岡田利規の本

小説の家

小説の家 柴崎友香

白地に白インクで印刷されたページ、読むのを邪魔しているかのように模様が踊りまくるページ、手書きが混じるページ、サイズの違うページ。読ませる気はあるのか?と問いたくなる。目次はそれぞれの作者による手書き。装幀は名久井直子さん、さすがである。持っているだけでも楽しい。まだ眺めているだけだが、読めるかどうかは不明。紙にもとことんこだわりありの逸品である。

わたしたちに許された特別な時間の終わり

わたしたちに許された特別な時間の終わり 岡田利規

雑誌テレビブロスに連載されている豊崎由美さんの書評でかなり評価された紹介のされ方をしていたのと、絶妙に私の心をくすぐるタイトルの付け方でしたので、誘惑に負けて買ってしまいました。 ですから著者の背景等全く、いつもの通り分かりません。恐らく私より若い書き手さんの様な印象を受けました。 読んだ結果は悪くなかったです!ただし、素晴らしいとまではいかない微妙な感覚です。 視点が一定せずに(一定させる良さも、一定させない良さももちろんある事は分かるのですが)俯瞰した神の視点をとったり、急に段落が変わった瞬間から男の視線になり、また暫くすると急に相手の女の1人称になったり、とめまぐるしく変化しながらも、とても読みやすく、先へ先へと思わずにはいられない引き込むチカラもあります。また、思考を文章化させるテクニックは素晴らしいモノもあります、もちろん好みの問題もあって、私個人の好みで言えば、やはり思考の文章化には金井美恵子には敵わない感じですが、好感が持てました。 ストーリーとしては淡々としたものなのですが、ディティールにこだわったなんともいえない、細かい砂を目の粗いザルですくわなければならない状態に陥った様な、何処にもいけない閉塞感がとてもリアルな作品でした。その閉塞感を少し、ほんの少しだけこじ開けそうになる瞬間と、また閉じてゆく(あけ続けようという努力はしないし、したくない)時間を感じながらも抗わない感覚を、タイトルが示しています。 しかし、もう少し物語の起伏のフックが弱く(若年者だけしか引っかかりにくいと思う、もしくは私が年齢を重ねてしまっただけなのだろうか?)そこが評価の分かれるところでしょうか? 日常の無力感を感じている方にはオススメです、が、それなら金井美恵子著「軽いめまい」の方が上なのですが、そこは若者の無力感を感じたい方としておきます。 2007年 7月

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三月の5日間

三月の5日間 岡田利規

「ああこの5日間、渋谷、なんかいつもと違って知ってるのに知らない街、みたいだったけど、もうこれで渋谷から電車乗って一歩でもどっか行っちゃうと、もう次渋谷来たら普通の渋谷に戻っちゃうわ、っていうのを思ってたんですけど、そしたらなんか、もうちょっとだけいたいの渋谷、って気持ちで、いったん駅まで戻っちゃったけど、それまた戻って道玄坂のほうに歩いたんですけど、『あ、もうだめかな、感覚、普通の渋谷っぽく、いったんもう駅まで来ちゃったからなっちゃったかな?』ってのが一瞬あったんですけど、でも、あ、大丈夫だぞっていう、渋谷、っていう話なんですけど、それでずっと泊まってたホテルのとこまで、もっかい行ってみようかなってことになって、犯人必ず現場に戻るぞ、みたいな話だと思うんですけど、」