51%2bnzzc89al

奇妙な霧に覆われた世界を、老夫婦は息子との再会を信じてさまよう。ブッカー賞作家が満を持して放つ、『わたしを離さないで』以来10年ぶりの新作長篇! 著者来日... 続き

コメント

いつもながら時間を忘れて一気に読まされるリーダビリティ。あっと驚かされる設定ながら、この感じがイシグロだよなぁと感じる刺さるポイントは不変。人間であることの切なさと愛しさ。読みながらいくつもの記憶が駆けめぐる。

人の一生は記憶でできています。
人間は徹底的に孤独で、他人と思い出を共有することはできないと信じてきました。今この、ファンタジーという装置を借りたラブストーリーを読んで、誰かと同じ記憶を分かち合うことは本当に不可能なのか、もう一度考えてみたいと思いました。

老いから死への旅を描いた物語。愛は毒にも薬にもならないのだけど、ゆっくりとそこに在るんだ、というのが前作と共通する。

想像力を働かせながら、主人公の老夫婦とともに霧の世界を冒険できます。
旅の終わりに忘れられた巨人の姿をみてください。

現代の虐殺と戦争の歴史と、その忘却の上に成り立つ平和をメタファーとして、ファンタジーの世界で描いた作品。その上に描かれる老夫婦の関係がラストを含め、胸を打ちました。メッセージや物語の構造が村上春樹の多崎つくる〜に近いところが多く、何がしかの流れを感じました。

負の歴史と記憶と忘却。忘却の上に成り立つ平和。
それと並列して、時間が赦しを与える物語も。
なんとなくだけど、いまの日本の情勢を思い浮かべちゃう。んー。時間を少し置いたらもう一回読みたい!

今までの作品の中でも逸品。
忘却の風が吹く荒野の中で、喪われた記憶を探し続ける老夫婦の愛。哀しみと慈愛に満ちた物語。新たな年を迎えるに、もう一度向き合うべき作品であると思います。

淡々とした文体が主題に合っている。人は淡々と、忘れてはいけないかもしれなかったことも忘れる。

この壮大な物語を語れる言葉を私は持ち得ていない。作品のテーマは重層的で、この物語そのものをジャンル分けすることを拒んでいるように思える。そして、いくつかの会話に心を鷲掴みにされて涙する。理解し切れていにことも、感じただけのこともすべてを包み込んでくれる読後感。これから私は、この本を何度も広げるだろう。

どんなふるいにかけて、記憶は残っていくのだろうか。愛情と憎悪、愛情が勝るといい。

訳本が苦手だし、イギリスのアーサー王時代物、且つファンタジー。。主人公は老人。記憶が曖昧ではっきりしたことが何もわからない。。。読み進めながら途中で投げ出すかもと、覚悟しました。しかし、1日で読みきってしまった。
老夫婦愛情のお話が基本だと思います。記憶とは一体どんなものか、個人の忘却と国の忘却について深く考えずにはいられません。戦いってどうしたらなくなるんだろ。読んでいる間私も、老夫婦と霧の中を歩んでいたような気がします。読み終わった後も。。
形の無いものは、いつもとても難しい。

戦争が生む負の連鎖。記憶が忘れ去られたからこそ、保たれる秩序。ファンタジー調で描かれる世界にも関わらず、現在世の中が抱える問題を思い起こさせる。

読み終わったあとに、心の奥に、それほど大きくはないが硬い、しっかりと存在感を感じることができる石ころが残る。

最初のページで、鬼が出てきて、サイエンスフィクションかと驚いた。だが、読み進めば、とてもリアリスティックに現代の社会を描いていることがわかってくる。戦争と記憶がテーマ。待ちに待ったイシグロの長編だが、待っただけのことはありました。

