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コメント

いま地質学的年代区分として人新世という言葉が出てきているらしい。石油なんかを燃やしたり、プランテーションで本来の産地とは違うとこに単一的な作物を育てたりしている人間の活動が、地質学的に無視できないレベルにまで達していることから提唱されたという。例えば核実験が行われるまで存在しなかったプルトニウムや海洋に漂うマイクロプラスチックなんかは確実に後世の地層に人間の痕跡を残していくわけで。おー人間すげえ。とか言ってる場合ではなく、数千万年、数十億年もの時間をかけて形成されてきた環境をわずか数百年で後戻りできないほどに変化させることの意味を振り返る必要がある。
ターム自体の提唱は最近のことだとしても、人新世という用語が唱えられるまで、我々はこうした事態について何も知らなかったのか、また何もして来なかったのか? それを問いなおすのが本書。先人たちは自分たち人間の活動に無知でもナイーブではなかった。科学者は危惧を表明したし(シャルル・フーリエはやはりすごかった、アルシブラ万歳)、農民たちは反対運動を行った。が、それらは脱抑制されてしまった。政治や産業、あるいは時代の要請に。
はっきり言ってこの本が描く現状は暗すぎるほど暗い。シンギュラリティとかAIとか、そんなことさえ言ってらんない。コネクテッドカー? 何言ってんの。それらが拠って立つ基礎が、もはや取り返しがつかない状況にまで追い込まれているっていうのに。
でも、脱抑制から逃れて、一人一人が声を上げればまだ変えられるかもという希望も抱かせてくれはする。さあどうだか、と思いつつも、パンドラの匣の底を覗くしかないんだろうか。
しかし、ほんと青土社の本は校正が弱くて参ってしまう。誤植が本の価値を毀損するわけじゃないが、それにしてもさ…。

読者

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社会

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

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fuku

設計事務所勤務ゴミリーマン/元ク…

同期一番の出世頭が大口顧客を怒らせた! 人気タレントがセクハラ疑惑で降板? ああかわいそうに、でも少しだけ(そう、ほんとにほんの少しだけ!)笑みがこみ上げて来たりはしませんか、よくないことだと知りつつも。自分もそういう感情を抱いたことを白状せざるを得ないけど(それも頻繁にというのがまた救いがない)、そういう感情をドイツ語でシャーデンフロイデという。日本語だとネットでいうメシウマというところ。 人間社会に限らず、競争に満ち満ちているこの世においては、シャーデンフロイデは、競争の中で自分が相対的に優位に立ったことに対して人間が感じる快い感情であるらしい。しかし、そうした快感も、妬みを覆い隠すような形で正当化されてしまえば凄惨な犯罪へと容易に転化するという。例えば、ナチスのユダヤ人虐殺のような。にわかには信じ難いけれど、ユダヤ人は劣った存在などではなく、優秀であるからこそ排斥すべきであるという理屈は明らかに妬みから生まれたものだろう。 明日は我が身と思いながら、自戒の念を抱きながら読む本。

2日前

心の文法―医療実践の社会学

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Shun

普段は帰宅後に、休みの日は散歩し…

感情や記憶は、個人の能力に還元されやすい。その考え方に基づき医療も行われやすいのだが、一方で医療とは、患者と医療者が向かい合い、互いに感情や記憶を交錯させる場面でもある。著者は、診療場面を丁寧に記述することで、感情や記憶というものを説明しようとするときに寄って立つべきは我々の生活そのものであることを述べようとしている。試みが成功しているかというと微妙で、一分で辿り着ける目的地にわざわざまわり道して向かっている気がしてくる読み心地。ものすごく、読みにくい。しかしそのくらい実はたどり着きにくい目的地なのだな。

3日前

未解決事件 グリコ・森永事件 捜査員300人の証言

未解決事件 グリコ・森永事件 捜査員300人の証言

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

NHKスペシャルとして放映された「何故、かい人21面相を逮捕できなかったのか」その原因を当時の捜査員と共に探っていったこの番組は放映当時新たに判明された新事実にこの事件を追ってきたというほどでもないが興味を持ち続けてたものとして驚愕した。そして書籍化されたものを文庫化。文庫化にあたって加筆等は無いのが悔やまれる。事件当時、森永の1,000円パックに喜んでいた子どもからすっかり大人になってしまった身としてはキツネ目の男に職質をかけるかどうか?組織、現場どちらの対応もわかるだけに悩ましい。 事件の主な舞台となったのは先月大きな地震のあった北摂地域、その都心でもなく地方でもない独特の風景が印象に残る。 赤軍とグリコ・森永事件については何年かに一度は本が出るけどついつい読んでしまう弱点。「罪の声」再読しようかな。

5日前

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