9784560080191

ピュリツァー賞受賞作品。『ニューヨーク・タイムズ』年間最優秀図書。ビンラディン、ザワヒリなど「アルカイダ」の軌跡を丹念に追いかけて、その等身大の姿を描く。... 続き

コメント

これも内容が重たいはずなのでなかなか手が出なかったのだが…とある本でこの作品に言及されていて読んでみようかということで。言わずとしれた2001年9月11日のアメリカ同時テロ事件についてニューヨーカーのスタッフライターである著者が五年を費やし膨大なインタビューをもとになぜこの事件が起こったのか、に迫った作品。途中何度か掲載したとはいえライターに5年間も著作に専念させる、という辺りが一流誌の一流誌たる所以なんだろうな…。先入観ではいわゆる9.11の準備段階からテロの詳細、という感じだろうかと思っていたのだが良い意味で裏切られたのはほぼ半分を費やしていわゆる「イスラム原理主義」がどのような背景で生まれ組織化されていったのかということを掘り下げていること。イスラム原理主義の大きな流れからビンラディン、ザワヒリの二人がアルカイダをどのように立ち上げていったのか、についても人間中心の描かれ方をしておりいわゆる狂信者ではなく普通に家庭を持っていて富裕層でもあった二人の姿が描かれている。一方、標的となったアメリカ側はテロ対策捜査官のオニールという個性的な人物を中心にテロといかに戦いなぜ9.11を防げなかったのか、ということがこちらも人間中心に描かれている。あのツインタワーの惨劇は本当に作品の最後に出てくるだけでそこに向かって大きな流れが収斂されていくところが見事。イスラム原理主義とは何か?ということを学ぶのにも役立った。数年前にニューヨークに行った際、グランド・ゼロに行ってみたのだがこれを読んでからだとまた見方が違ったかもしれない。今更ですがピューリッツァー受賞も文句なしの優れた作品でした。

読者

08634c99 3a43 40c1 9ad5 6ba772150f2c

ローレンス・ライト/平賀秀明の本