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〈向こう〉には物理的な目には見えない、人間の貧弱な脳にはわからない新たな世界があると、いつも信じていた―― 「ポーランドのポー」「ポーランドのラヴクラフト... 続き

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鉄道にまつわる幻想短篇集。廃線を憑かれたように保守し続ける元駅員、衝突事故を請い願う車掌、停車することに抵抗する運転士、コンパートメントに乗り込むことで生を実感する男など、鉄道に取り憑かれた主人公たちの物語は、怖いというよりも、ポーランドの仄暗い鉛色の冬空のようなイメージの中、古めかしい客車のコンパートメントや打ち捨てられた廃線の線路、疾駆する真っ黒な蒸気機関車など、映画なんかでしか見たことがないのに、なぜかノスタルジーを感じるものたちと呼応して、モノトーンめいた暗さの中にあるのに、かそけき様子ではありながらもそれぞれが光を放っているような色彩のきらびやかさ、トーンこそ違えど、稲垣足穂にも通じるような色彩感覚が感じられた。

読者

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ステファン・グラビンスキの本

火の書

火の書

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螺旋

偏愛

『動きの悪魔』『狂気の巡礼』に続く作品集。当時のエッセイやインタヴューも収録されていて、グラビンスキの人柄が少しわかるのが嬉しい。 幻想、ホラー、オカルト、退廃…理想的なバランス。

約1年前

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狂気の巡礼

狂気の巡礼

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fuku

設計事務所勤務ゴミリーマン/元ク…

ポーランド唯一の怪奇小説家と言われる作家の短編集。ラヴクラフトにも擬せられるというが、同じ超自然的な存在なり現象なりを題材としてはいても、クトゥルフ神話のような不定形な存在との邂逅ではなく、日常の中に垣間見える恐ろしさ。物や土地に宿る忌まわしい過去が何かの拍子に目覚め、そこにいる者に不幸な影響を与えるというやりきれなさがやや装飾過剰な文体によって薄暗い華やかさで描かれるのはなかなか癖になる。その薄暗い華やかさは、同じくポーランドの映画やポスターなんかに見られる、彩度の低いモノトーンの重苦しさの中にふと見える濃厚なあでやかさとも通底するようだ。邦訳がもう一冊出ているので『動きの悪魔』、そちらもいずれ。

約2年前

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