川上弘美の本

某

某 川上弘美

家族、愛情をめぐる物語。 幻想小説かもしれないし、SFかもしれない。 いずれにしても奇書、だと思う。 書店で偶然立ち読みを始めて奇怪な物語に一気に引き込まれてしまった。 それまでの記憶が一切ない、自由に姿形性別も変えられるという存在が主人公である。 物語にはどこか優しさと危うさを感じる。 この存在は人間と類似の姿をしている様子だが、人間性はあまり豊かでは事が多いようで、感情が偏っていたり、或いは欠如していたり、そしてその行動も何処か偏りがある。 人間性とは共感性ではないか、と考える。 親(家族)がいて、ピア(友人)ができて、恋人を作り、家族ができる。 しかしこの存在には始まりの時点で家族は存在せず、ある日突然この世界に誕生する。 物語冒頭の医師と看護師が疑似的な両親の役を果たそうとする。しかし、姿形・性別・年齢が変化してしまう(させる)ために、成長という物語を十分に吟味できない。 ここで、家族関係或いは重要な、親密な他者と関係を結ぶという事は物語を共有する事である、という考えがよぎる。 所謂ナラティブな関係性、或いは家族神話と呼ばれるものであって、その物語を共有するためには共感性が必要となる。 共有できる物語と共感性が有ればこそ、対人関係・対象関係は円滑で愛情深くなるのだろう。 そして、人間の姿に擬態するが人間性、共感性に乏しい彼等は家族や親密な他者をなかなか獲得できず、そして日々の糧も安定がなく何処か居心地が悪そうでもある。 居心地が悪くなれば、或いは何かのきっかけがあると姿形・性別・年齢・性格も変化させる。 解離性障害。 この古くて理解が難しい精神疾患をどうしても連想してしまう。 この疾患は多くの場合、幼少期早期の心的外傷或いは、幼少期早期から継続される養育者の情緒的応答性欠如がその病因とされる。 記憶が途切れる解離性健忘、記憶が交代して別の人生を送ってしまう解離性遁走、自分の姿が別の視点で見える離人症、そして人格の交代が生じる解離性同一性障害と様々な様相を見せる。 最も困難な場合は養育からの虐待によって、虐待されている時の自分を感じさせず、別の記憶・人格を構築してやり過ごそうと始まり、やがてストレスに直面する度に新しい人格を形成させるようにしてしまう。 従って、人格は二重人格から多重人格へ移行してしまう。 この疾患のひとたちとこの物語は重なってしまう。 彼等に必要なのは、他者との十分に安全で保護された安定した関係性であり、そのためには共感性をもてる他者との交流が必要となる。 この物語は人格を統合する物語であり、損なわれつつある人間の共感性に迫る物語だと思う。

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〆切本2

〆切本2 森鷗外

作家の〆切と家族との係わりなど、前回とはまた違った切り口で面白かったです。子母澤寛の文章に猿出てくるの、なんかの比喩かと思ったらほんとに猿飼ってた

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ぼくの死体をよろしくたのむ

ぼくの死体をよろしくたのむ 川上弘美

初出を見ると、2013-15年に書かれた「クウネル」の連載(大半はこれ)より、その他の2016年以降に書かれたいくつかの短編は、似ているようで、明らかに違う。これが単に媒体によるものなのか、作者の中で2016年に大きな転換があったのか、知りたい。

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神様 2011

神様 2011 川上弘美

それでもわたしと貴方の日々は、続いてゆく。

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夜の公園

夜の公園 川上弘美

大人の恋愛、って多分こんな感じ。面白かったし、凄く素敵だったけど自分には分かりません笑

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椰子・椰子

椰子・椰子 川上弘美

大好きな本。 旦那がいたり、彼氏がいたり、片思いしてたりする、恋多き不思議な「わたし」の物語。大人の絵本って感じです。挿絵も可愛くて、全てが素敵な一冊です。

100万分の1回のねこ

100万分の1回のねこ 江國香織

「100万回生きたねこ」 大好きな絵本を、これまた大好きな作家さん達がこぞってトリビュートした贅沢な一冊 どの作品も、生と死というテーマを重く温かく表現しています 絵本の書評ではなく、文学作品として扱っているところがいい 多くを問いかけます

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センセイの鞄

センセイの鞄 川上弘美

センセイと月子さんの距離感がとても好きだ。 あたたかくて優しいけど心をすごく揺さぶられた。

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風花

風花 川上弘美

物語自体に大きな進展は少ない けれど、現実に目を向ければ私たちもそうなのだろう 諦めているのか、呆れてどうでもよくなったのかは謎だが関係をだらだら続けてしまう 私の中にも主人公の のゆりが息をして、首をかしげ、時たまに本題とは違うことを考える。 日常がいきている本です。

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このあたりの人たち

このあたりの人たち 川上弘美

各話が短くて読みやすかった。話によってはSFじみたとんでもないことが起こってはいるものの、極めて当然のように語られているから、このあたりの人にとっては驚くべきことでもなんでもないのだろう。隣町がちょっとした異世界だったらいいのに。それも入り浸ってよく知ってる異世界ではなくて、噂によると、数回しか見たことないんだけど…みたいな不確実な間柄を持ちたい私にとってクリティカルヒットだった。宮崎夏次系のホーリータウン好きな人には刺さるかもしれない

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古道具 中野商店

古道具 中野商店 川上弘美

中野商店の日々が綴られています。 店主中野ハルオと店主の姉マサヨとタケオと語り手のヒトミ。 皆の名前がカタカナなのが、不思議な空間をかんじさせる。 なんだか変で不器用な日々、人生という道のチョット外れを歩いている人たちの話。

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文藝春秋 2015年 9月号

文藝春秋 2015年 9月号 立花隆

P333 「平凡かどうかだけで判断すると、非凡アピール大会になり下がってしまわへんか?ほんで、反対に新しいものを端から否定すると、技術アピール大会になり下がってしまわへんか?ほんで両方を上手く混ぜてるものだけをよしとするとバランス大会になり下がってしまわへんか?」

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