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四人の声で語られる百年の物語。フィンランドの新鋭、衝撃のデビュー長篇。助産師として強く生きた祖母。写真技師だった奔放な母。子供好きで物づくりに長け、若くし... 続き

コメント

これはフィンランドの小さな村に住む、ある家族の物語。
この家には、伝えなかった言葉があり、使われなかった拳銃があり、燃やされた手紙があり、家族にさえ言えない秘密がある。
互いの胸のうちに秘密を抱えたまま、理解できない家族のふるまいに怒ったり泣いたり傷ついたり…それでも、毎日を生きていく。
そんな家族の100年の物語。

本書はマリア、その娘のラハヤ、ラハヤの息子の嫁カーリナ、そしてラハヤの夫オンニの四人の章に分かれている。
数年おきに起きる小さな事件が、時代を行ったり来たりしながら語られる。
違う章で同じ出来事を違う人物が語ると、出来事はまったく違う様相を見せる。
秘密を明かさない故に、寂しさも愛しさもまっすぐに伝わっていないことが読者だけはわかる。
それが本当に、せつない。

ただよく読むと、実は彼らの秘密はいつの間にか次の世代にひそかに伝えられていることが分かり、それはそれで救われる思いがする。
そして、その秘密の最後の継承者が血の繋がりのない嫁カーリナであることが、またいい。
この家の秘密は、血ではなく、それを引き受けられる強さと感受性を持つ者に継がれていくのだ。

読者

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文芸

ロンリネス

ロンリネス

Picture

渡辺洋介

神田村経由専門書版元

「ハピネス」の続編。夫と娘一人の有紗が住む21世紀の団地ことタワマンにを舞台に前作と違い団地妻もといタワマンママの水面下での足の蹴り合い及びマウントの奪い合いから、今作は思いもよらぬ男性との出会いそこからの発展と個人的な領域に踏み込んでいる。 舞台となる湾岸にある52階建てのタワマンは世間があこがれるイメージとは裏腹に「再びごみの袋を提げて、長い開放廊下を端にあるゴミ集積所まで歩いた」P.6「ゴミを捨てた後、エレベータを待ちながら有紗はつい先ほどの会話を反芻して首を振る」P.12とあるようにどうもこのタワマンはゴミ置き場が各階に無いらしくそれが一層の団地感を醸し出している。わりと低価格帯なのかもしれない。 高い管理費と修繕積立金、それを入居前に計算できず負担に耐えられずなのか新婚時の思い出づくりなのかわからないが入れ替わり立替わりで猫の目のようにくるくる変わる若い住民及びそれに伴う長期居住者との断絶、なかなか出てこない機械式駐車場、海っぺりの吹きっさらしが更に加速させる強烈なビル風(一部作中には登場しない表現あり)どうでもいいマウントの取り合い、そこにどう向きあっていくのか物語の後半に結論らしきものは出るのだが。なぜ人はタワマンに惹かれるのか?奥様それでもタワマンに住みますか? またこの物語のもう一人の主役ともいえるタワマンの亜周辺にいる「公園要員」の江東区の土屋アンナこと美雨ママが小気味良いフックを繰り出していく。「わかるよ、とってもよくわかる。何度も言うけど、あたしは別に不倫しろと言いたいんじゃないの。結果として不倫という言葉が付いてくるけど、仕方がない時もあるんだよ。大人なんだからさ。それを有紗だけにはわかってほしくて、言ってるの」P.142 「常套手段だよ。女が逃げようとすると捕まえて、女がマジになると腰が退ける」P.408 そして有紗が得る「旅」という視点、そこから至る結論というか発想に行き場のなさからの解放を感じた。 「さっきね、あなたともう会わないと決めたときに、旅をやめて帰ろうかとふと思ったの。で旅という発想にちょっと驚いていろいろ考えていたのよね。そしたら、あなたからのメールがきて旅の魅力に負けたのよ。旅って あなたと付き合うことよ。だけど、旅だから、いつか帰るのかなとも思った。家に帰るんじゃなくて、自分自身に帰るのかしらとかね。そしたら、家族とか責任とか倫理とか あまり人に縛られて生きることはないかもしれないと思えて」p.414 それが「恋愛」という一時的な二人の共同幻想だとしても 誰の為でもない「自分自身」という気づきこそが解放感の故なのだろう。 全くの余談だけど作中にも登場する「ららぽーと豊洲」にある書店の開店準備である棚詰めを10年以上前に手伝ったことがあり館内に謎の遊園地的な施設が全くの予想付かずだった為、作業中のとっても忙しいところを勝手にお邪魔してどういった施設か質問したところ「こども向けの就業体験施設」との回答を得た。それが「キッザニア」だった。あの当時のキッザニア職員の方大変お忙しいところどうもありがとうございました。 あの時はお邪魔してすいませんでした。

