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夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親... 続き

コメント

島本理生の最新刊。
もちろん発売日に購入。

読み終えた感想はと言うと、正直うまく言葉が見つからないな。

生育環境や多感な時期に受けた影響って大人になっても、というか大人になって意味が分かってから更に傷が抉られるもの。本当は不快なことを、辛いことをされていてもそれを口に出すことはできず、「だけど自分に責任があるから」と受容するしかない。それも無意識的に。むしろ、相手の期待に応えなきゃと喜んでいるフリをする。悟られないようにする。それは大人になってからも、習慣が抜けきれずにしてしまう。

こんな辛すぎることって、ない。

でも、そうしないと自分が、今、生きていくことができないからだ。壊れるからだ。傷ついてるということを自覚してしまったらまともに立っていることはできない。

闇と病みしか感じない、そんな中「涙を流さずに泣くことの意味」坂口健太郎の帯コピーがうまいこと突いてる。

それにしても島本作品は性的被害や虐待(もしくはそれに近いもの)にあった女性、というものがよく出てくるような気がする。あと、凄く結びつきが強い男女なのに、恋愛ではない特別なやや歪とも言える関係。

迦葉は島本作品っぽい危うい雰囲気のある男性で、我聞は島本作品らしからぬ良い男だった。ラストは包み込むような希望、痛みもあるけど良い作品でした。

ミステリのようでもあり、「真実は何か?」「嘘を言ってるのは誰だ?」と思わず読みふけってしまった一冊。ただ、タイトルとの繋がりが最後までわからなかった。今度、作者と精神科医によるトークショーがあるので楽しみ。実に興味深い。

読者

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島本理生の本

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らいこ

ファンタジーとハッピーエンドが大…

文章から若さを感じた。未熟さではなく、若さ。瑞々しさに近い、若さ。青さ、ともちょっと違う。 なんて言えばいいのか… 生きてきた年数が絶対的に少ない人間の発する何か、としか言いようがないもの。若さ、という単語を置いてほかにいい表現を思いつけない。 自分の気持ちに正直になりきれなかったり、そのくせ誤魔化しきれなかったりする主人公と、その元恋人の関係の終点は、ただの「恋人関係の解消」ではなかった。過ぎ去ってしまったものはどうしようもないのだ、という教訓めいたものも感じるが、一歩踏み出す、その歩幅を見つけた彼らの前に、漠々と広がるあてどもない空間にぞくりとさせられる。 一歩踏み出すことは時に難しく、踏み出すタイミングを逸することで全てを逸することもある。しかしタイミングは来るべきときに来るものでもある。 そんな視点の鋭さの中に、「若さ」を感じたのかもしれない。

約1か月前