町田康の本

〆切本2

〆切本2 森鷗外

まさかの二作目。古今東西いろんな作家の〆切に苦悶する姿を集めたアンソロジー。日本の作家が中心なのだが今回はドストエフスキーやバルザックまでも納められている。本業が忙しくて辛いとこぼす森鴎外とか、リリー・フランキーの妙に説得力ある屁理屈とか、今回は漫画界から江口寿史なども収録されていて面白くも辛くなる不思議な魅力は健在。面白かった。

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ベスト・エッセイ2017

ベスト・エッセイ2017 角田光代

佐藤究さんの「勝負師のスパイス」というエッセイが面白すぎる。若い頃、通い詰めていたカレー屋の味を再現しようと、S&Bディナーカレーに様々なスパイスを加え、試行錯誤する話なのだが、結末が衝撃的。たった2ページちょっとの文章だが、その虜になり、何度も読み返してしまった。

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ホサナ

ホサナ 町田康

ホサナとはヘブライ語でどうか助けてくださいってことらしいが、聖書には歓喜の叫びの言葉として載ってるそうな。 やたら顔の広い女に誘われ、犬を連れてバーベキューに行った私。しかしバーベキューは散々なものだったばかりか謎の光による惨劇に見舞われ、私は後日真のバーベキューを行うことを決意するも…。 作品が多くて順序がわからないが『リフォームの爆発』や『珍妙な峠』のように理不尽な知人隣人に、現世と寸分違わぬように見えながらも わずかにズレた平行世界をめぐるはちゃめちゃぶりに加え、もしかしたらここは平行世界ではなく現世では?と思わせる陰謀というか計画とそれを打ち破ろうとする勢力などが絡み合う。 かなり分厚いけども読み出したら一気読み。 あの文体は健在だけども少し抑えた感じというか端正さが目立つというか、『ギケイキ』のような古典のパロディでこそ活きてくるあのべらぼうな筆致に比べれば随分と喉ごしに違和感があるようにも思われたが、それは一つの仕掛けのようにも思われる。例えば石川淳にさらっと触れてたりするあたり(「マルスの歌」だなんて渋すぎる!)、もっと深読みの楽しみがあるのかも知れない。そんな高等な読者でないのは残念だが。

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12星座小説集

12星座小説集 橋本治

蠍座、B型、女、(長女)。 この共通点がある人とは、会ってその日に何とも言えない通ずるものがあって、しばらく連絡をとっていなくても、急に思い出して無性に会いたくて話したくて堪らなくなることが多い。私の場合。厄介者同士か。 単に産まれた日によって分けられる星座、だけれど、人間も動物で、星か宇宙かなにかそんな壮大なものの影響は確実にあると思う。 それぞれの星座にまつわる物語を、自分の生まれの星の作家が綴るアンソロジー。姫野カオルコが乙女座、と知っては〜ん、さすが、裏切らない、と唸ってしまった。 ちなみに、蠍座の物語、書き出しがすごく好き。

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フォトグラフール

フォトグラフール 町田康

「私は身の毛がよだつほど嘘が嫌いである」という一行目から嘘をかましてくる写真大喜利の一冊。 写真を見て妄想したことを書き連ねているだけなのだが、流暢に語られる嘘の数々は笑いを誘う。適当にふざけているようでいて、リズム感を大切にした少々古風な文体は流石、町田康である。

ずるずる、ラーメン

ずるずる、ラーメン 椎名誠

ラーメンに関する随筆集。 以前読んだ「ずっしり、あんこ」に比べ、感動的な話もなく、どうでも良いような内容ばかりだけど、楽しく読める。 読んだ後の頭の中は完全にラーメン。早くラーメンを食べたい!

