夏目漱石の本

自転車日記

自転車日記 夏目漱石

人間万事漱石の自転車!? 「人間万事塞翁が馬」のもじりで、吉凶先の分からぬ漱石の自転車がロンドンを迷走。只々、自転車に乗っているだけなのに、おおげさな表現の数々でクスクスと笑いを誘います。

門

門 夏目漱石

ちょっとした落ち着きを感じる、夫宗助と、その妻御米(およね)、夫婦はひっそりと暮らしていていたのですが、宗助の弟小六(ころく)の学費の事で問題が発生し、交渉を行わなければならなくなったのですが...というのが始まりです。穏やかそうにみえた暮らしを営む夫婦の今はどのようにして成り立ったのか?またある救いを求めさまよう宗助の心の置き所は見つかったのか?という作品です。 「三四郎」と「それから」に続く3部作として名高いようですが、私はまだその前の作品を読んでません。 内容に言及しています! どんな時代であったとしても、不変的テーマの一つだと思いますし、安易な解決策が示されるわけでもなく、それでいて破滅的な局面があるわけでもなく、それでも読ませる作品でした。「こころ」も好きですが、今現在「門」を読み終わった後としては私は「門」が作品として、私の好みとして好きです。 宗助の性格の変化、諦観に至った状態、そしてある偶然からかき乱される心情、どれもとても理解できますし、妻御米をいたわる部分がリアルに感じられました。最初のエピソードでもある、ある漢字が気になって疑り始めると全く分からなくなってくる、という部分に宗助の傾向を納得させられてしまいました。やはり文章がとても上手い、奥行きがあるのもそうですが、月並みですが風情ある、季節感じられる描写、不自然でない対比、作為をきちんと隠す技術、匂いたつ描き方、次第に明かされる過去といった構成、そして比喩。どれも素晴らしかったですし、この世界に入り込んでしまいました。比喩にいたってはほとんど全編に至って出てこないのですが、計算されたにしても見事なくらいのタイミングで、カタルシスを感じさせるタイトルとの直喩が、私にはとても重く、感嘆しました。あたりまえかもしれませんが、上手すぎです。いろいろな読み取り方が出来るのでしょうけれど、簡単に抜け出せない日常と日々積み上げてきた、あるいは積み上げるしかなかった物事の結果を受け入れる(それももがいた挙句の!もがく事をしない最初からの諦めではない)宗助と御米の穏やかな日常に帰ってゆく部分が最初の場面と重なってまた良かったです。 新聞でこのレベルを連載されたら、みんな新聞読みますよね。また、当時としてどんな評価だったのか?も気になります。今の作家さんでいったらどんな方に該当するのでしょうか?人気がある新聞作家、もう絶滅してしまったように思われます。 淡々とした日常から、宗助や御米の人柄を浮きあがらせ、少しだけ不明な部分をフックとして読み手を惹き付け、なお展開まで伏線とは気がつかれにくいようにし、その上キャラクターが読み手に充分伝わったところで過去を語ってゆく構成など、本当に素晴らしかったですし、王道です。だからこそ少し気になる点について。 私は新潮文庫版を読んだのですが、この新潮文庫の背表紙に作品のあらすじというか紹介があるのですが、サイテーの文章だと私は思うのですが、いかがでしょうか?2人の過去が分かっていたら、ある邂逅を知らされていたら、こんな不親切で、おせっかいで、知ったかぶりたがる紹介はサイテーだと思うのですがどうなんでしょうか?酷いと私は思います、親切でもなんでもなく、この文章の書き手のセンス無さと虚栄心がにじみ出ていて非常に気に障ります。この点が不満でした。 夏目漱石さんがお好きな方に、あるいは全ての日本人の方に、オススメ致します。私の中では「こころ」がどんな方にでもオススメするベストの作品に変わりは無いですが、個人的にな好みとして、作品の扱う世界の大きさとしても、「門」が1番好きです(まだそんなに読んでませんが)。 2008年 12月

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草枕

草枕 夏目漱石

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」 冒頭のこの一節で一気に漱石の世界に引き込まれる。 話の筋などそっちのけで、漱石の芸術観や美しい言葉の数々にのみこまれた。 終幕、 「いよいよ現実世界へ引きずり出された。汽車の見える所を現実世界というーーー」 同時に私も現実世界へ引きずり出された。

明暗

明暗 夏目漱石

新婚の悩みって、案外、人に打ち明けにくいものだけど、明暗の漱石さんだけは「うん、うん、そうだね」って聞いてくれたような気がする。そういう話じゃないけど泣いてまう。

漱石文明論集

漱石文明論集 夏目漱石

「現代日本の開花」「私の個人主義」などの公演記録他。やはり漱石読めば充分だな、と思う。自己の個性を尊重しようと思うなら他人の個性も尊重すること。

こころ

こころ 夏目漱石

原作ほどの深さと衝撃はないけれど、先生のキャラが立ってるとこが面白い。未読の子ども用に。

こころ オブ・ザ・デッド ~スーパー漱石大戦~(1)

