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奇妙な霧に覆われた世界を、老夫婦は息子との再会を信じてさまよう。ブッカー賞作家が満を持して放つ、『わたしを離さないで』以来10年ぶりの新作長篇! 著者来日... 続き

コメント

いつもながら時間を忘れて一気に読まされるリーダビリティ。あっと驚かされる設定ながら、この感じがイシグロだよなぁと感じる刺さるポイントは不変。人間であることの切なさと愛しさ。読みながらいくつもの記憶が駆けめぐる。

人の一生は記憶でできています。
人間は徹底的に孤独で、他人と思い出を共有することはできないと信じてきました。今この、ファンタジーという装置を借りたラブストーリーを読んで、誰かと同じ記憶を分かち合うことは本当に不可能なのか、もう一度考えてみたいと思いました。

老いから死への旅を描いた物語。愛は毒にも薬にもならないのだけど、ゆっくりとそこに在るんだ、というのが前作と共通する。

想像力を働かせながら、主人公の老夫婦とともに霧の世界を冒険できます。
旅の終わりに忘れられた巨人の姿をみてください。

現代の虐殺と戦争の歴史と、その忘却の上に成り立つ平和をメタファーとして、ファンタジーの世界で描いた作品。その上に描かれる老夫婦の関係がラストを含め、胸を打ちました。メッセージや物語の構造が村上春樹の多崎つくる〜に近いところが多く、何がしかの流れを感じました。

負の歴史と記憶と忘却。忘却の上に成り立つ平和。
それと並列して、時間が赦しを与える物語も。
なんとなくだけど、いまの日本の情勢を思い浮かべちゃう。んー。時間を少し置いたらもう一回読みたい!

今までの作品の中でも逸品。
忘却の風が吹く荒野の中で、喪われた記憶を探し続ける老夫婦の愛。哀しみと慈愛に満ちた物語。新たな年を迎えるに、もう一度向き合うべき作品であると思います。

淡々とした文体が主題に合っている。人は淡々と、忘れてはいけないかもしれなかったことも忘れる。

この壮大な物語を語れる言葉を私は持ち得ていない。作品のテーマは重層的で、この物語そのものをジャンル分けすることを拒んでいるように思える。そして、いくつかの会話に心を鷲掴みにされて涙する。理解し切れていにことも、感じただけのこともすべてを包み込んでくれる読後感。これから私は、この本を何度も広げるだろう。

どんなふるいにかけて、記憶は残っていくのだろうか。愛情と憎悪、愛情が勝るといい。

戦争が生む負の連鎖。記憶が忘れ去られたからこそ、保たれる秩序。ファンタジー調で描かれる世界にも関わらず、現在世の中が抱える問題を思い起こさせる。

読み終わったあとに、心の奥に、それほど大きくはないが硬い、しっかりと存在感を感じることができる石ころが残る。

最初のページで、鬼が出てきて、サイエンスフィクションかと驚いた。だが、読み進めば、とてもリアリスティックに現代の社会を描いていることがわかってくる。戦争と記憶がテーマ。待ちに待ったイシグロの長編だが、待っただけのことはありました。

最後のページをめくったら、もう解説のページだったので、あまりの唐突さ、というかこの物語の終わり方のすごさに、えええー!?と声に出してしまったよ。ええ〜、マジでぇ〜。そうなの〜?やっぱそうなってしまうの〜!?となってしまった。してやられた。しかし現実の我々も、この霧によって、なにかが見えていないまま、かりそめの平和を曖昧にやり過ごしている気になってしまう。

この本のタイトルが、こんな真相を秘めていたなんて。一貫して記憶という不確かなものを導線に、現代社会に通じる問題を絡めてあって、それでも、暗雲立ち込めるストーリーのなか夫婦の揺るぎない愛が優しく光を照らしてくれているような…哀愁漂う一冊でした。
読んでみて、結末も読者一人ひとりの記憶や価値観に委ねられているのだろうなと思います。
個人的にはアクセルのベアトリスへの「お姫様」呼びがとても好きでした!

連休中に読みたい楽しみにしている本。

読者

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カズオ・イシグロの本

浮世の画家

浮世の画家

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Jun

一年のうちに何回か読書ブームがや…

今話題のカズオ イシグロさんの本ということで手に取りました。浮世絵が好きなこともあり。 淡々とした文体が苦手な私としては読書の途中で解説を読み、ようやく読み進めることができました。 いくつかのエピソードが、少しずつずれながら重なり合い、独特のリズムから浮遊感を感じました。 主人公の言動も浮世を漂う感じがあり、浮世絵(=floating world、正確には浮世絵画家ではないけれど)と、浮世を生きる画家を意味するタイトルに妙に納得しました。

約2か月前

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忘れられた巨人

忘れられた巨人

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読んだなら、書こう、なるべくなら…

記憶と忘却。記憶も忘却も私、貴方、彼、彼女による日常の営みであり、その記憶、各々の主観により様々に変容するそれら記憶は「事実」を「史実」に変える。 アーサー王という実在、不在が未だ解き明かされてはいない伝説の人物が亡くなってしばしの物語。 この物語、歴史の主観は誰のものなのか。語り部は?アクセル、ベアトリス、ガウェイン、ウィスタン、エドウィン、常に三人称の登場人物。最後の最後、唐突に現れる一人称。その存在。その役割。 示唆的な登場人物達と彼らの会話、行動は一読だけでは読み取れない意味が散りばめられている。いつかの再読必須。読み終えた誰かと語り合いたくなる一冊。

約2か月前

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わたしたちが孤児だったころ

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Ryuji

楽器メーカーで、音楽関係の仕事を…

ミステリーと幼年期の淡いノスタルジアが並列で描かれ、最後に現実と直面する。現実に放り出されてからの人生(親から離れ孤児になること)が本当のスタートなのだ。

約1年前

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遠い山なみの光

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あなご

教育と心理の仕事。1987生

読後感さらり。池澤夏樹解説にあるように、カズオイシグロは自分の気配を消せる作家だなあと。会話のすれ違いは腹立たしくなる程に見事だった。

約2年前

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