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北の夏、海辺の街で男はバラックにすむ女に出会った。二人がひきうけなければならない試練とは-にがさと痛みの彼方に生の輝きをみつめつづけながら生き急いだ作家・... 続き

コメント

もし自分に小説を書くことができるとして、実際に書くのであれば、ひとりの人間を主人公にたて、その主人公が別の人間に出会うことで話を紡いでいくことになるだろう。いや、特異な例を除いて物語はそうすることで動き出すはずだ。だとすれば、その出会いの場面がいかに自然であるかに力を注ぐべきだろう。その偶然から産み出される必然が説得力を持つ時、自分は安心して物語に身を委ねることができる。

作者は、高校時代より小説を書き始め、三度の芥川賞候補、さらに三島賞候補となりながら、無冠のまま自ら死を選んだということだ。同時代の作家として中上健次(彼もまた短い生涯だが)や村上春樹がいるが、早すぎる死を選ばなければ彼らと比べて遜色のない作品をもっと発表できたのではないかという気がする。

自分もまた、この小説との出会いから新たな発見があった。ならば、新しい物語が始まるはずだが…。

相変わらずのひりひりする読後感。最高。

読者

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佐藤泰志の本

きみの鳥はうたえる

きみの鳥はうたえる

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

佐藤泰志作品は一見、重く暗いと捉えがちであるが(もちろんその側面もあるが)「言い終わらないうちに、左の奴に脇腹を蹴られて、思わずうめき声をあげた。体勢をたてなおそうとすると、もうひとり男の腕が斜めからでてきた。あやうく顔をそらした。こぶしが耳にあたって、切れたように痛んだ。そらした顔に別のこぶしが当たった。よろめいて地面に手をつくと背骨を思い切り蹴られた。続いて、めくらめっぽうに脇腹を蹴りあげられて、腹が熱くなり、胃液がこみあげてきた」素手喧嘩の流儀をわかっているというか実は躍動感あふれるリアルな暴力性が魅力でもあったりする。 8月に映画が公開になったが下記はその感想 「延々と流れるクラブと夜遊びのシーンのように若さと3人の関係はいつまでも続くと思われたが、突然にそして静かにその終わりを迎える。しかし終わりがあるからこそ始まることができるのだ。ハセガワストア、鈍色に光る市電のレール、佐知子の上げた髪。」 良い映画を見た。

3か月前

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黄金の服

黄金の服

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ソヤマ

大学生 22歳

映画『オーバー・フェンス』に心動いて購入。 映画は、『オーバー・フェンス』の舞台背景に、題にもなっている『黄金の服』の人物像を加えて、すこし人間関係に色を足したような内容。 三作とも「青春」がテーマ。 まだ自分の人生に腰を据えて居ない、どこに据えるべきかを決めかねている登場人物たちの、先行き見えないモヤモヤを描いている。 私の状況下と近い部分がたくさんある小説だった。 進みたいけど、どこに進めばいいか考えるのが難しい。これだと思うものがぽろっと見つかるのではという期待を捨てずにいられない。 今一度将来の方を見てみると、越えるべきフェンスは遥か向こうにある。 そのフェンスに気づかないふりをして生活する日々を、私はいつ辞めるのだろうか。覚悟を決めるべき日はもう近い。

約2年前

海炭市叙景

海炭市叙景

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

時代に取り残された人々の物語。 東京を首都と書く生硬さも含め 残すべき小説。

3年前