こころ オブ・ザ・デッド ~スーパー漱石大戦~(1) 夏目漱石

漱石作品×ゾンビ。大爆笑しながら読んだ。 漱石作品のキャラクター達がゾンビのいる世界に適応した形で登場して楽しい。一巻では『こころ』『門』『坊っちゃん』『吾輩は猫である』が取り上げられていた。 露骨なエロとBLもありグッド。 「僕に兵法がある‼︎」

〆切本

〆切本 夏目漱石

これはかなり面白かった。タイトル通り文豪をはじめあらゆる作家の〆切を守れなかった言い訳や愚痴ばかりを集めた本。 こういうのが何故面白いのか分からないけどさすが名だたる作家達で言い訳や愚痴も見事に読ませる。なんとなく〆切をきちんと守る人、と勝手に思ってたのは三島由紀夫、池波正太郎、村上春樹でそれはやはりそのとおりだった。彼らを除くほとんどの作家は〆切を守れないのでは、と思ったくらい(笑)これはかなりおすすめの面白さでした。

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行人

行人 夏目漱石

読書以外もいろいろと示唆に富んだ見解を私に教えてくれる方のオススメなので読みました。夏目漱石できちんと読んで今も覚えている(内容やあらすじ程度ですが...)のは「こころ」と「抗夫」だけなのですが、この「行人」も面白かったです、というか考えさせられる文章でした。日本の文学者の代表のような方の文章を読んで偉そうですが、一人の読者として私が感じた感想をまとめてみたいです。 学問に生き、何事にも本質的な哲学的な見方をし、常に懐疑的な兄一郎を、その弟でのんびりした、ひょうきんな男二郎から見た兄弟、親子、妻や子供などの家族的問題を描いた作品です。前半部分では大阪に友人を訪ね、様々な家族としての用事を片付けている弟二郎に、兄一郎とその妻の直、そして兄弟の母の3人が旅行として合流したところから物語が流れ出します。どんな物事でも真剣かつ懐疑的な兄一郎が妻である直を無条件に信じることが出来ずに苦しみ、二郎にその苦しみを告白し、助けを求めます。その助けとは...。というのが導入部分なのですが、物語の途中で有名な漱石の喀血により中断した新聞連載小説です。 この中断に私は物語の前半と後半の違いを少し感じました。前半の兄の懐疑からくる苦しさは妻に向けられていたものだったのですが、それが後半部分ではかなり広い範囲に波及していきます。その辺の違いに(前半と後半の語り手二郎の受け取り方にも)、少し病気による中断が関係あるのか?と私には感じられました。 文体もなのですが、まず、圧倒的に文章が上手い。非常に奥行きを感じさせる文章でそして物語のテンポは今現在の私からすると非常にスローモーであるのに、テンポが悪い、遅いとは感じさせません。丁寧に一つ一つエピソードなり必要な物事を、描写を、重ねて行きます。堀江さんや金井さんなどの思考中の頭の中のセンテンスに区切れの少ない文章で感じさせるヒロガリとはまた違った、空間的なヒロガリを感じさせます。非常に面白く読めました。 私が1番気になったのは兄一郎の考え方よりも、その妻である直の考え方です。実践的かつ合理的で、多くを望まず、しかし覚悟はしていて、それを貫き通す。またその信条をおおっぴらにするのではなく、必要な人に、必要な時に、伝える事はするが、それ以外では軽々しく口外しない。そんな嫂(アニヨメと読みます、語り手二郎からすると一郎の妻は嫂なのです)が特に惹かれる登場人物でした。 もちろん主人公の(物語の、というより主題としての)一郎の悟りを求めるそのひた向きさにも、狂おしいくらいのものがあって良いのですが、少し硬くな過ぎる部分が多く、有名なセリフである「死ぬか、気が違うか、それでもなければ宗教に入るか。」という部分も私にとってはちょっと求めすぎなのではないか?適度という言葉が理解できない苦しさは分かるにしても...と感じてしまいました。それでも何かしら心惹かれる人物です、兄の一郎は。お坊さんの香厳(きょうげん)という方の全てを投げ出した後に石と竹の当たる音で悟りを開くという「一撃に処知を亡う(うしなう)」というエピソードに心惹かれる兄一郎が私には少し理解できるような気もするし、そこまでを求める強欲さともとられかねない強さをちょっと敬遠したくもあり、さすが主人公です。私は「こころ」という作品が好きなのですが、其処へ至る小説なのだと理解しました。物語の切り方をとってもそうですし。 この後是非同じ漱石の作品「門」に挑戦してみようと考えています、ちょっと後になりそうですけれど。 夏目 漱石の作品の中でも「こころ」が好きな方に、悟りを求めている方に、また一人の覚悟ある大正時代の女性に興味のある方にオススメ致します。 2008年 11月

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夢十夜

夢十夜 夏目漱石

パロル舎から刊行された画家、金井英津子さんの3部作のひとつ。夢か現か、幻惑される。