約3時間前

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わたし、定時で帰ります。

わたし、定時で帰ります。

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もちもち

食べ過ぎ、飲み過ぎ、読み過ぎ注意…

どんなに仕事が山積みでも就業時間内で自分の仕事は計画通りに片付けて定時に帰るということにこだわる結衣。 それは今は上司となった元婚約者の晃太郎、企業戦士だった父に対する意地でもあった。 新しい婚約者との結婚も決まり、順風満帆に思えた彼女に降って湧いた昇格と長時間残業必至な問題案件。 このままではチームが崩壊してしまう!自らも満身創痍で彼女が立てた作戦とは…。 無茶ぶり案件を悪名高きインパール作戦に見立て、どうしたら同僚や後輩を無理させずに働いてもらえるか、と考える結衣。 そして「為せば成る」の精神論で作戦完遂をうたう晃太郎たち企業戦士の面々。 しかし絶対に残業をしないことが前提で仕事を組み立てる結衣も、仕事量に自分を合わせる晃太郎も、どちらも「決めつけ」をすることで却って自分を追い詰めているような気がする。 インパール作戦という人の尊厳を蹂躙するような失敗を二度としない方法は、そのような無謀な作戦を提案、実行させる無能な人物たちを中枢に据える会社や社会の構造を変えることだと思う。 つまりインパール作戦がそもそも選択肢に挙がらない社会を作ること。 もちろんそれが難しいからこそ今もパワハラなどで斃れる人が絶えないし、現代のインパール作戦、東京オリンピックを巡るドタバタを見ているとよく分かるのだか。 会社について、社会について考えさせつつ、ほどよく恋愛の要素も取り入れたバランスのよい小説。 一気読みしました。

約7時間前

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立東舎文庫 エッセイ集 微熱少年

立東舎文庫 エッセイ集 微熱少年

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Shun

普段は帰宅後に、休みの日は散歩し…

松本隆の、触れれば血の出る割れた窓硝子のような詞。まだ二十代前半だったはずの故大滝詠一の、アパートに吹き込む隙間風のように冷えびえとした歌唱。それがはっぴいえんどだった。解散後、売れっ子作詞家となるまでの過渡期に編まれたこのエッセイ集兼詩集には、当然松本の言葉しか収録されてないのだが、大滝の歌唱の代わりに、これまた文明に対する静かな怒りと暴走する蒼い性を秘めた若き日のますむらひろしのイラストが随所で炸裂している。一番好きな詞は、この中ならやはり『微熱少年』かな。同内容の鈴木翁ニの漫画も、いずれ再読したい。

約14時間前

いつか王子駅で

いつか王子駅で

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Shun

普段は帰宅後に、休みの日は散歩し…

再読。落ち着きたい時に折に触れて読み返す小説。王子駅と品川駅、大森駅周辺を舞台とする京浜東北線小説です。駄洒落のタイトルは、あの曲と王子駅だけでなく、かなり多くのものにかけられているのだと今回気がつきました。主人公の周囲の人物が皆魅力的。その人々と時を過ごしつつ悩む主人公ですが、結末にはとても納得がいきます。作中で触れられる昭和の小説群も読みたくなってきます。

約15時間前

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