大崎善生の本

聖の青春

聖の青春 大崎善生

「東の羽生と西の村山」。そう評された天才棋士村山聖。その純粋さゆえ皆に愛され、難病と闘いながらも名人になるという夢に挑戦し続けた生涯を描く。 聖が勝ち続けていく様を読んでいて嬉しくなる一方で、彼の夢を阻むように立ちはだかる病魔が何とも切なかった。とはいえ、常に死を意識し続けたからこそ、彼は命を賭けて将棋を指せたのかもしれない。それでも彼が健康で、今も生き続けていたら思わずにいられない、非常に魅力的な人物だった。

角川つばさ文庫版 聖の青春 病気と戦いながら将棋日本一をめざした少年

角川つばさ文庫版 聖の青春 病気と戦いながら将棋日本一をめざした少年 大崎善生

イラストが可愛いという理由だけで角川つばさ文庫版を購入。 村山聖という棋士の人生は「驚きものの木20世紀」の頃からずっと頭の隅っこに存在していた。 勝手な想像だが彼にとって名人はもうどうでもよかったのかもしれない。 「僕は谷川さんや羽生さんに立ち向かう僕が好きなんです」とか天国から言ってそうな気がする。

聖の青春

聖の青春 大崎善生

「自分には翼がある。 名人というはるかないただきにたどり着くための翼が。どんなに傷んでも、苦しみもがいても自分は諦めない。その翼を捨てるわけにはいかないのだ。」 5歳でネフローゼに罹患し、29歳で進行性膀胱癌のため平成10年にこの世を去ったA級天才棋士、村山聖八段。名人位を熱く希求する将棋と厳しい闘病に全てをかける短い人生、師匠の森や両親、同僚の棋士達との真っ直ぐな交流の記録につい、目頭が熱くなってしまうのだ。 彼は現在でも将棋界で活躍している第1戦の棋士たちの脳裏にも強く焼き付いている。YouTubeで検索すれば、ぽっちゃりと子供のように頬を膨らませたありしひの姿を見ることができる。彼の命をかけて打ち続けた将棋の棋譜も手に入る。観ていないけれど数年前に映画にもなった。 最近、60歳を過ぎて駒を動かすことを覚え、将棋教室にも通うようになったが、村山聖の人生は僕に新たな感動をもたらしてくれた。将棋を好きになって良かったと。

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別れの後の静かな午後

別れの後の静かな午後 大崎善生

男には、2種類ある。男と、女から見た男と。同様に、女には、2種類ある。女と男から見た女と。この短編集は、男と男から見た女の話だ。だから、登場する女性たちはいずれも、魅力的ではあるけれど、一方で浮遊感を伴ったあやうい存在に感じられた。 プロット、小道具、会話、いずれも恋愛小説の王道という感じだが……。切ない気分を味わいたい時に読めばいい本。

将棋の子

将棋の子 大崎善生

羽生善治九段のタイトル99期獲得、七冠や高校生棋士の藤井聡太棋聖などの活躍で地上波テレビ局のお昼のワイドショーにも話題が取り上げられるようになった将棋界だが、プロになるためには奨励会という厳しい関門を潜り抜けなければならない。 メディアに登場する陰には昇級出来ずに年齢制限などで挫折し去っていく人たちがいる。彼らも例えば小学生の頃、地元では天才といわれ、将来を有望視されていたのだ。彼らを見守る著者もかつてはアマチュアながら将棋にのめり込んだひとりだ。将棋にこんな様々な人生があったんだ。

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エンプティスター

エンプティスター 大崎善生

3部作を完読。個人的には1作目が最高だけど、この3作目もよかった。最後の総括りで、かつ一作目に繋がるところが好き。内面の表現が複雑、組織との絡みは雑な気もするし、山崎が冷たく感じなくもない、そして、どう着地させるのか不安だったけど、引き込まれたし、最後の終わり方は見事だった。

アジアンタムブルー

アジアンタムブルー 大崎善生

誰よりも愛している人が死に直面するとき、自分だったらそのひとにとって最善の選択をしてあげられるのだろうか。彼女の希望を叶えて、幸せに死なせてあげた隆ちゃん。それが何よりの愛をものがたっているのではないか。 彼女の死により仕事に通えなくなり、全ての歯車が回らなくなる。彼女との時間、今までに自分という人間を作り上げてきた人たちとの時間にフラッシュバックしながら、あるいはある女性との出会いで自分が求めていたものに気づかされながら、前に進む努力をしていく「残された人間」の物語。

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棋士という人生: 傑作将棋アンソロジー

棋士という人生: 傑作将棋アンソロジー 大崎善生

僕が羽生善治の本を読むのは、何もそれで将棋が指せるようになると思っている訳ではない。最近はテレビやイベントなどが多くなり、アイドルのような、でもちゃんとした女流棋士も増えたりするが、それでも棋士というのは、孤独で自分だけが頼りで、いわばやくざな商売じゃないかと思っている。その中で羽生さんは図抜けて現代を意識している人だと思っている。 この本は、坂口安吾や団鬼六、村上春樹、小林秀雄などや昨日、藤井七段に破れた渡辺棋王などの棋士の文を集めた、九×九の盤上に掛けた人生のアンソロジーだ。

孤独か、それに等しいもの

孤独か、それに等しいもの 大崎善生

久しぶりに大崎善生を読んだ、「恋をして結婚をして子供を作り、人間がそうやって何かに向かって登攀していく生き物なのだとしたら、いったいどこがその頂点となるのだろう」 「だらだらとこの坂道を下っていこう」の二行目。『パイロットフィッシュ』の書き出し数行のぐさっと来る感じを思い出す、どの作品もこうなのだろうか

ドナウよ、静かに流れよ

ドナウよ、静かに流れよ 大崎善生

生きるってどんなこと?人を愛するってどんな感情?とある若い2人の自死の背景を丁寧に綴った、胸に迫るルポルタージュです。

聖の青春

聖の青春 大崎善生

まさに将棋に命をかけた人生。自分の人生に命をかけるということ。壮絶な環境の中で、ただひたすら純粋に、ユーモアと愛に溢れていて、どんな場面でもなんだか泣きそうになってしまった。 読み終えた後はなかなか言葉にならなくて、今出てきた言葉も薄っぺらく嘘くさく感じる。 私はこんなにもなにかに愛と思いを注げられるのだろうか。

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ディスカスの飼い方

ディスカスの飼い方 大崎善生

叔父の辿った道を見せられたような気がしたと共にディスカスを飼ってみたいという考えは無くなった。物語の大半がハードコアなディスカス飼育の専門知識で埋め尽くされていて熱帯魚飼育の経験のない人が読むのは難しい。アクアリウムに片足突っ込んでるような人にしか面白いと感じられないかも。