高村薫の本

我らが少女A

我らが少女A 高村薫

本作には合田雄一郎も登場するのだがあくまで物語の一部に過ぎない。少女Aこと朱美の母亜沙子の網膜に映る武蔵野はそのまま彼女の心情風景と重なる「線路沿いの、人けのない生活道路を無心に歩く。ふだん気に留めたこともない車返線の門型鉄塔をまじまじと眺め、ところどころ残された畑地の白菜や大根を眺め、地平線に横たわる武蔵野の雑木林の黒々とした帯を眺める。ブォーンという低い唸りが聞こえて空を仰ぐと、手を伸ばせば届きそうな高さを白と青のツートンカラーの小型機が横切っていく。目を細めてそれを見送り、亜沙子はふと、三十年近くも棲んでいる武蔵野の風景に自分と娘は含まれていないのを感じる。」P.47 調布飛行場を離陸する小型飛行機も本作では小気味良いアクセントとなっている。そして雄一郎が登場してから25年ほど過ぎた今「少し早いけど、Merry Christmas!」P.512に驚くとともにまだまだ世の中棄てたもんじゃないという希望も沸く。25年の歳月は人も変えていく。

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土の記(上)

土の記(上) 高村薫

奈良県宇陀市西山岳にある集落に住む上谷伊佐夫72歳は妻を亡くしたばかりの婿養子。12年前にシャープを定年退職してからは妻の看護をしながら上谷家の土地を守り農作業の日々。そんな凪のような日常だが自身の老いや衰え始めた大脳にフラッシュバックするのは妻のかつての不貞行為らしきものなど堂々巡りの思考。本作が不思議なのは老化の進行具合や鼻粘膜で感じる山間部の湿度など読み進めていくうちに上谷伊佐夫自身になってくる感覚か、否伊佐夫自身というより2メートルほど浮き上がった視点からの追体験というほうがしっくりくる。

神の火〈上〉

神の火〈上〉 高村薫

上下読みました。李歐のほうが私は好きでした。最後まで読んだ時感想がしばらく「うわあ……」しか出てこなかったです。再読はしない気がしますが、「目玉ふたぁつ!」は時々思い出します。

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照柿〈下〉

照柿〈下〉 高村薫

歯を食いしばりながら(?)一ヶ月くらい掛かって上巻を読んだのに、なんと下巻は二日ほどで読み終えたという… 自分が一番びっくりしたやつです。 これはたぶん素人分析ですが、あの上巻あってこそなのではないかと。 上巻でのあのしんどいくらいの細かな面白みのない日常の描写があるから、下巻の展開がすごく劇的に感じたのだと思います。 普通のひとだったはずの男が壊れていく様が、なんだか妙に現実味を帯びていて、こわいくらいでした。 読み終えての感想は『とても悲しい』でした。タイトルの意味もわかります。 なんかすごく偏った感想かもしれません。すんませんー。

土の記(下)

土の記(下) 高村薫

上谷伊佐夫72歳の思索というか脳内皮質に浮かぶあれこれを上空三メートルから体験するココひと月の通勤読書時間。なぜか癖になる。ここでも過去に生きるのは男ばかりか。

マークスの山

マークスの山 高村薫

警察物の小説として、非常に緻密にストーリーが作り込まれている感じ。高村作品に通じるゾクゾク感は一級品。

照柿

照柿 高村薫

毎年この時期になると読む1冊。行き場を失った男と女は堕ちるところまで墜ちるしかないのか。すべては太陽のせいなのか? こちらは単行本版文庫では削られた初体験の年齢なども。 夏休みに読んだ本その3

照柿〈上〉

照柿〈上〉 高村薫

会社の人に勧められて読んだのですが、もうこれがちっとも進まないのです。 まるで修行のような読書体験…上下巻一度に借りたのに、下巻に辿り着く気配なし。 もうそれくらいに単調な工場勤務の男の色彩の少ない毎日が、鬱屈とした心持ちが、上巻にめいっぱい詰まっている感じです。 でも、少しずつどこか噛み合わなくなってきて、何かの前触れなのかなんなのか、あちこちに違和感がぽつぽつと出てき始めるのです。 この話はいったいどうなっていくのだろう…[下巻につづく]

李歐

李歐 高村薫

昔、中国語を勉強していたのですが、作中の漢詩やセリフの中の中国語が、ストーリーに加え楽しませてくれました。

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