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こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。会社員の夫と、大学生と高校生の息子たちとともに東京の郊外で暮らす主婦・朋美。日々家庭を支えてきた苦労を理解し... 続き

コメント

読み出したら止まらない桐野夏生のリアル残酷物語(専業主婦子持ち編)。

受験、就職、結婚、子供、子供の受験、旦那の浮気、旦那の出世、姑との人間関係。峠は越えたって終わらない、道は死ぬまで続くよとglobeが歌ってたように、終わりなんてやってこない現実を前に、人は不平不満を飲み込んで、日常をやりこなしていくしかない。主人公のように、何もかも逃げ出したくなる日もあるよね。

息子と旦那から向けられるセリフと仕打ちに涙と鼻水が出かけたけど、同時に自分だって同じだけの冷酷さで家族と同僚と相対してる。毎日を繊細に、優しく思いやりをもって、或いは、信念や正しさを、怒りを抱えて続けて生きてくことなんて凡人にはできないから、滑稽でも愚鈍に生きてくしかない。

「耐え難い悲しみを経験した人々は貴方と違って優しい」

でも私は猛々しくも幸福に生きていくのも罪ではないと思うの。

家族に嫌気がさして逃避行にでても、なかなか根っこのところでは分かち難い。だから朋美の旅も、ほんとに楽しそうなのは所詮東京にいた最初の何日かだけで、あとは常に後悔入り混じるどんよりした心模様。行くも荒野、戻るも荒野。良い面も悪い面も飲み込んで、愛着を持って過ごすのが結局一番しっくりくる。

生々しい夫婦の姿。
妻であり母である女性の、家族に対する思いと行動。夫であり父である男性の、思いと行動。
自分の希望と、相手への要望・非難……
物語は妻目線からスタートするので、「ダメ夫~!奥さん可哀想」と感じるけど、次の章で夫目線の描写になると、はっとなる。同じ出来事も、見る人で感じ方は変わる。夫目線になると、さっき可哀想と感じた女性がただのダメ嫁に見えてくる。
人間関係の妙を描いた秀逸な作品。

46歳主婦、つれない甘えた家族の世話に何もかもが空虚に感じる事がある!アクセル踏んで飛び出しちゃえ〜って、誰もがやってみたい家出の先にある珍道中で見えてくるものは…人って易々と変わるもんじゃないって事(^^;)どんな家族にもある荒野をそのまま生きるか⁉︎沃野(よくや)…よく肥えた平野…にする為せっせと水を撒くか⁉︎どっちもありやね。

読者

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桐野夏生の本

とめどなく囁く

とめどなく囁く

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

父親より年上の資産家と再婚した塩崎早樹はかつて海釣りに出かけたまま失踪した夫がいた過去があった。 ある日元義母よりその夫を目撃したとの情報が入る。 死亡認定も出し、新たな人生を歩み始めた早樹であったが、区切りをつけたはずの過去が迫ってくる。そして新たな事実が次々と判明し失踪の謎に肉薄していく。 知っているようで実は全く知らない夫婦という赤の他人の恐ろしさ、地獄の淵から甦る「人間失格」的な独白に底なしの救いのなさと哀しみを感じた。 舞台となる逗子の母衣山はおそらく披露山をモデルにしたのであろう。

8か月前

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ロンリネス

ロンリネス

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

「ハピネス」の続編。夫と娘一人の有紗が住む21世紀の団地ことタワマンを舞台に前作とは違って団地妻もといタワマンママの水面下での足の蹴り合い及びマウントの奪い合いから、今作は思いもよらぬ男性との出会いそこからの発展と個人的な領域に踏み込んでいる。 舞台となる湾岸にある52階建てのタワマンは世間があこがれるイメージとは裏腹に「再びごみの袋を提げて、長い開放廊下を端にあるゴミ集積所まで歩いた」P.6「ゴミを捨てた後、エレベータを待ちながら有紗はつい先ほどの会話を反芻して首を振る」P.12とあるようにどうもこのタワマンはゴミ置き場が各階に無いらしくそれが一層の団地感を醸し出している。わりと低価格帯なのかもしれない。 高い管理費と修繕積立金、それを入居前に計算できず負担に耐えられずなのか新婚時の思い出づくりなのかわからないが入れ替わり立替わりで猫の目のようにくるくる変わる若い住民及びそれに伴う長期居住者との断絶、なかなか出てこない機械式駐車場、海っぺりの吹きっさらしが更に加速させる強烈なビル風(一部作中には登場しない表現あり)どうでもいいマウントの取り合い、そこにどう向きあっていくのか物語の後半に結論らしきものは出るのだが。なぜ人はタワマンに惹かれるのか?奥様それでもタワマンに住みますか? またこの物語のもう一人の主役ともいえるタワマンの亜周辺にいる「公園要員」の江東区の土屋アンナこと美雨ママが小気味良いフックを繰り出していく。「わかるよ、とってもよくわかる。何度も言うけど、あたしは別に不倫しろと言いたいんじゃないの。結果として不倫という言葉が付いてくるけど、仕方がない時もあるんだよ。大人なんだからさ。それを有紗だけにはわかってほしくて、言ってるの」P.142 「常套手段だよ。女が逃げようとすると捕まえて、女がマジになると腰が退ける」P.408 そして有紗が得る「旅」という視点、そこから至る結論というか発想に行き場のなさからの解放を感じた。 「さっきね、あなたともう会わないと決めたときに、旅をやめて帰ろうかとふと思ったの。で旅という発想にちょっと驚いていろいろ考えていたのよね。そしたら、あなたからのメールがきて旅の魅力に負けたのよ。旅って あなたと付き合うことよ。だけど、旅だから、いつか帰るのかなとも思った。家に帰るんじゃなくて、自分自身に帰るのかしらとかね。そしたら、家族とか責任とか倫理とか あまり人に縛られて生きることはないかもしれないと思えて」p.414 それが「恋愛」という一時的な二人の共同幻想だとしても 誰の為でもない「自分自身」という気づきこそが解放感の故なのだろう。 全くの余談だけど作中にも登場する「ららぽーと豊洲」にある書店の開店準備である棚詰めを10年以上前に手伝ったことがあり館内に謎の遊園地的な施設が全くの予想付かずだった為、作業中のとっても忙しいところを勝手にお邪魔してどういった施設か質問したところ「こども向けの就業体験施設」との回答を得た。それが「キッザニア」だった。あの当時のキッザニア職員の方大変お忙しいところどうもありがとうございました。 あの時はお邪魔してすいませんでした。

1年前

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