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子どもは言葉を覚えるときに、それ以前の赤ちゃん語を忘れる。そのように、言葉はいつも「消えてしまった言葉のエコー」である。そして、忘れることは創造の源でもあ... 続き

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10ヶ国語を自在に操るという哲学者、文学者による言語論集。注釈や出典も明確で学術書であるらしいが、神話や寓話、エピソードに彩られたエッセイとしても、とても豊かに読めるなんとも幸福な書物。
基本は副題にある通り、大筋は言語の忘却についてだけど、赤ちゃんの喃語は全ての言語の発音を可能にするほど豊かなのに、母語形成の段階でその大部分が失われるとか、詩作の許可を得るためにそれまで覚えさせられた先人の詩を忘れることを強要される弟子の話など、出てくる例がどれもこれも興味深く、またテーマからくる物悲しさに満ちている。
言語は常に変化し続けるものであるように、忘れることはただ何かの不在を意味するわけではなく、変化の中で見えなくなるものなのかもしれない。ボルヘスの短編にもあるように、あまりに鮮明で詳細な記憶は新たな記憶を生み出せないということだろう。

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