51wthg3jaul

あなたを、助けたい。 学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城の... 続き

コメント

今更ながら、最近見つけて読み終えたのでレビューする。
いじめや家庭環境のせいで中学校での生活から浮いてしまった7人の物語である。主に安西こころの視点で描かれている。始めは両親にもいじめについて話すことが出来ず憂鬱な日々が続くが、鏡の中の6人の友達や喜多嶋先生との出会いを通じて成長する過程に勇気付けられる。
また、描写が繊細でとても引きこまれた。特に真田美織のグループがこころの家の庭に侵入してきたときの表現には鳥肌が立つ程だった。他にも6人の友達の、家族や友達との人間関係の表現には共感出来るところがたくさんあり、面白かった。
それに加えて、とても細かく設定が考えられていて、伏線の回収も見事だった。冒頭から何度か出てくる「転校生」の件は、読み始めと読み終わりでは思い浮かべる人物が異なり、とても面白かった。時間のズレと喜多嶋先生の設定も個人的にとても好きだ。会話の中にずっと感じていた違和感が、物語が進むにつれて氷解していく爽快感は格別である。
ただ、エピローグにおいてこころ、リオン、アキ、実生の4人しか登場しないのが気になった。個人的にはマサムネ、ウレシノ、フウカ、スバルにも登場して欲しかった。

その他のコメント

少し自分の話を。

昔から人の顔色を伺ってばかりで、
自己主張が苦手だから、
裏切られたことも多くて。

人が多い場所が苦手になった。
笑い声が苦手になった。
前を向いて歩くことが出来なくなった。
人を信用できなくなった。
好意や肯定に耳を塞いで、
悪意や否定ばかりを拾う毎日。

この物語は、
過去に囚われ縛られ、自分の限界を決めつけていた私を救ってくれた。

過去に流せなかった思いが涙となって溢れ、止まらなかった。

今からでもきっと大丈夫。
過去の自分を抱きしめながら、
私も、誰かの手を強く握れる人でありたい。

ありがとう。辻村先生。

装飾的な表紙と”一気読み必至の著者最高傑作”と銘打った帯に惹かれ購入。
これまで辻村作品は何冊か拝読してきて新作ということに興味もあった。
読むものの心を掴み最後まで離さないストーリー性と世界観、読み終えたら温かい感動に包まれ読んでよかったとそう思えた一作であった。
私自身も中学時代に物語の主人公こころと同じような辛い経験をしてきたため最初から共感する部分が多く、中学時代にこころたちのようにかがみの奥の城に私も行けていたら... 何故か必然とそう思い羨ましくも思えた。
確かに一気読み必至。私も一晩で読了した。
だがゆっくり一章づつ、まるで主人公と自身を重ね合わせるように読むと、よりラストの感動を味わえるのではないかとも思う。
ぜひかがみの孤城の世界を体験してみてください✨

読者

Cbf29646 1007 4462 89ce 36dc2fd34500A516b2b3 30cc 4f7a ba08 137aa25c3ea5E508b48b a7f7 4fa0 ba56 6da45af8bd22D53ec432 8281 4e7f b88e 48f11d1e6e023b6e593d 600d 4193 87ee a49f092dd79fDac65a9b 3335 4888 acc9 e29fcb3a56a9038559fe 66c1 4e3b aab0 2115a5183d8fB4b02055 014a 40a7 9950 b5e0475332b1 551人

