった。 たとえば、ペディキュアなんかがそうだろう。男性にとって自分の足というのは、まあそれほど綺麗なものでもないし、そもそも気になる身体の部位なんかではない。せいぜいたまに数週間に一回程度、身体を丸めながら爪を切るときくらいしか気にしない。それも靴ずれしない程度に、ささっと適当に爪を切るだけだ。

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団地のはなし 彼女と団地の8つの物語

団地のはなし 彼女と団地の8つの物語 山内マリコ

装丁にひかれて手に取ったら、幼少期に育った所が団地町だったことをすっかり忘れていたことに気付いた。少子高齢、移民受け入れ、コミュニティへの渇望といったキーワードよりも、当時その周縁の借家に住んでいて、それは「団地」に対しての「分譲地」という言葉であったことを、これまたおもいださでてくれた。

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吾輩も猫である

吾輩も猫である 赤川次郎

2019/09/05 読了 猫アンソロジー。 期待したほどではなかった。 まぁ、猫に過大な期待を寄せてはいけません。 でも、猫好きの人はどうぞ、読んでみてください。

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パリ行ったことないの

パリ行ったことないの 山内マリコ

パリに行ったことない理由は人それぞれ。 猫いるし。この町から出たことないし。オバサンだし。旦那が。行ってみたら夢と全然違ったら嫌だな。などなど。 でもある日ついに、自分に突っ込みが入る。「行けよ!」って!! 「パリに行きたい」というある種のセンチメンタルみたいなものは馬鹿にされがちだし、実際行ってみても期待とは違うことも多いんだろうけど、 それでも思い切って何か変えてみるということを励ましてくれる本。

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東京23話

東京23話 山内マリコ

東京の23区、街自らがその土地で起きた出来事を語るという体のショートショート。 東京に関する豆知識がたくさんあって、楽しいっちゃ楽しいけれど、それだけにもっと一つ一つの区を掘り下げて長く書いてほしかったな、と思った。 もっとたくさんのことが知りたかったし、物語的展開が欲しいところ。。。

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