最後のページをめくったら、もう解説のページだったので、あまりの唐突さ、というかこの物語の終わり方のすごさに、えええー!?と声に出してしまったよ。ええ〜、マジでぇ〜。そうなの〜?やっぱそうなってしまうの〜!?となってしまった。してやられた。しかし現実の我々も、この霧によって、なにかが見えていないまま、かりそめの平和を曖昧にやり過ごしている気になってしまう。

この本のタイトルが、こんな真相を秘めていたなんて。一貫して記憶という不確かなものを導線に、現代社会に通じる問題を絡めてあって、それでも、暗雲立ち込めるストーリーのなか夫婦の揺るぎない愛が優しく光を照らしてくれているような…哀愁漂う一冊でした。
読んでみて、結末も読者一人ひとりの記憶や価値観に委ねられているのだろうなと思います。
個人的にはアクセルのベアトリスへの「お姫様」呼びがとても好きでした!

読者

728e27e6 ab0c 4e98 bde1 a064ea5f8b929886eb0d 0656 4452 84b3 c8168afdb00c84d1a374 bc29 4c2e b929 01982e9a96905c50f524 f6b7 412a b19b e458d59db9fdIcon user placeholder47b1a636 c8e3 413e b60b b500b8e3f043Cb6fee81 97ab 4c85 9b00 6906ef9481a04e1c3589 2eb0 464c bd94 6d3a5133c1cc 72人

カズオ・イシグロの本

忘れられた巨人

忘れられた巨人

F31dc9b8 954e 4d4f 8612 66fea9482b2b

きりと

それは悲しみの残像です

記憶の中で木霊し、反響する愛、復讐、不安、疑念。忘却を捨て去った人間が真実にたどり着くとき、そこにあるのは何か。

約6時間前

D517a95e e99d 40db 80dc 7a4112adfcb839066682 b36d 4b57 b86d dfb07ffc2ec19807894d c4af 4d2f a85e b7f8185c4ef4 27
浮世の画家

浮世の画家

B0fb326e aa55 4ad1 a342 aeb0088fc3ba

mia

つぶやきは基本的に内容が\ナイヨ…

「あなたと同じ日に生まれた著名人の本」として友人からの誕生日プレゼントで手にした本。 実際には1つだけであろう場面を、これまで主人公が関わってきた人たちとの記憶を思い出して、色んな場面に展開していく。 こんなことがあった、あんなことがあったと、悪くいえば話が進まない。きっとこの主人公との会話は本当に止まらないんだろうと思う。

7か月前

Icon user placeholder9727e8b0 10dd 4c31 b733 85abb59bdfbbB67c853a d9fe 49ee ace7 fb82be84a225 9
充たされざる者

充たされざる者

F37a7b3a 68ca 4679 820d be410780daf9

さそり座

本当にずっと充たされない。 邪魔が入ったり他のこと思い出したりして何にも先に進まない。眠れないし食べられない、気持ちは焦るばかり。 初対面と思っていたら知り合いだったり、遠いはずの場所と場所が繋がっていたりするところが夢の中の話のよう。 聞こえるように嫌味を言われたり、自分だけが把握していないことがあったりして窮地に立たされる悪夢を見続けている感じ。 充たされそうな場面で終わるが、それもちょっとあやしい。 元気な時に、なるべく広く日当たりのいい場所で読むのが良いかもしれない。

約1年前

66b38508 5a46 4f97 a0fb 87ff00c4b34a40deeedb c1a3 44e2 8f16 b81c4d19201fIcon user placeholder
わたしたちが孤児だったころ

わたしたちが孤児だったころ

D12499a3 7577 4a9e 9ed0 5c28fedebfaf

Ryuji

楽器メーカーで、音楽関係の仕事を…

ミステリーと幼年期の淡いノスタルジアが並列で描かれ、最後に現実と直面する。現実に放り出されてからの人生(親から離れ孤児になること)が本当のスタートなのだ。

2年前

8c3f5e84 6be6 4b69 b481 6bfce310e75b11afb8da 1bf6 4272 bc30 39ed2c854032Ed17a1f0 2f50 42ec a243 e8163423603f