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武装勢力が入り乱れ、混迷を極める80年代の北アイルランド。殺人現場に遺されたオペラの楽譜は犯人から警察への挑戦状なのか? 続き

コメント

ジョニーウォーカーでオフィスの紅茶を景気づけ、コーヒーにはジムビーム。この辺じゃ誰もがウィスキーの川辺にテントを張っている、と嘯く男ショーンダフィ巡査部長を主人公にしたこの小説。

一九八一年、キャリックファーガス=ベルファスト=北アイルランド、という舞台設定からすでに血煙が見えてくる。謎解きに注力するというよりは、アイルランド風現代ノワール小説として正しくダーティーかつ殺伐とした日常が描かれ、ダフィの拘泥した思考と捜査を淡々と追っていく。

この時代のこの場所にあった、或いはそうあり続けた真っ黒な火種のようなものを、ページを繰りながら少しずつ学んでいくことが出来る。教科書的な意味合いもある本作、読んで良かったなと思った。

その他のコメント

出版社が推してたのと舞台設定が面白そうだったので手にとってみた。舞台は80年代の内紛に明け暮れる北アイルランド。主人公はカトリックの警官。北アイルランドのカトリックはテロ組織IRAに代表されるように少数派で警官になっている主人公は体制側についた裏切り者として懸賞金をかけられてるような存在。しかも当時の北アイルランドの警察には珍しい大卒。刑事としてちょっと安全な地域の警察署に配属されたばかり、という設定。片手が切り落とされた死体が発見され、当初はテロ組織が裏切り者を処刑しただけの事件として処理されそうになったのだが死体から楽譜が発見され、更に切り落とされていた片手が別人のものと判明し…という話。暴徒に襲われるので家宅捜索にも完全武装で行かなければならない地域がある殺伐とした社会、なにかというと仕事中でも大酒飲む警察官たち…などなど、雰囲気も脇役に至る人物描写も素晴らしい。ミステリとしてはかなり粗削りで強引なところもあったけどじゅうぶん楽しめた。シリーズ化されているようなので早く次作が読みたい。面白かった。

1981年、イギリス連合王国の一部である北アイルランドの首都ベルファスト。
当時の北アイルランド地域は、イギリスとアイルランド、プロテスタントとカソリック、ナショナリストとユニオリストという相反する存在が互いに自分の是を声高に主張し殺しあう場所だった。
そこで起こったのは体内に残された楽譜、別の誰かと交換された被害者の手という猟奇的な連続殺人事件。
事件を担当する巡査部長ダフィは、カソリック教徒で、また大学で心理学を学んだという警察隊の中の異分子で、その宗教的、政治的に微妙な立場は、捜査を困難なものにする。

IRAやUDR、UFFと言った名称が頻出するので巻末を確認しながら読み進めたが、慣れてくると苦にはならない。
それよりも各陣営の主張や立場を理解するに従い、犯人探しだけでなく「こいつが悪い」と名指しできないこの紛争の複雑さと矛盾に満ちた政治や宗教の問題についても考え込んだ。

読者

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サイレンズ・イン・ザ・ストリート

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Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます…

前作が荒削りながらもかなり面白かったので手にとってみたテロが最も激しかった頃の北アイルランドを舞台にした警察小説の邦訳二作目。本作から登場人物紹介の他に登場組織一覧が付録されるようになった。北アイルランドはプロテスタントの住民が多く、独立したアイルランドとは別にイギリスの一部となっている。本作の舞台となっている時代はカトリックの独立派テロ組織IRAを始めとして複数のテロ組織と国家権力が入り乱れて争う一番荒れていた時代。大学で心理学を学んだけども警察官を志した主人公はカトリックでIRAからは裏切者として命を狙われている。住民は警察車両にも平気で投石や発砲をしてくるし車に乗る前には爆弾の有無をいちいちチェックしなければならない。前作で逸脱しながらも大活躍した主人公は勲章を貰い昇進を果たしている。本作ではスーツケースに詰め込まれて捨てられていた首なし死体が地道な捜査から米国人のものだとわかり周辺捜査から別の殺人が浮かび上がり…という話。一作目よりかなり洗練された印象。謎解きにも無理がなく娯楽作品としても優れている。このシリーズはしばらく追いかけてみようと思っています。

7か月前