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十代の終わり、遠く見知らぬ土地での、痛切でかけがえのない経験――。19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いたその先は【谷】と呼... 続き

コメント

あれこれ昔のことを思い出しながら延々と語っている人の話をひたすら聞いてあげているような小説。このタッチは嫌いじゃない。

最終頁で文学然とした作品に塗り替える力技。語りの距離、焦点化はお見事だが、意図せずやってるようにも感じる、それならなおさら凄いが。

著者が19歳の時、富良野塾二期生として暮らした2年間の体験をもとに書いた作品。小説を読むというより、自ら体験するようなドラッギーな傑作。ちなみに表紙カバー題字は倉本聰先生直々の筆です。

受賞記念。
北海道を舞台にすると不思議とこういうかんじになるのはなぜ。

今の若い人達だったらやっていけなさそうな環境だなぁ。二年間逃げ出さなかっただけでもスゴい。文体は音読したくなるような散文詩的なところもあって、音楽を聴いているようなという帯の文句も納得できました。

文体が不思議だけど、それも俳優だからと考えれば納得もする。内面の流れを丁寧にリアルに辿っている。すらすらといかない思考の不器用さこそ自然だと思える。演劇の集団てどこも似たような特徴をやっぱり持っているんだなあと思い、なつかしさも抱いた。

芥川賞を受賞した作品らしいので読んでみたミーハーな私です。
今までたいして本をたくさん読んできたわけではないのだけれど、今まで読んだことのない本だなぁ、という印象だった。すごく独特な文章だった。でもそれによってこの主人公の不器用な感じの性格だとか、雰囲気だとか、匂い的な、ものすごく細かいところまで伝わってきた。客観的にみているというか、主人公の中にはいりこんでみてる感じ。
読んでて複雑な感情になった。でも、なんかわかる気がする。

生まれた家の、生まれた庭のいっちばんおおきな樹の下に、真っ赤なオウムのなきがらを埋めたことはないのに、埋めたときの左指が土に触れた記憶がある。母は君があたしの腹のなかで逆さになっていたときだよというけど、ぼくはそれをみて、この頭にとどめている。そこにあるのは懐かしさではなくて、それとしか言いようのない、残像だ。

山下澄人『しんせかい』はまさに残像の小説だと思う。「ぼく」はみている、聴いている、触れている。美化された記憶を語っているのではない。かといって客観的な記録でもない。そもそも、みている「ぼく」が不確かな語りをなし、ぼんやりとしたリアルの複数性を示唆する。

この小説は「あ行」でも「さ行」でもなく「は行」でできていると思う。句読点の使い方もうまい。冒頭の乱れ、交わる記憶も。そして、視点がとんでとんで、いつのまにか遠いところにいっているのも。ああ、うらやましい。

読者

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山下澄人の本

緑のさる

緑のさる

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Kenny

読むこと、書くことが好きな人

その女の子とは、今もよく会うんだけど、大学の1年生の夏にフラれたこともあって、でもそのフラれる前の前の日くらいに、大学の寮の裏手にある駐車場のところで、せなかをがっちゃんこして歩いたのは、夢かもうそうかリアルかわからない。ぼくはその娘と付き合いたかったからぼくはぼくを彼女の目で何回もみたから、ぼくはその女の子でもある。 視点が移るということは、その娘の目にも、その娘をみている星の目にも、その星をみている世界の目にもなれるということで、その目は過去にもむかえば、未来にもむかう。ぼくは、わたしは、彼も彼女も生きていて、死んでいて、世界の目としてみると、この、ここに、存在してくれてありがとうってなるのは、すげぇ。 山下澄人『緑のさる』は、すごくなんというか、つながっているっていうこと、それはモラルとか共同体とかかんけいなく、つながれ!ではなくて、正味、つながっているんだよ、と教えてくれて、ぼくはとなりでいつもラップトップをがちゃがちゃ叫ばせる嫌われものにもやさしくなれた。そして、好きな女の子に対しても、なおさらで、次に会ったときに、会った瞬間、泣いてしまったらどうしよう。そんなことを考えている。

6か月前

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コルバトントリ

コルバトントリ

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扉と書

本、言葉、手紙。扉と書

行ったり来たり。時限を超えて気持ちと魂と体が行き交う。難しくて読み返したいのに、先へ先へと引きこまれる。

4年前

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