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神田村経由専門書版元 |
第二次大戦後ソ連に占領された北海道、抗ソ戦の記録と返還後の現代に生きる若者たちの成りあがり記と国際的な陰謀が平行に進み時に交わる。。函館でのフィールドレコーディングと抗ソ戦の記憶が交わるシーンはたまらなくスリリングであり物語のパーツがカチッとハマる快感。
「産土は、その歌がわかったというのでは全然ない。ただ、声、という上の句の一文字に目を奪われた。それは無声、という二文字のまとまりになっていて。無声とはすなわち沈黙だ、智慧のある産土にはわかった。十人の沈黙、それを、撚る、と理解につなげていった。撚る、とは何本かをねじりあわせて一本にすることだと、それも見通せた。と、途端にビジョンが視えた。撚るのか、と。つまり一つひとうの音じゃないのか、と。そうか…サンプリングした音源を、合わせる?合成?そうゆうこと?産土は瞬時に感得したことで、蒼褪めた。」P114
存在しない音(ニップノップ)を紙の上で鳴らす。