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読むのは主に翻訳小説だけど、本棚… |
ウィングフィールドの手によるフロスト警部シリーズの最終作。陰惨な事件とお下劣なジョークの対比がシリーズ中で最も際立つ今作で、フロスト警部はかつてないほどの窮地に立たされます。
シリーズをずっと読んできて、こんな下品なジョークや嫌味のきいた会話を笑える日本語に訳すなんてすごい!といつも感動していました。フロスト警部のキャラクターやデントン署の雰囲気は、芹澤恵氏の翻訳あってこそ楽しめるものなんだと思っています。
例えば、今作でフロスト警部がスキナー主任警部と初対面する場面。‘Pleased to meet you’というフロストの台詞を「こりゃ、どうも、お目にかかれて光栄の行ったり来たりだよ」と訳してるんですよ。
私はフロスト警部シリーズを読みながらニヤニヤしたいんです。だから、作者ウィングフィールドの亡き後も新たな作家ユニットの手によって続いているシリーズが、1日も早く翻訳出版されることを願っています。