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史上初の総力戦、第一次世界大戦はどのように始まったのか。バルカン半島の紛争が未曾有の世界大戦へと展開する過程を克明に描いた本書は、歴史学の新たな扉を開いた... 続き

コメント

ちょうど一世紀前に起こった初めての世界戦争である第一次世界大戦については回顧録や証言をはじめとする膨大な資料があり、またそれに基づいた膨大な研究がなされているが、本書はそうした類書や研究を踏まえ、「なぜ」戦争が起こったのかではなく、「いかにして」起こったのかを描こうとする。
ここで常に述べられているのは、いま、すなわち論者が過去の出来事を観察する時点でのバイアスをいかに避けて事実を到達するかということ。我々が過去を振り返るとき、既に経過した時間があってこその見方が可能になることがある。そうした見方は過ぎた出来事を明快に整理して解明してくれるように見えるが、それはあくまでも解釈の一つでしかないことは忘れられがちである。
最終章でも触れられている通り、こうした解釈では行為の原因論としてなんらかの悪役、戦争に至る引き金を引いた張本人が設定されることが多くなるが、それは単なる皮相的な事実でしかないわけで、その中に見え隠れする複雑なメカニズムを見ようとするのが本書。
素人が読んでもわからないことも多かったが、こうした姿勢に圧倒される。上巻は、一般に大戦の原因とされるサラエボ事件の淵源がどこにあるのか、バルカン半島を巡る列強の複雑怪奇な動向がまとめられている。

その他のコメント

ノンフィクションが好きでハルバースタムやウッドワードの本なんかは大好物なのでこれもタイトルだけで手にとって見たけど実に読み応えがある。世界史を取ってたわけじゃないからもしかしていい加減なこと言ってるかもしれないけど第二次大戦とか現在も続く中東の混乱とか世界の災厄の大元はほとんどこの大戦にあるような気がしているのだけど応仁の乱と同じくきっかけがどうにも分かりにくい。
名著「8月の砲声」もサラィエヴォでフランツ・フェルナンド夫妻が暗殺されて、から始まって大戦の流れを追ってるわけで第一次世界大戦がどういう流れで収束したか、についてはよく分かるし、同盟関係に引きづられていろんな国が参戦する羽目になっていったのもよく分かるのだけどそもそもの起こりがウヤムヤなままという感じがしていた。
そこで本作なのだけど下巻をまだ読んでいないのでなんとも言えないけど、純粋になんで戦争に至ってしまったか、について掘り下げた内容となっている。一巻ではなぜセルビア人がオーストリアの皇太子を射殺するに至ったのか、を前半に、後半にロシア、フランス、イギリス、がそれぞれどのような状況にあったのか、を説明している。
従来、植民地支配に乗り遅れて強引に巻き返しを図ったドイツの責任、というイメージを持っていたのだけど必ずしもそうではないことがよく分かる。下巻も楽しみなんだけども登場人物が多すぎて...できれば買ってじっくり読みたいんだけど文庫にならないかな...

読者

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クリストファー・クラークの本

夢遊病者たち 2――第一次世界大戦はいかにして始まったか

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fuku

設計事務所勤務ゴミリーマン/元ク…

そして下巻。 バルカン半島を巡る列強のしっちゃかめっちゃかとデタント、そして不幸な事件から開戦前夜までの時間が「いかにして」経過していったのかが丁寧に辿られる。各国のデタントは危機回避の機会としては優れていたが、デタントの事実自体が政策決定者の思考を停止させてしまったのかもしれないが、それ自体は列強の紛争を防ぐためには必要であったしまた有意義でもあっただろう。暗殺の後も、何が何でも戦争に突き進もうとした者はなく、誰もが戦争回避に向けてあくせくと努力をしていた。問題はすでに上巻でも触れられていたような首相と外相、あるいは大使らの間で常に揺れ動いていた意思決定のあり方や各国、また各人の間での思い込みなどであった。いまにして思えば、ということを極力排しつつ事実が並べられていくが、その節目節目に戦争を避けられたかもしれないきっかけが見え隠れしている。これは作者の解釈であるのかもしれないが、大変説得的で示唆の多いところ。 それでも歴史は戦争に突入する。政策決定者は「夢遊病者であった。彼らは用心深かったが何も見ようとせず、夢に取り憑かれており、自分たちが今まさに世界にもたらそうとしている恐怖の現実に対してなおも盲目だった」という指摘の重さ。 ドイツの戦争責任論に対する反駁として本書を捉える向きもあるそうだが、やや一面的な見方のように思われる。とはいえ世の中は分かりやすい悪役を求めるわけで…。 これだけの膨大な資料を渉猟したものであるということで細かなミスというか勘違いが散見されるようだが(それを一つ一つ指摘している訳者もまた素晴らしい)、そうしたことを差し引いても読むべき本だと思う。

2か月前