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コメント

出版に関わる人々必読。昨今の出版業界悲観論に組することなく、まさにこれからの本の在り方の道標となる一冊。

「さらに言えば信憑性の薄い「ニセ医学本」や、差別意識を煽る「ヘイト本」などは、まさしく「ポスト・トゥルース」的な本だ。そしてこれらはいまに始まったことではなく、ずっと前から存在する。それらの本はもちろん「ニーズ」があるので、大量の部数が刷られ、まとまった数が売れる。多くの旧来型の書店では、よほど誰かが意思を持って拒否しない限り、出版流通に乗っているその手の本は自動的に入荷する。同じシステムのもとでどのような本も分け隔てなく扱うことこそ、特定の思想に偏ることなくフラットで、本屋のあるべき姿である、と考える人もいる。けれどぼくは、その考えには明確に反対する。その先には、本屋までがテクノロジーに吸収される未来しか待っていないからだ」P.109
に思わず膝を打ち、
「だからこれからの「本屋」の仕事は、本をできるだけ誠実に選ぶことだ。できるだけアンテナを張る。わからないことには無理に手を出さない。新刊の洪水が続く中、自分がわかる範囲で、できるだけ胸を張って、意思を持って差し出せそうな本を選ぶ。個人として、できるだけ正しくあろうとして、少しずつ、全方位的に目配せできるように努めていく。第一れも完璧であることはできない。できていないことも自覚しながら、少しでも誠実な場を提供することで、客との信頼関係を築いていく」P.111
に襟を正す。

その他のコメント

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」にて、
筆者内沼晋太郎氏が出演し、まさにこれからの本屋の在り方を語っていた回を聞き、購読。
購入した本屋には「本屋および本」に関する棚があり、最近のトレンドでもあるのかなと感じた。

第一章の「本屋のたのしみ」には様々な引用がされながらその魅力が語られる。
自分も同意する事ばかりだった。

例えば、一つの本屋には人生で読み切れない量の本が置いてあり、店内を一周するだけで世界を一周することに似ているという筆者の意見に改めて、その途方も無さに本屋に魅力を感じていたのだなと思った。

「読みきれなくても買う」という部分。
積読状態の本が増えていくと若干の後ろめたさもあったが、
本屋で本と出会い、その本から開かれる別の世界に対して一歩踏み出すような気持ちで今日も本を買おうと思う、というくらいにこの個所を読んでいると気持ちを持っていける。

そもそもちゃんと読んで次に行くというのは不可能だ。
「本を読む」というのは最初から最後まで読み、完璧に理解するという事ができるという幻想がある。

佐々木中著『切りとれ、あの祈る手をとをめぐる5つの夜話』(河出書房新書)では、もし本を「完璧」に理解し、わかってしまったら気が狂ってしまう、と言っている。
「本を読むということは、下手をすると気が狂うくらいのことだ」(29頁)と。佐々木中は「読む」という行為のある種狂信的な側面、信仰ともいえる「読む」という行為の極北を示している。

一方で「本を読まなく」ても、本について語る事ができるという意見もある。
ピエールバイヤール著『読んでいない本について堂々と語る方法』(ちくま学芸文庫)では、本はある文脈やその人の環境によって、さまざまに読まれうる、そもそもその本について知っているということ自体がその本を読んでいるという事にも成り得るという主張だった。確か。

そうした定義の話だけでなく、本の仕入れ方や、本屋になる方法などノウハウとしての部分も非常に面白く、勉強になる事ばかりだった。

本書は、本屋にも本にも非常に愛があり、これからの可能性に真摯に向き合ってきた筆者の情熱を感じる。
素晴らしい本だった。

あと、細かいところで言えば、本書のページの表記(全317ページ)は手書きのフォントだ。
最後にその部分が筆者の関係者の手によるものが判明する。
また、判型が家?の形をしていたり、面白い試みをしているなあと思った。
とはいえ、筆者のこれまでの経緯を知れば、「なるほど」と思わされる。

「本」を環境に溶け込ませてゆく。

読者

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1年前

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