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TBSラジオ「アフター6ジャンクション」にて、
筆者内沼晋太郎氏が出演し、まさにこれからの本屋の在り方を語っていた回を聞き、購読。
購入した本屋には「本屋および本」に関する棚があり、最近のトレンドでもあるのかなと感じた。

第一章の「本屋のたのしみ」には様々な引用がされながらその魅力が語られる。
自分も同意する事ばかりだった。

例えば、一つの本屋には人生で読み切れない量の本が置いてあり、店内を一周するだけで世界を一周することに似ているという筆者の意見に改めて、その途方も無さに本屋に魅力を感じていたのだなと思った。

「読みきれなくても買う」という部分。
積読状態の本が増えていくと若干の後ろめたさもあったが、
本屋で本と出会い、その本から開かれる別の世界に対して一歩踏み出すような気持ちで今日も本を買おうと思う、というくらいにこの個所を読んでいると気持ちを持っていける。

そもそもちゃんと読んで次に行くというのは不可能だ。
「本を読む」というのは最初から最後まで読み、完璧に理解するという事ができるという幻想がある。

佐々木中著『切りとれ、あの祈る手をとをめぐる5つの夜話』(河出書房新書)では、もし本を「完璧」に理解し、わかってしまったら気が狂ってしまう、と言っている。
「本を読むということは、下手をすると気が狂うくらいのことだ」(29頁)と。佐々木中は「読む」という行為のある種狂信的な側面、信仰ともいえる「読む」という行為の極北を示している。

一方で「本を読まなく」ても、本について語る事ができるという意見もある。
ピエールバイヤール著『読んでいない本について堂々と語る方法』(ちくま学芸文庫)では、本はある文脈やその人の環境によって、さまざまに読まれうる、そもそもその本について知っているということ自体がその本を読んでいるという事にも成り得るという主張だった。確か。

そうした定義の話だけでなく、本の仕入れ方や、本屋になる方法などノウハウとしての部分も非常に面白く、勉強になる事ばかりだった。

本書は、本屋にも本にも非常に愛があり、これからの可能性に真摯に向き合ってきた筆者の情熱を感じる。
素晴らしい本だった。

あと、細かいところで言えば、本書のページの表記(全317ページ)は手書きのフォントだ。
最後にその部分が筆者の関係者の手によるものが判明する。
また、判型が家?の形をしていたり、面白い試みをしているなあと思った。
とはいえ、筆者のこれまでの経緯を知れば、「なるほど」と思わされる。

その他のコメント

出版に関わる人々必読。昨今の出版業界悲観論に組することなく、まさにこれからの本の在り方の道標となる一冊。

「さらに言えば信憑性の薄い「ニセ医学本」や、差別意識を煽る「ヘイト本」などは、まさしく「ポスト・トゥルース」的な本だ。そしてこれらはいまに始まったことではなく、ずっと前から存在する。それらの本はもちろん「ニーズ」があるので、大量の部数が刷られ、まとまった数が売れる。多くの旧来型の書店では、よほど誰かが意思を持って拒否しない限り、出版流通に乗っているその手の本は自動的に入荷する。同じシステムのもとでどのような本も分け隔てなく扱うことこそ、特定の思想に偏ることなくフラットで、本屋のあるべき姿である、と考える人もいる。けれどぼくは、その考えには明確に反対する。その先には、本屋までがテクノロジーに吸収される未来しか待っていないからだ」P.109
に思わず膝を打ち、
「だからこれからの「本屋」の仕事は、本をできるだけ誠実に選ぶことだ。できるだけアンテナを張る。わからないことには無理に手を出さない。新刊の洪水が続く中、自分がわかる範囲で、できるだけ胸を張って、意思を持って差し出せそうな本を選ぶ。個人として、できるだけ正しくあろうとして、少しずつ、全方位的に目配せできるように努めていく。第一れも完璧であることはできない。できていないことも自覚しながら、少しでも誠実な場を提供することで、客との信頼関係を築いていく」P.111
に襟を正す。

「本」を環境に溶け込ませてゆく。

読者

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内沼晋太郎の本

本の未来を探す旅 台北

本の未来を探す旅 台北

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

現在進行形の台湾出版事情を理解する良書、「田園城市」ヴィンセント・チェンさんのインタビューは台湾出版界の流通形態がよくまとまっており、理想主義ではなく現実を見据え出版をまっとうな商売として成り立たせるべく積みあがるアイデアにこうゆうやり方もあるのかと膝を打つ。 「台湾の書店が取次を通して出版社から本を仕入れる場合、いちばん安くて本体価格の6.5掛け、普通は7掛けに、ほとんどの場合は5%の営業税がかかるのがスタンダードです。たとえば本体価格が1000円の本だとして、出版社の取り分は450円(45%)、取次は200~250円(20~25%)、書店は300~350円(30~35%)ですが、そこから割引をする分だけ書店の利益は減ります。 直取引の場合も、出版社は通常、書店に本体価格の65~70%で卸します。ただ誠品書店と博客來の2大販路は別格で、出版社は誠品には委託でおよそ55%、博客來には60%ほど(8割方が買取)で卸します。(それぞれ5%の営業税を含む)。」P.96 取次の取り分が20~25%とは! 先週話題となったアマゾンの買い切り問題も博客來の掛け率及び買取率が参考となるのか。

11日前

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本の未来を探す旅 ソウル

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Maiko Miyatake

本のこと、本屋のこと、装丁のステ…

ソウルに週に1店!?の割合で増えているという独立系本屋さん。しかもイベントや集客方法には独自のアイデアが満載。 下北沢の本屋B&Bを経営する内沼晋太郎氏曰く、ソウルは日本の本屋さんの未来の姿を見せてくれているのかも、とのことで読んでみた。 ソウルの中でもホンデという街を中心にどんどん増えている本屋さん。私と同年代の方々の様々な本屋さんの姿に揺さぶられる。 本屋のオーナーだけでなく、出版業界の研究者や雑誌(Magajine B!)の編集者のインタビューも読み応えがある。 ソウルに行きたくなるというよりも、私も本屋を始めたい!という内容になっていた。 本文用紙はラフな書籍用紙で、文字は読みやすい。その分写真の彩度は落ちるが、光に溢れた写真とレイアウトの妙でカバー。 各章の扉のレイアウトがすばらしい。 ぴりっとした黄色と青が効いた表紙に幅広帯なのもステキ。 ブックデザイン 大西隆介+沼本明希子(direction Q) 印刷・製本 図書印刷株式会社

1年前

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