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コメント

吉村昭が全国を旅してまわった食べ歩き紀行文。その地でしか食べられない逸品からお店選びの極意まで、控えめでありながら筋の通った氏の作風との共通することも多い。その中の一篇「長崎半島でフグとカマボコ」半島ならではの異国感とカマボコの製造過程が楽しい。
「それは、一般の人の口に入る機会はなく、カステラの製造所内に入ることを許された者しか食べられぬ由であった」p24
「これは、カステラの耳とはちがいますが、実際はこれが一番うまいのです」p27
吉村昭文体は健在。

読者

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吉村昭の本

ニコライ遭難

ニコライ遭難

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Katsuhiko Moroi

乱読家です

司馬遼太郎の作品は印象的な書き出しが多いと思いますが、一番好きなのは「坂の上の雲」です。 「まことに小さな国が開化期を迎えようとしている」 明治維新後のちっぽけな日本が近代的国家として歩み始めた時代を、この短い文章は簡潔に表現しています。 吉村昭さんが描く「ニコライ遭難」は、この時代、明治24年に起きた大津事件に戦慄する日本人の姿です。大津事件は車夫がロシアの皇太子ニコライに軽傷を負わせた事件。圧倒的な軍事力をもって極東進出を目論むロシアに対して日本は「七五三のお祝いに軍服を着た幼児」。事件をきっかけに天皇を始め日本中が震撼します。当時の刑法では犯人津田三蔵は懲役刑。しかし、武力報復を恐れる政府有力者は処刑を主張。対して、司法関係者は公正に津田を裁こうと政府に挑みます。この小説の最大の読みどころは、近代的法治国家の将来を見つめた司法対政府の手に汗握るギリギリの戦いです。この事件により、日本の三権分立の意識は高まったといいます。 それと、この小説の魅力は前半のニコライへの歓待の風景。長崎、京都、大津と日本の威信を賭けて歓待する官民の姿が詳細に活き活きと描かれます。特に、ロシア帝国最後の皇帝となるニコライが入墨を自らに彫らせたり、番傘に興味を示したりと人間らしい愛嬌を持っていたことは意外でした。 他にも、津田の死の真相、ニコライを助けたことにより多額の賞金を得た2人の車夫の運命、西郷隆盛生存説など読みどころはたくさんありますが、この小説の最大の魅力は、大津事件の歴史的重大性と開化期の日本人の特性が理解できることです。 久しぶりの★★★★★。是非、是非、お読みください。

26日前

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破獄

破獄

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元/皆様よろし…

脱獄を4回繰り返した無期囚佐久間清太郎。彼はなぜ脱獄を繰り返すのか、その動機と手段とは?戦中から戦後にかけてめまぐるしく移り変わる激動の時代背景と共に稀代の脱獄囚を吉村昭が描く。反抗する対象や事態があればこその脱獄だとしたら応報刑ではない戦後の行刑政策の転換は事に佐久間清太郎にとっては効果的であっただろうといえる。もちろん作中に触れられているように壮年期を過ぎた年齢的な衰えも大きいだろうが。 佐久間の物悲しくも静かな終焉は高度経済成長を過ぎオイルショックを経て安定した時代と共に歩むようだった。 この作品は一人の特異な脱獄囚を通して昭和の時代を書いたともいえるのではないだろうか 「内部には異様な空気がひろがり、支所長をはじめ幹部の者たちの目は血ばしり、顔は青ざめていた」p21いつもの吉村昭節も健在。

8か月前

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東京の戦争

東京の戦争

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Ken Gauteau

Editor,

大空襲の夜が明けはじめ、まだ炎の上がる街の崖下に、山手線の列車がいつも通り動き出す。失った我が町の生き残りに会えたような嬉しさ、日本の社会の律儀さへの感嘆とともに、他ならぬその社会が帰結した戦争への省察。時代も地域も全然違うけど、自分にとっての我が町東京を一番良く描いたエッセイはともし聞かれたら、私はこの本を挙げる。

8か月前