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人は、人のどこに恋をするんだろう?消えた恋人・麦を忘れられない朝子。ある日、麦に顔がそっくりな人が現れて、彼女は恋に落ちるが…朝子22歳から31歳までの"... 続き

コメント

ときどき、死ぬこと以外は「経験」できるのではないかと思う。ぼくたち、わたしたちは意外と、鳥や飛行機や車など、なんであれ、見ているその私を見返している生き物やモノ、すなわち世界の〈まなざし〉になって見ることができる。きっとぼくらが世界をまなざすから、世界はこちらをまなざすのだろう。

柴崎友香を「目の文体」といったのは言い当て妙で、彼女は作品の中で、視覚を使って世界との距離を測っている。作中の主人公は必ずしもほかの機能が突出しているわけではないが、視覚によって世界を「異化」させる。見えてないものが見えて初めて、文学になる。

見ているものを異化し、表現するのは必要条件だろうが、十分条件というわけではない。「目の文体」と言わせるのはきっと、「視点を投げる」ことができるからだ。目は飛行機、鳥のものになる。「全部を見た」という表現はひょっとしたら神的な視点ですらあって、彼女は神にもなってさえするのかもしれない。

『寝ても覚めても』の不穏な雰囲気は信用できない語り手としての「わたし」に依るところが大きい。それを支えるのがふたつあって、ひとつは語りが出来事に左右されない点、つまり「今から重要な出来事がありますよ!読者の皆さん!」アピールがない。

もうひとつは、彼女の文体で特徴的な「ーした」「ーだった」などの過去形が連続して、なんというのだろう、「下手さ」なんだけれど、語り手の仕様がなさにつながっている点だ。下手上手いみたいな。

一人称小説でしかありえない、不穏さをこの作品は持ち合わせている。

その他のコメント

ものすごく静かな文体なんだけど、そこからは音にならない轟音が響いてる。そんな作品だと思う。

映画が話題になったので読みましたが、とてもよかったです。最初は主人公の見たもの感じたこと全てが文章になっていてなんだか淡々としすぎてるかもと思いましたが、それに慣れてくるとその言葉にするまでもないような事全てが愛おしく、繋がっているんだと思えました。終わってしまうのが寂しかったです。

読者

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柴崎友香の本

待ち遠しい

待ち遠しい

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

若さゆえの想像力の欠如なのか弱さを隠すための突っかかりなのかさっぱり理解できない沙希を見守り、わかり合うことは無理かもしれないけどそれでも一緒に生きていこうとする春子とゆかりのまなざし。 物語は三世代に渡る女性の姿を描いている。物語の中心となる春子は自分と同じ就職氷河期世代、高度経済成長を経て繁栄を極めた時も知っているし今日の没落しつつある時代も知っているので俯瞰で見ることができる。時代の犠牲となったともいえるが想像力は養えた。自己責任という言葉の身勝手さも。 「どの年代にも、結婚しなかった人、子供がいなかった人、一人で生きてきた人 、一度は結婚したり子供を持っても離れなければならなかった人いろんな人がいる。その誰もが、仕事をして、ささやかな楽しみを見つけて、自分の人生を生きてきた。」P.211、本文中ここにグッと来た。想像力を働かせよう。ジャッジするのはやめようと。 ところで本書は大阪住宅小説ともいえるが、春子の住んでいる場所はどこなのだろうか。「地上を出てすぐ川の上を走る」「勤め先に乗り換えなしで行けることも大きかった。急行か準急で二十分ちょっと。」から御堂筋線で千里あたり?御堂筋線の地上に出て道路と並走するところが割と好き。少年ナイフのカバー曲で使われた発車メロディーも。

約1か月前

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