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スピンク日記

スピンク日記 町田康

エッセーのような小説のような。犬の目を通した町田康、というか町田氏の思う、うちの犬こんなこと思ってんだろうなーって想像なんだけど、その辺考えると視点がだいぶ多層的、まあ犬猫小説ってそういうものなのだけど、とかまぁそういうのは置いといて、とにかく可愛いし和むので良い。しかしほんとに犬(プードル)ってこういう語り口で喋りそうやね。この本の最終章最後の一文はわりと静かな感動がある。

壊色

壊色 町田康

パンクロッカーで芥川賞作家の詩集。童謡の町田さんの新しい解釈は衝撃だった。言葉遊びを教えてもらえると思います。

関東戎夷焼煮袋

関東戎夷焼煮袋 町田康

大阪を出てうん十年、自分はすっかり関東の人間になってしまったのか? 東京で食べたうどんの汁の色に愕然とした大阪人はどこに行ってしまったのか? 大阪人のアイデンティティを取り戻すにはどないすればええんや? 大阪のソウルフードを自ら作り、あるいは買い、そして食す。それこそが解決や!と意気込んではみたものの。 『ギケイキ』ほどの衝撃はなかったが、ついと読み進められるうどんのようなあっさり感と、独特の言語感覚がごっちゃになったお好み焼きみたいなコテコテ感が混じるのはいつもの町田節ではある。

珍妙な峠

珍妙な峠 町田康

金。大事な大事なものではある。銭ゲバ的な話でもあるが金に執着してるわけじゃなくてそれを使っての消費に執着してるのだろうか。異世界なんだか実は隣町なんだかよく分からない珍妙な峠に迷い込んで金と消費の迷妄の中で独白し続ける俺。さまよい出た先にあった峠から元の街に戻るには激流走る深い谷を越えねばならないはずが、峠からよろぼい出てみれば元の街。謎の送金で金持ちとまではいかないにしても日々のたつきは立ち、果ては家まで買えたものの…。町田康の文体は合わない人には徹底的に合わないのだろうが、今回の炸裂っぷりもなかなかのもの。個人的にはケッサクだが、それ以上に「俺」の意識の流れが描かれているのではないかなと思われた。ストーリー自体は時系列的に流れて行くのだが、「俺」の独白は一筋縄ではいかずあっちこっちを行き来して変幻自在。巻末のどんでん返しもそれを思わせる。 泳ぎ切れ!

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猫なんて!

猫なんて! 角田光代

総勢47名の作家による猫話 猫との距離感、間合いがそれぞれでおもしろい 犬派ですが、猫もいいなあ… なんて笑

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ギケイキ:千年の流転

ギケイキ:千年の流転 町田康

現代人(といっても千年前に死んだ義経の魂だが)の視点から描かれた義経記。 義経の小説は重厚感や悲壮感が漂うイメージだが、この話はとにかく軽い、そして明るい。武士達が普通にファッションとかSNSとか言っていて笑える。 気軽に楽しく読めて、史実の大切なところも押さえてあるので、歴史が苦手な人にもオススメ。義経が頼朝に会う直前で終わってるけど、続編はあるのだろうか?ぜひ続きを読みたい!

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芸術の神様が降りてくる瞬間

芸術の神様が降りてくる瞬間 茂木健一郎

BS日テレで放送された対談をまとめたもの。 茂木健一郎苦手だし、対談ものを文章で追うが好きではないから、この手の本は避けている。 でも町田康が語ってるなら…が読んだ動機。 町田は、文体から予想はついていたけれど、言葉ひとつひとつにかなりこだわっている。茂木が逆に質問されて、話変えて、が連続していた。 「告白」を書いた背景や、日頃からの文章の書き方、小説に対する考え方がパンクだった。 「書くというのは本当に、技術なんですよね。」 という一言が残った。 書くことは技術なのか。センスや感性ではないのか。言葉の配置をそれぞれに捉えて作っていくってことなのかな。深い。

ユリイカ 2014年1月号 特集=ルー・リード

ユリイカ 2014年1月号 特集=ルー・リード 田中泯

ロック・ミュージック、ミュージシャンを言葉で伝えるほど、野暮かもしれない? でも 追悼ルー・リード、ユリイカは捉えどころ全部読めますよ。この中に彼を語りたい、彼の気持ちを伝えたい、世の中 はみ出し者は許さない形式に彼は挑む気も更々無い。自分の創作物を世に解き放つ!それが彼の意思表示かと思いきやはぐらかす、スイート・ジェーンだし、彼の言動、行為も掴みきれない正真正銘のワイルドだから私は大ファンなのです^_^❣️ ホワイト・ライト・ホワイト・ヒートは現在未来形で普遍する。私には、ボブ・ディランだけでは物足りません。