辻村深月の本

ツナグ 想い人の心得

ツナグ 想い人の心得

64e50687 d69c 4a16 9e02 a2dc2e49048a

HSSISOLATED

人生で何度目かの読書熱

回復の物語。 前作の依頼者の多くが対象喪失危機の只中にあったのに対し、今作ではどちらかというと喪失から一定程度の時間または距離を置けている依頼者が多かった。 即ち、前作が「急性期」の物語であったならば今作は「回復期」、「慢性期」或いは「寛解期」の物語だと感じる。 オープニングとなるプロポーズの心得では、他者を愛することについて、父親不在の男性が主人公となる。彼は、自らの人生における父親不在の感情は彼の葛藤を形成しているがどうやらそれを受容できていたようだ。 しかし、誰かを愛するに先立って、偶然にもツナグによって葛藤は再度処理された。こうして、彼は次の場所へと繋がった。 繋がったのはプロポーズだけでなく、前作とも完璧な繋がりを見せているところが圧巻でもある。 歴史学者の心得ではこれまでにない依頼者が現れる。 実際には歴史学者ではなく郷土史家なのではないかとツッコミたくもなるが、彼のアイデンティティは歴史学者なのであろう。このアイデンティティを否定してしまうと彼の人生は破綻してしまうだろうから。 アイデンティティといえばE.エリクソン的な老年期の危機である。自分の人生に意味はあったのだろうか、という危機であり、統合へ至るか絶望へ至るかの最後の段階でもある。 そして、自らがその危機の只中にあることは自身でよく理解できていたようだった。なぜなら『鮫川は、愚鈍ではないからだ』(p.109) 母の心得でも同様に、対象喪失から時間を経た2人の母と2人の長女の物語である。時間の経過によって、それぞれが前に進もうとする前に、そして前に進んだ後に、娘に再会する。どちらも急性期を過ぎた後にどう生きるか、喪った者としてどのように次へ進むかを考える。 そして、唯一の急性期の物語であるのが一人娘の心得である。この急性期をどう乗り越え、次にツナグのか。 これが思い人の心得へと、そして5つの物語が完璧に繋がる。 そして、これらの物語の季節は冬に始まり、春に終わる。 生きてるうちに何度季節が巡るだろうか、などと考える。誰かを喪っても季節は巡り、次の場所へ向かってゆく。 ツナグは決して死者の物語ではなく、生者の回復の物語であり、残された者の人生をいかにツナグかを支える使命なのだろうかと考え、震えてしまう。

14日前

Icon user placeholderIcon user placeholder0cd59b68 4677 47ce 9000 5da346bfa29b
傲慢と善良

傲慢と善良

9b7b10e5 4fb3 4a41 a86b 9a79d145935d

もちもち

食べ過ぎ、飲み過ぎ、読み過ぎ注意…

今の私たちの暮らしはインターネットと繋がることが当たり前になっている。 食事をする店を選ぶのも映画の時間を確認するのも場所を探すのもインターネット頼み。 見知らぬ人々によって作られた評価でその価値を計測し、なんとか平均以上の幸せを手に入れられるように検索に励む。 一方で他人を、モノを、あらゆるコンテンツを、自分にはジャッジする力があると考えるその傲慢さ。 ストーカーに狙われていた婚約者が姿を消し、その行方を探す主人公。 ストーカー、失踪、そんな犯罪、事件を思わせる出来事の裏に、他人をジャッジすること、されることの恐ろしさが潜んでいる。 そして下された評価に振り回されて、自分で物を考えること、自分の下した価値判断を信じることが出来なくなる愚かさ。 読後、自分は誰のこともジャッジせず、自らもジャッジされることのない、できる限り目立たない、ありふれた、その他大勢のひとりでいられる世界にいたいと心から思った。

2か月前

Icon user placeholder64e50687 d69c 4a16 9e02 a2dc2e49048a9ed1a4f2 e954 4da6 a0fb 3f60b0027f1d 29
きのうの影踏み

きのうの影踏み

87d4ebfc 67c9 4829 8877 939d2fda796d

おひさま

活字中毒の書店員

ホラーというより、身近に潜む小さな謎のような怪異の短編集。 永遠に真実が分からないまま日常に埋もれていってしまうようなちょっと不思議な出来事たち。いつか子供の頃放課後に友達と噂をしてキャーキャーと騒いだ思い出とふと重なるような小さな怪談はどこか懐かしい。

5か月前

Icon user placeholder50ec34be 70a2 4996 b483 4b8fa251db06Icon user placeholder 20