柴崎友香の本

待ち遠しい

待ち遠しい 柴崎友香

若さゆえの想像力の欠如なのか弱さを隠すための突っかかりなのかさっぱり理解できない沙希を見守り、わかり合うことは無理かもしれないけどそれでも一緒に生きていこうとする春子とゆかりのまなざし。 物語は三世代に渡る女性の姿を描いている。物語の中心となる春子は自分と同じ就職氷河期世代、高度経済成長を経て繁栄を極めた時も知っているし今日の没落しつつある時代も知っているので俯瞰で見ることができる。時代の犠牲となったともいえるが想像力は養えた。自己責任という言葉の身勝手さも。 「どの年代にも、結婚しなかった人、子供がいなかった人、一人で生きてきた人 、一度は結婚したり子供を持っても離れなければならなかった人いろんな人がいる。その誰もが、仕事をして、ささやかな楽しみを見つけて、自分の人生を生きてきた。」P.211、本文中ここにグッと来た。想像力を働かせよう。ジャッジするのはやめようと。 ところで本書は大阪住宅小説ともいえるが、春子の住んでいる場所はどこなのだろうか。「地上を出てすぐ川の上を走る」「勤め先に乗り換えなしで行けることも大きかった。急行か準急で二十分ちょっと。」から御堂筋線で千里あたり?御堂筋線の地上に出て道路と並走するところが割と好き。少年ナイフのカバー曲で使われた発車メロディーも。

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千の扉

千の扉 柴崎友香

新宿区にある三千戸の都営団地を舞台に、戦後70年の間に様々な人の生活が重なったりすれ違ったりする。その人々の織り成す生活がどれもが愛おしくなる。もちろんそれだけでなくちょっとした時空の歪みが物語に奥行を与えている。 印象的なベランダ越しの新宿副都心の超高層ビル群P139は「ビリジアン」の通天閣越しの生駒山と風景の捉え方が通じるものがある。この場面は70年代中期と思われるがまだまばらなビル群に子供のころ中野の家の窓から見た風景を思い出した。 ウルトラセブンの話P60はフック星人登場の「あなたはだあれ」86年か87年の深夜?に放送されていた泉麻人の番組を録画して死ぬほど見た。交番の辺りに野次馬が写っているのが印象的。と思ったら柴崎さんと泉さんのトークショーがTitleであったらしい!この話でたかな。 「千の扉」では戦争の記憶もそこかしこに色濃く残っているのだけど場所柄ということもあるけど遠い記憶もしくはなかったことにしている被害も加害もそんなに昔の事ではなく今の私たちの生活に繋がっているのだよね。目を背けたくなるけどしっかり記憶せねば。

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春の庭

春の庭 柴崎友香

この装丁に惹かれて我が家の本棚に。あの写真集で見たものが実際に部屋の窓から見えたなら、なんて発想がとても好き。この装丁の写真を見てしまっているからか、作中に出てくる風景は全部少し褪せて光量が多くてでも少し薄暗い雰囲気で幸せな気分だった。でも終わりにかけて急に展開が読めなくて、少し困ってしまった。 この人の本、次は何を読もうかな。

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週末カミング

週末カミング 柴崎友香

装幀が好き。始まりと終わりの曖昧な週末、つながりながら新しく始まるそんな短編集。

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小説の家

小説の家 柴崎友香

白地に白インクで印刷されたページ、読むのを邪魔しているかのように模様が踊りまくるページ、手書きが混じるページ、サイズの違うページ。読ませる気はあるのか?と問いたくなる。目次はそれぞれの作者による手書き。装幀は名久井直子さん、さすがである。持っているだけでも楽しい。まだ眺めているだけだが、読めるかどうかは不明。紙にもとことんこだわりありの逸品である。

ショートカット

ショートカット 柴崎友香

文章がとても好き。遠距離にやきもきする若者たちの短編集。物語に今の様な便利さはない。そのもどかしさが綺麗に文章化されていて、各作品の最後の文章や場面に残る余韻が素敵。誰にでもある一瞬の様な。あえて言葉にしない美しさが垣間見える。

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本からはじまる物語

本からはじまる物語 恩田陸

有栖川有栖先生のとこしか読んでないけど、『注文の多い料理店』がベースになってて、でも独自で、いつもの作家アリスシリーズとは違う面白さがありました。

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公園へ行かないか? 火曜日に

公園へ行かないか? 火曜日に 柴崎友香

「そして日本語が話せない毎日の中で自分が話したいと思うのは、話したいと体の奥から湧き出てくるのも、いつも大阪の言葉だった。」P.268、この自分のアイデンティティを認識する、視界がスッと晴れたような腑に落ちる感覚の心地よさ。 アーミッシュの村を訪れた後遠く離れたロンドンで回想する『とうもろこし畑の七面鳥』散文詩的な「どこまでも続くとうもろこし畑、緑色と枯草色。地平線。密度の薄い空間。途方もない空気の量。人間の気配のない、広大な土地。」P.85、アメリカンの質感にグッとくる

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ドリーマーズ

ドリーマーズ 柴崎友香

福島駅のホームのこと、観覧車がある水族館の近く、私の知っている過ごしてきた場所がたくさん出てきて読みながら何度もハッとした。 本を読みながら丁度その場所を通ったり、土地と記憶と夢で繋がれた場所にいた気分だ。 柴崎さんの書く東京もいつか、ここのこと言ってるんだな、ってわかるようになりたいな。 あの景色たちを夢に見れますように、と願いながら。

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パノララ

パノララ 柴崎友香

評判が良かった気がして読んだけど、あんまり面白いとは思わなかった。柴崎友香は芥が賞受賞作を読んだ時も好みじゃないなと感じたものだけど、もう読まないかもな。なんかぼんやりした小説体が苦手だ。

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29歳

29歳 山崎ナオコーラ

なんとなく、女性が書いたものが読みたくなって、図書館で借りてみた。 ちょうど私29歳。 世の中の29歳とはこんな感じなんだなぁと確認した(笑) 不倫率の高さよ。小説だからかいな?? いろんな29歳がいるなぁ。 改めて自分が今どこに立っているのか、確認できた。と、思う(笑)

また会う日まで

また会う日まで 柴崎友香

あの時のあの人に会いに行く。頭の隅でずっと気になっていたこと、会ってしまえば何か変わってしまうんじゃないかなんて不安と、微かな期待。 その他のどんな楽しい予定の中にいても浮き足立ってしまうような、東京旅行の話。パイナップルのチャーハン、食べてみたいな。

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