コメント
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神田村経由専門書版元 |
出版に関わる人々必読。昨今の出版業界悲観論に組することなく、まさにこれからの本の在り方の道標となる一冊。
「さらに言えば信憑性の薄い「ニセ医学本」や、差別意識を煽る「ヘイト本」などは、まさしく「ポスト・トゥルース」的な本だ。そしてこれらはいまに始まったことではなく、ずっと前から存在する。それらの本はもちろん「ニーズ」があるので、大量の部数が刷られ、まとまった数が売れる。多くの旧来型の書店では、よほど誰かが意思を持って拒否しない限り、出版流通に乗っているその手の本は自動的に入荷する。同じシステムのもとでどのような本も分け隔てなく扱うことこそ、特定の思想に偏ることなくフラットで、本屋のあるべき姿である、と考える人もいる。けれどぼくは、その考えには明確に反対する。その先には、本屋までがテクノロジーに吸収される未来しか待っていないからだ」P.109
に思わず膝を打ち、
「だからこれからの「本屋」の仕事は、本をできるだけ誠実に選ぶことだ。できるだけアンテナを張る。わからないことには無理に手を出さない。新刊の洪水が続く中、自分がわかる範囲で、できるだけ胸を張って、意思を持って差し出せそうな本を選ぶ。個人として、できるだけ正しくあろうとして、少しずつ、全方位的に目配せできるように努めていく。第一れも完璧であることはできない。できていないことも自覚しながら、少しでも誠実な場を提供することで、客との信頼関係を築いていく」P.111
に襟を正す。